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第51話:大水練大会~練習編~、のはずだった

 こんにちは、暁改めアイラです

 前もって水着も用意して準備に追われることもなくこの日を待った

 今日は初回の水練の日

 

 それにしても水練の説明を聞いたときは耳を疑ったね。


 クラウディアには近くには多人数で使える大きな川や湖がない、運河として整備された川や、農業に使う水路はあるけれど・・・。 

 どこで水練は実施されるのかなと思っていたら、プールだそうだ、それも超特大の


「まさかね・・・・」

 今ボクがいるのは円形競技場の観客席、眼下に広がるのは直径200mほどのフィールドが大量の水で溢れかえっている風景。

 今日は普通の泳ぐだけの水練なので、深さは130cmらしいけれど、ソレボク沈むよね・・・?

 ボクたちの班では高身長のソニアでもあご下まで来てるし。


 アイラの体で最後に泳いだのは、5歳の川遊びだったけれど、あの時は水かさも浅く当時のボクの胸辺りまでしかなかったし。

 アニスもいたから、あまり水泳って感じの遊び方はしなかった。

 しかしこの体でいきなりあの深さの水に入るのはいささか怖い、命の危険すら感じる。


「アイラ様?いかがなさいましたか?」

 ナディアの声に振り返ると水着姿の彼女とエイラが並んで立っている。

 少し前に14歳になったばかりのナディアだけれど最近ますます胸が大きくなってきて、その成長度合いはまるでサークラを見ている様だ。

 

 ナディアとエイラは白と黒のスカート型ワンピース+スパッツタイプの一般的少女向け水着をチョイスした。

 髪の色に対して逆の色にして、デザインは二人で合わせている。

 

 ソニアは濃い紺色のワンピース水着だ。ぴっちりしていて、日ノ本の旧スク水をそのままスカートを伸ばしたみたいに見えるね。

 

 リスティとサーニャはそれぞれ緑とライトイエローの水着を着用している

 女子用でなく女性向けのやつだね。


 ソレに対してボクは女子というより女児用の、フリルつきスカートワンピースにスパッツタイプで、胸元にリボンまでついたピンク地に白のドット柄という少女趣味の一品だ。

 正直もう9歳なのだという意識と、神楽ならもっとにあっただろうなという意識があるが、ユーリにもカワイイね!と太鼓判を押されてしまったし、事前に相談したわけでもないのに。アイリスが同じデザインのイエローを選んでいたので。

 きっと不似合いということはないだろうし、9歳が選ぶ水着としても不自然ということはないだろう。


 それでも、今この場にいる攻性魔法課の女子、57人の中で一番貧相なボディなのだと思い知ったボクは、自分自身の水着姿に自身をもてないでいるのだ。


(ところでさっきから視線を感じるね?)

 視線のほうを見ると、あぁ、西のサロンからシリル先輩がこっちを見下ろしている。

 今授業がないのかな?

(あれ?)

 他にも視線を感じるので周囲を見回してみると攻性魔法課1年3クラスの女子のほとんどがこちらを見ている?


(何故こんなにも見られているのか・・・?)

 見ればほとんどの女子は単色かスカートやスパッツで色の分かれたワンピースタイプだ。

 なるほど、柄のついている水着を着ている人間は3クラスでボクだけの様だ

(だから、目立ってるのかな?エイラは何も言わなかったし、校則違反とかじゃないよね?)


 考えていると、クラス委員の様な役をしてくれているクラスメイトがこちらにやってきた。

(う、もしかしてエイラが把握してなかっただけで、違反だったか!?)

