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第60話:大水練大会本戦1回戦観戦1

すみませんミスって一度外伝のほうに投稿してしまいました。

 おはようございます、暁改めアイラです。

 現在大水練大会本戦中です。

 1回戦でボクは結晶魔法使いの俊英ジルコニア先輩と戦闘し、速さによって勝利を収めた。

 午前中の出番は終りなので、今から暫くは観戦タイムだ。



 そもそもボクは前世でも武術は見るのもやるのも嫌いじゃなかったし、こちらに生まれてからは、特にホーリーウッドに移ってからは、強さにもやや貪欲になっている。

 本戦に出る様なレベルの学生の戦闘なら見る価値は十分にあるだろう、ジルコニア先輩の魔法もたいした制圧力だった。

 あれは、一対一ではなく軍団を相手にするときこそ真価を発揮するだろう。


 ボクはボクたちのクラスの観客席の一番前の列に座らせてもらっている(背が低く前に人がいると何も見えないのだ)両隣にエイラとナディアが後ろにはサーニャがいてリスティとソニアに挟まれている。

 級友たちはまだ興奮気味にボクの健闘を称えてくれている。


「ねねアイラ今度あの水中移動魔法の運用またいろいろ教えてね?」

 サーニャは新しい魔法に興味津々でボクにせがんでいる。

 後ろから肩に腕を回してしがみつかれているし密着しているが、背中に当たるものはない。


 っと、そろそろ第2試合が始まるね。


「続きまして本日本戦1回戦の第2試合をはじめます、選手の入場です。東のコーナーからはグレゴリオ・イシュタルト殿下の入場です。殿下はヴェルガ皇太子殿下の第3王子で王位継承権27位の王族です。なんと非常に珍しいことに殿下は1年軍務課からの参戦、ステータスが届いているのでよ・・・・」

「無礼だぞ!!」

 そういいながらグレゴリオ王子は火弾を実況の学生の方へ放つ。

 観客席は勿論司会・実況の席にも結界が張られているので、火弾が届くことはなかったが・・・・


 いきなりの暴挙に観客席はざわつく

「えーっと殿下、わたくしなにか粗相いたしましたでしょうか!?」

 実況の学生はグレゴリオ王子のほうに向き直り、説明を求めた。

 ソレに対してグレゴリオ王子は尊大に胸を張り。

「余は王族ぞ?そのステータスは国として秘匿すべきであろう。それをこのような公衆の面前で・・・!!」

 なんて憤ったポーズを見せる。


 が、次の瞬間にはソレも意味のないものとなる。


「あーあー、余はイシュタルト王ジークハルトである。王族のステータス秘匿についてだが、王位継承権10位までしか適用されないのと、学生のステータスについては適用外なので、もし大会にでれば継承権2位のサーリアでも公表させる。余の身内が水をさしてすまない続けてくれえ」


 王族席から拡声魔法でジークがそういう風に言ってしまったことでグレゴリオは帰って恥をさらすことになった。

「エー国王様からの許可が出たので読みます、生命208魔法12意思114筋力16器用15敏捷21反応18把握16抵抗21・・・はい!えー数値的には少し寂しいですが、軍務課の彼が一体どの様な戦いをみせてくれるのか今から非常に楽しみです。続きまして南のコーナーから・・・」

 グレゴリオ能力低っ・・・実況の人が思わず言葉を濁して次の人に言っちゃったじゃないか。

 なんで本戦に残れたんだろう・・・あれか、セルゲイみたいに恫喝脅迫をして回ったのかな?

