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第83話:凶報1

前の話のシリル隊とマガレ隊の番号が一部間違っていたのを修正しました。

だいぶ大変に間違えていました、失礼いたしました。

 おはようございます。暁改めアイラです

 グリム盆地での前線基地となるアンゼルス砦に到着した。

 本日より遊撃隊としての警戒任務に付く予定だ。

 ボクの所属する第三遊撃隊はマーガレット先輩を隊長としてユーリ、ナディア、エイラ、アイリスが仲間となる。

 身内びいきの偏った人事がだけど、ボクたちにはありがたいことだ。


 朝起きると、既にボクとアイリス以外起きていた。

 厳密には起きたというよりは、起こされたのだけれど。

「おはよう、アイラ」

 睡眠中突然に息苦しさを感じて驚いて眼を覚ましたボクは、大アップで愛しいユーリの顔を見ることになった。

(え、もしかしてだけどこんな人前で?)



「お姫様が、王子様のキスで目覚めたね。」

 マガレ先輩は楽しそうに言うけれど、愛の力とかじゃなくって100%息苦しさで眼を覚ましたからね?

 そして、ソレよりもだ。

 そもそも人前でキスするのは出会った頃からだから考えないとしても、寝起きの、まだ口を漱いでもないのにキスをするなんてあんまりだ。


(寝顔を見られた?人前でキスされた?寝てたから口臭うかも・・・・寝汗も、かいてるし・・・。)

「ひっく、ひっく・・・ふぇぇ・・・」

 恥ずかしいという感情が一気にこみ上げてきて、直前の苦しかったことや、寝起きの混乱も相まって泣き出してしまった。

 こういうときボクの理性はアイラという少女の体の反応に負けてしまう。

突然ボクが泣き出したため、ユーリもマガレ先輩も慌ててしまった。

「ちょっと・・・アイラ様?」

「アイラ?え、なんで!?」

自分がされたらうれしいことをしたのに・・・と混乱するユーリ

マガレ先輩はなんだろう?単に子どもが泣くのを見て慌てたのだろうか?

ボクより慌てている二人を見ると少しだけ頭が醒めてきた。


ベッドから飛び出し一番近かったエイラはお茶の用意をしていたから同じくメイド姿のナディアに飛び付いてエプロンに顔を押し付ける。

寝起きな上に泣いた後の顔なんてユーリに見られたくない

こんな思考になること自体ずいぶんとボクも少女(アイラ)になりきったものだと思う


ユーリはまだなにがミスだったのかわかっていないみたい

小さい頃はあんなにも主導権をにぎり、ボクよりもよっぽど乙女を理解していたのに。

彼が趣味だった女装をやめてもうすぐ6年たつのだから、それも当然なのかもしれない。

騒がしかったのかアイリスも眼を醒ましたらしい。

「アイラなんでないてるの・・・?ピピンにいじめられたの?」

なんて懐かしいを通り越して涙が出てきそうな言葉を寝ぼけた声で放ち、ナディアのエプロンに顔を埋めていて泣き顔は見えないはずのボクを後ろから抱き締めてきた。


ボクと同じ、寝起きの子ども体温が気持ちいい

でも今アイリスに慰められても惨めなばっかりで一度泣き止んだのにまた泣けてきた。

「もーアイリスやめてよ、慰めないでよ。」

 抱きつくアイリスを振りほどく様に腰を振ると楽しくなってきたらしいアイリスは

「キャッキャッ」と笑いながらより強くしがみついてくる。


そのうちみんな冷静になってきてボクが羞恥心を堪えて顔をあげた頃

「マスターが泣いていると聴いて!!」

と隣の部屋からトリエラが駆け込んできた。

「トリエラ、遅い!」

せっかく駆け付けたのに理不尽なボクの叱責を受けたトリエラは耳を垂れてションボリして座り込んでしまい、お陰でボクは幾分か自分のペースを取り戻せた。


「ユーリ、寝起きの女の子にキスしたらだめだよ!」

プンプン

「アイラはまだ寝てたよ?」

と、わかっていない抵抗をするユーリ


「そうじゃなくて、女の子はキスするのにも色々気にするの!」

匂いとか雰囲気とか・・・寝てるのに長いキスをされて息苦しかったし。

「アイラは寝てる時でも、甘くていい匂いだよ?」

乙女心に鈍くなってるのにそうやって核心をついてくるんだね。

「ユーリは男の子だから気にしないかもしれないけど!ムグッ・・・」

それでも文句を言っていると口で口を塞がれた。


(まだ口漱いでないままのに・・・。)

