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第157話:留守番妻の半日

外伝側でのアスタリ湖攻略後から本編を再開するつもりでしたが、外伝のナンバリングが足りなくなりそうなので1話置きます

 こんにちは、暁改めアイラです。

 ユーリたちが、アスタリ湖攻略の為に旅立って十日経ちました。

 ユーリも神楽も居ない環境というのはどうにもなれなくて、緊張感がないというか、張り合いがないというか。

 妊娠中なので書類仕事も回されず、訓練も出来ず。

 ただただ毎日のんびりと過ごしています。



 朝、目をさますとボクの隣には天使の寝顔がふたつある。

 それだけで胸の中にほんわりとした温かさが感じられる。

 これは幸せというやつだ。


 体を起こすといつものボクの部屋で、ただベッドが2つ余分にならんでいる。

 昨夜のパジャマパーティのメンバー、今日は学校がないのでかわいい姪たちとアイリス、シトリンがこの部屋に泊まった。


 普段はガイのことで嫉妬心をメラメラさせているヘレンもサルビアにぴっとりくっついて安らかな寝息を立てているし、甘えん坊のリコはアイリスの胸元にしっかり抱きついている。

 シトリンはアイリスの背中にくっついて幸せそうな笑顔を浮かべて寝ていて、シシィが居ない寂しさは感じていない様に見える。


 とりあえず着替えを済ませてからリリとプリムラのおしりを触っておむつチェック、リリはまだ出ていないので早めに起こしてトイレに連れて行こう。

 プリムラは既にたっぷりと出した後の様でパンパンになっていた。


 この数年でオムツの技術もだいぶ上がっていて幼児のおもらし一回分程度なら外に漏らさずに吸収しきれるオムツも去年から販売されている。

 高価だが再利用も3回くらいまでなら可能で、一緒に寝るときには重宝している。


「リリ、起きておしっこいこっか」

 軽く揺り起こす。

「まだおひっこでてない・・・」

 半分眠ったままリリが起きることに抵抗する。


 そっと頭に手をやるとおしっこが出ていない分なのか頭は汗をかいて髪がしっとりしている。

「こりゃーリリ起きないとおしっこがでるぞー」

 その頭を揉む様に手でワシャワシャしてやる

 するとキャッキャと笑ったリリが起き上がる。

「ママ、おしっこでそぅ」

 寝ぼけ眼だけど起きたね。


「おしっこいこっかーまだ我慢ね?」

 小さく頷くリリを促してベッドから降りさせて、ボクはプリムラを抱きかかえる。

 プリムラを持ち上げるときに変に力が入ったからかちょっとボクの尿意も圧迫される。

 早く行かないと・・・さすがに15にもなってやらかすのは考えたくない。


 すると先ほどの声で起こしてしまったのかシトリンが目をこすりながら身体を起こした。

「おはよう、シトリン起こしちゃった?」

「んぅーおはよーございましゅアイラおねえしゃま、おてつだいします」

 まだ寝ぼけながらも、お利口さんで居ようとするシトリンは手伝いを申し出る。

 それならばと、リリの手を繋いでもらう様にお願いした。


 部屋から出たところでトリエラとエイラが丁度ボクたちの部屋にやってくるところに出会った。

「おはようございますマスター、リリ様リム様シトリン様もおはようございます、今日はことさらいいお天気ですよ。」

「おはようございます、アイラ様、プリムラ様をお預かりいたします。」


 エイラがプリムラを抱いてくれる。

 おかげで少しボクの膀胱にも余裕ができた。


「ふぅ・・・」

 やっと一息ついて個室から出ると、エイラの手でオムツを剥ぎ取られたプリムラが下半身丸出しで子ども用のトイレへ走る、がそこは現在リリが占拠中でトリエラが横についてやっている。