 だとしたら王族名乗らせておきたくないけれど。


 南の方向から出てきたのは小柄な女の子だった。

「2年魔砲兵課のコロネ・ショコ・フォン・スワンレイクちゃんだぁあ、コロネちゃんはスワンレイク子爵家出身の貴族です、そのちんまりとした容姿からファンも多いぞぉステータスは生命175魔法107意思99筋力4器用45敏捷27反応44把握78抵抗45、12歳という低年齢にもかかわらず魔砲使いとしては、貫禄のスペックだぁ高い把握と魔法の数値で一体どの様な戦いをみせてくれるのかぁ!!」

 チョコレート色の髪の毛が顔の横でころねの様に巻髪になっている。

 しかし心なしか表情が暗いかな?単に弱気な子で緊張してるだけの可能性もあるけれど。


「それでは早速参りましょう!第2試合開始です!」

 教官は無言で手を上げて手で合図する。


「さぁ立ち上がりからコロネちゃん、石弾の様ですね。水の中に浸かったまま石弾を2発放ったがぁああ?コレは外れ、グレゴリオ殿下から大きく反れて水柱をあげる。」

 いやおかしいでしょ、今狙ったあとわざと狙いを反らしたよね?


「そしてその間にグレゴリオ殿下徐々に距離を詰めるが、ちょっとゆっくりですね。水中系の移動術はお持ちじゃない様です。」

 そして・・・・石弾に続き水流を飛ばすコロネはおそらくわざと外し続けて・・・。


 とうとう5mくらいまで迫ったときころねはもう一度石弾を構えて射出するがコレも明らかに正面ではなかった。

「おぉっとコロネちゃんどこか体を悪くしているのか、狙いを上手く絞れない。とここでグレゴリオ殿下剣を振り上げて・・・・・斬ったぁああ!救護班すぐに向かってください。」

 グレゴリオは余裕で寸止めできたであろうにソレをせず、あろうことか女の子の肩を斬り付けた。


 明らかに普通の試合ではなかった。

 明らかに格下のグレゴリオが、明らかに精彩を欠いた状態のコロネ先輩を下した、のはまだいいが最後のはやりすぎだ。

 確かに一打制だけれど寸止め推奨というルールがあるのにもかかわらず、グレゴリオは明らかに止められる剣をとめなかった。


「えぇー第2試合はグレゴリオ殿下の勝利・・・盛り上がりに欠ける試合でしたが、治癒のほうは成功したようです。傷も・・・残らない様です、良かったですね。」


「体調が優れない中がんばったコロネちゃんに拍手をー」

 パチパチ・・・まばらな拍手の中グレゴリオだけが勘違いしている様に笑顔で観客に向かって手を振っている。

 滑稽だね、誰も君が活躍したなんて思っていないというのに。

 せめて彼が寸止めしていれば・・・もう少し君のことも応援して上げられたかもしれないのに。

 見ていて胸糞悪いしちょっとトイレでも行っておこう。


「ちょっとボク花摘みに行ってきますね。」

「お供致します」

 と言っていつも通りエイラとナディアが付いてくる。


 この二人をお供にするのにもなれたものだ、トリエラは寂しがっているかもしれないが、黒髪と銀髪という対照的な2人の美少女メイドを両側に侍らせているとお姫様にでもなった気分だね


 今日はエイラがわざわざ同じ個室に入ってくれて、ボクが水着を着なおすのを手伝ってくれるという。

 うん・・・すっごく恥ずかしい。

 同じ個室に入るということはボクが致しているところを目で見ていないとはいえ、音は聞こえるわけで・・・・・。

 昨日変なイイワケした手前断ることも出来ずにボクは生き恥をさらした。


 あぁ・・・コレお漏らしより恥ずかしいんじゃないかな?

 そんなこんなでトイレをでて、ついでに何か飲み物でも調達していこうという流れになり、ボクたちは競技場の外周に一度出ると円形校舎の購買に向かった。

 この時間帯は人が皆競技場のほうに出払っているので。

 ほとんど人が居ない、ボクたちは人気のない廊下の一箇所で声を聞いた。


「・・・めて・・・さい・・・・・・・や・・・・」

 か細い女の子の子声、たぶん嫌がっている。

 ウェリントンを経験したボクにとってソレは、許されざる行いの可能性があった。


 エイラとナディアを引き連れてボクは声のした教室のほうに向かった。



 かくして、そこは普段は近衛戦技兵課の座学に使われる教室だけれど今日は空き教室だ。

 そしてそこに、さっき競技場で戦っていた二人と男2人が、何かを話している。


「もう、これ以上コロネのことかまわないでください、約束どおり勝ちは譲ったじゃないですか!」

(おおぅ核心部分。)

「あ?譲っただと?そもそも余の勝利はゆるぎないものであった。貴様は余の勝利を華々しく飾らなくてはならなかったのに、なんだあの情けのない戦いは!!」

 パン!

