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第48話:シュバリエールとプリンセス

 こんにちは、暁改めアイラです。

 放課後校門での待ち合わせ前に、ちょっと考え事をしていたら。

 見知らぬ先輩に声を掛けられました。

 キリっとしている様に見えて意外と抜けているその先輩は、ボクたちにシュバリエールというものへの招待状を届けに来たらしい。


 にもかかわらず、この先輩は招待状も渡してなければ、シュバリエールの説明も仕掛けて忘れたままだ。

 見た目とは裏腹にトリエラタイプなのかもしれない。


 トリエラも見た目は純真そうな美少女だけどね。

 あぁ見た目は結構似てるかもしれない、かたやトリエラは黒髪のツインテールにメイド用学生服、スレンダーな胸と細い足。

 一方のシアは短いボブの暗い緑の髪、メイド用学生服、スレンダーな胸によく引き締まった脚。

 うん、イメージだけ語ると似てるね、ただ長年付き合ってきたトリエラは一目でかわいい駄メイドだってわかるけれど、シアはキリっとした見た目だからちょっと油断した。


「アイラさんようこそお出でくださいました。こちらから出向かずお呼び立てして申し訳ありません。わたくしがフローネ・リーネン・フォン・ザクセンフィールド、魔法戦技課2年の16歳で次代西シュバリエールの監督生です、お越し下さったと言うことは西に所属してくださるのですね?ありがとうございます」

シュバリエールとはなにか?という疑問は解決されないまま、あらたな疑問が増えた、西?監督生?


「えーっと・・・まだシュバリエールがなにかわかっていなくて、浅学なもので申し訳ないです。」

うん、ホーリーウッド組はわかってないみたいだね、よかったボクだけじゃなくて。

 と安心していると


「シアー!」

見る間に紅くなりその清楚さや慇懃な言葉遣いをかなぐりすて、逆にシア先輩にたいして親しげな態度でプクーと頬を膨らますフローネ先輩


「もう〜、知らなそうだったらくるまでに説明しておいて!っていったじゃない、キメ顔で『所属してくださるのですね』なんて語って恥ずかしい!」

あっ!て顔をするシア先輩、似た者主従と言うべきか見た目は完璧な仕事をしそうなのに主人もうっかりキャラの様だ。

「ごめーんフローネ、様」


普段は呼び捨てあってるのかな?様に妙な溜めというか間があって、その前後の声のトーンに落差がある


「もう、頼むわよ・・・、さて見苦しいところを見せたわね。」

すぐに気を取り直したらしいフローネ先輩はこちらに向きなおる


見た目は清楚な才媛なのにポンコツが垣間見える。

 何というか守ってあげたくなる雰囲気のあるヒトだ


「いいえ、素のお二人が見えたので怖いお誘いではなさそうだと安心したところです、なにぶんモノを知らない若輩者なので、怖い呼び出しなのかな?と思っていました」


「あ、そんなことないですよ!怖くないです。こんなかわいい子いじめる人なんて軍官学校にはほとんど(・・・・)いません!」

少しはいるんだね。

それはともかく


「ではシュバリエールについて教えていただけますか?」

話をボクで制御しないとホーリーウッド組はボクがいると会話まかせちゃう勢しか後ろにいないしメイドが主人を差し置いて会話するハズもない

(カテリーンやコリーナがいれば楽できるんだけどね)


「はい!もちろんです。シュバリエールはかいつまんで言えば、互助的な役割を持った派閥組織です。東西南北と中央の派閥があり、東西南北と中央は兼任出来ますが東西南北間では無理です。シュバリエール内の仲間は将来も肩を並べる可能性が高いので今のうちに助け合って、連帯感をもち、任官後も仲良くしましょう。というものですね。」

うんさすがは瀟洒に見えてもうっかりお嬢様だ。

だいたい察したけどいろいろ足りてない。


「フローネ様、私の方で少し補足しても?」

エイラが手をあげて許可を取る

「ふぇ!?あ、はい、どうぞ」

 それまでだんまりだったメイドが突然言葉を発したのでうろたえている。

フローネ先輩はなにか足りなかったかお分かりでない様だ。

気の抜けた声がかわいい。


「アイラ様、シュバリエールは東西南北領、つまり四候のいずれかのシンパであると、主張するものです。ただ縦の繋がりも横の繋がりもできるので、将来にその領地にゆくなら大変に役立ちます。先輩方は将来有望そうな後輩に声をかけ、後輩はなるべく優秀に見える、先輩の誘いでシュバリエールに入ります、その方が将来役にたちますから。」

「優秀な・・・」


そういってフローネ先輩の方を見ると

「な、なんです?こうみえてもわたくしは品行方正なザクセンの花と言われてるんですよ!!アイラさんにはちょっと恥ずかしいところを見られてしまいましたけど・・・」

後半がションボリ、ボソボソと小声になる。


「そ、そうですよ!フローネ、フローネ様は魔法戦技課2年でも次席を取られていて、来年は魔導特務兵に推薦される予定なのですから」

シア先輩はフローネ先輩をよいしょするが

「シア!次席って言わないで、あの人が来ちゃうでしょ!」


次席という言葉に超反応するフローネ先輩、なんだろう嫌悪ではないけれど苦手な人がいるみたいだね

その時バンッと激しく部屋のドアが開かれその人が入ってきた!