 どうも朝から唸っている様で、もう暫くかかる様だ。


 エイラはオムツの処理を一旦やめてプリムラのほうに来ようとするが、手で制しボクがプリムラのトイレの世話をすることにした。

「プリムラ、お姉ちゃんがちっちゃなトイレ使ってるから、今日は大人用のトイレでしてみようか?」

 そういって呼びかけるも、プリムラは怖がってしまった。


 依然似たような状況で挑戦した際おしりが嵌ってしまったのが怖いらしい。

 首を振ってイヤイヤする。

「大丈夫、ママがおてて握っててあげるから」

 そういって説得するととりあえずやる気になってくれたのかボクのほうへちょこちょこと寄ってくる。


 そのまま一緒に個室に入って便座に座らせて、正面から両手を握ってやる。

「じゃあ、のこってるおしっこしちゃおっか?ちーって」

「ちー?」

 首を傾げて、聞き返してくる。

 もしかするとオムツのほうに全部出しちゃったのかな?


「プリムラおしっこ残ってる?」

 そういって尋ねるけれど、プリムラはさっきのことばのほうにまだ疑問が残っているようで

「ちっちー?ちー?ちぃ?」

 と、ずっと同じ言葉を繰り返している。


 それでもちゃんと身体は便座に座ったら何をするか覚えていた様でちょろちょろとごく僅かではあるがちゃんと出た。

 まだ自分ではふけないので躾ながら拭いてあげる。

「いちまいとって、おりおり、おひざをひらいてちょんちょんちょん、はいおしまい。」


 個室を出ると既に用を終わらせていたシトリンが替えのオムツを手渡してくれたのでプリムラと一緒にお礼を言って、下半身全体を洗ってから拭きなおしてオムツを巻いてやる、起きている時用なのであまり吸水性の良くないトイレトレーニング用だ。

 足を、服をおしっこで濡らすことの不快を覚えて、自分でトイレに行ける様になろうってことだね。


 リリはまだかかりそうだったので、トリエラに任せて部屋に戻り、起き始めていたアイリスやヘレンたちを起こす。

 それぞれ着替えたりするために部屋に戻っていき、部屋にはボクとプリムラとエイラだけになる。


 さっきまであんなに眠たそうだったのに、もう元気なプリムラは部屋の中を座ったり立ったりしながら歩き回り、たまに思いついた様にソファに座ってお茶を飲むボクの脚に体当たりしてくる。

 その顔のうれしそうなことうれしそうなこと、こちらもついつい

「がぶちゃー!」

 なんていいながら頭にかぶりつくマネをすると、ギャーギャーと笑いながらプリムラは離れていく。

 それからまた少ししたら寄ってくる、そんなことを3回繰り返したところでリリとトリエラも戻ってきた。



 朝食後中庭でリリとプリムラを軽く遊ばせてから、定時連絡のために通信室に向かう。

 サリィと神楽たちの詰めている拠点にジル先輩も入っていて、そこから結晶通信をしてくれるのだ。

 毎日昼前の時間帯に、前日までの調査攻略の状況を報せてくれるのだ。

 その場に神楽やサクヤも居るので、この時間は毎日非常に楽しみだ。


 攻略も毎日だと疲れるので交代で参加しているらしくて、今日は通信先にユーリとナディアの声もあった。

「今日は僕たち攻略休みなんだ。ダンジョン内の攻略開始から4日目なんだけど、3日潜って1日休むことになりそう。はは、リリもプリムラも元気そうだね。」

 ユーリの声が聞こえた途端にりりとプリムラは「パーパの声!パパパパパパ!」「ぶーぶーパッパー」

 と上機嫌な声を上げている。


「サクヤは元気?」

 と、声が聞こえないサクヤの様子を尋ねると

「アーラママ?」

 と、サクヤ自身の声で反応が見られたので、満足した。


「アスタリ湖はどう?大変?」

 アイリスが尋ねるとユーリは

「すごくキレイな湖だよ、浅いけど。ダンジョンの方は、スライム系とカエル型が多いから女性陣は悲鳴を上げてるね、アイヴィなんて一回勢い余って、カエル型魔物の卵に突っ込んでさ、べとべとになって泣いてたよ。」

