第21話:Birth
BirthですBitchではありません。
こんばんは、暁改めアイラです。
あの悪夢の様なウェリントン襲撃から約半月、一番寒い時期も過ぎ。
あとは春を待つばかりの10月36日一年の最後の日、日ノ本で言えば大晦日だね
ボクがあっちで過ごした最後の大晦日は桐生家にお邪魔して、神楽を膝にのせて大晦日だよトウキちろう2時間SPをみてたっけなぁ・・・神楽たち四つ子の部屋でみてたからちょっと気まずかったっけ。
今日はアイラとアイリスの誕生日でもある、
王国では年末には家族で食事をとってから、親しいものと歳を越すものらしい。
そしてこの年末最後の日と翌日の年初日は死亡した聖母が神の王の子を身篭って復活した日とされることから聖母教の最大の祭祀の日でもある。
そしてその謂れのためか聖母教圏では7月下旬~8月上旬の誕生日の人が多いそうだ。(深く突っ込んではいけない。)
それはともかくとして、我がホーリーウッド家でも先ほどまで晩餐が行われていて、その場でボクとアイリスの誕生日のお祝いも盛大にお祝いしていただいた。
このところのユーリとの付き合いでアイリスも男の子に慣れてきた、歳が明けてから1月13日からは学校も新年度が始まる。
ホーリウッド市の学校制は5歳になる年度までが入ることが出来る幼児院(日ノ本での保育社と幼稚舎を合わせた様なシステムだね)
6歳(7歳になる年度)~9歳(10歳になる年度)まで入学できて
最短3年で卒業でき、最大で15歳になる年度まで居ることが出来る基礎教育学校
それからそれ以上になると、各職業ギルドや職人への弟子入りなどより専門性の高い教育が行われる場合もあるけれど。
貴族では最短の3年で卒業できる様に先に自宅で勉強させてから入学させる場合が多い。ボク、アイリス、ノラはホーリウッド家で昨年までユーリを教えていたという先生によって学力を確認され、おそらく不安なくストレートで卒業できるであろうという判断をいただき。
来年度から学校に通うことになっている。
ボクらが最低年齢だね、いじめられないといいけど
ホーリーウッド城での晩餐から帰ってきて、今はボクたちの寝所に一番近い食堂で、子どもたちだけの秘密(ただし大人にはバレている)のお誕生日パーティの真っ最中
「アイラ様!アイリス様!お誕生日おめでとう!!」
メイド達(エッラやナディアたち以外の者も含む)がお祝いの言葉を述べて、音魔法道具ののクラッカーを鳴らしてくれる。
今年は無事とは言い難かったけれど、なんとか誕生日を迎えることができた。
キスカが流産して、落ち込んでいるのを見るのが辛かった
ソラが生まれて村が明るくなったね
アニスが自分の名前を読める様になったのは感動だった、うちの妹天才!って姉バカになっちゃった。
水遊びをしてピピンにセクハラされた、あの時の腰の痛み忘れてないよ
ナタリィと出逢った、今頃何しているだろうか?
オルセーが亡くなった、襲撃を経験せずにすんだ、笑って死ねたって喜んでもいいんだろうか?
