第54話:大水練大会1日目の夜
こんにちは、暁改めアイラです。
初日の水泳大会はなんと2位になったボクたち
周囲の人たちは褒めてくれるけれども、勝つ気でがんばったボクは勿論悔しいのだった。
スクリューに関する説明を聞いていた学者っぽい人は喜んでいた。
「われわれはなまじっか魔法というものにたよったせいなのか、こういった力学にまるっきり疎いのだ。今日は見にきてよかった、コレで王様の希望する船の開発に一歩近づいたよ。」
とボクの頭をなでた。
仲間と合流すると、クラスメイトもいて、皆まだやや興奮気味に、惜しかった。悔しいけれど来年またがんばりましょう!なんて声をかけてくれている。
そんな中ナディアがいつもは見せない様な辛そうな表情でうつむいているのがわかった。
「ナディア、ちょっとこっちに来てもらってもいいですか?髪解くの手伝ってください。」
適当に理由をつけて、ナディアを人ごみから引き離す。
「はい、アイラ様ただいま。」
プロ意識のなせるものか、ボクのほうに駆け寄ってきたナディアは既にいつもの表情だ。
(いつも近くにいたから気付かなかっただけで、本当はいつもこうやって落ち込んでいたのかもしれないね)
ナディアは溜め込むタイプだしね。
「ねぇナディア、ナディアがスクリューの魔法を使えたら、優勝できてたと思う?」
問いかけたとたんビクンと体を震わせて眼を瞑るナディア。
「申し訳ありません!アイラ様、私が、私がもっと速く泳げたら・・魔法がもっと上手に使えたら」
ナディアは魔力の質と量の関係で、水の中での魔法発動と、魔力の安定供給が苦手だったため、スクリューを使いこなすことが出来なかった。
それは確かに速度に直結しているのだけれど、ナディアは大切なことを忘れている。
「ねぇナディア、ボクたちはまだ1年生です、まだまだ時間はありますし、これから魔法を本格的に習うのです。ソレにナディアよりも優れた仲間は他にいませんでした。ソニアでもリスティでもだめな部分だったんです。ナディアじゃなければそれこそ決勝までこまを進めることが出来なかったかもしれない。」
「ですが!あの秒数差は・・・!」
「ねぇナディア!君はボクのことが好き?」
強引にナディアの言葉に割り込む。
「そ、ソレは、勿論お仕えするのにこの上なくすばらしいお嬢様だと思います!」
「ありがとう、ナディアがそう思ってくれていてうれしい、でもだからなんだよ。」
「?」
ナディアはまだ気付いていない。
「あの時のナディアのメイド式泳法いつもよりも1割くらい速かった。ボクのために、ボクを勝たせてあげたいと思ってくれたのがわかるいい泳ぎだったよ。」
(だからね・・・)
「ボクもそのナディアの思いに応えたいと思えたから、いつもよりも速く最高速度まで到達できたし、あのぎりぎりの勝負を生み出したのはひとえにナディアのおかげだよ、いつもありがとうナディア。」
照れた表情のナディアは、暫く黙ってしまったけれど。
「もう、アイラ様ってば、メイドを誑かすのがお上手なんですから。」
なんて笑っていった。
その夜。
ユーリとナディアと一緒にお風呂に入ったあと。
前々から考えていたことがあるんだよね。
「ねぇナディアってさ、ユーリのこと大好きだよね?」
ボクは体を拭いてくれているナディアに問いかける。
ナディアの拭き方は丁寧でとんとんと軽く表面を叩く様に拭いていく。
「はいお慕い致しております、もう長くお仕えいたしましたが、このまま生涯お仕えしたいものです。」
お慕いするっていうのは、恋愛感情の好きのことだよね。
うれしそうに頬を染めるナディアは奥ゆかしくてかわいいけれど。
今日はちょっと攻めるよ
「ナディアは、結婚して赤ちゃんとか欲しくないのですか?」
ナディアはキョトンとした表情になって。
