第45話:射撃演習
難産しちゃいました。ぜんぜん上手く出来なくって話自体変えてしまいました。
こんにちは、暁改めアイラです。
軍官学校に入学して、当たらしいお友だちも増えました。
リスティやエル以外にもたくさんの仲間ができて刺激的な日々を過ごしています
3月になり徐々に夏に近づき、気温も高くなってくる頃から。
それまで座学ばかりであった授業にも外に出ての訓練なんかも増えてきた
最初はテントの設営とかだったね
そして今日は4月1日、初の市外での攻性魔法課合同訓練の日、1年の攻性魔法課は3クラスあり人数は96名いる。
A組は28人しかいないがBとCは34人ずついるそうで、A組は近接格闘術の授業が週2枠多く、BC組は変わりに魔法砲撃訓練の時間が多い、そして今日の訓練では、2種類のマト当てと組み手が行われる。
最初のマト当ては約200m先の18枚の動かない通常マト 4枚のはずれマト、2枚の動くマトをいかに正確にすばやく打ち抜くかというもので通常マトは1枚1点、はずれマトはマイナス4点、動くマトは3点外すとマイナス1点という点数がついているそしてそれに経過時間が加味されて点数がつけられる。
一応マトの経つパターンはランダムで40の設置点のいずれかに同時に立つというものになっていて、それらを弾か矢タイプの魔法で打ち抜くのが基本ルール、狙わずになぎ払って時短というのはナシということだね。
班毎にやるのだけれど、最初はボクらの班からということになった。
制御、精度の訓練だから不器用なリスティを一番手にした。
リスティが配置につくと教官が魔法制御でマトを立て、同時に「はじめ!!」と叫ぶ。
リスティは最初は通常時に良く使っている、足元に切り株のある色白な姿だったけれど、教官の合図と同時に変形を始めた。
トレント族は表皮、或いは外皮と呼ばれる植物の部分を持っていて、その部分は概ねからだを半分覆う木の幹の様な形をしているのだけれど、彼女はやや特殊で変形させることが出来る。
彼女は特定の木の特性を持たない、”森の”トレントなのだそうだ。
その特殊さゆえに、普通はほとんど森から出てこないトレントが学校に通うことが出来るのだけれど。
普通のトレントは変形できても人間体と、植物体くらいで長距離移動形態なんて持ってないからね。
トレントが変形で色が変わるのは仕様だけれど、見慣れている人は少ない、ボクたちクラスメイトもはじめは驚いたものだったけれど。
B,C組の連中は口々に「何あれ!?」とか「木みたいになった!」
なんて驚きの声が聞こえてくる。
普段は一度外皮で体を隠してから変形するけれど、一応戦闘訓練だから時短でやってるみたいだね。
もろだしだ、徐々に色が変わり色白だった彼女の肌が茶褐色に染まる頃には、彼女の外形もまた大きく形を変えていた。
移動形態の様な4本の脚部に体が半分埋まりこんだ状態で茶褐色になった人間体が収まり、腕の先に外皮で出来た筒がついている、左右ともに3本ずつ大きな筒がついていて、アレがおそらく今回の射撃に使うバレルなのだろう。
彼女が一息に4回射撃すると、すべてのマトが倒れていた
うん、ルールよくわかってなかったかな?
