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LOVERS  作者: TOSSY
チェリーブロッサム
1/5

アザレア

初投稿です

誤字・脱字があるかもしれません

また百合表現がありますのでそれが嫌だと言う方はブラウザバックをお願いします

静かで香ばしい匂いの漂う店内、わたし、小雀綺里(こすずめあやり)はその店のレジで店番をしていた。

レジの下にはショーケースがあり、揚げパン、サンドイッチ、カレーパンなど様々なパンが置いてある。

だがそのパンの陳列も今の時間は隙間ができてしまい、ショーケースの中身がまばらになってきている。

「むむぅ、気になるなぁ。」

と何の気なしに呟く。

「なにが?」

とパン生地を作っている母がその呟きに対して聞いてくる。

「いやぁ、商品が減ってるせいでショーケースの見栄えがね、ちょっと悪いなって。」

「今から商品を作れって言うのかい?もう5時だよ?」

「そういうわけじゃ無いよ、ただ人がこないなって。」

「まあ5時だし、仕方ないんじゃないかい?」

「まあそうだよね。」

そんな会話をしているとドアの開く音とともにチリンチリンとベルが鳴る。



見慣れた顔と見慣れた制服の3名の団体様のご来店だ。

「やっほーあやっちーいつものー」

「あややあれ残ってる?」

「あっちゃん新作まだ~?」

3人は学校で親しくしている友達だ。

共通の友達であるのに3人共わたしの呼び方がそろっていない。

あやっちと呼んできたのが花音(かのん)

少し赤みがかった茶髪でアップにしており可愛らしい大きめのリボンをつけている。

あややが貴音(たかね)

黒みがかった茶髪でボブカット。

あっちゃんが(あかね)

