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諦める日を決めた日

今回もちょっと短めです

「おはようー!」

ドカっ

「うわっ」


登校し、自席に着いた瞬間に明里が飛びついてくる。

寝ぼけていたためうまく受け止められず、机に腰をぶつけてしまった。


「明里、痛い、痛い!」

「ご、ごめん」

「なに、なんか嬉しいことでもあったの?」


強打した腰をさすりながら明里を見る。

彼女が飛びついてくる時は大抵すごく嬉しくて話したいことがある時だ。


「そうなの!」


胸までの綺麗な髪を揺らし、頬を喜びで桃色に染め上げて笑う彼女はやっぱり可愛い。

本物の美人は化粧してなくてもこんなに可愛いのか、なんて納得してしまうくらい。しかも明里は顔が綺麗なだけでなく、素直で優しくて頭がいい。天は二物を与えないなんていうけど、明里と奏くんに関しては二物以上与えていると思う。凡人な私は僻むことすら出来ず、ただひたすら感嘆するだけである。むしろこんな美人の可愛い表情が見れて幸せ!


「あのね、冬のオリエンテーションあるでしょ?あれね、全学年混ぜてのハイキングなんだって!」

「え、そうなの?今まで学年ごとだったのに!」


私たちが通う柊木高等学校は他の私立と違い、イベントごとが多いことで有名だ。

冬のオリエンテーションもイベントの一つで、去年は同級生との絆を深めるという名目で近くの低い山へ登山に行った。登山、寒くて辛くて大変だったなー。それが今年は全学年合同なのか。

って、あぁ、なるほど。明里が喜んでる理由がわかった気がする。


「奏くんと一緒のグループになれるかも?」

「かな?って思って」


えへへと照れ笑いする明里が可愛くて、心の中のシャッターを連写する。

いいなぁ、私もこんなに可愛ければ奏くんに好きになって貰えたのかな?なーんちゃって。


「大丈夫!きっと一緒のグループになれるよ!」

「だといいなぁ。あ、先生来たから席に戻るね!」

「うん!また後でね!」


小さく手を振り、パタパタと窓側の近くに走っていく明里を見送る。自分も椅子に座ってマフラーを外した。流石にマフラーだけだと寒いからコート出そうかな。なんて思いながら机の上のカバンから筆記用具を出そうとすると、人差し指にあのファイルが触れた。

奏くんの明里への想いがたくさん詰まった手紙がおさめられたあのファイル。

一気に心が重くなるのがわかった。


これのファイルは私の醜い心の表れ。私が消し去りたいのに消し去れない奏くんへの醜い恋心。

そして友人の想い人を好きになってしまった罰。


明里も奏くんのことが好きで、奏くんも明里が好き。両想いなのに私のせいで未だに結ばれない。

私が奏くんからの手紙を明里に渡さないから。

正直、奏くんが直接明里に告白すればいいのにと思わないでもないけど、告白するのが怖いのかもしれない。やっぱり悪いのは手紙を渡さない私なんだろう。


いつ渡そう。

怖くて先送りにしたくなってしまう。

そんなのは良くない。とりあえず決めよう。それから少しずつ奏くんを諦めよう。

そうだ、もし冬のオリエンテーションで明里と奏くんが同じチームになったらオリエンテーションの前日に手紙を明里に渡そう。その後すぐにクリスマスだからとても良いかもしれない。

そう決めたらほんの少しだけ心が楽になった気がする。

自分だけ楽になろうとするとは、我ながら驚くほど最低だ。

私が奏くんを好きにならなければ良かったのに。


「なんで、好きになっちゃったかなぁ」


言い訳がましい言葉が小さく、するりと口から滑っていった。


後ろ向きで複雑な恋心を目指してますが、中々難しいですね・・・

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