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第64話:大水練大会3日目の昼休み

 こんにちは、暁改めアイラです。

 とりあえず無事に本戦1回戦が終了しました。

 なんとボクたちホーリーウッド組は3人とも2回戦に進むことができました。

 メロウドさんにもきっと褒めていただけるでしょう。

 今日はこの後お昼を食べて、2回戦に望む予定です。


 サーニャやソニアたちと別れて一旦、魔砲兵課の外まで来たボクたち3人は、そこに彼女は居た。

 落ち着いた雰囲気の14~15の女性だ。

 コロネ先輩と同じ様なチョコレート色の髪をしていて、同じ様に耳横で髪が巻いている。

 というか、よく似ているけれど・・・?

「コロネ様!ご無事でしたか!?」


 コロネ先輩に気づいた女性はこちらに走ってきた。

「フィレナ!」

 駆け出したコロネ先輩はフィレナさんに抱きついた。

 うんどう見ても姉妹みたいだね

 瓜二つだよ。


「コロネ様、斬られたところは・・・あぁ良かった傷は残ってないみたいですね。水着は・・・今夜つくろっておきますね、それでお二方は・・・?あぁお一人は本戦に出場されてましたね、アイラ様とおっしゃいましたか?」

「覚えていただいていて光栄です、アイラ・ウェリントンです。ヴェルガ皇太子殿下からの依頼によりお二人を一旦ホーリーウッド家で保護いたします」

 ひとまず淡々と事実だけ告げる。


「皇太子様!?西安候家!?」

 錯乱した様子のフィレナさんはしかしすぐ落ち着きを取り戻す。

「自己紹介もせず失礼いたしました。私はコロネ様に使える御側メイドのフィレナ・プラリネです。詳しいお話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 ボクは自分が遭遇した現場について話し、コロネはそれ以前からのセルゲイとグレゴリオの恫喝について語った。


「ソレは許しがたいですね!」

 フィレナさんは激怒した。

「必ず、かの邪智暴虐の輩を除かなければならぬと決意しました。」

「フィレナさん落ち着いて。」

 相手は仮にも王族なのだから。


「フィレナ、コロネ無事だったから、ソレにアイラ様に出会えたから、フィレナは無茶しないでいいんだからね?」

 ボクの名前を呼ぶあたりでちょっと顔を赤らめるコロネ先輩。


「アイラ様、コロネ様は見てわかるかと思いますが私の異母妹です。わたくしは、妾の子ですが、コロネ様が生まれたときに世話役としてスワンレイク家に入りました。ソレからコレまでコロネ様の純真無垢なお心を失うことの無いように粉骨砕身してきたのでございます。それを・・・・」

 ソレまでのコロネ先輩を愛おしく思うばかりの姉兼メイドの表情から、一瞬で修羅の表情になった。

(この人たぶん強い!怖い!)

「あの下種共・・・生まれついた血を盾にしてかわいいコロネ様に・・・必ず後悔させてくれる・・・」

「フィレナ、怖い顔しないで?コロネいつものやさしいフィレナが大好きだよ?」


 不安そうな顔でフィレナを見上げるコロネ先輩、コレは確かにかわいい。

 ハッとした表情のフィレナはコロネ先輩をヒシと抱きしめた。

「あぁ・・・コロネ様がご無事でよかった・・・。ですが、由々しき事態です、まさかコロネ様のファーストキッスが女の子のアイラ様になってしまうだなんて。コロネ様はアイラ様のことはいかが考えておられますか?」


「ふぇ!?えっと・・・えっと・・・かわいくて、格好良くて・・・・大好き・・だょ?」

 やや尻すぼみに照れながらボクへの想いを語るコロネ先輩、ちょっとガチっぽくて怖いんだよね。

「それは・・・け、結婚したい・・・ほどですか?」

 結婚って・・・フィレナさん、女の子どうしですよ?そんなこと・・・。

「女の子同士だから結婚は・・・出来ないけど、コロネはアイラ様と一緒に居たいです。」


「エッと、ボク婚約者居ますし、今から二人を保護するのも婚約者の家なので・・・。」

 ちょっと二人の視線が怖いね?