 といった感じに笑いながら応える。

 女性陣が悲鳴を上げてるということはユーリは声を上げるのはなんとか我慢しているけれど、正直辛いかもしれない、卒業してからさらに男らしくなったとはいえユーリの感性にはまだ多分にリリーの精神性が伺える。


 今のところ目だったケガ人もおらず、和気藹々と攻略は進んでいるらしいけれど。

 ダンジョンにいくつフロアあるかとか、ユニーク進化したモンスターの脅威なんかはまだあまり分からないらしい。

 ただ・・・

「魔導篭手とセイバーは評判がいいよ、狭いダンジョンだからセイバーは拠点化した広い空洞と外のキャンプでしか使っていないけれど篭手を使ってる人たちは良い装備だって好評価、自動発動のバリアのおかげで致命傷と奇襲を避けられたっていう声も多い。」


 学校でしか生産していない篭手を回したのは軍官学校卒の認定勇者や準勇者級の手練が中心である、そんな実力者たちに認められたとなればいよいよ魔導篭手の有用性は証明されたといっていいだろう。

 開発に一枚噛んだ者としては嬉しいことだ。


 ダンジョン攻略の進捗報告や子どもたちの成長具合を報告しあってから通信を終える。


 その後お昼ごはんにはまだ少し早い時間だけれどプリムラが眠たくなってきているので急いでお昼を食べて、プリムラもリリも午睡タイムになった。

 アイリスとエッラと一緒にボクの部屋に連れて帰り、昼寝用の服に着替えさせて横にしてやるととすぐに安らかな寝息を立て始め、添い寝してくれていたシトリンも寝てしまった。

 子どもたちはいつでも可愛いけれど、眠っているとまさに天使そのものだ。

 眠る3人を見ているとすごくほんわりする。


 朝もだったけれど胸の中が温かくなって、コレが幸せというものなんだと分かる。

 ちょっと浸っていると、部屋にオルせーとノヴァリスが遊びに着た。

 二人はこのところ、セーラたちにウェリントンでの農業やどこで何が取れるかといった内容をレクチャーしている。

 実は既に少人数の警備兵をウェリントンに送り出し、魔物避けの柵の強化や住居の補強を開始していて、もうすぐセーラたちも旅立つ

 そして・・・


「アイラ、ちょっと話したいことがあるんだけれど、いいかな?」

 ノヴァリスがまるで悪いことでもしたみたいに、俯いてぽそぽそと語る。

「いいけど、どうしたの?なにかあった?」


「あのね、オルセーとも暫く話してたんだけどね、私、セーラたちとウェリントンに行こうと思うの」

 そういってノヴァリスは、下げていた視線をボクの視線に合わせた。

 あぁ・・・やっぱり、と思う。


「アルンのこと探すためだよね?」

 アルンはノヴァリスと同様最初の調査の際に死んだと推定されて、遺体も発見されないまま終わってしまった。

 ところがノヴァリスはどういう因果か、今目の前で魔王なんて生き物になって笑っている。


「うん、一番はそれだよね、アルン姉が生きてるにせよ死んでいるにせよ、見つけてあげたい、それには先ずあの森を開拓して、人の領域を広げていかないとね。」

 ノヴァリスがどうしてアルンのフリをして、ウェリントンに暮らしていたかとか、なぜ自分の足でアルンを探さなかったのか、それを直接聞いたわけではなかったけれど、何かしらの葛藤が彼女の中にはあったのだろう。

 それに折りあいがついて、今回の決定になったというのなら、ボクは止めるつもりはない


「ボクはノヴァリスが決めたことに口を挟むことは出来ないけれど、これからはいつだって会いにいけるし、ノヴァリスも寂しいときはホーリーウッドに来ることが出来る。ボクたちは家族なんだから」

