第39話:危機一髪?
アイラちゃん乙女のピンチ回!
昨日の夜に投稿したかったです。
こんばんは、暁改めアイラです
王と言うのは往々にして好色とされる場合がある
それは世嗣を遺すという必要にかられての場合も多いが、単純にそれだけ経済力があるから女性を囲っているという場合もある。
彼の場合はどうなのだろうか?
突然王様がボクを寝室に誘った!
入浴を終えたら、アイラは一人でワシの部屋にくる様に
とのことだがそれはなにを意図してのことだろうか?
王様は好色だと聞いたばかりで、一応は女であるボクに夜1人で部屋にくる様に言う・・・その意図はなんだろう?と不安になっても仕方ないだろう。
仮にアレだとして、世嗣ぎを今さら増やしても火種になるばかりだそしてボクはまだだ
次に好色な彼が行為そのものが目的としてボクを誘うかと言えばそれも火種になりかねない・・・仮にも王国に4つしかない侯爵家の正妻候補なのだ。
目的はなんだろうか?
怪訝な顔をしているボクをみてようやく王様も思い至ったのか
「ち、ちがう!話があるだけじゃ!断じて人の道を踏み外すつもりはない!!」
ヴェルガ様やフローリアン様などから一斉に白い眼を向けられて王様が狼狽える。
「さすがのワシも婚約者のいる幼女に食指は動かんよ・・・せめてそっちの槍使いくらいにはならんとな」
「ひっ!?」
エッラが胸元を隠しながら怯える。
ん・・・なにかおかしいな?
「まてまてものの喩えだ、ワシは合意でなきゃヤらん!仮にも王だぞ?無理矢理で恨みをかって殺されでもしたらどうする」
要らないこと言わなきゃいいのに・・・
「わかりました、わざわざ内紛を起こす利点もないでしょうし」
まあこの王様は孫のサリィを溺愛していたそうだし、それより下の子をいじめることはしないだろう・・・たぶん
女の子たちだけでお風呂に入った。
王城の浴室はそれはもう見事なものだったし。
サリィから簡単な学校に関するレクチャーも受け、実に得るものが多かった。
ただボクはその後に控える王様との時間に少し怯えていた
(一体なんなのだろうか・・・?)
脱衣所をでるとノイシュさんが待機していて、ボクだけを案内してくれるという。
ノイシュさんに着いて5分ほどあるくと高い塔に続くという階段についた
「それでは、アイラ様ここからは一人でお上りください」
「ノイシュさんは最後まで案内してくださらないのですか?」
不安だしできればギリギリまで着いてきてほしい
「申し訳ありません、ここは人払いをされていて、近衛も非常時でなければなかなか近寄れない区画なので・・・ここで待機しておりますのでもしものときは呼んでくださいね。」
この階段でノイシュさんは待っている様だ。
仕方ないので一人で恐る恐る階段を上る。
石造りの階段はひんやりとして風呂上りの身体の熱を奪っていく。
スカートなのでより一層にひやっこい。
(うぅ冷えたら尿意が・・・お風呂のあとにもお手洗いいっておけばよかった。)
まぁ仕方ない、どの程度長引く話かわからないけれど、長くなりそうなら中座させてもらおう。
王様の言う部屋はこの一番大きなドアだろう、明かりが漏れてるし。
ボクはドアをノックしようとしたが、ノッカーまで手が届かなかった!!
なんて不親切な設計だ。
仕方が無いので素手でノックする。
コンコンと軽い音が響く。
中まで聞こえるか心配だったけれど、王様はボクを待っていてくれたためかすぐに気付いてくれた。
「アイラか?」
「はい、王様。アイラです。」
返事をすると入る様にいわれたので、ドアを開けて中に入る。
魔法の扉の様で、許可を出すまでは開かない様だ。
これって、もし襲われたら、ボク助からないんじゃ?
いやいや王様もおっしゃったじゃないか、そんなつもりはないと・・・
人を信じよう。
「よくきたてくれたなアイラ、まぁそこにかけなさい。」
王様は既にティーセットが用意されたテーブルに座っていた。
「王様、一体何のためにボクだけを一人で呼んだのですか?」
あの場ではダメだった理由がわからない。
一体何を話したいというのだろうか。
「アイラ、単刀直入に聞こう。君は何者なんだ・・・?」
(!?)
