第47話:円形校舎
こんにちは、暁改めアイラです。
先日の攻性魔法課の合同演習から1週間たちました。
今日は4月7日です。
毎日の授業はそれなりに楽しく新しい発見も多い、今日も授業で教わった魔法の数々を朱鷺見台の知識や技術と融合させる試みをしていると、見知らぬ先輩から声を掛けられた。
「貴女がアイラ様でしょうか?」
声をかけてきたのは少しそばかすのある緑のボブ髪の女の子、キリっとした目つきでこちらを見つめている。
スレンダーな体つきが制服の上からでもわかるね。
(リボンがメイド赤、2年生か)
「はい、そうです、先輩とは初めてですよね?」
「ええ、初めまして、私はシア・ウィングロードと申します、魔法戦技兵課の2年、16歳です」
スカートから延びる足が細身なのにしっかりしている
ガーターと黒のハイソックスが白い足を強調して妙な色気があるね
「ボクは攻性魔法課1年のアイラ・ウェリントンです」
「アイラ様の御側を勤めています、エイラ・ウーリヒールドです」
エイラもボクに続けて御辞儀をする。
さて魔法戦技兵課の先輩がボクになんの用事だろうか
「私がお仕えしている、フローネ・リーネン・フォン・ザクセンフィールド様から、アイラ様へシュバリエールへの招待状です。」
突然だが軍官学校のシステムについて話をしよう
軍官学校は初年度は剣士課、攻性魔法課、補助魔法課、軍務課に別れている。
これらの課は適性から割り振られているものの基本的に受ける授業の内容はほとんど差がなく、比重を変えているに過ぎない。
次年度からはさらに本人の希望と、到達ジョブから判断して課が別れ、その下位分類として専攻という名前の組分けがされる
到達ジョブというのも王族の鑑定能力で計測するらしい
初年度の校舎は校門近くにあるが、間を抜けて奥まったところに円を描く様に設置された巨大なドーナツ型の校舎がある
そのドーナツの内周は立花藩に本拠地を構えるプロ野球チームのドーム球場ほどの円を描いており、内部には結界を張れる競技場がある。
外周は直径300mほどの円になっていて
等間隔に8つの尖塔が並んでいる。
2〜4年度の学生はこの中で授業を受けている
学課は8つに別れ、その下に専攻で別れていく。
魔法戦技兵課とはその花形と言える学課で、魔法と武技を組み合わせ極めた個による群の圧倒を目指すものだ。
そもそも軍官学校自体が、単体で軍隊を制圧できる兵や
数的不利を覆す采配を振るえる指揮官の育成を目指すものなのだから、花形と言われるのもわかる。
ボクもせっかく前世と異なり魔法力が豊富なので
その最上位といわれる魔導特務兵の資格が欲しいと思っている。
さて目の前の彼女、シア先輩は足フェチにはきっとたまらない脚線美なのだろうけど、よく鍛えられた足腰はそれなりの実力者なのだと感じさせる。
「その、シュバリエールと言うのは何でしょうか?」
疑問を口にするとシア先輩とエイラが不思議そうな顔をする。
どうも普通は知っている類のものの様だ。
「では歩きながら説明してもよろしいですか?」
放課後だけど時間がないのかな?
ボクもユーリたちを待たせているから、明日ゆっくりとかの方がいいな
「あの、校門で人を待たせているので、時間がかかる様なら先に一度校門に依ってもよいでしょうか?」
シア先輩は1秒だけ考えてから
「わかりましたそれでは校門に先に参りましょう」
と言って歩きだした。
校門にはすでにアイリス組と先に教室をでたソニア組がいる
ユーリたちはまだの様だ。
「みんな、お待たせ。」
「アイラ!遅かったね?でもまだ二人が来てないんだー」
とにこやかにむかえてくれる可愛いボクの妹。
いつも満点の笑顔だね。
「アイリス、ボク今からこちらのシア先輩と、魔法戦技課の校舎に行くことになったから、二人が着たら先に帰っててよ。」
いつも一緒に帰ってるけれど、呼び出されちゃったから仕方がないよね。
しかし途端にアイリスは表情を曇らせる。
「一緒に帰りたいから、待ってちゃだめかな?」
そんなにボクから離れたくないなんて・・・。
ちょっと心配になるくらいボクのこと好きだよね?
