第63:大水練大会本戦1回戦終了
こんにちは、暁改めアイラです。
大水練大会本戦1回戦は7試合目までを消化しました。
次の第8試合が終わるとお昼の時間となりますが、そんなことよりユーリの出番だ。
昨日の夜も結構いちゃいちゃしたし、今朝だって朝から軽くいちゃいちゃしたのに。
もう暫くあってなかったんじゃないかっていうくらい、恋焦がれている。
コレが女の子側の恋愛感情のあり方なのかもしれない、いつ出てくるかわからない愛しい人、いつ帰ってくるかわからない大切な人、ソレを待つ側の感情。
コレが乙女心だというのなら確かに神楽がアレだけボクにスキンシップを求めてきたのもわかるね。
待ちに待ったときが来たね!
「ソレでは第1回戦最終試合の準備が出来たようです!入場していただきましょう!東のコーナーより、東シュバリエール来年度の監督生、17歳2年生魔法戦技兵課首席!ギガス・マグナス選手!」
名前を呼ばれた途端東側の投入口のひとつから巨大な筋肉の塊が水に飛び込んだ。
その質量ゆえか勢いゆえか、飛び込んだ際の水柱は4m近い高さだ。
ボクの席からあそこまで100mはあるのに、なんて暑苦しさだろう。
それでも人気があるほうなのか観客席からは、歓声が上がる。
「ステータス表を読みます、生命1480魔法86意思176筋力48器用8敏捷60反応60把握60抵抗60・・・な、なんという不器用、他がなまじ高すぎるだけに、器用値の低さが大変目立ちます。そしてどういうわけか広範が60揃いです。なんて器用な真似をするのでしょうか!器用8なのに!!この高い耐久度は本大会ではあまり生かすことも出来ませんが、一体どんな戦いをみせてくれるのか!!」
歓声に応えて手を振るマグナス先輩は実に暑苦しい笑顔で、別に嫌いじゃないけれど、近くには行きたくないね。
「コロネはマグナス先輩ちょっと嫌いです。」
おやコロネ先輩は人懐こい方だと思ったけれど、悪い人じゃなくっても嫌いとかあるんだね?
「マグナス先輩は暑苦しくて不器用ですけれど、お優しい方ですよ?」
「あの人がもっとしっかりしてれば、東の人達やグレゴリオ王子はコロネにちょっかいかけてこなかったはずですもん」
あぁ、東のセルゲイが結構むちゃくちゃやってるんだっけ?具体的にはどういうものか知らないけれど。
コロネ先輩の表情を見るに結構イヤガラセみたいなこともされたのかもしれない。
「コロネ先輩、これからは南のシュバリエールだけじゃなくって、ボクたちも先輩の側にいますから。」
出会ってまだ数時間だけれど、コロネ先輩はボクのことを信頼してくれている、そんな純粋な子だからこそボクのほうも彼女のことを受け入れられる、こんな可愛らしい子を・・・
(安心させてあげたい、笑っていて欲しい。)
「見ていてください、今からボクたちの屋敷の主人がマグナス先輩と戦います。」
きっと勝ってくれる、ユーリがあのマグナス先輩に勝てば、コロネ先輩のなかの東シュバリエールへの恐怖も少しは薄れるのではないだろうか?
「続きまして、西のコーナーからは剣士課1年未来の西安候!ユークリッド・カミオン・フォン・ホーリーウッド様の入場だぁぁああああ!」
そしてユーリが西の投入口から水の中に入ると割れんばかりの歓声が場内に響き渡る。
「え!あの子がユークリッド様だったの!?」
「なんてお綺麗なの・・・?お姫様みたい!」
「サーリア様と子どもが出来たらそれはお美しい御子が生まれるでしょうね。」
「やべぇ!アレが男だったら、女子の半分以上は本当は男かもしれない・・・。」
「ユークリッドさまぁ!この間はありがとうございましたぁああ」
一部は聞こえたけれど、やっぱりまだサリィとの婚約を信じてる人はいるんだね。
そして、きれいでしょ?かわいいでしょ?ボクの婚約者なんですよ?