「おっしゃっている言葉の意味が良くわからないです。ボクは田舎出身の娘で、偶然父がホーリーウッド侯爵の縁戚だっただけの、ユーリの奥さん候補です。」
(何だ?何がどうしてそういう質問になった?意図は何だ?何を聞きたい?)
「アイラ、君は5歳のときに賊に襲われたが、3人中2人を切り捨てたそうだね?怖くはなかったかい?」
試す様にたずねる王様の視線はボクの何を見ようとしているのか。
「勿論怖かったですよ、それでもあの時姉を助けることができたのは、その恐怖を打ち破って、人を、殺めたからです。まぁ今より幼かったのでよく覚えてないのですけれど」
嘘は言っていない、今よりボクは幼かったし、加速の倍率が不安定だったせいで記憶としてはいささか不鮮明だ。
「ふむ、まぁいい、ワシが聞きたいのはだ。そなたの能力についてだ。」
「能力ですか?」
答えを聞いてもちょっと思い浮かばないためそのまま聞き返す。
「左様、うむ、先にこちらの秘密を話そうか、いっておくが国家機密だ。聞く覚悟はあるか?」
国家機密!?9歳の子どもに聞かせてもいいものかな?覚悟ってしゃべったら死ぬ、最悪じゃなくっても死ぬってことでしょ?
「王様、ボクはまだ死にたくないので、できればそういう機密とかは聞きたくないです。」
「安心しろ喋っても殺したりはしない、社会的に発言力をなくすくらいだ。」
それ社会的に殺すっていってる様なものだよね?
まぁいい、話さなければいいらしいし。
「それでなんでしょうか?」
乗りかかった船とはいわないけれどココで終りって言うのも湯冷めした甲斐がない。
「われら王族の王とその後継者の持つ力は知っておるか?」
前に聞いたことがあるよ
「確か、次の王を見極める力と、騎士を叙任する力だとか。」
「あれなぁ、嘘じゃ」
おぉっと?本当に機密ぽいぞ?
「実際のワシらの能力はな、『鑑定』という能力じゃ。」
鑑定?その言葉の通りなら、何かを調べ明らかにする能力ってことだね。
「この能力はワシら王族の直系の中に毎世代1人か2人程度現れる。そしてその能力を持つものが、王の名跡を継ぐのだ。」
ある程度遺伝する能力ってことだね
「能力の効果としては、能力を用いて見ることで、対象のもつ魔法と技能を調べることが出来る。」
チート能力だね、戦う前にある程度でも相手の術がわかるならそれは、ずるい能力だ
「欠点としては、知らない文字は読むことが出来ない。」
文字?文字としてみているのか
「そしてワシらは鑑定の文字を読むことが出来ない、ただ自分を鑑定し、その文字の形をしり、子どもが生まれるたびに赤子を鑑定する。コレによって鑑定の有無を知る。鑑定という能力名も、初代がそう呼んでいたというだけらしい。」
「じゃあ今も鑑定しているのですか?」
「そうじゃもはや毎日の習慣というやつじゃな、始めてみかけたり、暫く見てなかった人物なんかは鑑定する。そして今日もそなたらに鑑定をかけたのだがの、アイラ、そなたの魔法と技能に読めないものがいくつもある。こんなのははじめてだ。」
文字が読めないというのがどういうことかはわからないけれど。
それはきっとボクが暁だからだ。
「もう気付いておろうが、軍官学校で用いられるオリジナルの適正検査の道具とは何のことはないわしら王族によるチェックじゃよ。じゃがそなたの様にほとんどの能力が読めないものは初めてじゃ、職業適性もいくつか読めぬしな。」
「そして本題じゃ、読めぬそなたの能力名は、「鑑定」とよく似た文字の形をしているのだが、そなたに鑑定が使えないか試して欲しくての。これは王族の機密技能であるが、現在使い手がワシとサリィしかおらぬ、もしもサリィの子に鑑定持ちが生まれなかったときにそなたの娘に鑑定持ちが生まれたりしたら王家に輿入れさせればまた鑑定持ちが生まれるかも知れないと考えているのだ。家柄には問題が無いしな。」
それはつまりボクがもし鑑定の能力が使えたら、未来ボクの子に望まない結婚をさせるかもしれないのか。
だからと言って王様に機密まで話させた以上仕方ないね。
「では鑑定の遣い方の説明を伺ってもよろしいですか?」
王様により鑑定の説明を受けた。
だが・・・
「ボクには、どうも使えないみたいですね。」
残念ながら鑑定を使う能力はボクにはなかった様だ。
「申し訳ありません王様、機密事項まで話していただいたのにお役に立てませんでした。」
申し訳ないと思うと同時下腹にちょっとした痛みを覚える・・・これはまさか?
