勉強 2
数分後、休憩を終えて勉強を再開した。
「風峰先輩はどうして美咲先輩と付き合おうと思ったんですか?」
千春がそんなことを聞いてきた。
「なんでって、惚れたからだが……」
「ふーん……。じゃあ、美咲先輩と出会ってなかったら、先輩は誰も付き合ってなかったかもしれないんですね。もしそうだったら、私は……」
「俺と付き合うことになってたかもな」
「先輩、今から私と付き合う気は……」
「ない」
この前も同じようなことを言ってきたが、千春はなぜ諦めないのだろう。
「千春は諦めないのか? 俺は美咲と別れる気はないんだが……」
「諦めません!」
キッパリと言う。千春の表情を見る限り、嘘ではなさそうだ。
「先輩は気持ち悪いと思いますか? 振られても諦めない私のことを……?」
「そんなこと思ってないから安心してくれ。だけど……」
「だけど?」
「美咲のことは嫌いにならないでくれ。俺と付き合ってるから嫌いになっちゃうかもしれないから……」
「嫌いになんてなりません。だから、先輩も安心してください」
千春はにっこりと笑う。俺は安心した。
「話が長くなって勉強の邪魔になっちまったな。すまない」
「いえ、全然大丈夫です」
俺たちは話をやめた。
「風峰先輩! 今日はありがとうございました!」
とりあえず千春が苦手だという数学を教えて、勉強を終えた。
千春は腕を上に伸ばし、そのまま後ろに倒れる。
「よく頑張ったな」
「風峰先輩が教えてくれたので頑張っちゃいました……!」
千春は笑いながら言う。
「あ、そうだ。教えてくれた先輩にお礼です」
千春はそう言うと、四つん這いになり、こちらに近づいてきた。
そして、俺の足の上に乗るように寝転がった。
「さあどうぞ。今なら胸が触り放題……」
「どいてくれ」
俺は千春の後頭部に手を添え、千春の体を起こす。
「このまま触らせて、私の体でしか楽しめないようにしようとしたのに……!」
「触るか! あと、千春はもっと自分の体を大切にしろ。好きだからって他人にあまり体を触らせるな」
「先輩……私のことを気にしてくれてるんですね……! やっぱり大好きです!」
千春は、俺に抱きつく。
「は、離してくれっ!」
「嫌ですよー」
引き離そうとしても、なかなか離れてくれない。
千春が俺から離れてくれたのは十分後だった。