「シア先輩、妹がこういっているのですけれど、お時間はどれくらいかかるのでしょうか?」
後ろを振り向いてシア先輩の様子を伺うと
(うわ!びっくりした。)
眼がむちゃくちゃキラキラしてる。
しかしボクに見られていることに気づいたのか
シア先輩はすぐに元のまじめな表情にもどった。
「コホン、双子だったのですね、大変可愛らしくて結構です。姉妹ということはそちらのアイリスさんも、ホーリーウッドご出身ですよね。それでしたら、皆さんでこられたら良いと思います。」
でもまだここにユーリがいないからね。
「あと2人くるんですよ。」
「む、それは困りましたね。呼び出しておいて申し訳ないのですが、こちらの主人もあまり長い時間がとれないので。」
シア先輩は思案顔で、時間の心配をする。
「それでしたらナディアめがこちらに残り、あとから追いかけますよ。ホーリウッド出身ならば追いかけてもよいのですよね?」
シア先輩はまた少し考えて、考えるときに右の腿に手をやるクセがあるみたいだね。
「そうですね、皆さんのお友達でホーリーウッド出身か王国直轄領出身なら大丈夫です。」
出身地で人を選ぶのか、ちょっときな臭い話なのかもしれない。
でもまぁ学生のことだし、大きな問題はないよね?
それからシア先輩のあとについて、円形校舎のほうへと進んだ。
円形校舎には2つの入り方がある。
ひとつは、円の外周からタワーといわれる各学課ごとの入り口のある尖塔から入る方法。
もうひとつは円の内周側から校舎部分の入り口に入る方法、こちらのほうが利用者が多く目立つ。
今回は尖塔の少し上のほうで待ち合わせだというので外周の入り口から建物に入った。
中に入ると、いかにも歴史を感じさせる、重厚なつくりをしていた。
かつてここはコロッセオの様な施設で、いろいろな見世物や演習に用いられたが、外クラウディアが整備されるにつれ、一般大衆はそちらに居を移したため、隣接地に学校を建て直し、そのまま競技場ごとを学校の施設にしたのだという。
建物には保存の魔法が掛けられていて、ある程度の古さや、傷はあるものの、とても300年以上前の建物には思えなかった。
(初めて入ったけれども・・・、なんとなく好きな雰囲気かも。作りはまるで違うけれど朱鷺見台の宮国神社の様な守りと信仰の力を感じる気がする。)
シア先輩に追従して、階段を登る。
ボクの背の低さのせいもあるのだろうけれど、先輩のスカートが短いため、ちらりちらりとスカートの奥の布がこんにちはする。
ちょっと眼のやり場に困るね、見ても別に興奮はしないけれど、申し訳なさみたいなのがこみ上げる。
「こちらです。」
シア先輩が立ち止まった部屋は、4階まで上がった後、右側すぐに見えた部屋だ。
教室のあるフロアより1つ上だ。
扉には・・・木のレリーフが彫られている。
コンコンとシア先輩がノックして。
「シアです、アイラ様とそのお連れ様をお連れしました。」
と声を掛けるとすぐに、部屋の中から、おとなしそうな女性の声が聞こえた。
「どうぞ。」
シアがゆっくりとドアを押し開いた向こうには、10畳ほどの書斎の様な部屋があり、その一番奥の大きな書斎机の向こうには落ち着いた暗い青系の髪をしたやさしい眼差しの女の子がこちらを向いて立ち上がるところだった。
(あれ?そういえばシュバリエールというものの説明、うけてないよね?)
最初はキリっとして見えた先輩も双子に見とれたり、ガードが甘かったりと、ちょっと抜けてるかわいい女の子みたいだね。
まぁココで聞いてもきっと教えてくれるだろう。
ちょっと書くペースが遅くなってますね。
文章を打ってる途中に、思いつきで何かを入れようとして、前に自分で書いた設定に引っかかる感じが多いです、書きなれてない弊害が・・・。21日が早く帰れる予定なので、そこでがんばりたいです。




