表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/182

第79話:開戦

携帯の電池が切れそうなので半端ですが投稿します

こんにちは、暁改めアイラです。

その情報は初めラピスからボクに伝えられた。


「アイラちゃん先輩!」

ノックもせずに、魔法戦技兵課3年魔導特務兵コースのクラスに入ってきたラピス

ボクたちは、昼休み後いつまでもやってこないクラス教官ジェラドを待っていたのだけれど

現れたのは似ても似つかぬ美少女と美少メイド♂

ざわつく・・・・ことなく迎えるクラスメイトたち、学校の嵐の目たるボクがいるせいでこのクラスの友人たちは、アクシデント慣れしている。


「ラピス。やはりなにかありましたか?」

昨日ラピスの実家の早馬がきてたから、なにかあったのはたしかだけれど、それがこうも慌てる案件とは・・・・


「ハア・・・ハア・・・私今まで姉と、お城に行っていたんですが・・・ありがとうございます」

息も絶え絶えになるラピスに水を渡すエイラ


「アイラちゃん先輩!あぁ・・・いえその・・少しサロンで話しましょう。」

水を飲み周りを見渡し少し冷静になるラピス

みんなに聞かせられる話ではない様だ。


サロンにいくと、授業時間だからかほとんど学生はいない・・・

どうせだからと一人も人がいない監督生室にエイラとラピスを連れ込んだ。


「それで、なにがあったの?」

ボクが訪ねるとここにくるまでに完全に落ち着いたらしいラピスが淡々とした口調で語る。


「戦争が始まるらしいです。」

震えながらラピスが言う。300年以上は小競り合いくらいしかなかったはずだけど、今回はどちらかな?

「帝国がペイロードとの境界のフェムス間道に3000人を配置しているそうです。もう5日前の情報なので、もしかしたらもう始まっているかもしれません・・・・」


「フェムス間道に3000ですか・・・たしか試算では帝国の動員可能数は54000〜72000なので20分の1程度ですね」

フェムス間道にその数ならば、結構な数ではなかろうか?

気が利くエイラが地図を持ってくる。

フェムス間道より北は火山地帯ヘルワールなので小隊単位での運用しかできないため無視。

フェムスの南側は切り立ったツェラー渓谷、細い道のため出入りは限られ、国境の砦には1200人程度の常備兵と背後に8000人規模の町と自警団があるので一晩で突破されるということはなかろう

フェムス間道も関所があり、近くの4つの町にはそれぞれ500〜800人の兵隊がいる

森を開墾していた西側と違い北は山を挟んでいるので、国境線に兵隊を配備している 問題は西か・・・かなり広い範囲で森を挟んで帝国と接している。

もし帝国が本当に戦争するつもりならばば西側にメインの軍勢を差し向けるはずだ。

「北の王国の欺瞞工作ということはないのですよね?」


王国と帝国とは例のウェリントンの1件以外はこの300年小競り合いすら起こっていない

王国と帝国との間には北側は前述の火山地帯と渓谷、南側には散兵を扱うならともかく、行軍には向かない大森林地帯と湿地帯が広がっている。

あとは中央付近のグリム盆地だが、土地が低くなっているので行軍がわかり易く

交易路なのでお互いに盆地沿いの関所の壁がしっかりしていて、なおかつホーリーウッド市が近いので関所を越える前に大規模な兵を動員できる。

それゆえに一度開戦してしまえば大規模な消耗戦になってしまう。

それは王国にとっては他の三国への隙になるし、帝国からしても自分達の血を長し王国を仮に下したとしてもその後は他の三国に漁夫の利をさらわれることになるだろう。

故に国境線が平野続きの北の王国が攻めてくるならまだわかるが帝国が攻めてくるというのはあまり理に叶わないのだ。


「北側からフェムス間道の西に布陣するには火山地帯ヘルワールとその裾野に広がるヘルステップ砂漠を越えなければならないので中隊規模ならともかく3000は厳しいかと・・・。」

エイラがすぐさま北の工作の可能性を否定する

そもそも北は兵数自体少ない、穀倉地帯が広くなく、兵を養えないため早い段階から大陸外との商売に切り換えて、王国や東国とも戦わない姿勢でいる、それでもこの300年の間には2回小規模の動員を行っていて、他大陸からの魔鉄を王国に安く卸し続ける条件で四国程度の面積の荒れ地を開墾地として貸している状態だ。

最近ようやくこの土地がまともな穀倉地帯となったところなので、戦火に巻き込みたくはないだろうけれど、この土地を正式に譲渡させる目的での動員ならあるかもしれないと考えたが、そもそもそういう要求ならわざわざ帝国の動員に見せかけないよね。


ならば、本当に帝国との開戦か・・・?