 その決定が逃げることや、後ろ向きな決意でないならば、笑って送り出せる。


「ありがとうアイラ」

 ボクの言葉を聞いたノヴァリスはそれ以上何も語らなかった。

「オルセーもノヴァリスと一緒にウェリントンに帰るの?」

 エッラが尋ねると


「あたしはアイラたちと居るつもり、ノヴァリスが一人になっちゃうけど、セーラたちとも仲良くなってるし、いつでも会いにいけるしね。」

 オルセーはそういって眠っているリリの頭をなでる。


 まねする様にノヴァリスがプリムラを撫でて、アイリスがそんなノヴァリスに抱きついた。

「ノヴァリスちゃん、私ね、あまりウェリントンの頃のことはっきりと覚えてるわけじゃあないの」

「アイリス?」

 突然の告白にノヴァリスは困った様な笑顔を浮かべた。


 でもアイリスはそのまま続ける。

「アルンちゃんやノヴァリスちゃんの事だって年上のおねえちゃんが何人かいたなぁ位にしか覚えてなかったの。」

 ノヴァリスの肩に回された腕は、すごく力強く締め付けている。

 アイリスは何を言うのだろうか?


「私は、ママやパパのことだって、お兄ちゃんの事だって、もう顔も思い出せなくなってた。でもノヴァリスちゃんのおかげで今ははっきりと思い出せる、私のパパママは、お兄ちゃんはあんな顔だった。ノヴァリスは幻術で見せただけなんだろうけれど、私そのおかげで、ママパパの顔やお兄ちゃんの顔思い出せたの」

 ノヴァリスは黙ったままでアイリスの抱擁と叫びを受け入れている。

 ボクは少し打ちのめされていた。


 ボクはどうだったろうか?

 あの頼りなくでも男らしい父を、優しい母を、身をもってボクたちを守った兄を・・・ちゃんと覚えていたんだろうか?

 思い返していたんだろうか?


 今は勿論その顔も声も思い出せるけれどそれはボクもノヴァリスの幻術にかかったからだ。

 ボクは時々あのウェリントンの家族のくれた言葉を、死に顔を思い出すことはあったけれど。

 もう何年も、その声や笑顔を思い返すことはしていなかった気がする。

 アイリスはきっと何度も声や顔を思い返そうとして、苦悩していたに違いない。

 ボクは父母の顔を思い出すことに苦悩もしていなければ、妹のその苦悩にも気付いてやれて居なかったのだ。


「だから私は、私の子どもが生まれたら、ママやパパのことを、お兄ちゃんのことをこの子に聞かせてあげられるの、ありがとうノヴァリスちゃん、またこの子が生まれてお出かけできる様になったら、お墓参りに行くから、その時はこの子のこと抱っこしてね!」

「もちろんだよ、アイラもアイリスも、今は居ないけれど、ノラやアニスも大事な妹分だもん。いつだって会いにきてね。」

 アイリスは泣いていた。

 ボクも泣きたかった。

 でも泣かなかった。

「それじゃあ今日はノヴァリスの好きな鳥の料理、出してもらわないとね。お祝いしよう、ノヴァリスの門出の祝い」

 出来る限りの笑顔を作って告げる


「アイラってば気が早いよ、まだもうちょっと先だよ。」

 涙を浮かべた目で笑うノヴァリスが少しうらやましかった。



 その後少し眠たくなったので、トリエラたちに横についてもらって眠ることにした。

 アイリスも眠る様なのでボクのベッドに2組の姉妹が川の字になってのスーパーお昼寝タイム

 室内のソファにメイド二人が座ってエッラと一緒に編み物をしながら待機していてくれた。



 1時間ちょっとで目を覚ますとエッラはイスで転寝中、エイラとトリエラはお茶を飲みながら休憩していた。

「ふぁー、気持ちよかった・・・。」

 身体を起こして伸びをすると、たまらなく気持ちがいい。


「マスター、おはようございます。丁度今、お茶とお菓子の用意が出来たところですが、リリ様たちも起こしますか?」

「いやいいよ、とりあえずどっちかが起きるまで寝かせとこう。」

「アイラ様こちらをどうぞ」

 トリエラとエイラがボクの分のお茶とビスケットをすぐに用意してくれる。


「たまには二人とも、一緒に楽しみたい」

 トリエラたちはボクの分を支度するとすぐに立とうとしたので、呼びとめる。


「二人はボクが寝てる間、何を話していたの?」

 温かいお茶を頂きながら、二人に尋ねると珍しいことに二人から回答がない。

 二人で表情を伺いあっている。

 話し難いことだろうか?