 グレゴリオの平手打ちがコロネの頬に赤い痕を残す。

 グレゴリオは11歳コロネは12歳で年度的には同じ生まれだけれど、グレゴリオは1年、コロネは2年で先輩、しかし小柄なコロネはどう見てもグレゴリオより頭1つ小さい。

 ていうかグレゴリオに対して華々しく魔法を撃ったら即死してたよね?


「で、でも、魔法当たったら殿下は死んでしまいます。」

「それでも、もっとやりようはあっただろう、余が避けた様に見える様に魔法を撃てばいい!」

 むちゃだなぁ


「というわけで貴様の契約は不履行だ。最初に行った通りお前の家、つぶしてやるからな!領民もみんな巻き添えで奴隷に落としてやる。あぁ楽しみだ。」

 グレゴリオはどうやったら11歳であそこまで腐れるのか、腐った笑顔をコロネに向けた。

 幼い顔立ちのコロネがビクリと震えて、泣きそうな顔になっている。


「それがイヤなら、貴様が余の奴隷になればいい、貴様見た目はまぁまぁだからな、貴様が担保になるなら、領民や家のことは見逃してやってもいい。」

「ヒッ・・・」

 舌なめずりするグレゴリオに明らかに嫌悪感を出すコロネ


「貴様不敬であるぞ!」

「こちらにおわすは将来王になられるかも知れぬグレゴリオ王子ぞ!!」

 取り巻きはそういう風に言ってるけど27位だとそうそう王にはなれないんじゃないかな?

「まぁよいのだ、初めては痛いというし、緊張しておるのだろう・・・ほら服を脱げ、情けをかけてやろう。」

 えっとこれは完全に脅迫恫喝の類だよね。

「ナディアは誰でもいいので王族の方に連絡を取って。エイラはボクと一緒に時間稼ぎするよ?」


「はい、かしこまりました。」

「かしこまりました」

 出来のいい二人のメイドはボクの指示に的確に従ってくれる。


「あの、コロネキスとかしたことないから、やめて・・・・大事な人にとっておくの・・・・こんな人となんてヤダァ!」

 コロネ先輩は顔を背けたが取り巻きの男二人に体と顔をつかまれてしまう。

 あぁ、コロネ先輩の唇の初めてが奪われてしまう。

 ソレを理解した瞬間ボクは少しキレてしまった。

 3倍加速で間に割って入り取り巻きを突き飛ばしてボクはコロネ先輩の唇を奪った

 アレ?コレ本末転倒かも?

「あ♪ん・・・。」

 まぁコロネ先輩はイヤではなさそうだし、グレゴリオが初めてよりはよかったとしよう。


「おい貴様!何をするか!!」

 グレゴリオがキレて腰のものを抜いたので、素手に強化魔法を纏わせて剣を受けてそのまま握りつぶした。

「女の子にとって初めてはとっても大切なものなんです!通りかかった以上こんな形で奪われるのを黙って見過ごすなんて、同じ女として出来ません!!」

 ボクの姿を認めたとたんグレゴリオはその顔を歪めた。


「あぁ?貴様、次の対戦相手のアイラだな?昨日リントといたやつだろ?」

「リント王子は仮にも貴方の異母兄です、呼び捨ては敬意が足らないのでは?」

 時間稼ぎが目的だからとりあえず噛み付いておこう。

「あぁ?あいつが王子って呼ばれてるのだって余は気に食わないぜ?男のクセに女のサーリアに王位継承権で負けているなんて情けなくって涙がでるくらいさ。」

 お前は27位だろうが


「余はなぁ、リントやサーリアと違い王家から護衛メイドまでつけていただいて、学校に通っている。これは王様が余に期待しているに他ならない、余のがんばり次第では余が王位継承権1位になることも夢ではないと、セルゲイが言っていたよ。」

 あれはそんな理由だっけ?