「そう落ち込むでない、これはこちらからの一方的な要請だったのだから」
うん申し訳ないとは思うけれど、落ち込むほどではなかった。
今ボクが暗い気持ちなのは・・・。
「あの王様お話は終わったのでしょうか?」
「あぁ本題は終わったが、せっかくだ。ユーリとの仲がどれほど進んでおるかとか、ワシにちょこっと話してみてくれんかの。」
ユーリとの関係の深さを王様が聞きたいというのであれば、話すのもやぶさかではないのだけれどそれも普段ならばの話だ。
「それではそちらはまたの機会としていただけませんか?」
「なんじゃ?恥ずかしいのか?」
「それもありますけれど、もう時間が時間なので。」
「まだ」7時半くらいではないか夜はまだまだこれからじゃ」
王様は何をいうか、とわかってくださらない。
「王様ボクはまだ9歳の子どもです。そして今日は王様たちとの接触でずっと緊張してて疲れています。」
「あぁ緊張で思い出したわい、そなたなんでまた王様よびになる、もうそなたはワシの孫みたいなものじゃサリィやシシィとの仲も良かったしのう。」
「王様?」
ボクはサリィはともかくひとみしりしていたシシィとは食堂ではまともに会話すらしてない、お風呂場で水鉄砲をみせてさしあげてから仲良くなったけど。
「王様、ボクシシィとは何もお話して無くないですか?」
「いやそなたらあんなにキャッキャと会話を弾ませてたではないか・・・あ・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ボクフローリアン様のところに用事が出来ました。」
振り返るとドアの鍵が閉まる音がする。
「ま、まってくれ、今それをフローリアンに話されると確実にサリィから嫌われる!」
そんなの知らない、そんなことよりも。
すがり付いてこないで欲しい、仮にも王様でしょ!?
小柄な9歳少女に縋りつく図はまずいんじゃないかな?
「王様お願いですからそれ止めてください、特に今は!!」」
ちょっと声が大きくなっちゃったね、ボクも乙女として看過できない状況にあるのだ。
「そういわないでくれ、ワシを助けると思って・・・な?」
「いえ、・・・・はいそれはわかりましたからその腕を放してください」
腰周りに組み付かれた腕で、おなかが圧迫されてるんだ。
大変に限界が早まった。
「いや、そなたが誰にも話さない確証が得られるまで放すわけにはいかん、そなたはそのドアくらい破れる攻撃力はあるのじゃろう?」
王様の腕に少し力が入る
「ボクも今火急の案件があるのです。お願いです王様、その腕をお放しになってドアの鍵を開けてください!」
この案件は水物なんだ!
「王様ボクも乙女です、この様に腕を巻かれるのはユーリだけがいいです。」
せめて腕を放してもらいたい。
「しかし腕を緩めればそなた、ドアを破りリアンの元に走るやもしれん!」
ジワり・・・いやな感触がする。
「王様、一旦腕を緩めてください、何があっても走りません、いいえボクはもう走れません!」
「ん・・・・?」
あまりの情けなさと恥ずかしさから涙がでてきた。
「グッス・・・ヒック・・・」
ボクが泣き始めたことに気付いたのか王様が腕を放した。
まだ下着が湿っただけでたいしたことにはなっていない、いまならまだリカバリー可能だ。
が・・・・
「王様、今ボクは歩けません・・・」
「アイラ?」
王様のせいで、本格的な乙女の危機だ。
尊厳という意味では、下着がじんわりする時点ですでに手遅れな気もしないではないけれど
「王様、最寄りのお手洗いはどちらでしょうか?いいえ、最寄りのお手洗いまでボクを運んで頂きます!」
「え・・・?」
王様はマヌケ面をさらした。
朝からこんな話を投稿することになるなんて。
家を出る時間のためまさかの跨ぎになりました。