5分ばかり話したあと、サリィから指示があったということで放課後に西サロンに集まる約束をして、教室に戻ったところ午後休校となっていた。

 ソニアやユーリたちも連れて再びサロンへ、午後休校となったのはおそらく開戦についての協議を行うためだ。

 教官たちは平時だからこそ教官をしているのであって、その大半は軍属なのだ。

 退役軍人や純粋な教職も居るけれどね。


 休校になったあと15分ほど経ってサロンにはいつものメンバーが集まっている、ボクがいるので、大体西のサロンで集まるクセがついてしまった。

 今この場にはコロネとフィレナを含むホーリーウッド邸組と察しの良い2年生4人組アナ、カルナ、ミリア、アミと1年のラピス、アイビスとそのメイド、それからユミナ先輩とフローネ先輩、シア先輩だ。


 ボクたち学生風情が何を話し合ったところで、情勢が動くわけではないが、これも勉強だ。

 この開戦が事実だとして、これからどう事態が動くかの推定と、戦況の推移を予測する。


 共通見解としては、仮に帝国の軍勢だとすれば、フェムス間道だけでなくホーリーウッド領との境界線全域で仕掛けてくるがほとんどが陽動でどこか一箇所が本命であろうこと。

 動員できる兵数とクラウディアへの道程を考えるなら第一候補はグリム盆地だけれど前述の通り消耗戦が予想されるため、次の案は・・・・。

「そもそも、北の王国と帝国の共同作戦の可能性はないでしょうか?」

 ザワッ

 ボクの言葉にざわつくサロン内のメンバー北とじゃなくっても南の協商や東の連邦でもよいのだ、とにかく帝国とそれ以外の国が連合を組んだ場合・・・コレが一番厄介だ。

 それでも今北と言ったのは、南と東は現在亜人種と協調路線をとっているからだ。

 西は完全な純血主義主導の国で、亜人のほとんどに家畜に近い扱いを行っている。

 北は一部の亜人を奴隷化している。

 ソレに対して南は共生、東に至っては一度ヴェンシン王国が領内の獣人を追い出し、その後に祖国の回復を掲げた獣人たちに破れ、獣人による国家ドライラントが建国され、更に旧ヴェンシン王国の残存勢力と同盟してドライセンという国家を建国しているので、実質亜人国だ。

 東国と帝国が結ぶことはおそらくない。

 ならばやはりありえるのは北だろう。


 でもまぁそもそもコレは本当に帝国が大規模動員を行った場合の話だ・・・。

 まだ王様からも教官方からもなにか 発表があったわけではないし・・・。

 その時サロンに一人の人物が入ってきた。

「サリィ姉様!」

「みなさん、大体集まっていますね、ラピス、皆を集めてくれてありがとう。つい1時間ほど前ホーリーウッドからも使者が着ましたので皆さんには私から説明させていただきに参りました。」


 聞かなくてもわかってしまった。

 サリィのその表情は深刻なものだ。

「結論から言えば、開戦は避けられないものです。帝国軍が北から順にフェムス間道に3000、ツェラー渓谷に1200、ヘドル山付近の山道に2200、グリム盆地周辺に19000、大森林地帯ならびに帝国側砂漠地帯に3600湿原に400程度の動員を行ったことを確認したそうです。」

 よくその広い範囲の情報が手に入ったものだね、それでボクたち学生はどうなるんだろうか?

 サリィは淡々と続ける。


「軍官学校生は通常の軍制に含まれないため、王都内で自己鍛錬に励むか、一度実家に帰るか、義勇兵としての参加をすることになります、また今回は帝国との開戦になりますので、慣例に従えば東候が・・・王国軍の派遣部隊の指揮をとることになります。」

 それはちょっとごめんこうむりたい、セルゲイを見る限り戦上手な連中とは思えない。


 この国の防衛戦の仕方はその相手国に面してる領地の守備隊と、王領から派遣される部隊による防衛だけれど、この王領から派遣される部隊は敵国の逆方向の侯爵領から指揮官を派遣する。

 これは手柄を立てる機会を均等化するという名目のもと、逆の地方まで従軍させるのは国力の疲弊に繋がるので、自領ではなく王国領地の兵を使うのだけれど。


「私から提案があります。アイラちゃんとユーリ君は西侯の軍に随行したほうがいかと思います。」

 ボクたちが軍に随行?

