第52話:大水練大会ちょっと前の事件
こんばんわ、暁改めアイラです。
よくわからないままにお城まで連れて行かれて、鑑定を受けました。
ジークから差し出された上質紙を恐る恐る受け取るとそこにはボクの名前とステータスが書き込まれている。
その内容は以下の通りだ。
アイラ・ウェリントン F9ヒト/
生命212魔法324意思1108筋力9器用89敏捷117反応98把握132抵抗88
適性職業/魔術師・魔砲使い・勇者
技能/剣術8 感知7 格闘術5 杖術5 忍従5 気配遮断5 水上歩行3 精神汚染耐性3 投擲術3
魔術/『火燕魔法』 火魔法中級 風魔法中級 身体強化魔法下級 水魔法下級 光魔法初級 治癒魔法初級 飛行魔法初級 空間魔法初級
特殊/『光弾』『跳躍』『隠形』カリスマ 龍の加護 光化 光精の加護 愛9『加速』6
あれ?ボクは初級防御魔法や、幻影魔法を使えたはずなのに書かれていないし、使ったことがないあるいは知らない能力が書き出されている。
あと火燕魔法 光弾 跳躍 隠形 加速は日ノ本語・・・というより漢字で書かれているね、燕や躍の字なんかはちゃんと書けてなかったので推測だけど。
あとステータスを数値化されても高いのか低いのかわからない、筋力9が低いのだけはわかるけれどね。
彼らにはボクの鑑定結果に漢字が浮かんでいるらしい。
「アイラ、軽く説明するぞ、この鑑定実は欠点があってな、技能、魔術、特殊枠に関しては上位9つまでしか見ることが出来ない。それよりたくさん能力をもっていても、見切れてしまってみえないのだ。初代は何か呪文を唱えることで見えていたらしいが・・・失伝している。」
見切れるって・・・。
「今回アイラの能力で問題になるのは、カリスマが発現していること、前回の時点で愛は7だったし加護は両方ついていた。今回見切れてしまった特殊枠に強運があったことも確認している。」
強運?むしろボクはやや運が悪いほうだと思うけれど、強運がついていて今までの運命だというのなら、そのスキルがなかったらボクは死んでたね、あぁ一回死んでるか、アイラになって強運がついたから、ウェリントンでは死ななかったのかな?
「アイラ、王家の慣例に従えば、2年に上がる際にアイラを勇者として認定することになる。」
「勇者?」
いきなり良くわからない単語が出てきちゃったね、勇者ってあれかな?魔王を倒したり、龍を討伐したりするのかな?
「王家が把握している、勇者の条件が、カリスマ、美徳系能力、加護の3つと意思500でな。愛が美徳系能力にあたる。カリスマがつけば勇者認定することになるので、ソレらしい兆候がないか、教官たちに観察させていた。」
だから今日の惨状をみて教官が連絡を入れたんだね。
「で、その勇者と言うのは?」
「勇者はその名前の通り勇しき魂を持ち、その力によって、戦乱の世には覇を成し、治世にあってなお民草に道を示す存在だ。」
「アイラの場合特殊枠が見切れると言うのも稀有な状態だな、普通特殊枠は1つか2つがせいぜいだ、アイラは読めない能力ばかりだがな」
そうその、読めない能力に跳躍やら光弾が普通に書かれているのだ、それに他枠に使ったことがないものが含まれてるのも気になる飛行魔法とか水上歩行とか・・・。
それに、たしか読めない能力はジークたちの鑑定と似た様な字で書かれていると言う話だった・・・・
(もしかして王族の中で、鑑定を持っているのは、日ノ本からの転生者?いやそれなら、読めないってことにはならない、ならば初代が転生者か転移者で彼らはその子孫?)
いくら考えても推測にしかならないことは今はいいか
「それでジーク、勇者になることでなにか変わりますか?」
そこが一番の懸念だ。
「いや?大して変化ないだろうよ、任官の誘いが激増するかもじゃが、アイラは西への永久就職があるしの」
「勇者認定を持つ者自体はよく現れると言うことですか?」
「うむ、卒業時に勇者認定をされるものはたまにでるかの、ただ1年のうちに複数の加護持ちでという稀少さはあるし、あとはアイラは9才なので学校を拓いて以来最年少じゃな、見目麗しく幼い勇者故与しやすいと侮る者も出るかも知れん、手に入れたいと暗躍するものも居るかもしれんがサリィの妹分じゃし大丈夫じゃろ?」
ジークが軽い感じにサリィにパスする
「そうですね、アイラちゃんはただでさえかわいいので、ユーリ君とのことを知らないままでの結婚の申込なんかも増えるかも知れませんね、王都の姉である私が守ってあげないと、サークラ姉様に顔向けできません」
サークラ・・・姉様?
