卒業式
今日は卒業式だ。
一年生と二年生は、三年生の後ろの椅子に座る。
校長が、卒業証書を用意する。
そして、三年生が校長から卒業証書を受け取っていく。
里奈先輩と美奈江先輩も、卒業証書を受け取る。
全員が卒業証書を受け取ると、卒業生は退場した。
「里奈先輩、美奈江先輩。卒業おめでとうございます」
卒業式の後、里奈先輩と美奈江先輩に会ったので、話すことにした。
「ありがとー。私たちは卒業しちゃうけど、頑張ってねー風峰くん」
今俺に返事をした先輩、里奈先輩は、俺の頭を撫でる。
里奈先輩は、俺が小学生の頃から仲が良く、頼りになるが後輩をいじるのが好きな先輩だ。
「や、やめてください! なんなんですか急に!」
俺は恥ずかしくて、撫でるのをやめさせる。
「そういえば、二人は違う大学に行くんですよね?」
「そうよ。里奈と離れるのは残念だけど、将来のために頑張るわ」
美咲に返事をした先輩、美奈江先輩は言う。
美奈江先輩は、里奈先輩ととても仲のいい先輩だ。
この先輩との出会いは最悪で、今でも覚えている。
「あ、そろそろ教室に行かないと。それじゃ、そろそろ教室に戻るね。また後でー」
この後、教室で話や集合写真の撮影などがあるそうなので、里奈先輩と美奈江先輩は自分の教室に戻っていった。
「私たちも戻ろっか」
「そうだな」
俺たちも、自分の教室へ戻ることにした。
教室に向かって歩きながら、俺たちは話し始めた。
「私たちももうすぐ三年生だねー」
「なんか、高校生活って早いよな」
美咲のいうとおり、気がついたら三年生になっていた。
二年があっという間なのだから、残りの一年なんてすぐに終わってしまうだろう。
「入学してから色々あったねー……」
入学して美咲と出会い、告白して付き合い始めて、二年生になって必死に妹だということを隠して、そんな時に春花と秋葉が転校してきて、美奈江先輩に出会って、妹だという真実を言って。
「色々あったな……」
特に、二年生になってから。
話しながら歩いていると、教室に着いた。
話は一旦やめて、俺と美咲は教室に入った。
教師の話が終わり、帰ろうとしたその時、俺と美咲は話があると言われ、里奈先輩と美奈江先輩に呼び出された。
「何ですか?」
「実は、新学期に私の妹が入学してくるのよ。名前は林道美奈理」
入学してきた妹とも仲良くして欲しいと美奈江先輩は言う。
俺と美咲は頷く。
「ありがとう。話はそれだけよ。それじゃ、また会えたら会いましょ」
「二人とも頑張ってね。じゃあねー」
二人の先輩は、手を振りながら歩いていった。
先輩の目からは涙が出ていた。
この学校を卒業するのが悲しいのだろう。
だが、このまま残ることはできない。
俺と美咲は、二人に手を振り、見送った。