俺の彼女と後輩は妹
俺の彼女が妹だということをみんなは知らないの続編です。
前作を読んでいなくても楽しめるように書くので、よろしくお願いします。
「うぅ……寒いな……」
俺、島原風峰は白い息を出しながら歩いていた。
今は二月。
気温は低く、なるべく外に出たくなかった。
だが、今日は美咲に呼ばれたので、外に出ているのだ。
美咲の部屋の前にたどり着いた俺は、インターホンを押す。
「あっ、風峰。入っていいよー」
そう言われ、俺は中に入った。
「寒かったでしょー、風峰お兄ちゃん」
「美咲がお兄ちゃんって言うと、なんか変な感じがするな……」
「私もなんか変な感じがする……。やっぱり今まで通り風峰って呼ぶね」
美咲は俺の彼女なのに、俺のことをお兄ちゃんと呼ぶのは変だと思うだろう。
だが、美咲の言っていることは間違いではない。
島原美咲は、俺の彼女であり、血の繋がった俺の妹でもあるのだ。
「風峰お兄ちゃーん!」
ちょうどやってきた秋葉に抱きつかれた。
「風峰お兄ちゃん……!」
秋葉に続き、春花も抱きついてきた。
おとなしい島原春花と活発な島原秋葉は、一つ下の妹だ。
美咲と同じで、血が繋がっている。
二人ともとても甘えん坊で、会うと抱きついてくる。
だが、外では妹ではなく、俺と美咲の後輩として振る舞っている。
だから、家ではお兄ちゃんと呼ぶが、外では先輩と呼ぶのだ。
どうしてこんなことになっているのか、それには理由があった。
俺は、美咲が妹だと知らずに付き合い始めた。
付き合ってからしばらくすると、父親から俺に美咲という名の妹がいることを知らされる。
その時の俺は、妹だということがバレたら振られると思い、ずっと隠していた。
その時、春花と秋葉が引っ越してきた。
二人は俺が兄だと知らず、ずっと風峰先輩と呼んでいた。
しかしある日、親戚によって兄ということがバレてしまった。
そして、家では妹、外では後輩として振る舞うようになった。
その後、美咲にも本当のことを言い、同じように家では妹、外では彼女として振る舞うことになったのだ。
抱きついていた秋葉は、俺から離れた。
「美咲お姉ちゃーん!」
「ははは、ちょっと秋葉ちゃん、恥ずかしいよー」
秋葉は、美咲に抱きつく。
姉に甘えられて、とても嬉しそうだった。
「ねぇ、私もぎゅってしていい……?」
春花が美咲に言う。
「思う存分ぎゅってしていいよ」
「美咲お姉ちゃん優しい……!」
春花は遠慮なく、美咲に抱きついた。
「あ、そうだ風峰。記念に写真撮ろうよ。私たちが兄妹として集まった記念に」
「いいなそれ」
「あ、それじゃあ私準備する!」
「じゃあ手伝う……!」
春花と秋葉が写真を撮る準備をし、俺たちは、ソファに四人で座る。
しばらくすると、パシャっという音がなった。
俺たちは、撮れた写真を見る。
「いい感じに写ってる!やった!」
「やった……!」
「ちゃんと撮れたねー」
「お、いい感じだな」
その写真には、俺たち島原兄妹が笑顔で写っていた。
この写真を見た人は、誰もが仲のいい兄妹だと思うだろう。
そう思えるほどみんなの距離が近く、そして、一緒にいて幸せだと感じ取れる笑顔をしていた。