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第77話:予感

 こんにちは、暁改めアイラです。

 元日ノ本人のお友達が見つかりました。

 どうやらあの夜、なくなった人がコチラの世界に生まれ変わっている可能性がある様です。

 ガルムに食われて死体が一部でもコチラに来ていた子だけの可能性もありますが、歪みによって魂と呼べる様なものがコチラに紛れ込んだのならば、かつてのボクの両親も、紛れ込んでいるのかもしれない・・・、でもそうじゃないかもしれないので、とりあえず暫くは考えないことにしよう。


 そんなことより今は少し確かめないといけないことがある。

 ボクはサリィに仲介してもらい、ジークとの会見の予定を入れてもらった。


 放課後、サリィとともに馬車でお城に向かった。

「それにしても、珍しいですね。アイラちゃんから、陛下にお会いしたいだなんて。」

「ちょっと気になることがあって・・・。サリィ姉様にはいつも突然渡りをつけてもらってすみません。」

「いいんですよ、アイラちゃんは孫みたいなものだって仰っているので、陛下もお喜びになります。」

 サリィは穏やかな笑みを浮かべてボクをなでる。


「そんな、ボクなんて・・・サリィ姉様やシシィみたいなきれいなお孫さんがもう居るのに」

 サリィは年齢こそまだ少女の年齢だけれども体は成長しきっていて、身長157cm、バランスというものをコレでもかと追求した様な均整の取れた肉体美は人類が到達しうるひとつの完成形といっていいかもしれない。

 相変わらず腰まで伸ばしている茶髪はまっすぐで枝毛なんてきっと一本もない、何度が一緒にお風呂も入っているけれど、くすみもシミもない肌は滑らかで前世なら基礎化粧品のCMなんかに引っ張りだこになるだろう。

 まつげは多すぎず、適度に生えていて、下品にならない程度に長いし、ぷっくりとした唇はグロスも塗ってないのにつやつや輝いている。

 体はそのすべてにおいて太すぎず細すぎず、女性的なラインが同じ女性のボクから見ても思わず見ほれるほどきれい・・・・。

 胸もお尻も程よく盛り上がっているのに、腰とそこに至るくびれはおおよそ女になりきっているボクに男の心をとりもどさせる程度には魔性を秘めている。

 そしてそんな彼女は女王になるため、結婚はしないという。

 もったいことこのうえないけれど、仕方ないね。

 まぁ、ボクとユーリとの密約もあるので本人は納得してるみたいだし

 王権の独立性を保つのは大事なことだ。


 お城について直でいつものジークの部屋に、サリィと一緒にたどり着いたけれど、どうやらまだジークは着ていない様だった。

 サリィはボクにあわせて制服のままで一緒に居てくれる様だ。


 部屋にきてまだ数十秒ソファに座って、ジークを待っているとドアがガチャリと開いた。

 意外と早いな?っておもってドアのほうに眼をやると、ジークじゃなかった。

「わぁ・・・本当にアイラちゃんだぁ!」

「シシィ!」

 パタパタと駆け寄ってくる幼姫を膝でお迎えする。

 わぁ・・・もう結構ずっしりとくるね。

 少し見ない間にまた大きくなっている。


「こらシシィ、お客様の膝にいきなり座らないの」

 サリィは妹姫の粗相を叱るけれど。

「いいよ、シシィとボクは仲良しだし、ねー?」

「ねー」

 ただこの後鑑定関連の話をする予定なんだけれど、シシィがいて大丈夫かな?

