第37話:ホーリーウッド家内クラウディア別邸
勢いに任せて書いたら、新舞台とキャラの紹介までたどり着きませんでした。
こんにちはアイラです
王都クラウディアにつきました
そしてお風呂です。
ナディアがいるとなかなかできないし、まずはかわいい妹とのスキンシップだよね
「アイリス、お姉ちゃんが頭洗ったげる、ここにおいで」
適当な座椅子に座るとアイリスを手招きする
脱衣所より5度以上は暖かい洗い場に入るなりボクはメイドの仕事を奪うことにした
「いいの?わぁい!」
アイリスはひさびさの裸のスキンシップが嬉しい様だ、一瞬後ろのメイド達を見返してから飛び込んでくる
ルンルン♪と聞こえてきそうな足取りでボクの前に座るアイリス、かわいいけど滑るから危ないよ?
普段はツインに結っている髪は下ろしていてキラキラと光っている
うっすらと透けるうなじの細さがとても愛しい
「マスターがアイリス様のお世話をしちゃうと私たちはなにをしたらいいんですかあ?」
トリエラが泣き言を言っている
「メイドたちとソニアで洗いっこでもしたらどうかな?親睦を深めるのが今日のお風呂の目的のひとつなんだから」
「マスターの背は流させてはくれないのですか?」
なおも食い下がるトリエラは不服そうに口を尖らせる
「今日は、かわいい妹に洗ってもらうの、いいよね?アイリス」
「うん、久しぶりの洗いっこだね」
「っ!?」
無邪気に振り向き笑うアイリスに、一瞬神楽を幻視する。
思い返せばボクたちも、あの頃の神楽と同い年か
「ナディアが居ると中々させてくれないもんね、そういう訳でボクはアイリスとイチャイチャするので、そちらはそちらで仲良くしててください」
「わかりました、じゃあせっかくなので私はエイラさんを洗おうと思います」
トリエラとエイラ、ソニアとエッラに別れて背を洗うことにしたらしい
アイリスの髪を洗ってやっていると、やっぱり長旅は堪えたのか少し傷んでいた
ボクは初級治癒魔法サプライを使いアイリスの髪を整える
(適性の低いボクの治癒魔法ではないよりマシ程度だけど)
アイリスの髪と背を流したら、アイリスと場所を交代し頭と背を洗ってもらう
アイリスは洗い方が丁寧だけど力が足りないなと思ってしまう
それでもかわいい妹に背中を流してもらってケチつけるなんてバチ当たりは出来ないし
この物足りなさも甘んじて受けよう
体を洗ってから湯槽に浸かるとすっかり脱力してしまう
アイリスたちも同様でみんなで湯槽に肩まで浸かり弛みきった表情をしている
今のうちに訊いて置こうかな
「ねぇエイラ、エイラが近衛メイドの中で唯一ボクたちと学校にいくんだよね?」
揺れ動くトリエラの尻尾を目で追いかけていたエイラがハッとこちらに向き直る
「そうですね3人は卒業済なので、私だけがご一緒します。」
首を縦に小さく振りながらエイラは肯定する、目線は尻尾をちらちら見ているね。
エイラは正面からみるとアニスやリウィ同様マスコット染みた可愛らしさがある
「エイラは近衛メイドだから訓練を受けているんだよね?学校は?」
「はい、普通なら近衛メイドは軍官学校を卒業してから任官されるのですが、私は7歳のときにフローリアン様からの要請を頂きました先に近衛メイドとしての手解きを受けて、ユーリ様方にあわせての入学となります。故にまだまだ勉強中の身ですので近衛としては至らないところも多いと思いますがどうかご容赦ください」
フローリアン様はユーリやボクのために幼気なエイラの人生の舵取りを親から分捕った様だね・・・
「エイラはその、嫌じゃないですか?早いうちから貴族仕えって。」
不思議そうな目をされた
「貴族の、それもホーリーウッド家の主家のお方に仕えることなど光栄の極みです、早くからお仕えした方が信頼度も高いですし、私はフローリアン様が懐から学費も出してくださるので文句などいっては罰が当たります」
いいながら笑顔になるエイラ
軍官学校は無料ではない、一部の適性持ち(治癒や通信の魔法適性などが徴兵対象)でもない限りは初年度前期には学費がかかる
評価点によって昇進という制度がある軍官学校では初年度後期からは階級に応じた年金が出るのでそこから学費が賄える、落第さえしなければ4年で最低でも回収は出来るし、食事と寝床も安泰ではある それも入学できればの話という訳だ
それから卒業時には認められた階級からの軍務か出身地方の主要都市の防衛隊に入るかが基本の進路である、それとは別に予備役となり冒険者暮らしと言う道もあるけれど
ボクたちの場合はホーリーウッド家の人間なので卒業後はホーリーウッド領に戻るだろう
「それと・・・」
エイラは言葉を続ける、その顔は赤い
「お仕えしている期間にもしユーリ様が若さ故にアイラ様の望まれない行為を望まれる場合は、自殺するほど嫌でなければ私が捌け口になる様にと仰せつかってます。アイラ様は意味がわかるとのことなのでこれ以上の言及はご勘弁ください。」
フローリアン様は10才の乙女になにを命じているのか!
