第30話:悪巧み
ハーレム系主人公って憧れますよね、でもアイラにはハーレムも逆ハーレムも作れなさそうですね。
可能性を探してもユーリを中心としたハーレムメンバーくらいにしかなれなさそうですね。
嫉妬深い子なので難しそうですが。
こんにちは、暁改めアイラです。
ボクたちの記念の日に
暴れてくれたポピラー男爵は、フローリアン様の衛兵につれて行かれた
ユーリとボク(とアイリス)の婚約パーティはやや残念な流れになった
だいたいポピラーのせいだけど
途中参戦したロディマス男爵のお陰でボクが表だって殴る蹴るをせずにすんだ
実際にはしているがあの場にいた人間でそれを看破したものは少ない
・・・・はずだよね?
夕方になりパーティは無事お開きになった。
参加している貴族にはボクやユーリと近い年齢の子女を伴ってきたものも多いし
ポピラーのせいで少し空気も悪かったしね
祝いにきてくれた人たちにお礼と騒ぎになって申し訳なかったと挨拶
会場を出る方々に挨拶しているとロディマス男爵が立ち止まった。
「アイラ殿、災難でしたな」
「ロディマス男爵、先ほどは庇って頂きありがとうございます。お陰さまで婚約初日からユーリを泣かせることにならずに済みました」
「僕からも御礼を、ロディマス男爵、僕の婚約者を護って頂きありがとうございました」
そういって二人で頭を下げる。実際ロディマス男爵のお陰でユーリもボクもケガはしていない
ドレスが少し汚れたが、破れたりしていないのでまあ良しだ。
「お二人は本当に6才と8才なのか信じられないほど、しっかりしておりますな、うちのバカどもも、お二人の半分ほどでもしっかりしてくれるといいのですが」
「お子さんがいらっしゃるのですね」
「アイラ殿は、まあご存知ないでしょうな、うちには3人の息子と娘が一人おりましてね、長男があまり出来がよくなくて有名でしてなあ」
悩ましそうに首を振る男爵
そうなの?とユーリに眼をやると無言の首肯
近隣の貴族の子弟にまで知られるほどの放蕩モノか・・・
「二、三男たちはまあまあマシなのですが、長男は12才だと言うのに、分別なく暴れることが多くてですな、嫡男故甘やかせ過ぎたのか、なんとかなれば良いのですが・・・、いまのままでは将来のポピラーになりかねないのです。」
ロディマス男爵ほどの好漢でも、息子の教育には頭を悩ましているらしい
「来年から、軍士官学校にやるので少しは根性が治れば良いのですがね・・・、おっと、長々と失礼しました、将来の結婚式が楽しみです、ぜひ参列させてください。」
最後にユーリと握手して去っていった。
他の参加者もだいたいは祝福の言葉を残し、子息たちの中でも何人かは意気投合したものがいて、親しげに話しながら別れを惜しんでいる。
ボクも3人ほど特に仲良くなれた(多分)娘がいて肩を抱き合い別れを惜しんだ
さて客は全て送り出したし、客室には遠隔地からきた諸侯は残っているけれど、今日の役目は終わった。早いところ着替えたいけど、先にフローリアン様に呼ばれてるんだよね・・・。
ということでホーリーウッド城内の貴賓室にやって来たボクとユーリ。
許可を得て入室するとそこではすでにフローレンス様とフローリアン様がお茶を飲んでいた。
「お勤めお疲れさまでしたユーリ、大変でしたね、アイラ」
「ああ、かわいそうに・・・せっかくのお祝いだったのにあんな目にあわされて、よく耐えましたね」
フローリアン様はボクをねぎらい
フローレンス様はボクを抱きしめいたわってくれた
「ありがとうございます、皆さまが御覧になっているので、頑張って我慢しました」
軽く笑顔を作る。
少し情けないかも、と感じながらボクはユーリの腕を抱き寄せる
「アイラは毅然とした立派な態度でした。アイラのことは私から陛下に上奏しポピラー男爵は処罰して頂きます。貴族にふさわしくありません」
「ポピラー男爵はともかく男爵家の者はどうなるのでしょうか?」
ユーリがボクも気になっていることを尋ねる
「ポピラー男爵家は2代前までは騎士爵家だったわ」
フローレンス様が語り始めた
「ポピラー騎士爵領は岩地が多くて、面積の割には収穫が少ない土地でしたが、3代前が岩地の上に土を足し植林し、水をよく蓄える台地を作りました、裾野には小さい草原が出来、山地と草原とで山羊を飼う様になりました、土壌が安定したことで先代の頃には収穫領が2倍近くになり、山羊の乳と肉とで冬も貧しくはなくなりました。租税も1.5倍程納める様になり、男爵に繰り上げとなりました、男爵にしては年の租税の量は少ないですが、これはもっと土地開発に励む様にという意味もありました。」
おぉ、ポピラーの先祖高評価だったんだね。
「・・・しかし当代のポピラー男爵は短期的な収入と自身の館の建造の為に山地の木を伐採し、山羊も子やぎを全て食肉に回す様にしてしまいました」
偉そうに貴族に相応しい振舞いとかなんとか言ってなんのことはない、ただの残念な奴だね、わかってたけれど
「いまのポピラー男爵領は100年前よりもひどい状態です、隠居していた先代は、木を伐採するのを諌めた際に、男爵に斬られました」
父殺しまでしているのか、その時処罰出来なかったのかな?