「サリィ姉様はサークラおねえちゃんと面識があるのですか!?」
「なにを言ってるの、前にギリアム様と王都にご滞在されたじゃない?あのときは私も今のアイラちゃんと同い年だったのに、幼かったのでずいぶんとご迷惑をかけてしまったわ、美しく清らかな私の理想の姉様です、私も斯くありたいと願い努力したことで今の私があります。」
ボクの婚約披露の後の王都見物の時か、そんな仲良くしたなんて聞いてなかったな。
15才のサークラと9才のサリィという美少女の概念そのものを形にした様な二人が仲睦まじく歩いていたのか、それはさぞ・・・当時に戻って眺めたいくらいだね
話がそれたけれど
「そのカリスマが備わった結果が今日の騒ぎですか?」
気になるのはその点だ。
今後毎回あんな騒ぎになるなら生きづらいことこの上ないよ?
「うむ、備わったか初めて発動したのかはわからんが、カリスマ持ちがふさわしい行為や振る舞いをすると、好意を持たれやすい、そなたの水着姿がよほど似合う愛らしいものだったのじゃろうな」
「ふさわしい振る舞いをしたら毎回ああなるのは辛いですよ?」
もみくちゃにされたしね
「その点は大丈夫じゃろう、すでにアイラに対しての好意が振りきっているものには効果が薄いからな。カリスマはいいイメージを持っていたが疎遠な場合などに特に効果が大きいそうだ」
だから班員は反応が薄かったんだね。
一気に印象が上がる、しかももともと話してみたいとかお近づきなりたいなんて思ってる人が劇的に反応する・・・と
「これって、コンテストには出ても大丈夫ですか?魔法で魅了するのはダメだと聞きましたが」
「ああ魔法としては検知されないし、止めれるタイプの能力ではないからの、ルールには抵触せぬよ」
王様のお墨付きだ・・・大丈夫でよかった。
「それにあくまで発表は年末の組換えの時じゃ、それまでは本来検査もせぬものじゃしのう・・・ただ教官連中には口止めはしたが、知られている。変な輩には気をつける
様にするのだぞ」
それから護衛を3人つけて貰い近衛メイドのノイシュさんと一緒に屋敷に戻った。
城から出る際サリィがボクを抱き締めて
「大義名分も得ましたしこれからは一層アイラちゃんのことを構いますからね?仲良しアピールの為にもクラスに迎えに行ったりもしますから、その日は朝アリーシャから伝えてもらう様にしますね」
と言っていた。
お姫様が迎えにくるなんてどんな待遇だろうか・・・周りの反応が怖いよ?
「あのサリィ姉様は身分の高い方です、それがフォンも冠していないボクの為にそこまでされるのは・・・・。」
周りから嫉妬や反感をかいそうだ。と続け様としたが
「それでこそです!この王位継承権第2位の私自らが迎えにいくほど夢中になるかわいい妹分!それに未来の侯爵夫人で、最年少の勇者で、攻性魔法課首席予定・・・アイラちゃん、ちょっと最強すぎませんか?」
食い気味に言葉を紡ぐサリィ様
(大丈夫かな?カリスマに当てられたりしてないよね?)
なんて心配になったものだ。
屋敷に戻ると心配してくれていたメイド3人とユーリが出迎えてくれたけれど、誰もがまったく違う心配をしていた。
「大丈夫だった?ハルト様になにもされなかった?」
「ママ!アイラ様に何もなかった?」
「アイラ様のご様子は・・・普通ですね、ご無事で・・・よかったです。」
「マスターの水着私もまたみたかったです、どうかまたお風呂で着てくださいね!」
トリエラはオシオキ決定だね
翌日、校舎に入ると、いつもより少しだけボクへの注目度が高かった。
「おはようアイラさん!今日も元気そうですね。」
「おはようウェリントン」
「アイラ、おはよう、いつも、かわいいね」
「アイラさん、昨日は学長先生に叱られませんでしたか!?」
なんていつもよりもちょっと多く挨拶されたし、男の子が何人かちらちらこちらをみてくる様になったけれど、特に悪意を感じることもないし、うん、ちょっとだけみんなの中の好感度があがった感じだね。
カリスマとかいう特殊能力が、少なくとも今の生活を壊すほどの能力ではない様で安心した。
でも勇者という特殊職の条件なのだからきっとソレは大きな力なのだろう。
それから3週間ほどかけてボクは、判明した能力を試してみた。
そしていくつかの能力をモノにした。
水練で使えそうな水上歩行、空間魔法の最初の魔法は、国民的アニメにでてくる未来の世界のサル型ロボットのトウきちろうが使う五次元ヒョウタンの様な収納術だった。
まだ大きな旅行かばん1個分くらいしか入らないけどね、軽いだけでも十分だ。
そして跳躍、暁の能力のひとつだった跳躍の第一段階、立体跳躍が使える様になった。
これは単純に縦の跳躍力で、足場にしたところから体を大きくジャンプさせることができる固有能力だ。
暁と異なり魔力で足場を作ることができるアイラの体でなら、疑似飛翔魔法として扱うことも可能だ。
これらの力により、ボクは大水練大会への自信をつけたのだった。
やっぱり数値化は私には早かった様です、反省『』内が感じで書かれていた能力になります。
あまり気にしない様にしてペースを上げて生きたいです。
次回こそは水練大会を・・・・?