口の中をさんざんに撫で回されてから解放される。

 ボクを黙らせるときに口付けて口を塞ぐのは彼の悪いクセだ

「プハッ・・・ユーリィ・・・・」

恨みがましくユーリをにらむけれどユーリは涼しい顔


「うん、やっぱり気持ちいいしいい匂いで幸せになれるよ、アイラのこと大好きだからかな?アイラは僕とのキスはきらいかな?」

ムカムカとするけれど悔しいことにアイラの体はユーリに求められることを悦んでいる。

認めたくはないけれど。

「・・・ょ?」

できるだけぶっきらぼうに答える。


「アイラ、小さくて聞こえないよ?」

アイリスが最悪のアシストをした・・・。

「好きだよ!それに嬉しかったよ!でも恥ずかしいの!!」

仕方ないなあという顔で成り行きを見守るマガレ先輩やメイド達に囲まれて、ヤケクソ気味にボクは叫んだ。

たぶん顔真っ赤だね、あー恥ずかしい。

でもおかげで今日という日を緊張しすぎずに過ごせる程度には日常的になった。


それから軽食をとりいよいよ初任務・・・・。

「それでは、これより第三遊撃隊出撃します!」

「同じく、第四遊撃隊、出撃」

シリル先輩とマガレ先輩が隊長として出撃を宣言する。

 砦を出てすぐに第三は右手北側の森と岩山の方へ

 ボクたちは左手南側の小高くなった森の方へ散開した。


全員がマガレ先輩を中心に10m程度の半円に並び、周辺を警戒しながら進む。

マガレ先輩の斜め前左右にボクとユーリ、マガレ先輩の正面にアイリス、マガレ先輩の左右にエイラとナディアがついた

エイラとナディアはメイド術があるため来客を把握できるため一番外側にボクとユーリは反応が高いため一番重要なポジションに、アイリスは結界や障壁の強度が高く遠距離に強いものの近接戦に弱いためセンターになった


ボクたちの任務は盆地内ルルカ湖までの範囲で帝国が競り出てきていないかの確認と仮に出てきている時にこちらからは仕掛けず、攻撃を受けたら排除を行うことだ。

幸いにしてアイリスの結界魔法とメイド術の組み合わせは相性がよく守備と索敵に優れている。


夕方まで警戒を続けても帝国兵はかからなかったけれど、土地の魔物フォレストタイガーが1体とフォレストラットが4体、シカ角羽ウサギが2体かかった

これらはサテュロス大陸に広く分布するタイガー型、ラージラット型、羽ウサギ型の魔物の森林ユニークの繁殖型で、南西の森林地域ではすでに汎用型は滅び、森林型だけが繁栄している

フォレストラットはダイバーラットと元は同じラージラットなので毛皮がとれる、ダイバーラット程柔らかくないため雑巾代わりに使われることが多い、肉は臭みが強いため食用には適さない。

フォレストタイガーは地球で言うスミロドンの様な見た目の4m程もある肉食獣で、大森林の魔物としては最上位、深緑と黒の毛皮は森林での迷彩に優れ頑丈なので防具の外皮としてそこそこ需要がある他、頭部が貴族の趣味として飾られたり、骨が軽くて丈夫なため訓練用の鎧に使われたりする。

 シカ角羽ウサギは魔力を持つため分類こそ魔物だがおとなしくあまり人里にも現れない。

 森林性のものは頭部にシカの様な巨大な角を持ち土を掘って隠れて生活しているが、稀にその角で家畜や人を攻撃するので、見つけたら狩っておく。

 角は薬効があり痛み止めや鎮静剤として重宝され、肉は淡白な味だけれど柔らかめ、防寒具の材料になる。

 ラットは放置してタイガーとウサギは死体を持ち帰ることにした。


日が沈み切る前に軽く食事をとり、夜の哨戒を開始する、まあほぼ帰るだけだが、明日が帝国が指定してきた退去期限なので奇襲をするなら今夜仕掛けてくる可能性がある。

気を抜けない。


ボクたちと第ニ遊撃隊の交代には少しだけ被る時間がある

単に砦付近で情報を受け渡すだけの時間だけれど

それに合わせて進路を砦に向けた直後。


ドゴーン!と夜の空気をふるわせ後方から爆発音が鳴り響いた。

見ればシリル先輩たちが哨戒しているはずの王国(・・)軍右翼側の岩山から帝国(・・)の陣に向けて中規模の魔導砲が打ち込まれているところだった・・・・!

それを皮切りに、グリム盆地での夜戦が始まった。

次のお話区切りまで行ったとき一度、置き去りになっていた。

誤字脱字の修正に時間をとろうと思っています。

更新ペースが遅くなることが予想されますので、予め報告させていただきます。

それから、10月27日前後に更新が出来ない可能性がありますのであわせてお知らせさせていただきます。

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