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第160話:アルマとジーク

 おはようございます、暁改めアイラです。

 アスタリ湖の攻略と、そこで記録された日ノ本語と思われる言葉を話す女性の映像データは、直接見たわけではないボクと神楽の心に大きな動揺をもたらした。

 神楽は今まで通り、ずっと一緒に居たいといってくれているけれど、ボクは神楽を朱鷺見台に返す方法を探したいと、そう思う様になった。

 神楽が戻るか戻らないかは別としても、朱鷺見台に暁の死と神楽の無事を知らせることは大事なことだと思えたからだ。

 といってもボクもアルマを妊娠中の身であったから動き出すこともできないままで今日のこの日を迎えたのである。



 ボクが16歳で迎えた3月半ば・・・アルマが生まれて5ヶ月経ち、ある程度遠出にも耐えるうると判断したボクたちはアルマと他の子たちを連れてクラウディアに向かいイシュタルト王家の鑑定を受けることにした。


 昨年、アスタリ湖を攻略後約3ヵ月後の7月10日にクレアに男の子カモミールが生まれた。

 これは、ユーリにとって初めての男の子であり、ただ、元帝国の姫である側室のクレアの娘ということで、考えなくてもいい争い事も少し起きかけたが、その1ヶ月後の8月11日、やや早産であったがボクの長男アルマが生まれた。

 アルマもプリムラやサクヤと同じく別に光ったり跳躍したりしない普通の子なので一安心といったところだ。

 加えてようやく得られたユーリの正室の嫡男ということで、家中の喜びもひとしおだった。

 女の子でがっかりというわけではなくとも、やはり男子があるのとないのとでは違うのだ。


 さらにその後ボクに遅れること5日後の8月16日に産気付いたアイリスが綺麗なピンク色の髪をした女の子、ミントを産んだ。

 そして最後に9月1日になりエッラの娘バニラが生まれた。

 バニラは淡い紫の髪の女の子、4人の中で一番むくむくとしている赤ちゃんらしい赤ちゃんで、おっぱいの吸いも一番勢いがある。


 その後10月中にちょっとした事故がきっかけとなって紅砂の砂漠ダンジョンがオーティスとシリル先輩、マガレ先輩、ジャン先輩、メロウドさん、のパーティによって攻略され、二匹の蛇が絡みついた様な杖が回収された。

 蛇の彫刻に牙があり、これを押し当てることで水分を奪う効果がある杖で、他と比べると危険度は低い様に思えたが、メロウドさんによってホーリーウッドに持ち帰られて、オルセーが鍵であると確認した。


 年末年始には神楽の力を借りてアニスたちも帰省してきて、アミとハスターが正式にホーリーウッドの家臣となった。

 その際アミとハスターは結婚しており、アミの名前からはフォンが外れた。

 ハスターに対して素っ気無い態度をとることが多いアミだけれどその実かなりの仲良し夫婦で、とても幸せそうだ。


 それとは別にアイヴィが、アスタリ湖攻略で知り合ったというペイロードの家臣だったトーマ・ルベライトさんという方をその魅力で落とした様で、ペイロード家からの紹介状付でトーマさんがホーリーウッドに移住してきた。

 扱いはシトリン付ということになっている。

 シトリンももともと懐いていた様だったのでそれとなく聴いてみると、なくなったお兄ちゃん(ジャスパー)の乳兄弟だそうでうちで言うナディアの様に子どもの頃から出入りしていた方だそうだ。

(それも優秀らしい・・・すごい人物を釣ってきたよね、アイヴィまだ恋人付き合いには発展していないらしいけど、それなのにペイロードでの出世コースを捨てて移住までしてくるなんて、どれだけアイヴィに惚れ込んでいるのやら。)


 他にアナ・バスケスがホーリーウッドに戻ってきていて、ホーリーウッド近郊に魔物が出た場合に狩るための部署に配属されている。

 無論彼女の実家を含む地域の担当だ。


 途中あった大きなことはこれくらい、今回のクラウディア行きは赤ちゃんが多いのと人数が多くなるので飛行盾ではなく陸路での旅をすることになった。

 まるで大名行列の様に5台の大型馬車でクラウディアに向かうメンバーは、ユーリ、ボク、アイリス、クレア、エッラ、リリ、プリムラ、サクヤ、アルマ、ミント、バニラ、カモミール、ナディア、トリエラ、エイラ、マリアナ、オルセー、アビーさん、マガレ先輩、シリル先輩、それからホーリーウッドの正規兵40名とそれなりの大人数となった。

 なお神楽、シシィ、シトリン、アイヴィ、トーマさんは先に飛行盾でクラウディアに向かっている。

 