「はっはー!首席参上!!」

「キャア!」

(暑苦しい!!)

筋肉質なことが見てとれる制服姿はガタイがいいを通り越して暑苦しい。

未だに男の人が若干苦手なアイリスが怯えてしまったじゃないか


久しぶりに喜びじゃなく怯えでボクに縋り付くアイリスを安心させようと胸に抱いてやる。

これをやると心音で安心してくれる。


「アイリス、大丈夫だから・・・怖くないよ・・・。」

そういって背中をさすってやるとイヤイヤをしながら、ボクの胸に頭をぐりぐり押し付けてくる。

日常生活には不便ないけど不意打ちに弱いなあ・・・。

なでりなでり


「ぬ・・・脅かしてしまったか!スマンな!」

すまんといいながら大声出すのやめない?アイリスがビクついてるから。


「あの、貴方は?仮にも女性徒が利用している部屋なのですから、ノックくらいして然るべきでしょう?」

 先輩相手に失礼かも知れないけれど、ちょっとイヤミのひとつも言わせてもらう。


「すまなかったな幼女よ!俺は魔法戦技課2年首席のギカス・マグナスだ!不器用で気が回らんのだ!フハハハハ」

ナニが可笑しいのか・・・・頭か?

あと面と向かって幼女呼びされたの初めてなんだけど


「シーアー!」

「申し訳ありません、フローネ様。」

なんだか萎えきった表情でシア先輩をなじるフローネ先輩、すでに最初の清楚な才女のイメージはない。


それにしてもギカス先輩は狙い済ましたかの様なタイミングで現れたよね恐ろしい。

「それにしてもフローネ女史よ、ずるいではないか?確かにそこな幼女らはホーリーウッド出身であろうが、来年は俺にとっても後輩だ!俺にも勧誘する権利はあろう?」


「えっと、マグナス先輩は・・・?」

「おう!俺はな、東のシュバリエールの次代監督生よ、どうだ?東は今人手が足りてない、卒業後は東へこぬか?成績がよければ取り立てていただけるぞ?」

彼も勧誘のつもりの様だが・・・ボクがシュバリエールとやらにはいる利点はなにかあるのかな?


「ちょっとギガスここは西の監督室だし、あなたの東の監督室は軍務課でしょ!?」

「俺が首席なのだから部屋を交代しないか?」


「貴方の部屋は簒奪候に盗られているでしょう?」

「ハッハ!これは手痛い。」

簒奪候?


「アイラ様、現在東征候の次男であるセルゲイ・デイビット・フォン・オケアノス様が1年に在学中で、すでに派閥活動をされています。恐らく彼のことかと」

エイラは有能だね。

会話の手助けはしてくれないけどボクの疑問は察してくれる・・・。


コンコン。

ドアがノックされて聞き覚えのある女性の声で

「フローネ、おりますか?」

と聞こえた。


「はい、おります、鍵はかかっておりませんのでどうぞお入りください」

畏まって答えるフローネ先輩

心なしかマグナス先輩も緊張している?


「ふう、今日は暑いですね。少し汗ばんでしまいました。」

いいながら入ってきたのは見知った顔だった。


「サリィ姉様!?」

「サーリアお姉ちゃんだ!」


「あら?アイラちゃん、アイリスちゃんどうしてここに?」

 サリィは一瞬で花の咲くような笑顔で答えてくれる。

ロイヤルスマイルにソニアが石になる、まだ王族相手は緊張するみたいだ


道理で聞き覚えのある声だ。

校舎が違うし入り口も一つ隣の校門を使ってるから今まで出会わなかったけれど。

円形校舎にきたとたんのエンカウントだ。


マグナス先輩に怯えていたアイリスがたよれる姉オーラを求めてボクの胸を離れ、サリィに抱きつきサリィも嬉しそうに体を傾けてアイリスに頬擦りした。

美少女同士の抱擁、素晴らしい眼の保養になるね。


先輩3人はおいてきぼりだね。

え?なんで?知り合いなの?って感じ


「サーリア様、このアイラさんはホーリーウッド出身な上に、攻性魔法課の成績が現在主席で来年の魔法戦技課のエース間違いなしなので、ぜひ西のシュバリエールにと、勧誘していたのです。」

 フローネはやや焦り気味に、それでもサリィの質問に答えようとしている。


 ボクたちにどうしてここにいるのかを訊いたけれど、呼んだのはフローネ先輩だからね

「あら?必要ないじゃない?」

 サリィはボクがユーリの婚約者だと知っている、というか以前に婚約発表してるのにホーリーウッド領外では認知度が低いのだろうか?


「「えぇ!?」」

 フローネ先輩とシア先輩がハモって叫ぶ、仲が良いね。

「姫様が要らないとおっしゃるのであれば、ぜひ東に!!」

 するとマグナス先輩が食い気味に身を乗りだしてくる。


「そんなことしたら東西で大戦争になりますね。」

 サリィはもう状況を飲み込んだらしく、3人の先輩をちょっとからかっている様だ。

 3人は頭の上に疑問符を浮かべて大変なことになっている。

 そこへ拍車を掛ける様に

 トントン

 と次なる来訪者の報せる音がなった。

 

明日は台風があまりやる気を出しませんように。

でももしものときのために○タイの冷やし中華をたくさん買ってきました。

雨風しだいでは明日は(も)更新が遅いかもしれません。

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