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第61話:大水練大会本戦1回戦観戦2

 こんにちは、暁改めアイラです。

 現在大水練大会本戦を観戦中ですが

 いつもの様にトイレに行ったら事件が起きました。

 なんだろう、トイレに荒事かイベントの神様でも住んでるのかな?



 空き教室を出てとりあえず当初の予定通り飲み物を購入した。

 ちょっとなつかれたしサイフももってなさそうなので、コロネ先輩にも買ってさしあげる。

 皇太子様やサリィは王族席に飲み物もあるので、ここでは買わないそうだ。

 変なもの入ってても困るしね、っていうか王族が護衛なしでこんなところまで走ってきてくれるなんて・・・ちょっと感動するね。


「えっと、コロネ先輩のことですがどうしましょうか?」

 現在コロネ先輩はボクの腕に頬をこすりつけている。

 ほっぺがひんやりぷにぷにで結構気持ちいけれど、ことは先輩の安全に関するものだ。


「ふむ・・・とりあえずは、アイラのところで預かってくれまいか?」

 ヴェルガ皇太子が少し考えてから言う。

「スワンレイクは南所属の子爵家であるが領地は東候と南候、そして王領の境目のところにある。そして彼の家はそのすべての土地において、恵まれない民草の支えとなっている良心的な貴族だ。近隣の土地で塩や農具の不足の時にはスワンレイク家経由で、南候や東候、王家に要望が上がってくる。緊急時には子爵家のサイフを切り詰めて先に支援をしてくれたりもする。あとから消費した物資の報告はしてくるけれどね。ありがたいことなので、こちらとしても多少色をつけて返す様にしている。」

 感心だ、本当に良心的な貴族らしい。


「そして民草に対しては常に優雅な微笑を崩さずにいるという、うらでは自分たちもぎりぎりまで切り詰めていてもな」

 領主が焦っていたら民も焦るだろうから、ソレはとても大事なことだけれど、人間っていうのは余裕がなくなればなりふり構わないことも平然とやってしまうからね。

 それを考えればこのスワンレイク家というのは非常に有用な貴族だ。


「王家としても善良なスワンレイクのご息女を危険な目に合わせるというのは忌避すべきことだよ、ソレを・・・あのバカ息子めが・・・・すまない。」

「コロネさん、私の異母弟がご迷惑をおかけした様で、やっぱりグレゴリオが脅して負けさせていたのですね。せっかくの晴れ舞台なのに申し訳ありません。」

 皇太子と姫様の謝罪にコロネはおっかなびっくりといった様子で頭を上げる様に言う。


「ヴェルガ様、サーリア様がその様にお気になさることはありません、斬られたのは怖かったですけれど、こうやって傷は残りませんでしたし、アイラ様みたいな素敵な女の子と出会えましたから。」

 笑顔を浮かべるコロネは人懐っこい笑顔を浮かべた。

 おそらくこの朗らかな少女の姿こそが彼女の真の姿なのだろう。


「それでヴェル様、コロネ先輩をボクのところで預かるというのは?」

「私からユーリへ依頼しておく、コロネは現在寮で暮らしているが、危険かもしれないからな、ユーリの王都屋敷ならまだ部屋は空いているはずだろう?そこで彼女のメイドともども面倒を見てくれないか?」

 同居人にしてやってほしいってことか。

「ユーリが良いって言ったら、ボクは別にかまわないけれど」


「コロネ、アイラ様と一緒に暮らせるんですか!?うれしいですぅ!!」

 コロネ先輩は子どもの様な笑顔で笑った。まぁ子どもの年齢なんだけれど

「では話はヴェル様から通してくださるのですね、ですがいいのでしょうか彼女は南の人ですよね?」


 そう彼女は南のシュバリエールの人間だ。

 西のボクたちの庇護下に入って問題はないのだろうか?

 具体的には、東が何か言ってこないだろうか?


「問題はない、東が仮に何か言ってきたらこう伝えればいい、『われらが忠を尽くすはひたすら王国の安寧のため、王がここに居れというので居るのである。これもお役目なのだ』と」


 つまり王命でここに居るので、とやかく言われる筋合いはない、貴様は王命に抗うのか?