黒髪で下の方で白の長いリボンでくくっている。

ちなみに3人は共通の部活に入っているけどわたしは店の手伝いがあるから入っていない。

「さすがにそろそろ呼び方揃えなさいよ。」

とわたしが言うと3人共揃って。

「「「へへへ、すまねぇ、すまねぇ、」」」

と声を合わせて言う。

そんなやり取りが私達がいつもやっていることでありまた親友である証拠でもあろうか。



一連のやり取りを終えて3人が店に入ってきたときの質問に応対する。

「えっとまず花音からね、えっとドーナツはもう無いから同じ値段のミニ揚げパンでいい?」

そういや、なんでパン屋にドーナツあるんだろ。まあ、考えても仕方ないか

「えっそうなんだ残念~まあいいやそっちも好きだし。」

とか言いながら料金を受けとり商品を差し出す。

ついでに紙ナプキンも。

「次に貴音、カレーパンちょうど後一個だったんだ、片付けてくれてありがと。」

「ほいほいどうもいたしまして、ドーナツに次いで人気だしなくなってると思ってたぞ☆コノヤロ。」

こちらも料金を受けとり同じ対応をする。

「最後に茜、わたしの日替わりパンをご所望か?」

「はい、さようでございます。」

日替わりパンとはわたしが考えたパンを日替わりで提供するわたし特性のパンである。

当たるも八卦当たらぬも八卦とその日その日によって当たり外れがあるらしい(母親談)。

ちなみに、今日はいちごクリームあんぱん。

あんぱんのあんの代わりにいちごクリームが入ったパンである。

「でっ今日はどんなパンだい?」

「いちごクリームあんぱん。」

「うぇっ!?どんな感じなの?名前的に地雷踏んでしまった感じなんだけど。」

「あんぱんのあんの代わりにいちごクリームが入ったパンよ。」

「うん、明らかにハズレ臭するね。」

そんなやり取りをしながらも料金を受けとり商品を差し出す。

そして商品をじっくりみた茜は。

「なんだそういうことか。」

「いやどういうことよ。」

「パン自体はあんぱんぽいんだね。」

「そしたらただのいちごクリームパンじゃない。」

「まあそれもそうか。」



「そういやさ、あやや?」

貴音がカレーで口の周りを汚して聞いてくる……すごく汚い。

「ん?なにー?って食べるの下手か!」

「例の転校生だけどあのこにもあれやるの?」

わたしのツッコミは無視ですかいそうですかい

「あれって?」

「いやいや~やってたじゃん?確かあれは入学したときのことだっけかな。」

「あーやってたね!あっちゃんがなんかみんなにパン配ってたやつ。」

「そうそうしかも可愛くてなかなか食べられ無かったぞ☆」

「ちょっ恥ずかしいじゃん、言わなくていいよ。」

恥ずかしさでたぶんいちごみたいに顔が真っ赤だ。

「ははは~あやっち照れてやんの~~」

「だからもう~~~~~」

だがしっかりと思い出した、

「しかもその後も面倒見が良すぎるせいであやっち一時期お母さんって呼ばれてたもんね~~。」

「ふふっそうだったそうだった、でも本当にあれはお母さんよ。あきらかに委員長である私よりもあっちゃんのほうが頼られてたもの。」

「そんなこと無かったぞ☆委員長も委員長で教師うけ良さそうだったし頼りがいもあったしね☆」

「ねえ3人とも?本題からずれてきてない?」

このままじゃわたしの恥ずかしいあれこれが話題になってきそうなので話を本題にもどす。

「転校生にパンをプレゼントするかだっけ?もちろんするよ。」

「さっすがお母さん!!」

花音、悪ノリしすぎでしょ。

「あーーーーもう!花音は今度からパン売ってあげない!」

「ごめんて!」

「分かればよろしい。それで、転入生に渡すパンも考えてあるから。」

「へー、どんなパン?」

と茜が聞く

「残念ながらそれは秘密だぞ☆」

と貴音がいう

まあその通りでございますけども。

「それわたしのセリフ~」

「「「「あはははははははははは」」」」

店内には大きな4人の笑い声が響いていた。



「はいはい、そろそろ帰りなもう店を閉める時間だよ」

と母親が厨房から出てくる。

「あっはいー、お邪魔しました」

茜がいうと

「「お邪魔しました~」」

と2人もいう

「まだ少し暗い時期なんだから気をつけて帰りなよ」

「「「はーい」」」

3人は店の外にでてそのまま家路についたようだった。



3人がいなくなってしばしの静寂。

そこには店内で使用している流行りのアーティストの曲が店の広さに対して控えめに流れている。

閉店の手伝いをしながらわたしは母親にきいた。

「ねえお母さん今日厨房使ってもいい?」

「ああ、話は聞いているよ別にいいけど火元には気をつけなよ。あと家には早めに戻るんだよ」

「わかってるって。」

「でなにを作るんだい?」

「ドーナツ生地をボール状にして揚げるやつ。」

「なるほどね。油と火には絶対に気をつけるんだよ。」

どんだけ信用ないのよわたし。



次の日油がちょっとはねて少しやけどした部分を気にしつつ登校。

少し家をでるのが早かったかもしれない。

もちろん、ドーナツボール(命名:母)も持ってきている。ちなみに母の発案で半分のドーナツにはチョコが掛けられてある。

教室につくと見知った顔が一人、茜だ

「おはよう、あやっち。今日は一段と早い到着ですなぁ。」

正直いうと緊張とパン屋としてのプライドからか浮足立っていたのはわたしからみてもあきらかだった。

「まあ、わたしにだってパン屋の娘としてのプライドがありますから。」

ぶっちゃけ、まずいとか言われたらショックで2日くらいは寝込むだろう、今回の出来栄えは今までの中では渾身の出来といっても過言では無いから余計にショックを受けそうだ。