 今回の旅では護衛の正規兵のほとんどがセイバー装備で、行軍訓練も兼ねているが、重い鎧を着けているはずなのに、普通の鎧を着て歩くよりも楽だと好評で、馬車の動力も安定したことでさらに日程が短く済む様になっている。


 馬車での長旅は子どもたちには負担になるはずだけれど、子どもたちはみんなで居るとそれなりに楽しいらしく、退屈はしていないみたいだった。

 赤ちゃん4人もまだ寝ている時間が多いのと、お姉ちゃんたちに可愛がられて幸せそうにしていて、なんの事件も起こらず5日後にはクラウディアについた。



 クラウディアについた日は平日で、アニスたちは軍官学校に行っている時間だったけれど部屋割りなんかはノラと先についていたアイヴィが対応してくれた。

 クラウディアのホーリーウッド屋敷も敷地内に兵舎と離れが増設されていて、以前よりも収容人数が100人ばかり増えている。

 部屋割りをして落ち着いたあとは、クラウディア城への登城手続きをアビーさんにお願いした。

 翌日朝からの登城許可をとり


 夕方に帰って来たアニスやシャオたちと3ヶ月ぶりの再会を喜ぶ、特に1歳未満の子達はたったの3ヶ月でも成長が著しくアニスはその眼を輝かせていた。

 神楽も学校に顔を出していたらしく、アイビスとフランと一緒に帰って来た。

 ラピスとヒースも一緒に遊びに来たのだけれど、最高学年となった彼女らはそれらしい風格を漂わせていてとても、頼もしく見えた。


 二人は学校が再開された後も時期を見て子ども作りに励んでいるそうだが、まだ成果は得られていない、そのためか赤ちゃんに対してすごく大きく反応を示す。

「うひゃー!カワイイ!カワイイ!リリちゃンやプリムラちゃん、サクヤちゃんやマリアナちゃんもかわいかったですけれど、4人も赤ちゃんがいるのはずるいですよぅ!!」

 ラピスが目の中をハートにして顔の横に手を組んで、誰から抱っこしようかと赤ちゃんを品定めする。


 ラピスも元はボクと同じで日ノ本の男の子だけれど、長年のラピスとしての生活で完全に女の子になっていて、日ノ本語で話すとき以外はただのかわいいもの好きの女の子になっている。