結局彼女は射撃点8、変形に時間がかかったものの射撃時間自体は身近かかったため、ギリギリ1分を切る58秒だったため点数は79点となった。
時間点は0秒を100点として、2秒に1点下がる方式でやっているそうだ。
次はソニア、ソニアは電気系の魔法が得意だけれど、今回は風の矢の魔法みたいだね。
電気の魔法は範囲を巻き込むタイプの大出力じゃない限り、遠距離に放つと分散してしまって威力が出にくいし、精度が下がってしまう。
ソニアは器用なほうでもないけれど、それでも無難に当てて行き1発外しながらも、マトは射撃点は満点マイナス1の23点、秒数も76秒だったため85点という好成績をたたき出し、見学している残りの学生から歓声が上がった。
現在3つの訓練が同時に別々に行われており、今この場にはA、B、C組から2班ずつ参加しているけれど、みんな感じがいいね。
1発外してソニアが焦って次弾を生成しようとしてわた突いたときも、「大丈夫だよおちついてー」なんて声が聞こえてきた。
がそんな和気藹々としたムードもココまでだった。
3番手はメイド術の免許皆伝のナディア、ナディアは石弾と呼ばれる魔術2秒間に3発のペースで撃ち、20のマトに全弾命中させて、動くマトにはやや慎重になったももの射撃点24点満点、時間12秒という驚異的な時間を叩き出し、教官がベタ褒めした。計算上の点数は118点だけれど、100点満点だね。
4番手のエイラはソニアと同じ風系の魔術だったけれど、エアショットと呼ばれる圧縮した空気塊を打ち出す技で、本来遠距離に向かないものを用いた。
見た目が地味で盛り上がりに欠けたが、24点満点+92点で116点の100点満点だった。
5番目は、いよいよボクだ。
メイド達に恥ずかしいところは見せられないし、将来ユーリの嫁となったときに、ちょっとでも軍官学校の成績とかいいほうが、箔もつくよね?
使えるものは何でも使っていいということなので加速も勿論いいよね?
「はじめ!」
教官の声と同時に思考加速を現在最大の10倍にする、発動構築に時間がかからないフィンフレアという小さな炎の燐片を飛ばす術を選択。
前世の異能であった火燕と操作感が近く同時に50程度までは操作できる眼くらましの火魔法だけど今回はこれでマトを撃つ。
動かないマトにはそのまま射撃、動くまとに放った分は操作をする。
ボクにとっては30秒近い時間だったけれど回りから見たら何秒だったかな?
先生が大変驚いた表情をしているし、歓声なんて聞こえない、メイド2人が「さすがはアイラ様です」と褒め、サーニャが「コレはエル族として負けてられないわね」なんてつぶやいている。
結果は射撃点24点+時間点98点の122点の100点だった。
時間が早すぎて、タイマーをとめるのが僅かに遅れたそうだ。ひどい
最後はサーニャだけれど、サーニャは先に教官に尋ねる。
「教官!発動機として弓をお借りできないでしょうか?」
許可が出たので、弓を受け取り配置についたサーニャは矢のない弓に弦に指を掛けて呼吸を整えている。
教官の「はじめ」の声と同時にマトが立ちあがり、サーニャは弓を構えて弦を2度引いた。
すると竜巻の様な風が幾条も伸び一瞬ですべてのマトを食い破った。
ボクよりも早かったね。
24+99で123点の100点だね。
ここまででこ訓練のハードルをあげてしまった気がする。ソニアでも十分好成績なのに、最初の6人中4人が100点を出してしまったせいで、たまに90点台が出ても、「あぁー」という声しか上がらなくなってしまった。
それが一通り終わり次は魔砲訓練、800m先の的を単発式の魔法で狙う訓練だ。
さっきの結果を考慮したのか今度はボクたちの班は6班の中では最後にされた。
和気藹々と訓練が進みまたボクたちの番になった。
この訓練の内容は、時間は無視し、3発の着弾地点がどれだけマトに近いかを図るものだ。
800mという距離は史上もっとも近い位置に砦を作りあった帝国との戦争史からの距離設定だ。
やはり一番手はリスティからだ。
リスティは変形を開始すると今回は1本のバレルを形成し斜め上に傾けた。
まもなく3発の弾丸がまったく同じ軌道で射出されて・・・・マトのあたり半径10mほどを吹き飛ばした・・・・高く打ち上げられた魔法の弾の威力は計測のためにターゲットの近くにいた観測者ごとマトを吹き飛ばした様に見えたが、観測者は死滅していなかった。一応全部の着弾地点がマトの周囲50cm以内だったため97点という評価を得ていた。
ソニアは今度は電気の魔法を使う。
一応得意魔法だし高出力で撃つなら遠距離も狙いやすい魔法ではあるのだ。
特に平原という地形ではね。
ソニア100点
メイド2人も特に危なげなくというか・・・当然の様に100点をとり。
またボクの番。
さてどうしたものか、遠距離狙撃は苦手だけれど、評価は落としたくない・・・。
まぁ特に出来ることもないのでフィンフレアを操作して的に当てておいた。
威力は出ないけれど、マトにあたればいいのだから。
まぁ100点だね。
最後はまたサーニャ、今度も弓を使う様だ。今度は矢も構えている。
先端に風を纏った矢は空気抵抗なんて感じさせない直線の軌道を描き、的を穿った。
当然の様に100点だった。
それから配給されたお昼を食べ、少しの休憩時間をとった。
別の班の子達が次々にボクたちのところに来て口々にその魔法の精度や威力を褒めていく、主にサーニャのだけれどね。
ボクのことはみんな魔術の腕じゃなく、見た目の可愛らしさのことを褒めていく、でもそれもサーニャのほうが美人だから、よりサーニャの方を褒めていく。
あれ?ボクまさか引き立て役になってないですか?