 それにしても、学校でいつもちっちゃい子扱いだから、たまに小さい子と戯れるのは新鮮で癒される・・・。

「シシィは、今いくつになったかなぁ?」

 シシィに会うときはいつもこの話からはじめる。


「今シシィは4つだよー、はやくアイラちゃんに追いつきたいなー」

 うん、追いつくのは無理かな?身長なら可能かもだけど。

 膝の上のシシィを抱きすくめて戯れていると、ようやくジークが入ってきた。


「おーアイラ、待たせたのぅ、むシシィも居るのか。並んでると本当に姉妹みたいで和むのぅ、執務で疲れた心が癒されるわい。」

 そうだね、ボクもシシィを抱っこしてると、すさんだ心が癒されるよ、妹セラピー的な効果があるのかもしれない。


「シシィ、ゴメンね、ボクたちこれからお仕事の話するから、シシィは一回お部屋に帰っててね。」

 そういって膝からシシィを降ろす。

「えー、せっかくアイラちゃんシシィとあそびにきてくれたのに、おじいちゃんのバカァ」

 おぉう・・・ジークをストレートに罵倒するだなんてシシィは末恐ろしいなぁ・・・

「ジーク、子どものいうことなので・・・。」

「すまないなシシィ、後でもう一度アイラにシシィの部屋に行くようにしてもらうから許しておくれ。」

「やくそくだからね!?」

 いらぬ心配だった様だ、シシィはちょっとむくれていたけれど、部屋から出て行った。

 階段は危ないので、サリィもついていく。


「ソレで、アイラ?そなたがわざわざ余に会いにくるのじゃから、大事なことなのかの?」

 シシィが部屋を出て行った途端マジメなトーンになるジークに、ボクも声のトーンをひとつ落として、今回の主題を話す。

「短刀直入に尋ねます。南候の娘アイビスと、北候の娘ラピス、ついでにメイド?のヒアシンスについてです。」

「あぁヒアシンスか、アレも特殊じゃなぁせっかくの美少女ぶりなのに、まさか男じゃとは・・・」

 ジロリ

「あぁスマンスマンマジメな話じゃったな・・・・わかったからその怖い眼は止めてくれ。」


「入学時に鑑定してますよね?あの3人に何か特殊なスキルは発現していませんか?」

 眼をぱちくりするジーク。


「アイラ、そなたがいまさら他人のステータスを気にするのは意外じゃな。なにかあったのか?」

 しまった言い訳考えてなかった。

 んーてきとうに・・・。

「アイビスが私の妹分になるので、身内の得意不得意くらいは知っておこうかなって。」

 ちょっとよわいかな?

「ふむ・・・まぁいい、アイラは悪事は働かないだろうしな、必要なことなのだろう?」

 日々の行いの賜物か、ジークは3人のステータスを教えてくれる様だ。


「ちょっと待ってろ、入学時のステータス表がどこかにある・・・・。」

 そういって3枚のステータス表をジークが持ってきてくれた。

 ジークがステータス表をテーブルにおいたところで丁度サリィも戻ってきた。


「それはラピスちゃんたちの簡易ステータス表ですか?何か気になることでも?」

 たずねながら隣に座るサリィ

 ステータス表は以下の通り

 ラピス・ラズリ・フォン・ペイロード F11ヒト/

 生命268魔法48意思268筋力11器用26敏捷22反応38把握38抵抗41

 適性職業/魔術師

 技能/武器鑑定1 鉱物鑑定1 作法1   

 魔術/地魔法下級 火魔法下級 水魔法初級 風魔法初級

 特殊/硬体化 鉱物生成 愛2


 ヒアシンス・ナハト M11ヒト/

 生命388魔61意思368筋力27器用43敏捷61反応55把握32抵抗62

 適性職業/魔法戦士、結晶術士

 技能/剣術3 短剣術3 格闘術2 作法2

 魔術/光魔法下級 強化魔法初級 治癒魔法初級

 特殊/愛3 結晶魔術3


 アイビス・ウォーブラー・フォン・スザク F11ヒト/

 生命269魔法37意思78筋力9器用22敏捷18反応25把握28抵抗94

 適性職業/魔術師 治癒術士

 技能/観察眼4 作法3 

 魔術/治癒魔法下級 光魔法下級 火魔法下級 水魔法初級 

 特殊/再生魔法 共振魔法 蘇生 嫉妬1 


 残念ながらボクの読みは外れていた。

 日ノ本人ならばボクの『光弾』の様な見えないスキルがあるんじゃないかって・・・思ってたんだけれど。

 そういうわけでもないみたいだね。

「ありがとうございます、大丈夫でした。」

「ふむ・・・そうか・・・・アイラもあの二人が本当にスザクとペイロードの一族か確認したかったのだな。」

(・・・?)