「本当にかわいらしいです、私たちもがんばって励まないと、という気持ちにさせられます。」

 ヒースはユーリと違って、青年期を迎えてもそこまで背も伸びずあまり男らしい体つきにもならず、華奢で線の細い女の子の様な風貌を保っている。

 そして相変わらずのメイド制服姿でアイリスから渡されたミントを緩みきった顔であやしている。

 中身が女の子だからか、ヒースは本当に女の子みたいなかわいらしさがある。


「でも本当に凄い勢いで増えてますね?もう・・・7人のパパですか?わたしも来年の今ごろはお腹に赤ちゃんがいるんでしょうか?」

 アイビスがユーリの顔を見つめて真っ赤になる。

 本当はアルタイルもいるから8人のパパだけどね

「君が嫌がることはしないから、君がお母さんになりたくなったらなればいい。」

 そう言ってユーリはアイビスの頭を撫でた。


 テティスは久しぶりに会う(マリアナ)にデレデレで、マリアナも久しぶりに会う姉に甘やかされてとても楽しそうにしていた。

 シシィとシトリンはこの日お城に泊まっていて、屋敷には帰ってこなかった。



 翌朝、簡単に食事を済ませてから登城のために馬車に乗る。

 学生たちは今日も学校なので、一緒に登城することはできないけれど

 今回のクラウディアへの来訪もメインの目的はようやく生まれた嫡男(アルマ)の鑑定なので、問題はない。

 城にたどり着くと、エイラの母であるメイドのノイシュさんがボクたちを迎え、一旦応接室へ、人数が多いけれど、全員が一部屋に収まれるほど部屋は広い。

 少し経つとドアがノックされアリーシャとアリエスが入室してきた。

 二人はボクたちの卒業後はサリィとアルタイルとに仕えるため城に出仕している。


「お久しぶりです皆様、ご無沙汰いたしまして申し訳ございません」

「こちらが、ユーリ様のお子様たちですか・・・。ジュルリ、リリ様、リム様、サクヤ様もご無沙汰いたしております。アリエスでございますよー」

「アリエスちゃんだー、もー!なんでいつもいないの?」

 なんとアリエスのことをしっかり覚えていたらしいリリがアリエスのことをしかりつけて、しかられたアリエスはよだれをこぼしながら悦んでいる。

 実に教育に悪そうな絵面だ。


「アリエス、まじめにやりなさい、リリ様がかわいらしいのは同感だけれど、貴方は王家に仕えるメイドなんだから」

 とアリーシャにたしなめられてようやくアリエスは人様に見せられる顔に戻る。

 それから、さらに少ししてからノイシュさんが戻ってきて、ボクたちはいつもの塔ではなくサリィが使っているという執務室の隣に設けられた応接室に通された。


 そこには、栗色の髪の小さな男の子と茶髪の美女が座っていて、ジークがその男の子をひざに乗せてかわいがっていた。

「こんな場所ですまんなぁ、ホーリーウッド王族の鑑定関連の話となると、謁見の間では漏洩が怖くての・・・。」

「こんな場所っておじい様・・・私の仕事部屋ですよ?アルだって一日の大半をここで一緒にすごすんですから。ユーリ君、アイラちゃん、アイリスちゃん、他の皆さんもよく着てくださいました。」


 アルタイルは異母姉であるリリ、プリムラ、サクヤとキャッキャと声を上げながら遊び始めて、まるで本能的に姉弟だと理解しているかの様に仲が良い。

 シシィとシトリンは昨夜フローリアン様と楽しく過ごしたらしく今朝は寝坊中とのことでここにはいない。


 ボクたちは年末年始に即位を控えたサリィと談笑し、少し話したところでジークが立ち上がった。

 子どもたちを一人ずつ鑑定してくるとのことでジーク自ら一人ずつ抱き抱えてては退出していきリリ、プリムラ、サクヤ、アルマ、ミント、バニラ、カモミール、オルセーの順で鑑定をした。


 アマリリス・ホーリーウッド F3ヒト/

 生命31魔法241意思68筋力2器用4敏捷7反応11把握9抵抗99

 適性職業/聖なる王の再来 初心者魔法使い

 技能/感知4 魔法構築2 気配遮断2 精神汚染耐性1  

 魔術/『火燕魔法』 身体強化魔法初級 飛行魔法初級 火魔法初級 

 特殊/『光弾』『跳躍』 超反応 強運 戦法 水棲 神王の加護 聖母の加護 龍王の加護


 リリは王族になったので名称が変わっている。

 前回と比べてちょっと魔法が使える様になっている以外は特に目立った変化はないといえる。

 以前と違い自分の意思で魔法を使える様になっているので制御さえ覚えさせれば怖いことは少なくなった。



 プリムローズ・ホーリーウッド F2ヒト/

 生命26魔法22意思33筋力2器用2敏捷2反応3把握7抵抗78

 適性職業/適正不明

 技能/精神汚染耐性1  

 魔術/身体強化魔法初級

 特殊/『光弾』 強運 水棲 聖母の加護


 サクヤ・コノエ・ホーリーウッド F2ヒト/

 生命25魔法73意思43筋力3器用9敏捷7反応11把握6抵抗62

 適性職業/適正不明

 技能/感知3 魔法構築1 適応力1

 魔術/『火燕魔法』 身体強化魔法初級 飛行魔法初級 結界魔法初級

 特殊/『光弾』『跳躍』 超反応 強運 戦法 聖母の加護 


 アルマ・ホーリーウッド M0ヒト/

 生命5魔法18意思7筋力1器用2敏捷2反応7把握5抵抗69

 適性職業/適正不明

 技能/

 魔術/『火燕魔法』

 特殊/『跳躍』 超反応 強運 戦法 聖母の加護


 4人の子どもたちの適正や数値はリリが最初からおかしいこと以外は、みんな乳幼児の割りには高い程度の数値を示していて、適正職業が不明なのは、赤ちゃんで技能系がほとんど埋まっていないからだろう。

 ユーリからオケアノス系の能力を引き継ぐ可能性も考慮していたが、プリムラが水棲を引き継いだくらいで気にする必要もなさそうだ。

 全員聖母の加護を持っているのは、やはりボクが愛を傾けているからだろうか?


 アルマが無事ホーリーウッド家の能力を持っているので少し安心し、侯爵家時代からの慣例、イシュタルト家からの嫡男のお墨付きを貰ったのでその書状と鑑定書を収納に入れて続きを確認する


 カモミール、ミント、バニラは特に変わったところもなく、みな赤ちゃんの割りに高い程度の数値なのと、聖母の加護がみんなについていること、ユーリのホーリーウッド家とオケアノス家の能力を断片的に持っている以外は目立ったところはない


「しかし、前もって報告は受けていたがこうやって鑑定結果を見るまで信じることができんかったわ、こんなかわいらしい娘が神話の存在などと・・・。」

 そして最後に今回のもう一人の目玉、オルセーのステータスをジークが提示した。

次回はオルセーのステータスからです。

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