だが、本当に受け取ってもらえるだろうか。とても心配だ。

「ん~心配だな~」

「お、弱気なあっちゃん珍しー」

「心配にもなるでしょ、あんなインパクトのあるキャラだったら。」

「まあそうだよね~、私も仲良くなれるか心配だよ、委員長として。」

目当ての彼女……、松原夜美(まつばらやみ)は昨日…………。



「え~あなた達に転入生を紹介します。」

担任の声が響いた。

突然の転入生の紹介に周りはどよめく。

性別が気になって喋り始める男子や、どんな容姿をしているのかと話している女子たち。席が近い茜とわたしも同じように性別やら容姿やらについて話していた。

「はいはい、みなさん静かに。……はい、松原さんお入り下さい。」

「はい。」

扉が開くと同時に彼女が教室に入り教壇にのぼる……。

おろした髪はすこしフワっと膨らんでいてクリーム色でどこか人形みたいな印象を受ける

すこしドキッとした

そして

「松原夜美です、よろしく……。」

とてもシンプルな自己紹介だった。

「ええではこれからは松原さんも仲間にいれてこのクラスです、みなさんも松原さんもみんななかよくしてくださいね。」



そして休み時間……。

「松原さんってーどこ住みなのー?」

「どんなものが好きなん?」

「ぶっちゃけこの中ではどいつが好みのタイプ?」

クラスメイトが松原さんに向かって怒涛の質問ラッシュをする、

でも彼女は答えない、というか明らかに不機嫌な顔をしている。

流石に見てられないので助けをだすかぁ。

「あんたたち、明らかに困ってるだろ、程々にしとけよ」

「ギャーおかんに怒られたー」

「おかんいうな、ガキ共」

そして彼女に振り向く

「ごめんね松原さん、やっぱり転入生って気になっちゃうからさ。」

「………るな。」

「え?」

「………………私に近寄るなあああああ。」

彼女の可愛らしい声とは裏腹に彼女の少し小さい身体からでるとは思えないくらいの大きな声にわたしは当然クラスのみんなも目を丸くしていた。

………………いったいなにが起こったか本当にわからなかった。

………………わたしが何か尺に触るようなことをしたのだろうか。

「もう私に近寄らないで。他の連中もよ。」

そんな言葉を残して彼女は机から本を取り出し、読み始める。

流石にこうなると話しかけづらい。

………………そんなことが昨日あった。



昨日のようなことがあって不安にならないわけがない。

だけど、今日は多分大丈夫!だってこのパンが有るから!