「ユーリはそういう人じゃないですよ、ちゃんとボクが成熟するまで待ってくれてます、まだ早いです」
「でも実際マスターもユーリ様も、まるで熟年夫婦みたいに睦み合ってますよね、お風呂も閨もよくご一緒しますし、自然にエスコートされてますし、会話も多くを語らずわかりあえてますし、とても10才9才の子女には見えません、それでいて挨拶のキス以上の接触はされませんよね?たぶん知識はおありなのに」
舌を絡めるのは挨拶のキスなのか・・・知らなかったよ
トリエラが要らない感想を述べてアイリスとソニアが食いつく
「いつもそんなことしてるの!?」
「キス以上ってなに!?」
ほらアイリスが興味もっちゃった・・・
アイリスにはまだキスも早いくらいなのに、婚約者の一人ということで触れる程度のキスはたまにしている。
それでも初なアイリスは真っ赤になってしまう
いまだって質問しただけでほんのり赤くなっているのはお湯にのぼせたのとは別の色だろう
「アイリスにはまた機会があれば教えるから、今はまだ首を傾げてて?」
耳元でささやくと「わかった」と聞き分けるアイリス、さすがはお利口妹だ
にこにこ笑顔がかわいいね、撫でてあげよう
「ふや?アイラ?」
なんで撫でられたのかわかっていないアイリスは不思議そうな顔をするけれど
湿った髪が指に気持ちいい
絹糸の様なっていうのかな?
柔らかく暖かいすべすべの髪はボクを虜にするね
「ソニアもまだまだそのままの君でいて欲しい、トリエラはあとでお仕置きね」
「マスター!?」
危うくアイリスに生命について教えないといけなくなるところだった
今夜はトリエラにも生命のあり方というものを教えてあげよう・・・・羽ペンでコチョコチョしてやろう
さてお風呂を上がり柔らかい部屋着に着替えるとお夕飯が出来ているそうだ
夕方5時半くらいなので少し早いけれど
つかれてるから早く寝ようということだね
ユーリもボクやアイリスのスタンスをわかっているので
全員揃った夕飯の場で1つの決まり事をもうけた
『この屋敷のメンバーだけの時は家族の様にしましょう』
無論メイドはメイドの勤めは果たすしボクたちは使う側ではあるけれど
自発的なお手伝いをさせてもらったり
姉の様な視点でボク達を支えてほしいと
ナディアも屋敷の中限定で認めてくれたし 他のみんなも反対はしなかったが、様づけはする様だ
ところでさっきから気になるのだけど
「どうしてアリエスは鼻血を出しているの?」
『・・・・・・・・・』
「いつもの病気です」
エリナだけが淡々とボクの質問に答えた
つまるところだ
アリエスは幼けない少女が大好きで世話を焼かずにはいられない症候群だが
弟妹の様に扱って良いと認可がでたことで妄想が鼻から滲み出た様だ
マリアというミドルネームや巨乳から母性的な印象を受けるが既にボクたち双子にメロメロだと言っている。
鼻から出ているものは母性なのかな?そういえば母乳って乳腺で血液を濾過したものだって聞いた、それまさか鼻からミルクがでているの・・・?
「アイラ様もアイリス様も、お伺いして想像してた以上の破壊力です!!」
「破壊力?」
「はか・・い?」
二人して首を傾げざるを得ない
その双子故の息の合った動作がまたツボであった様で更に興奮と体液の流出を極めるアリエス
「私の中にあった理想の妹像も、幼女像も木っ端微塵ですよ!素晴らしいです、どうしたらこんなに可愛らしくなるんですか!?」
見た目のことを言っているなら母譲りの美貌、性質のことを言っているならボクは元男だ理想の幼女なんてものじゃないよ。
「メイドのみなさんも美人さん揃いだと思いますよ?」
ユーリがボクたち以外の女を誉めた・・・?
