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第148話:幸せ1

 こんにちは、アイラです。

 現在里帰りをしています。


 辺境の村の村長の次女だったボクは、姉妹ともども容姿が優れていて、賢い娘だという評判だった。

 領主貴族の嫡孫であるユーリとご縁があり見初められ、その妻となりました。

 この度は村長である父が怪我をしたということで、9年ぶりに里帰りをしたのです。

 幸い父のケガは大したこともなく、単に久しぶりの里帰りを楽しんでいるところです。


「父さん、今日はボクがお昼ご飯作るから、楽しみにしててね。」

 ボクの父エドガー・ウェリントンはこの村の長で剣士である。

 村長と呼ぶのには些か若く見えるが、この父は優秀で何より村人に慕われている。


「お父さん!今日ユーリとお兄ちゃんと亀取りに行ってくるね。」

 久しぶりに帰郷したからか、アイリスも父兄に甘えている。

 アイリスもボクと一緒にユーリに嫁いだ身で、子どもこそまだいないけれどそれも時間の問題、ただ帰郷してからは兄トーレスにべったりでユーリが少し寂しそう。


 今のところ一人娘のリリは同じくユーリの妻のカグラかボクに甘えるばかりで父母には甘えてくれない。

「ほらリリ、おじいちゃんとおばあちゃんだよ」

 なんていって甘えさせようとするけれど、人見知りが発動してしまう様だ。

 顔を背けて大号泣してしまう

 これからはもっと頻繁に里帰りした方がいいかもしれない。


 エッラもユーリの妻になっているけれど、今回の里帰りでは、さすがにうちではなく、実家に泊まっている。

 久しぶりの家族団らんを楽しんでいるだろう。

 父母に兄は、サークラやアニスが里帰りしなかったことが残念そうであるが、学校や仕事の都合だと告げると納得してくれた。


 父もアイリスたちも仕事や亀取りに出掛けたあと

 ボクが母と一緒に料理にやる気を出しているのをみてリリは逃げてしまった。

「あ、アイラさん、リリちゃんは私が追いかけますから。美味しいお昼御飯お願いしますね?」

 そういってカグラも部屋を出ていってしまった。

 部屋の中には母とボクだけが残される。

 誰もみていないなら、少し位甘えても良いのではないだろうか?


「母さん味見お願い、はいあーん」

 作っていたイルタマを蒸かしたものを母に味見してもらうと、母は熱かったのか口から溢してしまう

「あ、ごめんね熱かったかな」

 慌てて母の胸元を拭う。

 ハンナ母さんは美味しかったよ、腕をあげたわねとボクを誉めてくれた。


 母に誉められたのが嬉しくて少しテンションが上がってしまい、料理を作りすぎたボクは家族の分のお弁当と、少し余分ができたのでそれを少し包んで、届けることにした。

 今日は確か北西側の柵を補修すると言っていたので、そちらに行こう。


 ボクが家を出ようとすると慌ててリリが追いかけてきたらしい。

「ママ!リリもいっしょ!」

「リリちゃん、慌てなくていいからお靴履いて、私と一緒なら追い付けるから。」

 後ろからそんな声が聞こえたので振り向くとリリが靴も履かずにボクに向かってジャンプしてきているところだった。

 あわてて胸で受け止める

「グスッ、おいてかないで」


 泣きそうな顔をするリリを追いかけてきたカグラが、ボクにしがみついたリリに靴を履かせてくれた。

「良いよ、一緒に届けよっか」

「ではお弁当は私が」

 カグラがお弁当を持ってくれる。

「ありがと、うんしょっと、リリも大分重たくなったね。」

 抱えやすい様にリリを抱き直して歩き出す。


 現場に向かって歩いていると、ピピンが挨拶してきた。

「やぁピピン久しぶり」

 適当に挨拶を返すと、リリにも挨拶をしてきた。

「ヤー!ママ!!」

 撫でられそうになるとリリは嫌がってボクの胸に顔を埋めてピピンに背中を向けた。

 少なからずピピンがショックを受けた様なので

「ピピンが性的いやがらせするのがわかるんだよ!」

 と追い討ちをしてやると、ピピンめボクの胸を触ってきた。


 リリを右側に抱えているから、逆の左側。

「こら!ボク人妻なんだよ!?」

 つい咄嗟に左手でピピンのアゴに一撃お見舞いすると、ピピンの首がポーンと3メートルばかり飛んだ。

 ちょっとやり過ぎたかな?と思ったけれど、ピピンは何事もなかったかの様に首を拾い上げもとの位置に戻すと平謝りしてきた。

 どうやら大丈夫そうだ。


「全く、ピピンはいつもいつも・・・」

「フフ・・・アイラさん楽しそうですね。」

 そんなボクたちをみてカグラが楽しそうに笑う

「久しぶりの故郷だからかな、ピピンのいたずらでさえ懐かしいや」

 それからピピンとは別れて現場に向かう。


 現場に着くとみんな忙しそうに作業をしていた。

 エドガー父さんは、皆に指示を出しながら自分は丸大を木材に加工しているところだった。

「父さん、お弁当持ってきたよー」

 そういってその輪の中に入っていくと村人達が、寄ってくる。

 

「お久しぶりです、え?やだーアイラですよ」

 誰だいこの美人さん、なんて分かりやすいおべっか使わなくたってボクの事くらい・・・あれかアイリスと区別がつかないからか?