「アイラ様、そろそろ移動いたしませんか?皆さん待たれているかと。」

 渡りに船だ!エイラは本当に出来たメイドだね。

「では、とりあえず、移動しましょうか、フィレナさんには道を覚えていただいて、寮にあるコロネ先輩の持ち物を移動してもらわないといけないので、しっかり覚えてくださいね。」

 そういって話を打ち切った。



 校門に着くと、既にユーリたちが待っていた。

 っていうかサリィが居るんだけど?

 こんな目立つところにユーリとサリィが一緒に居たらまた例の噂が助長されてしまうのでは?

 いや、サリィのことだからソレも未来のための布石なのかもしれない。

 気にしないで置こう。

(ユーリの正妻はこのボクなのだから・・・。)


「ユーリ!と、何でサリィ姉様が?」

「アイラちゃん、無事に合流できたみたいですね。」

 サリィがボクと後ろのコロネとフィレナをみてホっとした表情を浮かべる。

「アイラ、一回戦勝利おめでとう、ボクは見られなかったけれど、とてもすばらしい試合だったって聞いてる。アイラはボクの試合見てくれたんだよね?どうだったかな?」

 ユーリはまだ濡れたままで鎖骨のラインが透けていてとてもセクシーだ。

 人前だけどいいかな?いいよね?


「ユーリ!」

 ぱっと駆け出してユーリに飛びつくボクも水着だし、水に濡れて気にすることなんてない。

 肺いっぱいにユーリの汗の混じった匂いを吸い込む。

 ユーリははしたなく飛びついたボクを抱き返しながら微笑んでくれる。

「すっごく格好良かったよ!水の中なのにぜんぜん動きが邪魔されてなかった!アレ何?あんなのボク知らないよ?」

 愛する婚約者の勇姿に興奮したボクは捲くし立てる様に問いかける。


「アレは水の抵抗を減らす魔法を試してみたんだ。えっと後ろの二人が例の?」

「あぁ、うんコロネ先輩と、メイドのフィレナ先輩、サリィ姉様から聞いてると思うけれど・・・大丈夫そう?」

「大丈夫だよ、部屋はまだ余ってるし、ヴェル様やハルト様からも頼まれたから。」 

 ユーリは考える時間もなく即答した。


 それからみんなで自己紹介しあいつつ屋敷にもどると昨日までと同様庭に迫り出したテラス席にランチが用意されている最中だった。

「ただいまー、ちょっと3人増えてるけど大丈夫そう?」

 ユーリが室内に問いかけると中から

「はーい、大丈夫ですよー」とアリエスが応える。


 適当な席に着き談笑しながら料理を待っているとアリーシャとエリナが料理を運んできた。

 それにしてもこの集団何気なくすごいね16人しか居ない本戦出場者のうち4人が集まっているなんて。

 勝ち抜いている3人について話盛り上がる中で、アリエスが追加の料理をもって屋敷からでてきた。

 その瞬間!

「ヒァアア!!アリエスお姉様!?」

「へ?アリエス様!!」

 コロネ先輩とフィレナが黄色お悲鳴を上げた。

「きゃー!サーリア様!!」

 逆にアリエスはなぜかランチを食べているサリィに驚いている。


 話を聞くと、アリエスは昨年の卒業生で上位入賞常連の一人だったため有名。

 尚且つ本人が全校の妹達の姉を自称していたため年少の女子生徒から慕われていたのだという。

 思わぬアリエスの人気にちょっと驚きながらも、昼食は進み、コロネ先輩たちがこれから一緒に住むことを説明した。


 ランチは美味しいけれどボクはあんまり食べるとすぐおなかがぽっこりしてしまうし、動きも悪くなるのでたくさん食べられない、逆にもう試合がないコロネ先輩はあまり気にしないのか美味しそうにたくさん食べているけれど、一向におなかがぽっこりしてくる気配がない。

「あの・・先輩、そんなに食べて大丈夫ですか?水着だから体のラインめだっちゃいますよ?」

「はい!コロネ、おなかいっぱい食べてもおなかでないんですよ」

 ボクの問いかけにニコニコ顔で応えるコロネ先輩

(憎い!でもかわいい!)