自分に言い聞かせても虚しいだけだった。

「いや~、男どもの質問ラッシュから助けようとしたんだけどねぇ。だってあの子明らかに不機嫌だったもの。」

「あ~そうだったね、しかもあの男どもかなりプライベートなセクハラ扱いされても仕方ないことまで質問してたもんね、私だったら絶対に殴ってるわ、特に男ども。」

「ははは、委員長、落ち着いて、目、笑ってない。」

……………まあそれは同意見。



そんなこんなでクラスに人が集まり始め花音と貴音も二人そろってやってきた。

「あやっちおはよー」

「あやや、オハオッハー☆」

「おはよう花音、貴音」

「おはよう二人共」

「それでそろそろ呼び方統一化は…」

「「「致しません!」」」

「はははーソウダヨネー」

「そういやーあやっちー、気になるあの娘に例のモノでアタックかけないんです?」

唐突に花音が変なことを言い出す。

「ブハッ!いきなり何言い出すのよ花音!」

「おやおや~?その反応は☆まじで☆まじで?」

まじじゃねえよといいたかったが更に墓穴を掘りそうなのでやめたら。

茜が

「どこの魔法少女よ……、あっごめんこれわからないよね」

よくわからないことを言った。

この委員長はたまにわからないことを言う。

そこは……まあ無視で、持ってきた小さめのバスケットを取り出して。

「まあ一応パンと言うかドーナツは持ってきてるけど」

「おっしゃビジュアル確認☆」

貴音がバスケットを覗く。

「…………あー普通だね☆」

「流石にもう可愛い系とかはもう面倒くさい」

「あっちゃん目が笑ってないよ~」

「大丈夫これを渡すだけだから」

渡すだけならいいのだが……。



………………こない。松原さんがこない。

「こないねーあっちゃん。」

「そうだよ~、ホームルーム始まるまであと10分だよ」

時間にかなりルーズなのかな。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

速く来て~松原さぁぁぁん



あっ、やっときたホームルーム始まるギリギリまでこないのはどうなんだろうか。

先生にももう少し早く来るよう注意されているし。

…………しかし本当に人形みたいだなぁ。

そんなに体格が小さいわけでもないけど、整った顔とか。

……可愛い。

…………………………………………………………はっ!。

いつの間にか見とれてしまっていた……いけないいけない。



休み時間に松原さんの席に向かう。

松原さんは本を読んでいる。

…………話しかけづらい。

だがここで退くのはナンセンスだ。

「昨日はごめんね松原さん、何か貴女の気に障ることをしてしまったみたいで」

わたしがいうと松原さんは明らかに不機嫌な顔で

「…………気に障ることをしたということを自覚しているのはいいわ、でもねえあんた私が昨日いったことをもう忘れているの?」

「えっと貴女に近づくなだっけ。だめだよクラスメイトなんだから、仲良くしようよ。」

「あなた達と仲良くする気はないわ、だから私に近寄らないで」

そういうと彼女は可愛らしい手で<あっち行け>のジェスチャーをする。

仲良くする気はないってそんなんじゃ独りぼっちだそれは……だめ。

「だからなんで?」

「私は一人で……いいのよ」

「それはだめだよ」

わたしは諭すように静かに言う。

彼女の言葉はどこか自分に言い聞かせているように聞こえる。

だから

「わたしが絶対に一人にさせないから」

わたしはこう伝えた。

彼女はわたしの顔を丸い目でみたあとうつむき。

「……どうせあんたも……」

「何か言った?」

「なんでもない」

何を言っていたのだろうか。

「そろそろ授業始まるから席についてー」

委員長がみんなに注意を促す。

「わたしは席に戻るけどこれで諦めたとは思わないでね」

こう言い残し彼女の反論が来る前に自分の席に戻った。



昼休みだ、さてとやることをやるか。

「松原さん、一緒にご飯食べよう」

松原さんは弁当箱を取り出していた。

「だから一人でいいって言ったでしょ聞こえなかったの?」

「うん全然」

嘘だけど

「…………うぅ~」

なんか知らないけど唸っている

「人が言ったことは一回で理解してよ、私は一人で生きていけるんだから」

それは無理だ

「それは無理ね、現にそのお弁当は誰が作ったの?」

「うぅぅぅ~~~」

「ほらね結局は一人で生きていけるなんて無理でしょ」

現にわたしが生きてこれたのは、パン屋を経営している両親だったり、利用してくれているお客様だったり、いろいろな人に支えられたからだもの。

「確かに人に作ってもらったものだわ、だけどね別に馴れ合う仲間はいなくても大丈夫よ」

友達は一番に必要な人物だ、友達がいないまま生きていたら心が使い古したボロ雑巾のようにズタボロだろう

そんなことを考えていると彼女は席をたち教室を出ていってしまった。

「あっ話はまだ」

わたしは追いかけようとするが。

「あっちゃん諦めなよ」

茜の言葉に止められる。

するとその後ろから

「そうだぞ☆あやや、無理強いはよくないぞ☆」

「あやっち今日はだめでも明日があるじゃん根気よく根気よく」

みんな……ありがとう。

「そうだよねうん」

渡すもの渡せなかったなぁ。

「もったいないしこれみんなで食べよう」

バスケットを掲げていう。

そして三人は

「じゃあお言葉に甘えて~」

明日は諦めないから。

そうしてお昼が来たらご飯に誘うという行為を二週間ほど繰り返し行なって成果も少しは出たのだが

連日のお昼のお誘いもこの日で一旦打ち止めになってしまった。



「38.0℃か今日は休むしか無いか」

どうやら熱があるらしい。

熱のことで学校を休むことを学校と母親に伝え薬を飲んで横になる

やっぱり病気のときは寝るのが一番だよね。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

寝れない、どうして眠れないかというと単に眠くないからとかそういうのではなくただ気になるだけ

松原さん大丈夫かなぁ。わたしはクラスで唯一の松原さんの友達と言っても差し支えないと思うほどには喋るようになっているが。

そういや松原さん一昨日あたりからおかしかったなぁ喋るときにあんなに顔が赤くなるなんて

気分が悪いのかって聞いてみても「別に……」とか言われるし

………いったい……何が……あったんだろう。

「スヤァ…………」



玄関のチャイムがなった。

その音にわたしは飛び起きた。

どうやらいつの間にか寝ていたらしい。

するとチャイムが五月蝿いほどに何度も鳴った。