 

 しかし、そのボクの心配はまったくの杞憂に終わる。

「どうかしたの?フィーナ」

 フィーナ・オブティシアンは中級官吏の娘で、厳格な父に育てられたためか規則に厳しい、故に教官から信頼されており、この様に違反者などみつけると教官より先に注意をしてくれる。

 そうすることで教官も「フィーに怒られたな?じゃあ次回までに直してくるように」とだけいって罰則を与えないで様子見をしてくれるのだ。

 生徒たちの自助努力を促進するという名目で・・・メリーベル教官は子どもに甘いのだ。


「アイラさん、ちょっとしたことなのだけれど。」

 いい辛そうに言い淀むフィーナ、フィーナは厳格だけれど、注意したりするとき非常に申し訳なさそうに注意する。

 それが注意される側の罪悪感をかきたてて、「あ、はい・・・」とおとなしく注意を受ける者が多いのだけれど。

 ボクはエイラのフォローのおかげで今まで優等生で通ってるので、注意は受けたことがない。


 3クラスの女子の視線が集まる中、フィーナの挙動に何事かと同じクラス男子の視線も集まり始めた。

「その水着、可愛らしくて、高貴で、大変アイラさんに似合ってますね!」

「ど、どうもありがとう?」

 さぁ気まずさをなくすために一旦褒めたのでしょう?

 覚悟は出来てるので、この場で脱ぎなさいとかじゃあなければおとなしく従うよ。


(さぁ、来い・・・?)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

(こない!)

 なんだろうこの長い溜めは、私が来たのだから注意されなくっても察しなさいってことなのかな?


「あの!」

(やっときたか・・・。)

 フィーナはやはり言いにくそうにちらちらと周りに眼をやったりボクのほうをみたりを何度か繰り返したあと意を決した様に眼をギュッと瞑って・・・

「だ、抱きしめてもいいですか!?」

「は、はい!・・・へ?」

 とっさにはいと言ってしまってから。どういうこと?と疑問に思ったが、15歳のおっぱいをおでこに押し付けられて常態でいられるほどはまだ暁は抜け切っていない。


 混乱の中、自分にはない柔からさに心奪われる。

 3段構えのすさまじい精神攻撃だ。


 そして、フィーナがボクを抱きしめたのを見ていたほかの女の子たちもボクによってきた。

「フィー、次私に抱っこさせて!」

「フィーじゃなくってアイラちゃんに許可をとりなさい!アイラちゃん次私いいかな!?」


「まって!ここはクラスメイトの私たちからじゃない!?」


ひっちゃかめっちゃかだ・・・

「ナ、ナディア、エイラ、助けて!」

自分では体格に勝るクラスメイトや攻性魔法課の女学生たちを引き離すことができず、賢き従者たちに助けを求めたところ。

「アイラさんが嫌がってるわ、みなさん離れましょう!」

 と、メイドたちより先に騒ぎの元になったフィーナが大きな声で叫んだ。


その声にみんな離れてくれたけれど・・・もみくちゃにされたボクは水練の前からへとへとになってしまった。


「みんな、急にどうしたんですか?」

今までこんなにもみくちゃにされたことがないんだけれど


「いえ、アイラさんがすごくかわいくって、抑えきれなくなってしまって、前々から小さくてかわいいな、抱っこしたいな!って思ってはいたのですけどね、今日の水着姿は反則ですよ・・・・。」

フィーナが呟くと周りの女の子たちも口々に


「故郷の妹を思い出して抱き締めたくなりました」

「私弟がいるのですけど義妹になりませんか?」

「私は御姉様に可愛がられたいタイプなのですが、アイラちゃんなら可愛がりたいです!」

なんて言う。


みんな一様にボクに妹性を求めたらしいね、なるほど言われてみればボクに押し寄せたのは13才以上の子だけでそれ未満の子はやや興奮気味にこちらをみているだけだ


男の子の方は・・・

ああダメだ何人か確実に妹以外のモノとして見てるのがいる


(なんでこんなことに・・・?)

