表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/182

第75話:近況報告

 おはようございます、暁改めアイラです。

 春に初めてユーリを誘惑してみましたが、不発でした。

 結構恥ずかしいのも我慢しての誘惑だったのだけれど、彼が後悔する選択をしなくて良かったと思う。


 アレから暫く経って、ユーリも無事13歳になった。

 人数の減った東シュバリエールは割りとおとなしいものの、荒れているセルゲイがよく東シュバリエール内で諍いを起こしている様だ。

 彼にはもう側近といえるものがマイク・カッツォとメイドのマリカ・サバリオンくらいしかおらず、そのマリカもそもそも家を良くわからない罪状で東家に潰されセルゲイの奴隷の様な状態でメイドとしてつけられただけの、簒奪候の被害者だということがわかっているし、マイクに関してはまぁただガタイが良いだけの脳筋、しかも臆病者なので恐れることはない。


 そんな中穏健派と被害者組が手を組んでセルゲイとマイク達の追い出しを画策し、ソレを察知したセルゲイ側が、穏健派と被害者組、コレに協力した元過激派に対し

「主家であるオケアノス家に逆らうのだ!貴様ら東に帰れる家があると思うな!!」

 と発言をし、後日彼らの実家から退校手続き書類と縁切り状が大量に届いた。

 十中八九簒奪候家経由での圧力だけれども、能足りんのセルゲイはコレで生徒たちが泣きつくと思っていたのかもしれない。

 が、実際にはほとんどの縁切り状に東の横暴に耐える生活より王領や、他の侯爵領で裸一貫からでも幸せになってほしいという内容の言葉が暗に沿えてあり、彼らは東に戻れないことに涙しながらもセルゲイに対して膝を折ることなく学校を去ろうとした。


 それは良くないと引きとめたのがジークだ。

 サリィから話を聞いたのだろう、学校に現れたジークは学校近くに所有している隠れ家のひとつを開放し、今回の事件で退校手続きを踏んでいる学生たちを住まわせ、王領民として扱うことを宣言した、

 今回過激派から寝返ったモノたちはそもそも過激派ではあるが良識を残したものたちで、脅迫や暴力ではなく、取り合えず数を増やすための呼び込みをしていただけの者2名、彼らは4シュバリエールに所属することは禁止され、王の庇護の下で学校に通い、卒業後2年間は王領で下級官吏として働くことを義務付けられた。

 これは罰ではなく措置だね、東から守り、学校も卒業したほうがちゃんと就職できるし

 軍官学校は軍人の育成がメインだけれども、ちゃんと文官としての授業も含まれているので帰る家を失った彼らもココを卒業していれば、そうそう食い扶持に困ることはない。


 また『陛下はおそらく卒業後に彼らを東に出張させるなどして、里帰りや、荷物の回収もさせることを考えているでしょう』とはサリィの言葉だ。

 ジークは好色ではあるけれど、立派な王様なのだ。


 コレによってとうとう東シュバリエールは正式には加入していないセルゲイを含めても、過激派7名とマグナス先輩を残すだけになり、21人の身柄はジークの隠れ家に移された。

 その内訳は女子17人に男子4人と大分男女比率が偏っているけれど、これは、彼らがか弱い女子を中心に毒牙にかけていたことの証左でもある。

 マグナス先輩は最後まで東に残ることを選んだ。

 彼の目的は、少しでもまともな人間を東の官吏としていくことで、少しずつ東の現状を変えようというものだ。

 その目標を掲げた彼が、途中で抜けるわけにはいかなかったのだろう。


 この事件の際ついでにボクの中央シュバリエール改編についてジークにお伺いを立てて、承認されたので、ジーク、学長、4シュバリエールの監督生であるマグナス先輩、フローネ先輩、コロネ、レオンハルト、中央シュバリエールの代表者であるボクの署名により承認された。

 マグナス先輩は過激派たちによって東の監督生を降ろされたものの、学園側では監督生として届出され把握しているのはマグナス先輩なのでいかにマイク達が何もやってこなかったかが良くわかるけれど、おかげでやりやすかった。


 5月に入った。

 勢力を失った東連中は静かなものだ。

 それでも多忙を極めるボクは今中央シュバリエールに与えれた執務室で、引継ぎのための支度をしている。

 今年の大水練大会で、来年度の中央シュバリエールの監督生も決めるのでその準備だ。

 ボクはそのカリスマを存分に発揮していて、全校から圧倒的な支持を得ている様だから、来年もボクが務めることになりそうなので、そうなったら無駄な作業なのだけれどね。

 1年生たちからも3月の半ばまでには概ねアイラちゃん先輩と呼ばれる様になっていたけれど、水練の授業が始まってからは更に顕著だ。

 初経を終えたボクは昨年、一昨年と比べると若干大人びた水着を選んで、ちょっとはキレイと思われたかったけれど、やっぱり『かわいい』がボクへの評価。

 背丈がなぁ・・・小柄なユーリでも先日150cmを超えたというのに・・・このままでは20cm離されてしまう・・・今はちょっと背伸びしたらキスできるけれど、これ以上離れると正直辛いものがある。


 それに、年末にはユーリと結婚するというのに、今のままでは『かわいい花嫁さん』さんのままだ。

 子どものときはソレが理想でも良かったけれども、年頃になったボクとしてはやっぱり『キレイな花嫁さん』になりたいと思っている。

 コレもアイラの成長とともに染み付いた乙女心というものかもしれないけれど、ふと暁的思考に立ち返ったときに、少し不安にもなる。

(最近、神楽のことをあまり思い出さなくなってしまった。)


 無論今でも神楽のことは気にかかっているし、いつか朱鷺見台にたどり着けるなら、ボクはボクのことを伝えて、神楽がその後どうなったかを確かめたいと思っている。

 でも以前ならば、ユーリを抱きしめたときや、アイリスをなでたときなんかに幻視していた神楽の面影を見なくなった。

 ボクはアイラとして幸せになるにつれて、前世のことを重要視しなくなっている気がする。

(仕方のないことなのかもしれない、薄情かもしれないけれど、今のボクはアイラだから、暁ではないのだから、今頃ボクが暁だ!って名乗り出たとしても、神楽はもう誰か他の人と結婚しているかもしれない。・・・そうだ、もしもコチラとアチラの時の流れが同じならば、今頃神楽はもう20歳になる)

「・・・カグラ」

 中央シュバリエールのために新たに用意された執務室の中には現在ラピスとアミ、エイラしか居ないけれどなんとなく神楽の名をつぶやいた。


 日ノ本語を喋っても、誰も気にも留めない、ただ独り言で音声入力魔法の発動語でも考えているんだろう、位にしか思われないはずだったのに。

「アイラ【ちゃん先輩、今なんて仰いました?】」

「んー?ちょっと独り言だよ。強化魔法の発動語新しく1個決めたいなって。」

 ボクの一人言を気にしたラピスの問いかけに、ボクは普通に受け答えしてしまった。


「アイラ【ちゃん先輩、オレの言うことがわかってるんですね?】」

(!?)

 ボーっとしていて気付かなかった。

 ラピスが日ノ本語でボクに語りかけていた。


お話をちょこちょこ進めていきます。

携帯の電池が切れそうなので、ちょっと短いですが投稿します。

今日は帰宅後コレと同じくらい短いのを、もうひとつ投稿する予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