表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/182

第50話:大水練大会~説明編~

 こんにちは、暁改めアイラです。

 シュバリエールに誘われたボクたちは、西のシュバリエールに所属することにした。

 その後西シュバリーエルの現在の監督生、4年生のシリル・オーガストと対面をすることになった。

 

 監督室からサリィとフローネ先輩に連れられてひとつ下のフロアに降りると来たときには素通りしたサロンのスペースがある。

 このスペースは教室や廊下とは壁1つ分区切られていて西のシュバリエールの団員であれば、食事や飲物を持ち込んでくつろぐことが出来る。

 今回は直接2階には降りずにこの3階のサロンに立ち寄ることになった。


 ユーリが一緒なので、ボクはユーリに手を引いてもらう。

(むちゃくちゃ視線を感じるね・・・)

 今は放課後だというのに、サロンには10人以上の学生がいる、1年生の姿はない様だけれど。


 サロンの一番内側、競技場側まで行くとそこの席に4人の男女がいた。

 4年生2人と3年生2人か・・・。

 4人はこちらの姿に気がつくと合わせてて立ち上がった。


「姫様!!に・・・・ユ、ユークリッド様!?わざわざこんなところに脚を運んでくださるなんて。それに、エスコートされている方はまさか・・・。」

 中央にいた4年生の女性、もう一人が男性なのでおそらくこちらがシリル先輩だろう。


「シリル先輩、お待たせしました。その・・・呼び出していた1年のアイラ様なのですが・・・」

 自分たちが信奉するホーリーウッド家の未来の嫁を使用人一人で呼びつけてしまったことに後ろめたさを感じているのか、フローネ先輩が言いよどむ


「えぇ、今の様子を見ればイヤでもわかります。一部で囁かれていた双子姫の噂が本当だったのですね。」

 おや?噂があったといったね?


「はい、まさかでした。・・・失礼しました。こちらわれわれ西のシュバリエールの現在の監督生【花剣士】シリル・オーガスト先輩です。」

 フローネ先輩が目の前の4年の女生徒を紹介してくれる。


「はじめまして、シリル・オーガストです。4年の18歳で魔導特務兵コース首席です。慣例に従い、現在の西シュバリエールの監督生をさせていただいております。」

 シリルと紹介された女性は薄い紫の髪をミディアムに伸ばしていて、毛先がふわふわしている。

 全体的に線が細く儚げな印象を受けるが、コレで首席だというのだからどれほどの動きが見られるのか今から楽しみだ。


「では、われわれは自己紹介させていただこう。俺は4年のデメテル、もともと「北の王国」の農奴出身なので苗字がない、よろしく頼みます。」

 デメテルを名乗った彼は、茶褐色のところどころ鱗が混じった肌に白っぽく濁った眼をしていて見た目から既に亜人だとわかる。


「デメテル先輩はリザードマンで、とてもすばやい魔法戦闘を得意とされています。見ての通り普段は穏やかな方ですけれどね」

 フローネ先輩が補足してくれる。


「俺は、3年のアンディ・コンキスタ・フォン・ロディマス、15歳だ。お久しぶりですユーリ様、そして実際にお会いするのは初めてですねアイラ様、アイリス様、父から何度も話を聞かされています。」

 ん?ロディマスで3年?いつかロディマス男爵が仰っていた、放蕩息子の長男?

(そんな風に見えないけれど・・・?)

 目の前のアンディと名乗った彼は、高い身長と理知的な眼差しが特徴の優しそうな青年だ、とても男爵の仰っていた様な無法者には見えないね。

 そんなボクの疑問が表情にでていたのか、アンディはボクのほうにほほえんで言った。


「不思議な顔をしていますね、俺のことをいろいろ親父から聞いていたのでしょうが、今や俺は軍官学校の顔の一人です。乱暴モノってだけではやっていけないのですよ。」

 ところどころ口調に名残はあるものの。既に過去の彼とは異なり、立ち振る舞いには気を使っている様だね、その変わり様はまるでうつけと呼ばれた信長様の様だ。


「アンディ先輩は面倒見が良いことで勇名な先輩です、3年首席なのですが、慣例により監督生にはなりませんでした。」

 フローネ先輩がまたも補足してくれる

「慣例?」

 さきほどから何回か聞くけれどなんだろうね?