混乱していると3クラスの教官と水練のコーチと思われるおじさんが入ってきた。


「さあ水練を始めるぞー!ん・・・どうした・・・?」

様子がおかしいとわかるのかメリーベル教官はまわりを見回したあとボクのところで視線をとめたけれど、明らかに目の感じがかわった。


「アイラ・ウェリントン!」

「はい!」

「あとで学長先生のところにいきなさい」

「は、い?」


いきなりのお達しに周りが悲鳴をあげる

「教官アイラさんは悪くないんです、あまりにかわいくて私たちがつめよっただけなんです!」

「アイラさんに罰を与えないでください!」


なんてことを口々に叫けんでいる

教官は少し煩そうにしたあと

「ウェリントンがかわいいのはわかるが、今回は処罰ではない、安心しろ。」

というと静かになった。


それから普通に水練の授業は進み、 取り合えずアイラの体は泳ぐことに過不足ないことがわかりひと安心したボクは


放課後、学長室に呼ばれているためにソニアを伝言役にしてユーリたちには先に帰る様にしてもらった。


学長室は1年剣士課と軍務課のある棟の最上階にあるのでユーリたちには直接伝えることもできたかもしれないね。


学長室をノックすると「どうぞ」

と、聞き覚えのある気がする若い女性の声

ドアをあけるとそこには・・・

「サリィ姉様?」

「あ、アイラちゃんきましたね?」

え、なに?まさかサリィが学長?

でも2年の学生じゃ・・・?


「ふふ・・・実は私が学長・・・ではなくて学長には席を外して頂きました。お爺様に鑑定していただくのでこのままお城に参りますよ」


そう言うとサリィはさっと席を立った

(あれ?学長室にきた意味は?)

スタスタ歩くサリィについていくとすぐに馬車乗り場についた。

「申し訳ありませんが今回はアイラちゃんだけの案内になります。エイラとナディアは屋敷に帰っていてください、必ずアイラちゃんは送り届けます」


王族に言われたら断れるハズもなく、エイラとナディアは馬車乗り場でお別れした


あれよあれよ


お城についたボクはそのままサリィにつれられて前回黒歴史を刻んだ塔までやって来た


今回はサリィと一緒に登っていく

部屋までつくとドアは開け放たれていた3ヶ月ぶりのジークとの再会だ。

前回と違い王らしい格好をしているね。


「お爺様、アイラちゃんをつれてきましたよ」

サリィが告げるとジークは堂堂としたふるまいで

「ご苦労だったサリィ、それでは早速はじめよう、2人とも掛けなさい」

とボクたちにソファを勧めた


ソファに掛けると王様もボクたちの正面に座りなにやら紙とペンを用意している。


それを自分とサリィの前に置いてなにかを書き込み始めた


「あの、二人はなにを・・・?」

「すまない少し集中させてくれ」

サリィに至ってはボクの声に気づいてもいない・・・

長い沈黙・・・。


「ワシは終わったぞい」

「あの、ジークとサリィ姉様はなにを?」

サリィはまだ書いているのでジークにたずねる


「ああこれはな、アイラのステータスメモじゃ、普通は2年に上がる時と卒業時に、上位者だけに簡易版を配布するのじゃがな、前回アイラを鑑定した際憂慮するべき事態があるかも知れぬ故教官どもにアイラの様子を観察する様に命じていたのじゃ」

憂慮・・・なんか病気とかわかるのかな?


「そして、今回の確認には2人以上の鑑定を照らし合わせるのが望ましいのでな、サリィにも協力させておるのだ」


「おじいさま、終わりました。」

2分ほど遅れてサリィも鑑定を終わらせた「ではワシは照らし合わせてまとめるので2人はお話でもしてなさい」とジークは上質そうな紙に結果を写し始めた。


結果として二人の読み取ったボクのステータスに差異はなかったそうだ・・・二人ともが読み間違えていない限り今のボクの概ね正しいステータスということだ。

 ボクは恐る恐るそのステータスメモを受け取った。


タイトルの通り水練の練習のはずでしたが、アイラに身の程を知ってもらうことになりました。

キャラステータスの数値化って怖いですね。

アイラのステータスは次回に回します。

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