「えぇ?アイラ様ってば、メイドに突然そんなこと聞かないでくださいよ、出会いなんてないですし。結婚したら、アイラ様やユーリ様にお仕えできなくなるかもしれないじゃないですか。」
そういってナディアはボクの前側をトントンし始める。
最初の頃は、この体を拭かれるのも恥ずかしかったっけなぁ。
まだ女の体の自分、を他の人に触れられるのがちょっと怖かった。
敏感だし、自分で拭きたいと思ってた。
でも、ナディアやトリエラ、エイラに世話されるのも、いまではなれたものだね。
「ナディア、この後すぐお風呂に入っていいですよ。それからボクユーリの部屋にいるのできてください。メイド服じゃなくって寝られる格好で大丈夫ですよ」
「へ?あ、はい畏まりました。」
それからボクを拭き終わったナディアは湯仕え用の服を脱ぎ始めた。
(キレイな輪郭・・・)
前世の世界ならば大名家の姫といわれても疑わないほどの美貌を惜しげもなくボクの眼前に晒したナディア。
その姿にやはりボクは確信を持った。
ナディアはユーリのことが好きだ。
恋もせずに乙女が、ココまで美しくなれるものか。
持って生まれた可憐さだけではなく、コレは努力の賜物だ。
子どもの頃から見ていたからわかる変化だけれど、ナディアはもともとかわいい女の子だった。
だからそのままでもきっとキレイな女の人に成長していたと思うけれど、今の彼女は美しい女の子だ。
恋をする相手は決まっている。
ユーリはボクが一緒に居ることを望むなら繋ぎ止めるといった。
ナディアはユーリのことが好きなのに、ボクのためにただ見守るだけに徹していようとしている。
でもこんなに美しいナディアが、ボクのためにそのまま老いさらばえていくことはあまりにもかわいそうだし、将来ボクは辛くなると思うので、ちょっと関係を作っちゃおうと思う。
お風呂上り、事前にユーリには根回しをして、ナディアがくるのをまった。
「先にちょっと雰囲気作っておこうか?」
ボクの策のためにユーリはあわせてくれるらしい。
ユーリとボクはナディアが来るまでベッドでイチャイチャして待つことにした。
ユーリのキスに勇気を貰って、準備の出来たところで丁度ナディアが部屋をノックする。
「ユーリ様アイラ様、ナディアです。」
「どうぞ」
ユーリが許可をだし部屋にナディアを招きいれる。
ナディアはメイド服ではなく白いスリップ姿だ。
よしよし、ちゃんと言いつけは守ってきたね。
それじゃあ・・・うーんいざ言うとなると照れるなぁ。
(なんて切り出したものか。)
「ナディア、こっちにきてください。」
とりあえずベッド脇まで来てもらおう。
「え、ですが今その、いい雰囲気なのでは?」
お邪魔になりたくないと言いたげなナディアは、命令どおりにベッドによって来たものの既にちょっと部屋から出て行こうとしている。
「いいのです今からここでユーリと二人がかりでナディアをかわいがるので。」
「へ?」
呆気にとられた顔のナディアを無理やりベッドの中に引きづり込む。
「ひゃ!?」
ボクとユーリの間に寝かされたナディアは軽く身じろぎするけれど、すかさずボクが脚を抑えユーリは背中に体重を掛けた。
「つかまえた♪」
「ナディア覚悟してね」
二人でナディアを押さえ込み、ユーリはナディアの耳元にささやく。
ボクはユーリに「お願い」した。
ナディアをボクの姉妹にして欲しい、と。
もともとユーリもナディアのことは嫌いじゃないし、ボクはナディアがユーリのことを好きなのだとうすうす感じていた。
今日は生涯ボクたちに仕えていたいとまで言わせてしまった。
今は主従という間柄になるので、正式な側室にはすぐには出来ないけれど、今日ココで、未来側室にすることを約束してしまうつもりだ。
そうしたら、ナディアも女としての幸せ、メイドとしての幸せ両方を手に入れられるよね?