ボクよりきれいな気がするので最近ちょっと不安なんです。
ボクちゃんとかわいいかな?ボクのときはこんなに歓声がなかった気もするけれど。
ユーリもお嫁さんより自分のほうがキレイなんていやだよね?
「アイラ様は心配なさらずともかわいらしいです。ユーリ様もお館様がたもみんな、アイラ様の可愛らしさにメロメロですよ?」
ナディアが何かを察して先に伝えてくれた。
「か、可憐だ・・・コホン失礼しました。まだ11歳になったばかりのユークリッド選手ですが、現在1年の剣士課における首席で、来年度は魔法戦技兵課への編入を希望されていらっしゃるそうです。ステータスも入学時のものが届いております。生命368魔法42意思745筋力20器用98敏捷98反応172把握68抵抗91・・・・第1試合のアイラ選手、第5試合のエレノア選手もそうでしたが、今年の1年生は何かがおかしいです。ステータスが入学年度のステータスとは思えません!使う武器はまだ小さな体には不釣り合いな大型のブロードソードですが、魔法戦技兵課の首席相手にどのような戦闘をみせてくれるのか!非常に気になるところです!両者定位置についた様なので、はじめさせていただきたいと思います。」
教官が手を上げ開始の合図を出すとマグナス先輩は、目くらましなのか数発の魔力弾をユーリの方向に向かって放ったが3つとも大きな水柱をあげただけでユーリからは遠いところに着弾した。
「まずはマグナス選手の牽制。非常に大きな水しぶきがあがりました。ユークリッド様はなにか魔法を唱えている様です。っとマグナス選手突っ込んだ!速い、とてもあの体格の人間が水中で出せるスピードだとは思えません!!」
マグナス先輩は水に潜った状態になるとまるで魚雷の様に直線的に移動し始めた、そして急に体を起こして水面を手で叩くと、7mは跳んだね?
頭上から急襲するマグナス先輩、ユーリは?
強化魔法を掛け終えたのかユーリはコレもやはり水中とは思えないスピードで走り出した。
水の抵抗をまるで感じさせない動きだ。
魔力強化を施した両拳で殴りかかるマグナス先輩を重く取り回し難いはずの大剣一本で防ぎきる。
マグナス先輩の急襲を防ぎきったユーリは地上となんら遜色ないすばやい動きで一旦マグナス先輩から離れて、すぐに踵を返して今度は自分から打ちかかった。
「疾い!ユークリッド様とても水中とは思えないすばやい動きでマグナス選手にヒットアンドアウェイを仕掛けます。コレにはさしもの、マグナス選手も対応で手一杯の模様。両腕は武器として判定されているマグナス選手ですが、コレは防ぎきるのは厳しいか!?」
それでもマグナス先輩の火力も高いのがわかる。
なにせ二人の剣と拳がぶつかりあうたびに空気がビリビリと振動して、水面も乱れている。
遅れてくる衝撃波がボクの頬をなでる。
ユーリのヒットアンドアウェイは2分ほども続き、打ち合いは100合を優に超えただろう。
いつまでも続くかに思えた打ち合いは唐突に終りを告げた。
「ぐぬぅうう!!」
「ぎゃあああコレは痛い・・・あーっ救護班早くいってあげてー!!」
ユーリの打ち込んだ剣がマグナス先輩のソフトボールくらいある拳を手首の辺りまで真っ二つに引き裂いた、魔力強化の量がマグナス先輩のソレを上回った様だ。
「約3分の激闘を制したのは、未来の西安侯、ユークリッド様でしたぁ。皆さん若き英雄に拍手を!」
わぁぁああああと歓声が上がりみながユーリの雄姿を褒め称える。
マグナス先輩の両腕は武器判定だけど、傷つけられれば一打判定されるということか。
にしてもユーリよくとめたね、あの勢いだとボクなら肩まで切断してしまうところだ。
「またマグナス選手も見ごたえのあるパワーファイトを見せてくださいました、こちらにも惜しみない拍手を!」
ふたたび歓声が上がり勝者敗者の別なくその勇猛を褒め称える。
「ふぁあぁぁあ・・・ユークリッド様格好良かったですソレに、すっごくキレイな男の子・・・えぇ!?男の子と同居するんですかぁ?・・・ヒァ・・・ちょっと緊張します・・・。」
コロネ先輩はころころと表情が変わる、かわいい。
でもね?
