第164話:もう一つの目的
こんにちは、暁改めアイラです。
未だ見つけられていなかった悪魔の角笛の魔剣の場所についてオルセーが案内できるということで、大きな進展を見せた。
話はおいおい(ユーリとサリィとで)詰めていくとして食事をすることにした。
「いつの間にか3時間近く経っていましたね。食堂に食事の準備をさせますので私は一旦失礼いたしますね。」
ノイシュさんが最後にお茶を追加してから部屋を退出した。
「ひとまずさきに赤ちゃんたちだけおっぱいあげようか」
バニラはすでに右のおっぱいから左のおっぱいに替わっているし。
各々自分の赤ちゃんを抱き服の中に抱えたまま授乳を開始した。
胸元が広めに開いており、内側に赤ちゃんを座らせることができるゆったりとしたドレスを着てきたので、一度ケープをはずして中に赤ちゃんを入れてやることで、おっぱいを一目に晒さなくっても授乳することができる。
エッラは身長に対して胸が大きすぎるので、どっちの胸に今バニラの頭が向かっているかわかってしまうけれど、他の子はみんなケープをかぶせることでどっちに今赤ちゃんが吸い付いてるかもわからないくらいになる。
「マスター、アルマ様の吸い付く音すごいですね・・・?」
とトリエラが気になっていたことを言った。
「あぁ、トリエラもそう思う?ボクも今までで一番強くすわれてると思うんだよね。」
男の子だからなのか力強くおっぱいを据われる、正直ちょっと痛いくらい。
「あぁ確かにすごくしゃぶっている音がするのう」
ジークが突然会話に加わってくる。
「ジークそれちょっと嫌な感じです。」
ちょっとしたセクハラを受けた気持ちになる。
「よくよく考えたら見えないといっても、匂いとかしますしね・・・お爺様。」
サリィがジークをお爺様呼びで呼びかけると、ジークは察したかの様に立ち上がり。
「一応国王なんじゃがなぁ・・・」
といいながら部屋を出て行った。
ジークはアルタイルの授乳期の頃に見せることを嫌がるサリィに付きまとっていたらしいので、その頃に最初は待ち望んだ跡継ぎのひ孫なのでと我慢して見せていたが、後半はあの優しいサリィが冷たい目で睨んで追い出していたという。
「サリィ姉様、アルはもう通常の食事だけなんですか?」
気を取り直して、かわいいユーリの長男の成長度合いを聞く、うちのリリは2歳を過ぎても乳を吸っては光っていたし、ウェリントンでの一件がなければプリムラも同じくらいまでは乳を吸っていただろう。
サクヤは一度赤ちゃん返りをして、サリィのおっぱいを貰ったりもした。
「そうですね、たまに欲しがるときにすわせてはいますが、ちょっと転んで落ち込んだときくらいですかね・・・。食事としてのおっぱいはもうあげてないですね。」
道理で目の前で4人もおっぱいをあげているのに、お姉さんぶるリリにおとなしく世話を焼かれている。
コンコン
と、談笑している最中ドアがノックされる。
食事の支度ができたにしてはちょっとまだ早いね?
「殿下、セシリア様とシトリン様がお越しです」
メイドの声がする
「入れて大丈夫よ、シシィいらっしゃい」
とサリィが許すと二人が入ってくる。
「おはようございますお姉様!11時まで寝ちゃいました・・・。」
「お、おはようございます殿下」
そういいながら入ってきた二人は思ったよりもたくさん人数がいたことで驚いていた表情を浮かべた。
「きゃっユーリおに・・・・旦那様ももういらしていたんですね、お姉様方もおはようございます。」
と一瞬素が出かけたシシィは恥ずかしそうにしながらカチコチの余所行きモードになってしまった。
「おはようございます、ユーリお兄様、お姉様方。」
対するシトリンはほぼいつもの自然体。
「二人とも夕べ夜更かししたの・・・?もうお昼食べようかって話してるのに」
そういってユーリが微笑みかけるとシトリンがトタトタと近寄ってくる。
「アイラお姉様、アイリスお姉様、間良ろしいですか?」
シトリンはなんとなく授乳するところが好きらしくて特等席のボクとアイリスの間に座りたい様だ。
「いいよシトリンおいで」
「いいよー」
許可をあげるとうれしそうにボクとアイリスの間にチョコンと座る。
そしてミントとアルマを交互に見つめながらへにゃへにゃと表情を崩す。
幸せそうで何よりだ。
シシィは少しの間緊張した状態になっていたが、ここにいるのが家族ばかりだと気づいたのかリラックスした様子になりベッドの上でリリに世話されているアルタイルのほうへ行くと、シトリン同様表情が緩んだ。
クレアの子のカモミールはもう半分くらい離乳食で済ませる様になっているので早々に授乳を終わらせた。
ボクとアイリスももう終わったのだけれど、一番先に吸い始めたバニラは月齢が低いことも相まってか小柄だが食欲が旺盛で、そろそろ疲れただろうと乳を離すと抵抗するのでまだすわせている。
エッラ以外は一息ついてもう一つの目的を確認する。
「シシィ、フローリアン様は?」
今回はフローリアン様も目的の一つなのだ。
「はい、日程は調整できたので、帰りに同行するそうです。」
アルを抱っこしたまま、すこし寂しそうに応える。
「あぁ、アイラちゃん、私もご一緒させてもらいます。」
意外なことにサリィも同行を約束してくれた。
「大丈夫ですか?お忙しいでしょう?」
角笛への出征の予定も立てなければならないし、年末年始でイシュタルト王位の継承もしなければならない。
そんな中・・・
「忙しいのは確かですけれど、おばあ様が弱っていらっしゃると聴けばお見舞いに行かないわけにはいきません、私もおばあ様のこと大好きですから。」
サリィは控えめに弱っていると表現したが、実際にはフローレンスおばあ様の病状はそれなりに危うい。
今はまだ簡単な補助魔法でどうにかなっているが逆を言えば魔法なしでは明日をも知れない身ということだ。
つまるところ今回のもう一つの目的は弱ってきているおばあ様にまだ会話をする体力のあるうちに縁者に会話をしてもらうための少し消極的な顔見せのためのお迎えだ。
距離がある上新型の動力馬車を持っていないリントやハルベルトは神楽が飛行盾で王都までつれてきてから一緒に向かう。
今日はこの後神楽がリントのところとハルベルトのところを回って二人とハルベルトの嫁のキャロルさんとステファン、娘のソフィアリーナとグ族的特性を引き継いでいる娘クロエラを連れてきてもらう予定、ボクたちは王城から軍官学校に通っているリントの嫁フェニアと王都屋敷にいるアニス、シャオ、アイビス、ノラ、リウィ、テティス、フランを馬車で一緒につれて帰る予定であったが、アニスがおばあさまにシグルドとルイーナ、ルティアを紹介したいといいだした。
おばあ様はアニスのことを心配されていたのも確かなので、学校に2週間程度休ませてもらう手続きと、ご家族に許可を貰ったらいいと夕べのうちに伝えてある。
学校を休むことになるのでご家族から反対されるかもと思っていたのだけれど、そんなこともなく
二日後、ボクたちは想定していた人数に3人を追加して王都からホーリーウッドへの帰途に着いた。
第149話のあとがきで申し上げていた、国境なきサテュロス編終了後について、こちらのアイラ一人視点の両刀勇者の物語を終了して、複数視点方式で投稿しようかと思っております。
そのため完結する際に切れ方が非常に不自然になる予定なので事前に報告させていただきます。
このお知らせは今後毎回あとがき部分に掲載するようにします。