「いえ、単にこれから稽古つけたりするかもしれないので、特性を知りたかっただけです。」


「まぁそう隠さずとも良い、見ての通りラピスもアイヴィもちゃんと侯爵家の娘じゃわい。」

「・・・・?」

 よくわからない何を言っているんだろう。

「なんじゃアイラ、ステータスを見て確認したかったのに、どれが侯爵家の能力かわからんのか。」

 あぁなるほど、ブリミールのときの様に家ごとの能力ってやつか。

 仕方ないのうといった感じで腕を組んだジークが偉そうにふんぞり返る

「ソレでは特別に国王たるこのジークハルトが・・・」

「アイラちゃんの所属しているホーリーウッド家が戦法(タクティカル)超反応(リアクト)強運(フォーチュン)という3つの能力を占有しているわ。」

 サリィがジークの言葉を割って入ってきた、ジークに対してドヤ顔している。


「同じ様にオケアノスには水棲(アクアティック)穿魔法(ペネトレイト)奪魔法(インターセプト)、ペイロード家には硬体化(プロテクション)地中移動(インザグラウンド)鉱物生成(ミネラルクリエイション)、そしてスザク家には再生魔法(リジェネレート)共振魔法(レゾナンス)蘇生(オートリバース)これらが各家の特殊遺伝する能力と考えられています。」

 なるほど、それに相当する能力が一個以上は含まれているね。

 つまり、この二人はこのステータスを見るだけでも、侯爵家の血縁だとほぼ断定できるってことだ。


「の、のぅサリィや、ワシもアイラに知識をひけらかしたかった。」

 しょんぼりした顔のジーク

「もしかしてココまでこなくても、サリィ姉様にきけばわかりましたか?3人の能力について」

 無駄足だったのかとたずねるボクにサリィはにこやかに微笑みながら。

「アイラちゃんがうっかりしてくれたおかげで、いつもよりちょっぴり大目にアイラちゃんを可愛がれたのと、シシィがアイラちゃんにあえて幸せそうでした。それには価値がありませんか?」

 ふむ、それは確かに何物にも代えがたい価値があるよね、美少女からのなでなでと美幼女へのなでなで、どちらも同じ重さの黄金ほどの価値がある・・・・たぶん。


「ジーク、ありがとうございました。ボクはサリィ姉様とシシィの部屋にいってから帰りますね。また気になることがあったら訊きに来ます。」

 お礼を言って部屋を後にしようとする。

「あ、あぁ、何か釈然としないが、仕方ないな帰りも城の馬車を使うんじゃぞ」

 結構ボクも王様(ジーク)のことをぞんざいに扱っているけれど、最初の日意外はいつもなかなかやさしいジークは、笑顔でボクを見送ってくれた。


 その後シシィの部屋に寄っていったため、帰宅したら6時半くらいになっていて。

「アイラ様、お城にいって遅くなるとは伺っておりましたが、メイドをお連れでない時は門限はお守りください。ユーリ様がご心配なされます。」

 と、 先に帰らせていたエイラに少しお小言を貰ってしまった。

日ノ本人の転生者なら『日ノ本語』で書かれた能力がある、という予感がしたけれど外した様です。

3人は一般の子どもだったので、アイラさん残念。

ヒアシンスは1月3日生まれで一足先に12歳になっています。

外伝を少しだけ更新しています。

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