風が吹くだけでキラりと光の粒子が舞う美少女、目立つよね・・・・。
性格も社交的で、面倒見がいい。
ただリスティの世話を焼きすぎててノラとアニスを思い出すね。
どうもお互いに依存してる感じがする。
今だって・・・・。
「ほらリスティ、アーンして、貴方食器も上手に使えないんだから。」
なんていって、食べさせてあげてる。
この二人はいつもこうだ、口ではガミガミいいつつもサーニャはリスティの世話を焼き、リスティは甘んじてそれを受け入れている。
いい機会だしちょっと訊いてみよう
「お二人は、いつもすごく仲がよいですよね?」
ボクがたずねるとサーニャがえー?って感じの顔をする。
(えー?)
「そんなことないわよ、フツーよフツー。エルとトレントはコレくらいの関係性よ」
「うん、ふつー、リスティは、サーニャ、すき」
リスティはいつものゆったりした喋る方でサーニャのことが普通に好きだという。
「リスティは私が育てたんだから、私のことが好き、私もこの子が大事なのよ」
ちょっと赤くなってそっぽを向きながら応えるサーニャ、二人とも同い年だったよね?
「二人はそんな育てる育てられる様な年齢差があったとおもわないけど?」
ソニアはボクと同じ疑問を持った様だ。
「あぁソニア様、トレントとエルの共生関係をご存知ない様ですね。」
ナディアが説明口調になった、教えてくれる様だ
「トレントは生後5年くらいはほとんど身動きが取れないので、親や兄弟に世話をされます、ただエルと生息域の重なるトレントはある程度歳の近いエルとペアになって育ちます。幼いうちからペアとしてお互いを信頼できる様になるそうです。」
「そーそー、リスティなんて小さい頃から、いっつも私にお世話されて、『サーニャー、おなか、すいた。』とか『サーニャ、あっち、いきたい。』とか『サーニャ、ぎゅって、して』なぁんて甘えて大変だったんだから。」
目つきが親バカみたいになってるね。
そうやって小さいうちから信頼度を上げておくことで、森の危機にはお互いを信頼して森を守るために戦うことが出来るそうだ。
それに・・・・。
「あとはたまにそのままつがいになっちゃう場合もあるらしいますね、小さい頃から一緒ですし恥ずかしいことも、好きなことも全部知ってますし。」
「ツガイってなぁに?」
ソニアがたずねちゃう。
「まぁ夫婦ってことです。」
「ならサーニャとリスティは女の子どうしだから、番にはなれないよね?いつかは離れ離れになるの?」
ソニアは興味深々だね。
「あぁいえ、エルとトレントの場合は・・・・。あぁいえこの話はまたにしましょう。」
「えぇー気になるぅ!!」
食い下がるソニアに、チラッと一瞬サーニャのほうを見たナディアは話はココまでです。と打ち切ってしまう。
ボクもちらりとサーシャを見たがちょっと赤くなっていた。
なおもソニアが食い下がっていたのでボクもちょっと質問してお茶を濁そうかな。
「ところでその頃から人間と同じ食べものを食べるんですか?」
と質問すると
「んーとね、トレント小さい頃、あまり、固いのとか、食べられないから。」
というところまで言ったところでサーニャが話しの流れを切る。
「そろそろ次の訓練のために腹ごなしにちょっと運動するわよ!」
と真っ赤になりながらいった。
あぁコレも何かはずかしい質問だったかな。
よし、と立ち上がるとボクも体を動かし始めた。
今日はちょっとがんばって外伝ぽいほうを少し書こうと思います。
間開きすぎてますしね。