信じられないものを見た!とユーリの方をみやると少し勝ち誇った顔をしている
どうも焼きもちを焼くか試された様だね・・・・
それに近い感情は持ちましたとも、満足いただけたかな?
悔しい。
「ええ勿論近衛メイドになれる程度にみんな美人ですけれど、私の妹になってほしいのはアイラ様やアイリス様みたいな方ですよ、エイラもかわいいはかわいいのですが、いかんせん無感動な子で・・・お人形みたいでこれはこれで堪らないのですけれどね」
口からも体液を垂れ流す残念美人のアリエス
エイラはかわいいということは共有できたけれど
(お人形さんみたい・・・か)
お風呂ではそれなりに笑顔や恥ずかしがってる顔を見せてくれたけれど普段は違うのかな?
「エイラはいい子ですよ、照れ顔とかすごくかわいかったです」
取り合えず思ったままを伝えると
「アイラ様、褒められると照れる」
と照れ顔になった
うんやっぱりかわいいね、肌が白いから朱が差せば目立つ
「エイラももっと可愛がり甲斐がほしいなあ」
とアリエスは微妙な反応
「じゃあボクがエイラを可愛がりますのでアリエスはボクらの世話を頼みます」
「私たちのことレディ扱いしてよね?」
アイリスが可愛らしい自己主張をする、より一層ガールっぽい発言だね
「お姉さん振るアイリス様かわいいっ!」
アリエスは血の川を作る
「私はガールでも構わないけど?」
エイラはポソりと宣う
ジト目気味でかわいい
そんな風にかわいいみんなをみていたら自然と笑みが溢れてしまう
「僕はやっぱりアイラのその顔が一番かわいいと思う、愛してるよ」
突然の告白に耳朶まで真っ赤になったのがわかる、人前で惚気などやめてほしいね
そういうのは夜二人の時にして欲しい、それに大好きくらいならともかく愛だなんて、思いが重いよ
笑顔でのろけたユーリの表情がボクも大好きなのは秘密だけどね
「ユーリ様そういったお惚気はお二人の時になさってください、聞いているこちらまで暑くなってしまいます」
アリーシャが顔を扇ぎながらに言うが、まあ効果はないだろうね
親の前でもキスできる様な彼のことだ
何者も彼を止めることはできないだろう
仕方がないのだからボクもしっかり応えなければ、とボクは赤い顔を真顔でごまかして
「ボクも愛してる、ユーリの真っ直ぐな愛で世界が輝いて見えるよ」
と仕返しとばかりに愛しさを伝えたのだが、彼は「ありがとう」と涼しい顔、恥ずかしがってはくれなかった、また悔しい。
夕飯の後アイリスは既に自室で寝付いた
そしてボクは呼び出しに応じてユーリの部屋で待っている
(「クラウディアでの最初の夜はアイラと二人がいいな」だなんて、断り様がないじゃないか)
ユーリがナディアと共に入浴中、トリエラとエイラはアイリスのとなりにおいてきた
ソニアはとエッラはアリエスと話があると言ってメイド部屋だから、いまボクはユーリの部屋に一人だ
ユーリの部屋というがここには今日ついたばかりでユーリの匂いも生活感もほとんどない
ただ持ち込まれたばかりの服や道具が整然と家具に収まっているだけの広い部屋で
一人でユーリを待つ
正直に言うとボクも眠たい
時間はまだ夜8時を回ったくらいだけれど
アイラの9才の体は睡眠を欲している
20分ほど待っただろうか?