「恐れながらグレゴリオ様。」

 いつの間にか隣にきてきたエイラが挙手しつつ述べる。


「王族の男子は護衛メイドをつけないのが慣わしです。グレゴリオ様にメイドが付いているというのであればソレはお母上の実家の独断か、王族扱いはしないということの顕れかと思われます。」

 さすがエイラは王族に仕える近衛メイドの娘だけはあるね。

 でも男子の慣わしならば何でサリィにはメイドがいないのだろうか?


「だまれ!知った様な口を利くな、貴様たちはリントが王様にでもなると思ってるのかも知らんが、なるのはこの余だ!」

 あらたいした自信だね。でも何でリント王子?

「貴様もそこのコロネの様に余に勝利を譲らねば、王家を敵に回すことになるからな!リントとも結婚できなくなるぞ!」

(はぁ!?)


「何でボクがリント王子と結婚しないといけないんですか?」

 そんな疑惑をつけれられて不愉快だよまったく。


「え?だって貴様昨日、リントにエスコートされて王族席に入ったって」

「ボク別に婚約者いますし、リント王子とかこれっぽちも好みじゃないので、どうでもいいです。」

 可愛い男の子だとは思うけどね。


「クソが、まぁいい、わかったな?次の試合間違っても余に勝とうだなんて気は起こすなよ?実家ごとつぶしてやるからな!!」

 そういうとグレゴリオとその取り巻きは去っていった。

 なんとなくコロネ先輩のことはうやむやになったみたいだ。

 もしかしたら記憶力がないのかもしれない。


 っとそうだコロネ先輩。

「コロネ先輩!大丈夫ですか?」

 コロネ先輩は肩のところが少し破けた水着姿のままさっきと同じ涙目の、でもすこしとろけた表情でこちらを見上げてへたり込んでいた。


「先輩?」

「あの、ありがとうございました。コロネの初めてがあんな人じゃなくって貴方みたいな可愛い子でよかった。」

 あれ?コレ目つき結構ガチじゃない?

 恋する女の子の目つきだ。


「コロネのピンチに王子様は駆けつけてくれなったっていうか、王子様が悪い人だったけれど、こんな格好良くてかわいい子に助けてもらえるなんて・・・・。」

 目がきらきらしている。あ・・・目を瞑った、コレキス待ちだ。

 どうしようか・・・?


 と、そこに

「アイラちゃん無事ですか!」

「アイラ無事か!」

 王族筆頭格のサリィとヴェルガ皇太子が教室に入ってきた。


 瞬間コロネ先輩は固まってしまった、王族相手は緊張する様だ。

 そういえば呼んでもらってたね。

 少し遅かったというかボクが性急になりすぎた。


「グレゴリオはもう・・・おらぬ様だな?」 

「ヴェル様・・・申し訳ありません、時間稼ぎのつもりが、ちょっとコロネ先輩の貞操の危機だったのでつい」

 そう言った途端皇太子の表情が激変する。

「グレゴリオめ!そこまで腐っておるのか!アイラは何もされなかったか!?」

「次の試合余に勝ったらわかってるだろうな?家をつぶしてやるぞ?見たいな事は言われましたが、気にしなくて良いのですよね?」


「アイラ、コレを預けておく、コレは魔道具「揺れる追憶」コレによって拾った声は反響され周囲の人の耳に届く、作動スイッチはココだ。」

 とブローチ型の道具を渡された。

「コレで何をすれば?」

「次の試合中コレを作動させててくれ。」

 試合中つけてたら音聞こえたらばれるんじゃ?

「いやコレは話している本人には聞こえないという不思議な仕様でな。これならばグレゴリオが何かを言えば周りの人に届くだろう、そうすればやつの悪事を白日の下に曝せる」

 でもそれは、王族の権威を貶めることにならないか?

「いや王族・貴族は処罰されないなんて思っているもののためにもいい見せしめになる。余自らが、グレゴリオに処罰を与える予定だ。」


 こうして、ボクはグレゴリオ退治の道具をわたされて、更に2年の先輩コロネ・ショコ・フォン・スワンレイク先輩という可愛らしい方を傘下にくわえることになった。

風邪を引きました。

明日はがんばるので今日はイロイロ許してください。


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