「はいはいチャイムは一回で十分です!」

出るとそこには赤い顔して怒った顔をした松原さんがいた。

「なんで今日学校こなかったのよ!」

いやだって。

「熱あったから」

「熱があっても来るのよ!」

「えぇ………」

流石にしんどすぎて無理。

「それで熱は大丈夫なの?」

「まあ薬飲んで落ち着いた感じかなぁ」

「そう、それじゃあこれとこれ」

そう言って彼女はカバンからプリントともう一つ袋を取り出し。

「それじゃ!あ…明日は来るのよ……絶対にね」

「大丈夫だようん。」

…………多分。

彼女は踵を返し敷地から出ようとする。

「松原さん。」

「なによ、いきなり引き止めて」

「今日はありがとう、また明日。ただいいたかっただけ」

「うん。また明日」

さっきの松原さん更に赤くなってたなぁ……

学校のプリントは置いといて袋にはスポーツ飲料水が入っていた。

ちょうど喉が乾いてたしありがたい。

その後はスポーツ飲料水を飲みきり何をすることもなく寝た。



次の日、

熱は治まっていて気分もいつもよりさらに爽快だ。

学校につくとそこにはいつもの三人がいた。

「あやっち、熱大丈夫だった?」

「あやや、無理はいけないぞ☆辛くなったらいつでもこの人に」

「なんで私だよりなのよ」

「だって委員長だし☆」

「あっちゃん、大丈夫だった?」

「うん、もう大丈夫、心配かけてごめん」

そうしていつもの日常にもどる。

そして松原さんがきた。

「あっ松原さんだちょっと行ってくるね」

三人から離れ昨日のお礼を言うために彼女の席に向かう。

彼女の目の前に立つ。

「松原さん昨日はありがとう!」

無意識に彼女の手を取っていた。

「はわ………手っ!手………」

「あっ痛かった?ごめん」

「別に……痛くないけど」

彼女の顔が赤い、とっても。

「体調でも悪いの?すごく顔が赤いわ」

といって彼女の額に手をあてる。

「………………っ!?あわわわわわわわわ」

彼女は変な声を上げてそのまま教室から出ていってしまう。

「あっ!ちょっと待って!」

わたしもそのまま追いかけていく、幸いホームルームまで時間はある。



校内で追いかけっこをしていると松原さんがコケた。

「痛い~~~」

わたしも駆け寄る。

「大丈夫?怪我はない?」

「膝擦りむいたー」

彼女は涙目に訴えてくる。

うわぁ……可愛い……。

いやそうじゃない、えっとこういうときは保健室。

わたしは彼女を抱えて保健室へ向かった。



「なんで先生いないかなぁ」

保健室についても先生がいなかった。

たしか消毒液と絆創膏はここらへんにあったはず。

見つけた消毒液と絆創膏で応急手当をする。

応急手当をしている途中顔を真赤にしているようだったけど多分全力疾走したからだろう。

「なんで逃げたの?」

「…………言わない」

「え~?そう言われるとさらに気になるなぁ」

「言ってしまったらきっと気まずくなってしまうだろうから……」

…………言ってしまったら気まずくなるのかもしかして。

「…………もしかして、わたしのこと嫌い?一緒にご飯食べるの強要させて嫌だったよね」

「違うわ、…………その、好きなの」

え?

「貴女と過ごしているうちに好きになっちゃた」

えっと好きって?Like?Love?

「好きって自覚したのは貴女が熱で休んだとき。学校に貴女がいなかったから、その日はずっと授業の内容も本の内容も頭に入らなかったわ。大丈夫?急に黙り込んでいるけど」

大丈夫じゃない。

「告白したらなんかスッキリしちゃった。手当ありがとう。私は綺里、貴女をその……愛しているわ」

彼女の目には涙が浮かんでいる。

突然の告白に私はただただ呆然としていた。



ホームルームが始まる前に教室にもどる。

「おつかれさま」

茜が声をかけてくるが返事をする気力というかなんというかその心ここにあらずというのかそんな感じだった。

「どうした?あっちゃんぼーっとして」

「えっとその」

「好きな人でもできた?」

「いやそんなはずは……」

そんな……はずは……。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

そのとき彼女が最初やってきたときのことを思い出す。

『おろした髪はすこしフワっと膨らんでいてクリーム色でどこか人形みたいな印象を受ける

すこしドキッとした』

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

「もしかしたら、すでに好きだったのかも」

もしかしたらじゃない、確信的だ。

心臓の音も激しくなっている。

今日わたしも告白しよう。

「ほうその話もっと詳しく。」

「はいはい皆さん静かに、今日の朝のホームルームを始めます」

先生が入ってきて会話は打ち切られた。



ホームルームが終わるとすぐさま松原さんの席に向かう。

松原さんはいなかった。

いったいどこに行ったんだろうか。

これじゃあ告白ができない。

授業開始のギリギリまでには戻って来ていたがそんなことの繰り返しで昼休み。

「松原さんまって」

彼女が逃げ出す前に彼女の腕をつかむ。

「…………何よ。どうせ告白されて気持ち悪いとか思っているんでしょ」

今朝の感じから一転して彼女はいつものトゲトゲしい感じに戻っていた。

「思わない。ここじゃなんだし場所を変えましょう」



校舎裏ベタだけどここで告白するならここよね

「ええとわたし小雀綺里は貴女のことが好きです…愛しています」

「………………そんなこと、言葉だけだわ」

「本当よ本当に貴女に………恋?をしてしまった」

そういうとわたしは背伸びをして彼女の唇にくちづけをする

「ッ!」

彼女は目を丸くして顔も耳まで真っ赤だ

「初キスあげちゃった」

心臓の音が聞こえる。

多分わたしの音だけじゃない。

「…………綺里」

夜美はそう言うとわたしを抱きとめる

「…………夜美」

わたしはこたえるように彼女の背に手を回す

そしてもう一回キスをした。

どうも初めましてTOSSYでございます。

百合が好きで書いちゃいました☆

すみません自重します。さて読んでくれた百合好きのあなた達はどんな百合がすきですか?

僕は姉妹百合が好きでございます。

さてつたない文章ではございましたが、ええ二人はいったいどうなるんでしょうか。

わたし、気になります

ちなみに次回は付き合いたての二人を描写すると思うので是非次回も読んで下さい。


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