部屋の戸が開き、ユーリとナディアが部屋に戻ってきた
「お待たせアイラ」
ユーリがお風呂上がり特有の艶々した潤いをおびた状態でボクのとなりに座る。
ただ問題はボクが既に眠たさでベッドによこたわって
既に意識を手放しかけていることだ
「おかえり、ユーリ」
「アイラ様、かなりギリギリみたいですね、いつもの理性的なアイラ様ではないです」
その通り、ボクはいまは食欲を満たされ、睡眠欲と戦っているところなのだ
「アイラ、せっかくだけど今日はもう寝ようか、おやすみのキスしてもいいかな?」
ユーリがボクの髪をなでながら優しく囁いてくる
「ん・・・」
目を瞑って口をつき出すと優しくほほに手を当てられて、口の中に舌が差し込まれる
歯の後ろを撫でられるとくすぐったくてゾクゾクする
10秒弱ユーリはボクに口づけしていたがすんなりとはなれた
「・・・ユーリ?短い?」
いつもは30秒近いのに、と目を開けると
ニコリと笑うユーリの顔
(しまった!やられた)
「なに、もっとしたいの?いいよ?」
ユーリのかわいい策略にやられてしまうなんて寝ぼけていたとはいえ失態だ
再びユーリの唇が押し付けられボクの舌根にユーリの舌がトントンとノックする
また一瞬ユーリの唇が離れて行き、目と目が合うと
羞恥にボクの頬が染まるのがわかる
「アイラ、かわいい・・・」
ほとんど抵抗できないまま三度降り注ぐユーリのキスに体が喜んでいる
でもこんなボクをユーリがかわいいと思ってくれるのなら
ボクもまたかわいい婚約者として甘えようじゃないか
お手本は神楽だ、神楽はボクにとって理想の婚約者だったと断言できる。
ならばその作法に従うのは正解でないにせよ、間違いとはなるまい
「ユーリ・・・もっとギュってして・・・、温かいの好き。」
そういって両手をユーリの顔の横にいく様に伸ばすとユーリは意外そうな顔をしてから
「いいよ」
と短く言ってからボクの上に乗ってキスをしはじめた。
乗ると言ってもベッドの上に膝立ちしてその膝の間にボクを置いているだけで体重はかかっていない
ただそうやって上にくることでボクは逃げ道がなくなった
そのうえでユーリはボクに倒れかかり口だけじゃなく、おでこから肩にまでキスの雨を降らせてきた。
(ちょっと・・・!?ユーリ本当に10才?貴族ってみんなこうなの?)
「ふっ・・・やっ・・・」
我慢はしているが声が漏れる
ゾクゾクして体が熱くなってくる。
「アイラ・・・愛してるよ・・・」
そういいながらユーリの手がボクの二の腕を撫でる・・・
「!?」
体がビクリと震えてしまった。
そのまま目を瞑っているとユーリはその手をそのままボクの頬に当てて
最後に優しく短いキスをした
「・・・ユーリ?」
いまボクはどんな表情をしているだろうか?
ユーリを見つめると優しく微笑んでいて
「今日まで疲れたし、そろそろ寝ようか?」
そういいながらボクの頭を撫でる
「う、ん・・・」
全身の力が抜けてしまい膝がガクガクしてしまっている
頭の中は混乱している、ユーリがここまでのことをするなんて、10才ってすごいね
そのあとユーリはナディアにいくつか指示をだし
ボクと自分に布団を掛けさせた
ナディアは部屋の魔導灯を消して部屋を出ていった
窓から入る月灯りがユーリの顔をうっすらと照らしている
ニコニコと微笑むカワイイ顔は相変わらず女の子みたいで
その表情を見たボクは、きっと彼のカワイイ婚約者になりきれていると自分を信じていられる。
「ねぇアイラ・・・まだ起きている?」
「大分眠いけど・・・・なあに?」
「手、握っていい?」
かわいい婚約者の申出にボクは無言で手を差し出した。
翌朝目を醒ますとユーリは手を握ったままで寝ていた
規則正しい寝息を立てるかわいい寝顔にフフと顔が緩む
同時に夕べのことを思い出して頬が熱くなった
(なんてことだ・・・あんな・・・あんな自分からキスをねだる樣な真似・・・・)
恥ずかしさに身悶えしている暇もなくティーセットを携えたナディアが部屋に入ってきた
「アイラ樣おはようございます、ユーリ樣は・・・まだ寝てらっしゃいますね。」
「おはよう・・・」
ナディアには昨日の痴態を見られている・・・恥ずかしくて顔を見られたものじゃない
ナディアも察しているのか
少し伏し目がちにしている、ところがナディアのその態度はボクの心情を慮るものではなかった樣だ。
「あの、アイラ樣・・・」
遠慮がちに手をあげながらナディアはボクに伝えることがあると言う
「なんです?ナディア」
「あの、夕べユーリ樣が・・・・」
伝えられた内容はキスしてユーリを起こすと言う中々にハードルの高い内容だった。
でも仕方がないよね・・・ボクは婚約者なんだから。
そういえば神楽にそうやって起こされたこともあったなあと思い出しつつ
ボクはナディアにまだ熱いティーポットを代えてくる樣に指示を出した。
アイラの心の声がぶれぶれなのは暁とアイラの合間で葛藤しているためです。
決して私がキャラ管理できてないわけではありません、他のキャラの口調が変わるのは主に私がキャラ管理できてないからです。
次回こそはフローリアン様の前にたどり着きたいです。