「はい、西の監督生は、2年時にもっとも成績の良い西所属の魔法戦技課の生徒がなりますが、女性限定ですので。」

「なるほど」

 西所属だけど男性で首席だったから、シリル先輩の次がフローネ先輩なのか。


「最後は私だね、マーガレット・カーマイン、マガレとかよく呼ばれる。」

 最後の一人はなんというかぶっきらぼうに自己紹介した。

 作法とかは興味がないみたいで、ユーリやサリィ相手に敬語ですらないけれどそれが自然に見える。


「マガレ先輩は魔法道具『火精の石弓』を扱うエキスパートです。2本の石弓を自由に操り、圧倒的な制圧力を誇り、『銃姫』(ガーンディーヴァ)とあだ名されています。」

 フローネ先輩は完全に解説役だね。


「フローネ、ありがと。」

 マガレ先輩は説明の手間が省けたとばかりに、フローネ先輩の頭を乱暴になで、髪がぼさぼさに乱れる。

「せ、先輩止めてください。あぁ!ユークリッド様に触れて頂いたのに!!」

 髪が乱れる!じゃないのかな乙女ならば。

 いや、ユーリのことを敬愛していて、その触れたところを・・・ということなら十分に乙女か。


「それじゃあ次は僕たちの自己紹介だね・・・・。」

 ボクたちの自己紹介は比較的楽に終わった。

 ユーリのことは既に十分知られているし、ボク、エッラ、エイラ、ナディアは既に来年の魔法戦技課の首席候補として既に名前が売れているらしい。


 また、アイリスとトリエラは幼女ヒーラーと猫耳犬尻尾メイドして、話題になっているらしい。

 ソニアだけ特に噂になったりしてないらしいけれど。


 その後、軽くシュバリエールの補足説明を受けた。

 内容としてはなぜ、シュバリエールの監督室がこの魔法戦技兵課にあるかだけれど。

 初代ホーリーウッド侯爵が魔法剣士だったから、魔法戦技課は西だそうだ。

 他に、治癒術師課が南、軍務課が北、近衛戦技兵課が東と言った具合。


 その4つに、魔導砲兵課、補助術師課、専兵課、技術課の4つをあわせたものが、2年生で分岐する主要八課となるわけだけれど、例年魔導砲兵課が西寄り、補助術師課が南寄り、専兵課が東寄り、技術課が北よりだったが、ここ20年ばかりは専兵課が西寄りに移り、西にパワーバランスが寄っているらしい。

 まぁ原因は言わずもがな、簒奪侯と狂い姫の話のせいだけれども。

 多くの痛みを受けつつも侯爵家を守り、更に発展を続ける西に傾いているのだ。


 ただソレも今年はちょっと様子が違って、東が東地方出身者を中心に脅迫とも取れる、強引な勧誘をしているという。

 剣士課にいるというセルゲイ・デイビット・フォン・オケアノス、現東征侯の次男である17歳の彼が監督生のマグナス先輩の提唱する融和的方針を蔑ろにして、無理やりに東シュバリエールに勧誘して回っているらしい。

 またセルゲイは同年度に入学した、サリィの異母弟グレゴリオ王子とに声をかけ懐柔し、サリィの同母弟リントハイム王子には会釈すらしないという。


 なにやらきな臭いことこの上ないけれど、西に入った以上ボクらにかかわってくることはあまりないだろう。

 さすがに面と向かって敵対はしないだろうし。


 さて乙女率が高いためか議題はドンドン変わり、今は来月末の大きなイベントの大水練大会の話だ。

 大って2回入ってるね、よほど大きな大会なのだろう。

 1年生のボクたちのために優しく詳しく説明してくれたけれど。

 大会の主な項目は3つ、1つ目は泳ぐこと、2つ目は水上戦闘大会、ココまではまぁ予想できたけれど。

 3つ目は、将官に必要な魅力を推し測るための「理想の上官選びコンテスト」だ。


 意味がわからなかったので、内容を聞くと水上戦闘大会での結果や演説によるアピールのあとに投票によって決めるという話だけれど・・・これはアレだ、殿コン、姫コンと一緒だね、しかも自薦方式ではなく、水上戦闘コンテスト後に教師らによる他薦方式で出場者を選ぶらしい。


