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第25話:ニアミス

前回と同じお昼休み中です。

3/6ユリウス様の教室、となっていた部分をユーリ様の教室に訂正しました。


 こんにちは暁改めアイラです。

 アイリスにユーリとのイチャイチャを見られていたことが分かった。

 恥ずかしい、穴があったら入りたい。



 ただココまでは恥ずかしいで済んでいたともいえる

 今ボクは気まずくなる予感がひしひししているからだ。


 ただでさえ穴に入りたい様な恥ずかしさと顔の熱さに参っているのに

 ほんの数メートル前にユーリが居るのだ。

 

 渦中の人物の登場に反応は分かれる

 ウェリントン組はどうやって知らない人のそぶりをしようか考えている。

 今はまだ、ボクたちがホーリーウッド候爵家にお世話になっていることは内密のことなのだ。


 次に周囲の人々や、コリーナとソニアの反応はアイドルを見た女子小学生みたいな反応だ、きゃーきゃーいって注目している。

 

 次にボクは・・・恥ずかしくてゆでだこになってしまった。

 

 最後にリウィは、美味しそうにビスケットを齧っていた。


 ソニアがこっちによってきて、興奮気味に、しかし小声で話しかけてくる。

「すごいラッキーだねアイラ、ユークリッド様だよ?」

何が幸運なものか

今ボクを苛む羞恥の根源であり

ボクの目下最大の悩みの種でもあるユーリが目の前に・・・・胸がドキリとしたのは緊張感のせいだ。


(コリーナは察しがいい、ボクやウェリントン組の反応でなにか気付くかもしれない・・・)

何よりもいまボクはユーリの話をしていて顔が赤い、そんな時に本人が来ちゃってさらに恥ずかしい気持ちが溢れている。


(恥ずかしいを通りこして気まずい!)

まるでサプライズ準備中に本人が偶然会場にでもきた様だ。


ユーリはそんなボクの想いを知ってか知らずか周囲の悲鳴にも似た歓声に一切応えることなく、こちら側へ歩みを進めている


ユーリの傍らにはナディアも侍っていて、恐らくは食べ物が入っているバスケットを携えている

ユーリたちはそのまま歩き過ぎていくかと思われたが、ごく自然な様子で立ち止まった


「おや、アイラさん?奇遇ですね、学校でお会いするなんて」

よそいきユークリッド様降臨!!

でも関係は秘密のはずなのに話しかけてくるだなんて・・・・


(どうしようかな?)

ユーリの領内での認知度は高そうだ。

少女の様な美貌(こんなすがた)の貴公子様だしね


ただ、リウィは知らない様だしさっき歓声をあげていた中にも単にかわいい!と声を上げて指をさし、隣にいるお友だちに窘められている子もちらほらいた。

(ならば・・・)


「ユーリさん!その説はお世話になりました!選んでくださった服皆ほめてくださいましたよ」

ユーリは賢いしこんな即興シナリオにもつきあってくれるだろう


「それは良かった、言ったでしょう、衣装にあわせて下着も代えたほうがいいと」

(なん・・・?)


「プフォ」

ああ・・・サークラが口からティーを吹いている


ユーリ、合わせてくれるかと思ったけれどちょっと7才には荷が重かったか


その時沈黙を続けていたノラが絶妙に素晴らしい質問をして手助けくれた


「あのアイラ、そちらのお方は?」

ああノラ、もつべきは察しがよい友達だね


ボクは気を取り直し皆の方を振り返りながら長い説明台詞を・・・

「ああ、みなさん紹介しますね!こちらはユーリさんです。私が先日服選びに困ってたら一緒に選んでくださって、最初女の子かと見紛うほどキレイな方なので、下着選びまで手伝ってもらってしまって、あとから男の子だと聞いてビックリやら恥ずかしいやら、その節は大変見苦しいモノをお見せしてしまいましたが、恩人なんです」

うん長いね。

でもこれでかなりごまかせたはずだよね?



コリーナとソニアが慌てて、その方侯爵様の孫だと説明し、ウェリントン組が驚いたフリをする中リウィだけがなにもわからない様子で「ん?」と首を傾げながらおやつ後のミルクを飲んでいた


その後、ユーリとナディアは奥の屋根つきのテーブルまで歩いていった。


嵐の様な一時、恥ずかしさは吹き飛んだが微妙な気まずさが残る。

動揺しすぎなのかもしれないが終わったことを悔やんでも仕方ない


「次の時間は運動着に着替えないとですし、そろそろ片付けていきましょうか」

コリーナが言う通り次は着替えが必要な授業なためボクたちは教室に戻る支度をして、食器は軽く流し場で洗ってからサークラたちに任せて中庭を後にした


教室に戻って着替えたあと催して一人でトイレに行こうとしたところカテリーンの取り巻きに囲まれた。


 囲まれたといってもむこうは4人だけ

 正面から時計回りにソバカスのメリンダ、糸目のカティア、釣り目のコリヤ、髪を盛っているセスは全員9才でカテリーンやコリーナとは同い年だ


(なにか用事かな?この4人にまともな思い出はないけれど)