 と問いかけるわけだ。

 それで文句を言えるのは敵だけだよね、つまり・・・

「それでも文句を言ってくるなら斬り捨てても良い・・・と?」

 恐る恐る尋ねる。


「アイラは本当に察しが良いな、グレゴリオなどではなくアイラがわが子であったならどれだけ心強かっただろうか。」

 しみじみというヴェルガ皇太子の目は笑ってなど居ない、本気っぽい、でもコレは笑い話にしないといけない類のつぶやきだ。

「あはは、ヴェル様でもご冗談を仰ったりするのですね。」

 ボクが笑うとなぁんだと笑顔になるコロネ先輩、貴方はそのままの純真な人で居て欲しい。


 その後皇太子たちと別れて攻性魔法課の観客席に帰ると既に4試合目のジョッシュ・アダムス

先輩対レギナ・フォン・コランダム先輩の試合の佳境であった。

 どちらも近衛戦技兵課でなおかつ北シュバリエール同士の戦いだ。

 予選もだったけれど作為的なものを感じるよね。

 何でかしらないけれど、北と北とか西と西とかの本命同士の当たり合いが多いようだ。


 ガタイの良すぎるアダムス先輩のほうが、線の細いレギナ先輩よりも水の中は不利の様で、徐々に追い詰められていったというのが、途中からの観戦でもわかる。

 動きのキレ自体はほぼ同等で、ややアダムス先輩のほうが鋭いが、水の中のため移動自体が少し阻害されている。

 やがてボクが戻ってきてからですら7分ほど打ち合い続けとうとうレギナ先輩のハルバードがアダムス先輩の腹部にあと1cmくらいかと思われる距離でピタリと静止した。

 

「勝者、レギナ選手!!20分に渡る白熱した打ち合いでした!ともに北の近衛戦技兵課の若き貴公子同士今回はそのガタイのよさが仇となったか・・・・いずれにせよすばらしい戦いでした。両選手に拍手を!!」

 2試合目の冷め方が嘘の様に盛り上がっている。

 最後のほうだけでも確かに見ごたえのあるうち合いだった。

 人間は魔法なしでも水の中であれほど立ち回れるのだと、理解させられる戦いだった。

 

 興奮は醒めないままだったが5試合目への選手入れ替え中に周りに説明しておかないと。

「みんな遅くなってごめんね、ちょっとヴェルガ皇太子から、預かり物をしまして、今日はこのままコロネ先輩がこちらで観戦します。」

 後ろに座っているみんなにコロナ先輩について、ちょっとだけ説明する詳しいことはヴェルガ皇太子からの頼まれごとということで説明は出来ないということにしておこう。


「まぁいいんじゃない?私やリスティより年下なんでしょう?先輩。」

「う、うんコロネは今年12歳になった」

 サーニャのといかけに応えるコロネはちょっと照れている。

 さてはサーニャの美少女オーラ(可視光)に当てられたね?

「この光は・・・?」

「あぁ私エル族なので、光るんですよ。」

「へ、へぇ・・・それにしても・・・」

 と周りの面子を見渡すコロネ先輩。


「アイラ様の周りは美少女が多い?」

 ボクの方に振り返って言うコロネ先輩、首の傾げ方がアニスを思い出す小動物的な動きでかわいい。

 耳の前の短い巻髪がぴょんと揺れた。


「あらうれしいこといってくれるじゃないですか?でもコロネ先輩もかわいいですよ?」

 なんて余裕で返すサーニャは言われなれてる感がある

「お上手ですね」

 とメイド2人は冷静だね。

「そ、そうかな・・・?」

 なんていって手を両頬に当てて照れるソニアはかわいいけれど

「・・・・・」

 リスティは完全に無言だった。

 ん・・・・?

「リスティ寝てるんですね?コレ」 

 と言ってリスティの前で手を軽く振ってみる。


 するとリスティの保護者(ママ)ことサーニャがこともなげに言う。

「あぁお日様が照ってる場所でじっとしてるとすぐ寝ちゃうのよこの子、トレントだしね。」 

「ふぅん」

 なんて話していたら選手の準備が出来たらしい。


「どうやら、5回戦の選手の準備が整った模様です。それでは入場していただきましょう!北のコーナー!!サルファー・プロゴリアント選手!23歳4年魔砲兵課、魔砲使いの首席生徒です。すなわち紛う事なき現時点での魔砲兵課最強の一角です」

 名前を呼ばれると同時にフィールドに着水した男性はまさに砲兵といいたくなる立派な体躯で大きな筒を2本抱えていた。

 あれが魔砲か。

 魔砲兵に大きく2つの種類がある。

 ひとつは魔力によってその場で仮想の魔力バレルから砲撃を行うタイプ。

 もうひとつは物理的バレルを持ち込みそこから魔力弾を連続発射するタイプだ。


 あの様子を見ると、彼は後者の様だ。

「4年開始時のステータスも届いております。生命1700魔法186意思180筋力39器用41敏捷38反応40把握42抵抗45・・・圧巻の数値です。砲兵でありながらの生命力1500超え、豊富な魔力と耐久性を生かしつつ砲術による敵の制圧を可能にする弾幕能力それこそが砲兵として出した彼の答えなのか!!ワンショットキルのこの大会でどの様な戦いをみせてくれるのかぁああ!!」

 ワァアアと大きな歓声が上がる。

 人気のある生徒の様だ。


「続きまして、西のコーナーから1年生17歳、一部が圧倒的な存在感を持つ美少女エレノア・ラベンダー・ノア選手の入場だぁ!!」

 一部って言われなくってもわかってるけれどこの司会者はセクハラで捕まればいいと思う。

 みなよ入場してきたエッラが真っ赤になって・・・ない?