フローリアン様が言葉を継ぐ
「父親でもそれですからね、いま彼の家臣は阿り諂うものばかりです、妻子と民のみ残し、直臣は斬首か流刑が相当でしょう、子については長男レグルスはそこそこまともらしいので騎士爵として独立させましょう、それ以下の男子と妻は教会へ入れましょう、娘のカテリーンはホーリウッドの人質として残します。
他に庶子が多量にいる様ですが、そちらは無視します」
「無視ですか?」
「無視です、どれがポピラーの種かわかりませんからね。」
「どういうことです?」
何で自分の子どももわからない様な状態になるのか
「アイラには教えられませんが、かの男爵はろくな領主ではないということです」
「(アイラはショヤケンってわかる?)」
ユーリが急に耳打ちしてきた
珍しく悪戯っぽい言い方で耳と首にユーリの息があたりゾワゾワした
(ショヤケンって初夜権?中世に一部の貴族が適当な理屈で定めて婚姻前の領民を味見してたっていう?最低だな!男爵)
ボクやサークラが男爵領の住民だったらと思うと殺意すら湧く
お陰でフローリアン様の話しを一部聴きのがした。
丁度そこでドアがノックされる。
コンコン
「ギリアム様、サークラ様がお越しです」
部屋の外で待機していたメイドが取次ぎの伺いを立てる。
フローリアン様が許可を出しドアが開く
「母上、姉上、サークラを連れて参りました」
「失礼致します。」
ギリアム様はいつも通り、サークラは少し恐縮している。
サークラはすでに普段着(といってもウェリントンのものではないホーリーウッド家で用意されたものだが)に着替えている
「ああサークラちゃん、貴女と話したかったのよ」
フローリアン様が気軽にサークラに話しかける。
「なのにサークラちゃんてば、酔っぱらって引っ込んじゃうんだもの・・・」
「申し訳ございませんっ!」
みるみる真っ赤になったサークラが90度で謝る。
真っ赤な顔は久々にみたけれどやっぱりサークラはかわいい
「そんなに謝ることじゃないわ、ギリアムが飲ませたんでしょ?この子お酒好きだから」
ギリアム様が苦笑しているが、サークラは非常に焦っている。
「まさか、葡萄酒1杯であんなに酔うなんて思わなくて、申し訳ございません!末席とはいえホーリーウッド家に入れて頂いた身でありながらあの様な痴態を晒してしまい、家名を汚しました。いかなる処罰も甘んじて受けます、ただ死刑や流刑はアイラたちが大きくなるまでは猶予していただけないでしょうか?」
どうもサークラは記憶が残るタイプらしい
サークラは悲痛な面持ちで頭を下げる
どうも男爵への仕置きの内容を聞いていたらしいね、サークラはそこまでひどいことしてないし、厳しい沙汰はないだろう。 フローリアン様とフローレンス様は顔を見合せてニヤリと意地悪く笑った。
ギリアム様は気にしない様にサークラを宥めている。
「では陛下に代わり私から沙汰を下します、サークラ・ウェリントン!」
フローリアン様が仰々しく構えて堂堂と述べる
「はっ!ハイ」
サークラはビクンと体を震わせて、それでも頭を下げたままでいる
「貴方は今後ウェリントンと名乗るのを止めなさい」
家名を捨てさせる・・・?それって出家!?サークラが!?
(ボクはそんな決定は認めない!)
ことサークラのことなのでボクも判断力を失った。
「フローリアン様!?」
フローリアン様が手でボクを制止し目配せする。
(もう少し見ていなさいということ?)