 父さんはお弁当を受け取ったあと、ボクに食べさせて欲しいと言ったけれど、母に悪いので断った。

「まだユーリたちにお弁当届けないとだから。ごめんね、少し作りすぎたのでみなさんも少ないですがどうぞ」

 無論そんな理由を人前で言うのも恥ずかしいので、人妻らしい断り方をさせてもらう。



「それにしても、なにか違和感があるんだよね。」

 なにかとても大事なことを忘れている様な・・・

「私もなんですよね、ってリリちゃん寝ちゃったみたいですね」

 さっきまで人に囲まれてギャン泣きしてたからなぁ

「疲れたみたいだね。早くユーリたちにお弁当を届けて、家に帰ろう。」


「亀島、って言いましたっけ?どの辺りにあるんですか?」

「うん、森の中少し入ったところ。」

 森の中に入っていくとすぐに亀島についた。

 そしてすぐにユーリたちが見える


「あ、アイラだ!アイラー!こっちこっちー」

 元気の良くアイリスが呼んでくれた。

「やほ、どうかな?良い亀取れた?」

 ここでとれる亀は村の貴重なたんぱく源となるが、美味しいサイズというものがある。

 一番は黄色みがかった30センチ位のものであるが、さすがにトーレスと一緒にいるだけあって、ベストサイズのものばかり3匹確保されていた。


「亀はもういいからって今は肉のとれそうな魔物を探してるんだ」

 とユーリが剣を構えて言う。

「へぇ、首尾よく取れたら今夜も豪華な食事になるね。」

 亀に肉にイルタマにソペ・ソルに他にも干物野菜や穀物もある、まだ冬明けなのにずいぶんと沢山食材があるものだ。


「でもでも、トーレスの方がいっぱい獲物とれるよね?」

 そういってトーレスに抱きつくオルセー。

 オルセーはトーレスが好きだからか、ここぞとばかりに勝負をふっかけてきた。

「おやオルセー?ボクの旦那様だって狩りくらい出来るんだよ?」

 ついムっとして対抗してしまう。


 斯くして、トーレスとユーリの狩り勝負が始まった。


「ユーリ!君はリリのパパなんだからね、絶対勝つんだよ!」

「ユーリ!勝ったら今晩はアイラと私とを好きにして良いよ!」

「えっ!?ボクも?」

「ユーリさん頑張って下さい!」

 ユーリの応援は奇麗どころ3人と寝ているリリ。


「トーレス!頑張ってね!」

「トーレスさん、負けないでください、勝ったら特別なモノをさしあげます。」

 トーレスの応援はトーレス大好きオルセーと、礼儀正しいアルン、オルセーについてきただけのリルルだ。


 この森にはやたらと旨味の強い鳥類と普通のウサギ(体長40センチほど)、魔物としてはフォレストボアと角ウサギ、それと少し奥にいくとエントとその天敵のセラファント、湖の奥地の方にワニガメ(体長6メートルほど)とがいる。


 セラファントとワニガメは火を恐れるので人里には近付かないが、特にワニガメはワイバーンなどと同じく劣化竜に数えられる強力な魔物なので出会わない様にしたい。


 ユーリもさすが貴族だけあって狩りになれているのだろう、どんどん今夜の夕飯が豪華になる。

 トーレスは地の利を活かしてコツコツと成果物を増やすが、ユーリが若い個体とはいえワニガメをハントしてきたので狩り勝負はユーリの勝ちとなった。


 一人で劣化竜を狩るなんて、うちの旦那様はなんて強いのだろう。

「すごいねー、ユーリってこんなの一人で狩れるんだー」

 なんていってオルセーも大興奮していた。


 大戦果に村をあげてのお祭り騒ぎとなり、皆でワニガメ肉も煮込んで食べた。

 冬にやるイルタマ煮みたいで楽しかったけれど、オルセーが妙に寂しそうな顔をしていたのが気になった。


 ワニガメは大きな生き物なのに、肉質は柔らかくプリプリしていた。

 またスッポンみたいに滋養強壮作用があるらしいのと、ワニガメを倒した夫の勇姿にボクもアイリスも興奮していたのか夜は3人で大変に盛り上がってしまった。

(・・・スッポンってなんだっけ?)


 リリのことは「さすがに他の夫人の実家ではできませんよ」

 と、同衾を断ったカグラが面倒をみてくれた。



 里帰りから何日経っただろうか?

 普通に考えれば領地に戻らないと行けないのだけれど不思議とそんな気持ちが起こらない。

 娯楽も少ないウェリントンだけれど久しぶりだからなのか毎日楽しい


 毎日お日様が沈むまで、昔とちっとも変わらない友人や家族と笑ってすごし、時間を潰せる娯楽が少ないので夜はユーリとアイリスと3人でイチャイチャと夫婦の営みに励む。

 時々は寂しい想いをさせているエッラの家にユーリが夜這いにいくので、その時はカグラも併せ3人で寄り添いリリを囲んで寝る。


 両親や一部の村人は、ユーリが他の村娘にも手を出すのでは?と心配しているが、彼は貴族としての体裁も気にするので室にしか手は出さないだろうと言うと、ひとまず納得してくれた様だった。


 何日の予定にしていたか忘れたが、気がつけばボクたちは十日ほどもウェリントンに滞在していた。

しばらくちょっとよくわからないかもしれないので早めに次を投稿する努力をします。

帰宅後間に合えば・・・多分間に合わないので明日か明後日になります。


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