 あれ本当にエッラなのかな?っていうくらいおちついて居る。

 エッラは昨日と同じ、足元を隠す様な長いスカートの水着をはいている。

 愛用の凧型盾カイトシールド突撃槍ランスを持ち今は水に沈んでいるが、戦闘が始まればまたホバー移動を開始するだろう。


「昨日まではまったく噂を聞かない生徒でしたが、昨日の予選から急浮上!その類まれな容姿と、水上機動スキルにより、一気に名前を売りました。入学時のステータスも圧巻です!目を疑う様な数字が並んでいます、17歳とはいえ、一年生の女子生徒がコレほどの数値をしているものでしょうか生命1410魔法127意思432筋力48器用75敏捷68反応72把握40抵抗47と既にいつ卒業してもおかしくないほどのステータスですコレでなんと戦闘訓練を始めてから3年経っていないとのこと・・・末恐ろしい!対人戦闘経験の少なさをこの大会中にどう埋めていくのか!!彼女から2つの意味で目が離せません!!」


 ねぇ2つって確実に片方胸のこと言ってるよね? 

「それでは両者用意が出来た様です、1回戦第5試合・・・はじめー!!」


「サルファ選手早速キャノンを構えております!エレノア選手は昨日と同様水上機動戦に移る模様。近づかれるとサルファ選手が圧倒的に不利だがどうするのかぁあ!」

 サルファー先輩はキャノン2つを肩に構え更に何かを詠唱した。

 すると・・・・


「おーっとサルファー選手の腰の辺りに仮想バレルが2つ展開されたこれは早くも大技の予感だぁああ!」

「いくぞぉ!超級四砲撃(ハイパーバスター)!!」

 シンプルな技名を叫びサルファ先輩がフィールドの1/3ほどを埋め尽くす魔力砲撃を行った。

 その余波でフィールドは大きく乱れ、白波が立つ。


 センター付近に居たエッラは・・・無事というか既にサルファー先輩の右側から迫っている。

(速い!)

「おおぉっと、エレノア選手いともたやすくサルファ選手の大技を交わした様だ。しかしサルファ選手もこの程度では終われない、4つの砲門からランダムに見える砲撃でエレノア選手を牽制する!!しかしエレノア選手は軽やかな動きだ!!」


 水上を滑る様に動くエレノアは恐ろしい速さで、旋回とカーブを繰り返しまるで踊る様にサルファー先輩に近づいていく。

 紙一重で避わしている様に見えるがその実武器や盾にすら砲撃が当たっていない。

 エレノアはいつの間にあれほどの武技を身に着けたのだろうか?


 次第に距離を詰めるエレノアに追い詰められたサルファ先輩の砲撃は徐々に精密さを失いついに・・・

 エレノアの構えた槍が旋風を纏いながらサルファー先輩のわき腹のすぐ外側を突いた。

 すぐさまサルファー先輩が両手を上に挙げ『参った』を宣言した。

「決まったぁああ!エレノア選手大金星です、わたくし途中から実況を忘れてしまいました。試合時間なんと僅か58秒、秒殺です!エレノア選手最強の一角サルファー選手を1分に満たない時間で降参させてしまいました。」

 ワアアァァァァァ!!

 割れんばかりの大歓声にエレノアがホッとしたように長い息をしている


 それからエレノアは、まだユーリが剣士課の席に居ないことを認めると。

 攻性魔法課こちらの席に目をやり、ボクと目が合うとうれしそうに手を振ってくれた。

「エッラー格好良かったよー!」

 少しはしたないかな?なんて思うけども同郷の思わぬ大活躍にはついつい声も大きくなろう、多めに見て欲しい。


 さらにエッラは補助魔法課のアイリスの方にも手を振りそれからサルファ先輩と握手してからフィールドを出て行った。

 興奮冷めやらぬ中、コロネ先輩もキャーキャーいってたが、ふと先ほどのことに気づいた様で。

「アイラ様、さっきエッラって愛称で呼ばれてましたよね?親しいのですか!?」

 と聞いてきたので、一緒に住んでるメイドの一人だよと教えたところ。

「あの方も一緒に住まれてるんですか!?美人な上にすごく強い素敵な方でしたね!!あんな方とひとつ屋根の下だなんて・・・・コロネ緊張して眠れないかもしれません!!」

 なんて大騒ぎしていた。

 ソニアと一緒でアイドル的なものに飛びつくタイプかもしれない。

 ソニアももともとエッラと親しく付き合っているのに今のソニアは、マンガやアニメなら目のハイライトがハートになってる状態だと思う。


「エッラさんやっぱりすごいー、さすがは1ヶ月でメロウドさんに一太刀当てただけはあるね!」

 もう、一生ついてくって感じだね。

 さぁまだ会場は5試合目の熱気が残っているけれど。

 6試合目の準備が出来たみたいだね。


 ユーリの出番はまだかな?

 ボクは未だ出てこない婚約者の出番を今か今かと待ち詫びるのであった。

大水練大会3話どころじゃありませんでしたね。

思いのほか戦闘シーンまで行くのすら大変でした。

そして臨場感のある戦闘シーンってどうやったら書けるのか・・・だれか教えてください。

まだまだ大水練大会本戦は続きます。

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