「なにかボクに聞かれると不味い話してたの?」

 そう尋ねると途端に慌てる。


「いいえ!そんなことはありませんですよ!?」

「そういう話ではないですが、ちょっと恥ずかしい話です。」

 慌てるトリエラと対照的にエイラは淡々としている。

 トリエラの恥ずかしい失敗の話ならいつものことかな?


「言えない話でないならボクにも聞かせて欲しいな。」

 そういうとトリエラは頬を赤くしながらエイラのほうを見つめ、エイラが語りだす。

「アイラ様はエディン少尉を御存知でしょうか?」

 エイラは20になる若い兵士の名前を挙げた。


 無論しっているとも。

「メロウドさんの孫で夜警部隊の第4部隊副長だね。ボクが前に挨拶したときはまだ准尉だったけれど」

 ホーリーウッド家の若い世代皆の武術の先生であり、フローレンスおばあさまに使えるメイドのスードリさんの旦那さんでもあるメロウドさんの一人息子の長男(つまりメロウドさんの孫)だ。

 明るくさわやかで好感が持てる青年だ。


「その少尉から求婚されました。」

「え!?」

 ガタッ!と大きな音を立ててしまった。

 お茶を飲んでる最中でなくて良かった・・・。


「アイラ様たちが失踪中のことですが、メロウドさんにガイラルディア様の体力増進メニューの相談に伺った際に丁度エディン少尉がいらしていて、かねてから何度か私の事を見かけて気になられていたそうで、一度プロポーズをしかけた上で、お友達からお願いしますと嘆願されまして、メロウドさんの手前断ることも出来ず、それではとお友達付き合いをさせていただいていたのですが・・・・」

 このたびめでたくプロポーズされた・・・ということらしい


「受けるの?」

 ナディアもエッラも早々にメイド長コースからはずれエイラも家庭に入る様な事があれば誰がボクたちの代にメイド長をしてくれるのか。

「受けませんよ?私の好みはもっと可愛いタイプの男の子です。年上よりも、年下のほうが好みですね。」

 意外な新事実エイラは年下好きということが判明してしまった。


「年下が好みって・・・エイラがその、ちょっと年齢より若く見えるのは関係あるの?」

 エイラはボクの一つ上だけど、身長も胸もボクやアイリスより控えめだし、顔もやや幼い造りをしている。

 正直13~4歳くらいに見える。


「そうかもしれませんね、殿方から守られるのではなく、対等でいたいのかもしれませんそういった点ではむしろエディン少尉の弟さんのエルマ君のほうが好みかもしれません、可愛いんですよお兄さんと違って女性なれしてなくって」

 そういって目を細めるエイラ、うっとりして何を思い出しているのか分からないけれど、エルマ君は確か今14歳だから年の差としてはありだよね?



 その後もリリがおねしょしてしまい泣いて目を覚ますまで、だらだらと談笑して過ごした。

 ユーリも神楽も側に居なくても、ボクの日々は少しの変化を伴いつつすぎて行く。

 時には待っているのも妻の役目だとは思うけれど、その僅かな変化の時も一緒に居たいと願ってしまう。

 寂しいと思ってしまう、不安に思ってしまう。

 いつからこんな風に感じる様になったのか・・・、異形狩りをしていた頃はボクが神楽にこんな思いをさせていたんだね。


 ユーリたちが帰ってきたら、どんな話をしよう、どんな風に笑おう。

 そうやって考えると待っている時間が少しだけ早く過ぎる様な気がして。

 今日もボクは心のメモに書き留めながら過ごしている。

ユーリたちの攻略を待ってる間のことなので、アイラが毎日繰り返す生活に僅かな変化を感じるだけの半日です。

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