「ねぇちょっと金髪おチビさんに聞きたいのですけど・・・」

金髪チビとはいってくれるなメリンダ、カテリーンの腰巾着が、でもボクはお利口さんだからね、こんなことではおこらないさ


「なんでしょうか?メリンダさん」

他の3人もやや警戒する、メリンダは前科があるし他も似た者らしいからね


「あなたさっき、ユ、ユークリッド様とお話してたみたいじゃない!?平民の癖に図々しいと思わないの!?」

ボクの記憶が確かならキミたちも職位なしのポピラー男爵、の家臣の娘だから身分的には庶民だけどね


「ユーリさんの方から話しかけてきたのですから私が無視したり話しかけないでと言う方が失礼になりますね、呼び方もユーリさんからの指定ですし」

なお家では呼び捨てだよ?


4人組はフルフルと赤くなって震えていると思ったら捲し立ててきた

「あんたねぇ、カテリーン様でも挨拶もそこそこで失礼するのに、あんな長々と話すなって言ってるの、ユークリッド様にご迷惑だし、序列は守りなさいよ!」

『そーよそーよ!』


廊下で騒いでいるのだが他の生徒はかかわり合いになるまいと遠巻きに見ていだけ、飼い主のカテリーンの姿もない

 教室かすでに校庭にいるのだろう

こいつらはあれだ、自分達のカテリーンが挨拶すらして貰えないのに、チビな双子がユーリから直々に声をかけられたのが不満なのだ

それもあるいは主人思いなのかもしれないけれど、キミたちの主人はこんな見苦しいマネは望んでないと思うよ


それはそれとして・・・だ

「すみませんが、取り合えずあとにしていただけませんか?お手洗いに行きたいので」


そういった瞬間の4人のおぞましい表情は忘れられない

(良いこと思い付いた、ってところかな)

取り合えず間を縫って抜けたが4人はボクがいたあたりに掴みかかりなにか捕まえ様としたみたいだ。

(底意地が悪いというか、この年でどれだけ心根が腐っているのか・・・)


ボクとしてもウェリントン、ディバインシャフト城に続くゴールデンレイク(おもら)生成()は遠慮したいところだ

廊下は走れないけど加速に頼らずともこいつらをあしらうのは簡単だ

ボクはそうだな、職員室横のトイレにお邪魔しよう


後ろからのふざけんなよ、とか、なぜ捕えられないのよなんて声は無視してその腕をよけ続ける

 なるべくギリギリでよけてやるとずっと付いてくる。

コイツらアリかなにかなのかな?ボクのほうばかりみてて周りが見えていない。


すでに職員室の入り口だけれど、ここにきて小走りになったボクに夢中の様で追いかけてきた。


ここでわざと捕まる

「キャッ!放して、おしっこでちゃう!」

(冷静になると恥ずかしい台詞だけど演出のためだ)


ようやくボクを捕まえたメリンダたちは実に嬉しそうに


「教室かユーリ様の教室か選ばせてやるよ!」

「ここでお腹押してもいいよ?」

「やめたげなよおしっこ出ちゃうぅ、ギャハハ」


 なんていうか手間が省けるから助かるけれど、なんていうか素直なんだろうね。

「せんせー助けムギュ」

 口を押さえつけられるけれど、そもそもココは既に職員室、昼休みなのでほとんどの先生がこの場に居るのだ。


 先生たちが真っ赤な、あるいは真っ青な顔をして駆け寄ってくる。

 ボクはすぐに開放され、たものの口や身体を押さえつけられたためかトイレに駆け込むだけの余裕が既になく、女性体育教員のターニャ先生によってトイレに運ばれるという青春の恥ずかしい一ページを綴った。


 その日の午後の授業に4人の姿はなかった。

 カテリーンが一人で寂しそうだったので、ボクたちの班に今日だけ入れてあげた。

 リウィのほっぺをぷにぷに、アイリスの手をナデナデ、ボクの腕をニギニギして

 いつもより幸せそうだった。

 

ということでニアミスしたのはユーリとアイラではなくアイラ自身の問題でした。3度目の悲劇は回避できましたが、こんなニアミスが続けばいずれはまた大事故が・・・?

できれば日付が変わった頃までにもう1話進めたいです。


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