「安心してくださいユーリは紳士ですから、同意の相手にしか手は出しませんよ?」
もっといえばボクが一番最初になる予定だから、それまではすべての女性が安全だ。
「手を出す・・?ってなんでしょうか?」
え?
「先輩は何でユーリとの同居に緊張しているのですか?」
恐る恐る訊いてみる。
「え・・・だって・・・寝起きの寝ぼけた顔とか、お風呂入った後にネグリジェ姿とか男の子に見られたら、コロネ恥ずかしい・・・」
衝撃的な言葉だった。
「そうですよね!よく知らない男の子に、油断したところ見られるのなんて恥ずかしいですよね!ボクとしたことが配慮がたりなかった様です。コロネ先輩が安心して生活できるように配慮しますね。」
なんたることか、ボクはユーリとの関係に慣れすぎて一般的な乙女の恥ずかしいポイントと大きく乖離していたことに気付かなかった。
そうだ普通女の子は男の子に寝巻き姿や寝顔を見られるのは恥ずかしいものだ。
6歳前からずっと一緒にいて、ずっと婚約者だったから、あいまいになっていた。
もっといえばユーリの顔立ちが女の子みたいなところも影響しているかもしれない。
ちょっと気をつけよう。
さて第8試合も終わったのでお昼の時間だ。
昨日一昨日と同様お昼は1時間半くらい取られていて、家が近所なら家で摂ってきても良いことになっている。
ボクたちは家が近いので、一度帰って摂ることにしている。
朝下拵えはしてあるので観戦に来ていたアリエスが一足先に帰って今頃用意をしてくれているはずだ。
今日からはコロネ先輩も一緒にしないといけないし、先輩のメイドと合流してから、うちに向かうから・・・
「コロネ先輩のメイドとはどこかで 待ち合わせしてますか?」
ボクの腕に頬ずりするコロネ先輩に尋ねる
「はい!フィレナとは試合の後お昼まで合流できなかったら魔砲兵課側の出入り口で会いましょうって伝えてあります。」
「じゃあそちらにいって合流してからうちに向かいましょう、サーニャ、リスティは今日も遊びにきてくださいますか?」
大水練大会期間中、サーニャたちは昨日一昨日とうちで食事を取っている。
アリエスの料理は美味しいと評判がいい。
「招いていただけるなら喜んで」
「アイラのいえ、ごはんおいしい、すき。」
リスティはいつの間にか目を覚ましている、ご飯の気配を感じ取ったのだろうか。
「知らない、子がいる。」
リスティはコロネをみて不思議そうな顔をしている。
「あぁ今日からアイラ様にお世話になることになりました、2年のコロネですよろしくお願いしますね、リスティさん」
にこやかに挨拶するコロネ。
訊いてなったのは目を開けたまま寝てたリスティだというのに、いやな顔ひとつせずに・・・いい子だ。
「それじゃあリスティとサーニャは先に二人でうちに向かってて、ボクとコロネ先輩、それにエイラでコロネ先輩のメイドを迎えにいくから、ソニアとナディアはユーリやアイリスと先に合流して校門で待ってて。」
ボクたちはみんなで美味しいお昼を食べるタメにそれぞれ行動を開始した。
気分が悪くって喉が痛くって関節が痛くって頭が重いです。
昨日今日お休みだったのでもっとがんばれる予定でしたが、病魔め・・・何故休みの日に重なるのか・・・。
今日はあと1話くらいは更新できるといいな。