 悪気があるわけじゃなくどこまでも純真なコロネ先輩にちょっと毒気を抜かれた。


 さてお昼ご飯も終わったし、コロネ先輩は一旦お別れして、アリエス、アリーシャ、エリナ、フィレナ(同じ屋敷に住めメイドなので呼び捨てにすることにした。)とともに寮から荷物の運び出しをすることになった。

 メイド3人が着くのは護衛をかねてのことだ。


 競技場の入り口で、他のみんなと分かれてボクの控え室に戻るとまだ時間まで10分ちょっとある。

(うん、今のうちにトイレにいって置こう・・・。)

 水着姿でエイラたちと一緒だとお手伝いします!って一緒に個室についてきちゃうしね。

 そんなに溜っている感じはないけれど、早め早めにいっておかないとアイラの体はすぐに限界になっちゃうからねぇ・・・


 トイレについて一息。

「ふぅ・・・。なんだかんだで人ってなれるものだよねぇ。」

 もう水着でも用を足すのに手間取ったりはしない。

 軽く拭いてから水を流す。

 そしてドアを開けようとして・・・・?

(あかない!?)

 グッと力をこめてドアを引こうとするが、もっと強い力で引っ張られている様でドアは開かない・・・。


 探ると人の気配が2つある。閉じ込めたつもりなのかな?

「あのーどなたか知りませんけど、悪戯は止めましょうよー?」

 声は聞こえてこない。

「えっとドアの向こうに人が居るなら避けてくださいね!死んでも知りませんから。」

 そう告げると僅かに慌てた気配があるのでもう一度ドアを引いてみるけれど、まだ抑えているみたいだね、開かない。

 仕方がないのでボクはその場でドアを風系衝撃波の魔法で破壊した。

 すると当然のようにドアごと吹き飛んでアチラ側の二人も一気に壁に激突した。

「うわぁドアが!」

「クソチビ、トイレの中なのに魔法使いやがった!」


 男の子2人の声だ。

(失礼な!ボクが大きい方してたみたいじゃないか!!)

 それに・・・トイレの個室の中じゃ魔法が使えないってどれだけ制御下手なやつの理論だよ。

 あとここ女子トイレなんだけど、君たちよく平気で入れたね。

 ていうか・・・もしかして君たちボクのする・・音聞いてたのかな・・・?


「万死に値する!!」

 ドアを握ったまま倒れこんでいる男子二人ってかこいつらグレゴリオの取り巻きじゃないか?

 まぁいい、とりあえず逃げられない様にしてっと・・・。

 ガタイのいい見た目17~8歳の男の右足の親指と左足のふくらはぎ辺りを無造作に風の魔法で切断する。


「ぎゃああああああ!!」

 その程度でピーピー喚くな、さっき君たちはもっとひどいことをコロネ先輩にしようとしてたんだから。

 もう一人のドアの下敷きになっているやつは・・・こっちはなんかひょろいけどそれでも17歳くらいに見えるね同じくらいでいいや。

 適当に強化したパンチで両膝を砕いておく。

「あああああああぁあああ!!」

 まぁこれくらいなら中級治癒魔法で直るはずだしね。


 その上で軽く水着をずらして・・・っと。

「イヤアァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 帛を裂く様な悲鳴を上げて泣きながらトイレの外に逃げ出すと近くにいたらしい教官や生徒たちが何事かと駆けつける。

「なんだ、どうしたんだ!」

「女の子の悲鳴だぞ。」

「あれ本戦出場中の子じゃないの!?」

「着衣の乱れがエロい!!」

 コレだけ人が近くに居たのによく忍び込めたねあいつら。

 最後のやつちょっと目の付け所がやばいね?


 10名ばかりの野次馬が集まったのでその中で一番包容力のありそうな女性の先輩にしがみつく、包容力って言うか胸囲だけど。

「試合の前におしっこしてたら男の子が入ってきて!!スン・・・エッグ・・・。」

 全部は言わない、うそつきにはなりたくないからね。

 あとは善意の民衆に任せよう、ボクは次の試合があるからね。


「なんですって!」

「そこのトイレだぞ!!かこめかこめ!!」

 殺気だった人達が既に歩くことも出来ない下手人たちを取り調べてくれるだろう。

 状況がアレなので本当のことも言えないし言っても信じてもらえないし。

 せいぜいコロネ先輩へ何をしようとしたのかよく考えて反省するといいよ。


 しかし本当にトイレに事件の神様でも住んでるんじゃないかな?

 トイレに行くと事件起きるんだけど。

トイレにはいろんな神様が居るのかもしれないですね。

病院で貰った薬を処方の通りに飲んでいるのに悪化していく風邪・・・解せぬ。

続きはまた明日。

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