みんな死んでしまった。
特にウェリントン組にとっては今年は正直・・・一生忘れられない年になるだろう。
でもそんな年でも、最後にはお誕生日会という幸せな思い出で終れるのだから、10月36日生まれで本当に良かったね、アイリス、ボクたちは果報者だよ。
あぁ辛かった去年が終り、輝かしいはずの今年がやってきた。
さすがに日付が変わる時間ともなると、ボクたち1桁才にはチョット辛い、年越し祝いに突入するメイドやサークラたちを残してボクたち年少組は寝る支度をする。
去年のまだ両親の居た頃のお誕生日会を思い出してしまったのか。
アイリスが寂しそうにしてたから、今日は一緒に寝ようかと誘って
ボクの部屋で、ユーリ、ボク、アイリスの順でベッドに横たわった。
みんなまだ身体が小さいので、以前ウェリントンでやっていた方式で十分な広さがとれた。
3人で手を繋いでいるちょっと落ち着いた感じのアイリスと目があった。
「アニスも一緒だったらもっとよかったのに何でユーリかな」
アイリスが不満そうに口を尖らせる。
「アイリスはまだ僕のこときらい?」
ユーリがアイリスにやさしく、問いかける、ユーリはアイリスに詰られても邪険にされてもやさしく接していた結果、今ではアイリスも噛み付かなくなった。
「別にキラいじゃない・・・よ?男の子にがてになっちゃっただけだもんユーリは関係ないよ」
「そっか・・・なら、良かった」
ユーリが柔らかく微笑む
「アイリス、ボクのことは好き?」
「うん、好き、世界で一番アイラが好きだよ。」
「ありがとうアイリス、ボクね、ユーリとの婚約受けようと思うんだ。」
「・・・っ!」
アイリスがギュッとボクの手を握る。
「本当は最初の晩餐会のときから決めてたんだけどね。ちょっとだけ踏ん切りがつかなくって・・・」
「ねぇアイリス、ユーリがお兄ちゃんになるのだめかな?」
言葉はちゃんと出たけれど涙も出てしまった。
ボクがアイリスの立場だとして、トーレス以外をお兄ちゃんと呼べといわれたらなにを感じるかを想像してしまったから。
「うん、アイラ、私は、アイリスは・・・・ユーリのことおにいちゃんって呼べないよ・・・。」
「そう・・・」
だったらボクは婚約はするまい、アイリスが笑えないのなら、アイラは一生独り身でもいい。
だって、おねえちゃんなのだから。
「だからね、私、ユーリにおねがいがあるんだ。」
「おねがい?」
「うん」
アイリスが大きく息を吸う、何かこの6歳は決意を決めたらしい。
「ユーリはアイラのこと大好きなんだよね・・・?」
「うん」
力強くかわいい声でユーリが答える。
「アイラのこと幸せにしてくれるんだよね?」
「うん」
「アイラは私が幸せじゃないと、幸せになれないんだ、お姉ちゃんだから」
「そう、だね・・・」
「だから・・・」
だから・・・?
「ユーリが私のことも幸せにして欲しい。」
?
「アイラがユーリとの婚約を受けたら、私のことももらって欲しい。」
「え!?」
「アイリス・・・意味はわかってるの?」
ユーリは落ち着いた様子でアイリスに聞き返している。
ボクは気が気でない。
これは6歳が導き出せる答えなんだろうか?
「私がユーリの2番目の奥さんになったら、ユーリのこと、お兄ちゃんってよばなくってもいいよね?」
「アイリス・・・?」
「私は、私のお兄ちゃんは、トーレスだけだから、それにアイラとは絶対に離れたくないから。だから私からアイラを離さないでよ、私も一緒に貰ってよ・・・。」
アイリスの目には涙がたまっていた。
この6歳の少女の切実はボクが選ぼうとした答えよりもずっとボクにとって幸せだけども。
それでいいのかな?アイリスはそれで幸せなのかな?
聖母教では多婚を禁じていない、聖母自体が多くの胤で孕んだ存在だから、だから宗教的な問題は無いけれど・・・
「アイリスは!それでいいの?好きでもない男と、一緒に居られるの?ボクと居たいからって、自分を捨てられるの?」
アイリスは一瞬きょとんとして
「私は、ユーリのこと好きだよ、アイラが好きになった人だもん、私だって好きになるに決まってるよ。男の子だからまだちょっと苦手だけど」
「アイリス!」
アイリスに思わず抱きつく、アイリスはかわいい妹、まだまだちっちゃい、まだまだ赤ちゃんだと思ってたけれど、もうボクなんかよりよっぽどレディだね
「ユーリ・・?」
ボクはユーリのほうを向く。ユーリはボクの判断を待っていた様だ。
「ユーリボクは、アイリスがユーリのこと好きでいてくれて、ユーリもアイリスのこと好きで居てくれるなら、ボクも一緒に貰ってほしいな。」
何せぼくたちは仲良し姉妹だからね、ずっと一緒に居たいんだ。
「アイラがいいなら、僕は依存は無いよ、ただねアイラを正室、アイリスが側室って分かれちゃうけれど、本当に大丈夫?」
「うん♪」
アイリスは幸せそうに笑う。
この日を境に、アイリスとボクとユーリが仲良く一緒に歩いているのが見かけられる様になる。
ボクたちは後にホーリウッドの3つ子姫という1名にとって不愉快な称号を得ることになるのだった。
チョット文字数少なめを目指してみましたが、いかがですかね、読みにくさ易さは1本あたりの文字数で換わるのでしょうか?
会話が少し雑になった気がしますが眠気と戦いながらの子どもの会話なので仕方ないのです。