「サリィ姉様?ユーリはともかく、ボクは中央シュバリエールと西シュバリエールの幹部です、家のことで学校を空けてもいいのでしょうか?」

 ボクの問いかけにやさしく微笑んだサリィは

「アイラちゃんは責任感が強いので気にするかもしれませんが、ほとんどの学生には可能な限り帰宅を勧めるつもりですから、」

 と言って他の皆のほうに向き直る。


「聞いての通りです、皆さんも可能なら一時帰宅を、無理でも絶対に義勇兵には志願しないでください。」

 王族が義勇兵に志願するなという。

(なにか理由がありそうだ。)


「姫様、何故私たちに戦えと仰ってくれないのですか!?」

シア先輩がボクたちの声を代弁する。

皆が同じ目をしてサリィの返事を待つ

もたらされた答えはサリィの帰宅せよと言う言葉を信頼させしめる重たいものだった。


「東候より使者が来ました。此度の戦の東の指揮官はセルゲイに一任しマイク、使者として書状を持ってきた、タルコット・ブラックタイガーを補佐官として付ける。とのことです・・・・。」

ザワっとサロン内の空気が乱れる。

ラピスやアイビスたちはただ

「えーセルゲイー?」

「あの人の指揮なんて役にたたないよ」

なんてセルゲイの事を不安視している

しかし問題はそこじゃない。


「もう届いたんですか?」

ボクの言葉に騒いでいた子たちがピタリと動きを止める

「はい、もうです。」

早すぎる、昨日前線である北候から、今日西から早馬が来たのに、何故今日、真逆の東侯爵から指揮官を一任する書状が届くのか?

事前に帝国が兵を起こすとわかっていたから出せる書状だ。

つまり東は事態を察知しながら情報を国に渡さなかったか、はじめから帝国とグルかだ・・・。


「使者はなんと?」

サリィなら、これだけで会話は通じる。


「優秀な東の間諜を持ってすれば容易きこと、むしろ王家と西候北候の防諜に不安を覚えます、だそうです。」


息子一人まともに育てられてないくせによく言う・・・。

先入観かもしれないが東はなにか企んでいる様に思う。


「まあ、そういうわけですのでユーリ君とアイラちゃん、ユミナさんとラピスちゃん、アイビスちゃんとコロネちゃんは各領出身の子たちを纏めて一時帰宅をして欲しいの。一先ず今年度はこのまま休校する予定だそうです。」

頷きあう学友たち。


「それと、今回は東が怪しいので王領軍は3000のみとしました。帝国相手なら西だけでも兵数は勝っていますし、東に変に兵を持たせると怖いので・・・・ただ義勇兵があればセルゲイが指揮権をもつのが怖いですね・・・。」

方針が決まったため中央シュバリエールが所有する学生の情報を元にそれぞれの出身者に声をかけて学生の5割が自領に帰ることになった。

残るのはセルゲイが義勇兵になることを強要した東出身者と、王都に残る王領出身者たちだ。


コロネは南の監督生を担当しているが、南領には帰らず、ボクたちについてくるそうだ。

「コロネは、一生アイラちゃんについていくんですから、当然です!」

とのこと。


かわいいしうれしいけれど責任を感じてしまうね。

責任をとる必要があるときはユーリに頭を下げないといけないかもしれない。


こうして休校から2日目の朝、西の生徒を伴って、ボクたちは帰路に着くことになった。

近衛メイドたちは、エイラはボクのメイドとして随行し、屋敷メイド3人は別名あるまで屋敷を守るとのことだ。

アリエスは付いてきたがっていたが・・・。

さらに・・・


「はぁ!?ボクたちがサリィ姉様とシシィとキャロルさんとソフィを!?」

ジークからの依頼で5才になったばかりのシシィ、ヴェルガ皇太子の長男ハルベルトの正室のキャロル妃、2人の娘でまだ2才のソフィアリーナを西につれて行く様に頼まれた。



続きは夜に投稿できたらします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