 将官たるもの味方の目を引く魅力や華も必要だということで、ノミネートされるだけでも卒業時の就職にも影響するらしいので、皆まずは水着選びからがんばるそうだ。

 このコンテストには1年生からもノミネートされるそうなので、来月頭に始まる水練の授業に向けての水着選びについて助言を受けた。

 



 今日は4月12日、先輩たちの助言に従ったボクたちは、水練の授業の告知がなされるより前に水着を買いに来た。

 水着といってもこの世界の水着は前世の様な、男子はパンツのみとか女子は下着同然の上下セパレートした様ものではなく

 むしろちょっと薄手の運動着に近い、男子はタンクトップにハーフパンツを合わせた構造で女子はスカートタイプのワンピースの下にスパッツが着いている様な構造だ。


 着替え易さを重視してスパッツ部分が離れているものと、うっかりなくした!とか川の流れに持っていかれちゃった!を防ぐためにスパッツとワンピースが一体のものとがある。

 また女子用ではなく女性用としては背中側が大きく開いてヒモや留め具でとめる形式の半そで半ズボン

をひとつにした形のつなぎ型もある。

「ボクはまだ9歳だし、子ども用のスカートとスパッツかな?」

 ボクは後ろのみんなに声をかける、と言っても残念なことに今ココにいるのは攻性魔法課の班員6人だ。


「そうだなー、アイラは雰囲気は年の割りに落ち着いているけれど、見た目はばりばりにカワイイ系だから、うん、水着も子ども用のかわいいのがいいと思うな」

 サーニャが笑顔で答えてくれる。


「わたくしもそう思います。アイラ様はご自身がちょっとかわいいくらいにしか思われていないかもしれませんが、アイラ様の可愛らしさはそれはもう、王国民すべての妹といっても差し支えないものです。ですので、水着も可愛らしい系統のものが良いと考えます。」


 ナディアは今日はメイド服や制服ではなく私服を着ている。

 せっかくお友達とのお出かけなのに2人だけメイド服だと寂しいので無理やり着せてきた。

 ナディアは黒と紫色を基調とした半袖長スカートのワンピースに白いボレロを合わせている。

 エイラは白のブラウスシャツに黒いプリーツスカートを穿いて、頭の上に小学校1年生で使う様な形の黒い帽子をかぶっている。


ソニアは最近だとおなじみの夏仕様で、ノースリーブの白シャツに水色のハーフパンツを合わせた男の子みたいな格好なわけだけど、まず脇の辺りが丸見えな上に体が薄っぺらいので肩口から見えてはいけないピンク色のものがちらちら見えている、しかも夏で汗をかいているせいで正面からも服が透けて見えてしまっているんだ。

 11歳とは言え女の子なんだからもうちょっと気を使って欲しいものだけれど。

(そうか、今ココ服屋なのだから、何か買えばいいのか。)


 そう考えたボクは、今のソニアに似合いそうな上着を探す。

 適当に薄い水色のジャケットを選んだボクは手早く会計してソニアに渡す。

 ソニアはちょっと照れくさそうにしながら受け取ったけれど、理由をみみうちすると真っ赤になってすぐに着た。

 これでようやく水着選びに集中できそうだね。


 女の子は買い物しているとあっという間に一日が終わってしまう

 あぁでもないコウでもないとしている間男は女の子が選んだ服に時々感想を述べながら待つことしか出来ないものだけれど、今のボクは女の子なのであっという間に時間が過ぎてしまった。


 課別行動していたアイリスたちやエッラ、たちと屋敷で見せ合いするのが楽しみだね。

ゆびがーゆびがー、水練大会編を意味もなく3回に分ける予定です。

次回練習編です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