「ねぇナディアは?僕のことを愛してくれる?」
ユーリが意地悪くナディアの耳に囁く。
それで耳が赤くなったナディアは
「ユーリ様アイラ様、おやめください、こんなの戯れになさることじゃないですよ。」
真っ赤になって身じろぎするナディアだけれど、今日はそんなんじゃ手を離さない。
「ねぇナディア、ボクたくさん考えたんです。ナディアと離れたくない、でもナディアには幸せにもなってほしい、女の子の幸せって、好きな男の子と結ばれてその人の赤ちゃんを身篭ることだと思うんです。ボクまだ身篭れないですけど。」
「ちょっアイラさまぁ!?」
じたばたするナディアの脇の間からユーリが手を差し込む、前に手を止めて。
「ナディアが本当にイヤだったらココで止めるし、もう二度とこんなことはしない。でも僕らと一緒にいてくれるというのなら、一生僕達といてくれるのなら、受け入れて欲しい・・・な。」
と囁いた。
ナディアは耳を真っ赤にしながら暫くジタバタしていた手足を止めた。
「そんなの、そんな風に言われたら、断れるわけないじゃないですかぁ、アイラ様がいらっしゃる前から、ずっとユーリ様のこと好きだったんですから。でも身分違いだし、ユーリ様はその、あまりにもかわいいせいで、女の子を欲しがりませんでしたし・・・私なんか見向きもされないってあきらめてたんですよ・・・それを、アイラ様が現れてあっという間にユーリさまを男の子にしてしまわれて。男の子になったユーリ様は相変わらず可愛らしいお方で、えぇ・・大好きですよ・・・いつか貴方の赤ちゃんが欲しいです。アイラ様の仰る通り、好きな方の胤で身篭ることが女の幸せだというなら、ソレが私の幸せなんですよ。だからこそ私はいまユーリ様のこt・・・!?」
全部言い終わる前にユーリがナディアに口付けた、瞬間からだが硬直してすぐに弛緩しきった。
もう抑えておく必要もなさそうだと判断したボクは、ナディアの頭のほうに回る。
「ナディア。」
「ふぇ?」
声をかけると涙目のままこちらを向くナディアの唇をボクも奪った。
「~~っ!?」
ユーリがしてくれるようにやさしく、強引に舌を差し入れる。
ナディアは少しの間僅かに抵抗して見せたが、すぐにおとなしくなった。
唇を離す。
「パハッアイラ様!?一体何を・・・!」
「ナディア、ボクもナディアが大好きですよ。ずっと一緒いるんです、だからこうやってたくさんの隙間をちょっとずつ埋めていきましょう?」
そういってボクはもう一度ナディアに口付ける。
その後仰向けにしたナディアをユーリと両方から挟んで、名前を呼んでは口付けたり、胸を触ったり、キスマークをつけたり耳を舐めたりとさんざんに可愛がった。
ユーリとも口付けしたし、ユーリはボクの体も触ったけどね。
一通り堪能したので、ナディアを間に挟んだまま寝ることにした。
「あのアイラ様、本当によいのでしょうか?私なんかんむっ・・んぅ・・・」
余計なことを言う口は口でふさいでやった。
「ナディア、ボクの好きなユーリ、の大事な女の子のことをなんかなんていわないで、ボクはナディアとなら一生ユーリを愛していけるって思ってるよ?それにね」
ボクはナディアの耳元で小声で囁く
「(ナディアはボクがディバインシャフト城でお漏らししたの黙っててくれたよね?あの時からずっとナディアのことも大好きなんだよ?)」
暗いけれど、ナディアが照れ顔なのはわかるよ?
ボクもちょっと恥ずかしいけれど。
さて夜ももう10時を回ってしまった。そろそろ寝ないとね。
ボクはこの日このままの並びで寝たことを翌朝後悔することになるのをまだ知らなかった。
この回は2~4日目の水上戦闘のルール説明と予選の予定だったのに・・・どうしてこうなった。
右手薬指がだいぶ動くようになりました。これでもうi とoとpとlを人さし指で押す生活からはおさらばですね。
ユーリ君の10人ハーレムの3人目がとうとう決まりました。