「あの、せめてホーリーウッド市内で生活させてください・・・」
サークラが悲痛な声で言う
「あら?それは当然のことよ?」
フローリアン様がおどけた様な声で言う
「あ、ありがとうございます!」
サークラはまだマシだと思ったのかホッとした表情を浮かべる
「姉上、母上・・・」
ギリアム様は少し二人を責める様な口調だ
「あら、ギリアムは市内で暮らすのはいやかしら?」
フローレンス様が尋ねる
ギリアム様は歯噛みする
「それはもちろん市外より市内の方がいいですが・・・・」
そこまで聞いてフローリアン様が手を叩く
「善は急げと言います、早速今夜にでも手配しましょう、ユーリたちの記念日とお揃いです」
「????」
ここまできておかしいなと思う、お二人はどうも悪戯を仕組んでいる様だ。
「失礼ですが姉上、いまは何の話しでしょうか?」
「ギリアム貴方まだわからないの?サークラちゃんをギリアムの継室にする話よ?」
『!!?』
ギリアム様 サークラ ボクはなにを言われたのかわからないという表情になる
ユーリは薄々気付いていた様で笑っている
それにしてもサークラが結婚?
しかもギリアム様と?
二人の表情を見ると、軽く紅い
「貴方たちが、少し前から思いを通じていることは、私も存じています。」
とフローレンス様。
「我々はまだその様な関係ではありません!」
ギリアム様があわてて否定する
「まだ、と言いましたね、ゆくゆくはなるかも、ということですね?」
「っ・・・!」
口を噤むギリアム様
「悪いというのではありません、むしろ都合がよいです。外戚も作らず、ギリアムの体裁もよいです、その若さで夫人もいないのではね・・・?」
「母上・・・」
何となくギリアム様は良い様だ
次はサークラだが・・・?
「あのフローレンス様、ご存知かと思いますが私は、ウェリントンが教われた時に・・・・汚されているんです。」
サークラはウェリントンを襲った賊に辱しめられている
そのことを気にしている、自分は汚れているのだ。と
「サークラちゃん、私も分かる、と軽々しく言えることではないけれど、賊に辱しめられてもサークラちゃんは汚れてなんていないわ、それにそんなものの為に貴方が女としての幸せを得られないなんてバカげたこともない」
フローリアン様もだいたい察して下さっている様だ
「サークラ、アレから時経ちました、貴方月のモノが来ていますね?
「・・・はい。」
「つまり賊の子は身籠っていません、ギリアムとの婚姻に障害はありません」
だからか、いつも生理の時は辛そうにしているのに、1、2月中の時は嬉しそうだったのは・・・・。
「さて、あとはギリアム、サークラ、ユーリの問題ですね」
フローレンス様が淡々と、しかし優しく語る
「サークラ、貴女はギリアムのことをどう思っていますか?」
先ずはサークラ、女性側の気持ちを尋ねる
ギリアム様に先に言わせるとそれに追従する可能性を考慮したのだろう。
「私は・・・私なんかで良いのでしょうか・・・?」
サークラは迷いを口にしようとする
「サークラ?私は貴女の気持ちを確認したいのよ、良い悪いではないわ」
サークラは自分を見つめるフローレンス様の瞳を少し涙ぐんだままの赤い目で、力強く見つめ返した
「私、はギリアム様をお慕いしております」
「よろしい」
フローレンス様はサークラの手を優しく握り込んだ
「じゃあ、次はギリアムね?貴方の気持ちを教えて頂戴?」
フローリアン様がギリアム様を貫く様な目線を向ける
「姉上・・・私は・・・」
ちらりとユーリの方を見つめるギリアム様
ああ・・・そういえばユーリの母が亡くなってからまだ3年ほどという話だったな
なかなか結論を言えないギリアム様にユーリがしびれを切らした様に言葉をかける
「お父様は充分に操を立てました」
「ユーリ!?」
「僕は、きっと母様もお父様の負担になりたくありません、どうか素直な気持ちを語ってください」
まあすぐに違うと言えなかった時点で答えはわかってる様なものだけれどね
「サークラ、私は、そなたの気遣いや家族愛に何度も癒された。ミリアが亡くなってから長らく感じられなかった安らぎを与えくれた。どうか私の妻になって欲しい」
ギリアム様はひとつひとつ言葉を選びながらサークラにプロポーズした。」
ガラケーなのですが本格的にやばそうになってきました、代え時なのでしょうか・・・?
更新ペースの維持が難しくなってきた気がします。
自分で設定したことを管理できてないので、書くのに時間がかかってます。