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第137話:シャオユウ

 こんにちはアイラです。

 大陸全てを巻き込んだ戦争が終わりました。

 戦後の国割りや処罰するべき人の処罰などはおおむね終わり、あとの細かい取り決めはジークたちに任せて屋敷に帰った。

 その後着いていなかったユーリとの論戦の続きをして、ボクは惨敗した。


 コンコンとノックの音が響き。

 言い返せる事がなく、気まずい沈黙を守っていたボクは天の助けとばかりに即座に許可を出した。

「ど、どうゾ!!」

 少し上擦った。

 照れて少し赤くなっているとドアが開きトリエラとシャオユウが入ってきた。


「失礼しますね、マスター。シャオユウ様が正妻のアイラ様に改めてごあいさつしたいそうで・・・・っとお邪魔でしたか?」

 トリエラは申し訳なさそうに一歩下がる。

 そういえばトリエラはユーリに外す様に言われて部屋を出て、今ボクたちはベッドに腰かけて手を重ねていて、加えてボクはやや赤くなっている。


「そんなことないよ!むしろ助かったよ!?」

 変にテンションを高めながらユーリの手から逃れ、トリエラの前に行くと、シャオユウは先程までのドレス姿ではない動きやすそうな服装、飾りは少ないがライム色の可愛いシャツに白く短いパンツを合わせた服は10月には寒そうである。

 一応お姫様だったのにそんなに肌を出していいのかな?と不安になりながら

「シャオユウちゃん、これからよろしくね?」

 なーんて気さくさを意識しつつ声をかけた。


「はい、アイラ様よろしくお願い致します、ところでアイラ様、アイラ様はユーリ様の正妻で、それもかなりお強いとの噂ですが、シャオは信じられません。」

 そういうとシャオユウはボクを正面から見据える。

 そう、ほぼ正面からだ!

 獣人系は早熟なものが多く、10才くらいである程度成長してしまうと聞いていたがこのシャオは12才でほぼボクと同じ身長、つまりヒト族の10才並なのだ。

(これは獣人族としてはかなり・・・)


「今!!」

 当然シャオユウが大きな声を出したので驚いて思考が止まってしまった。

 シャオユウはボクを今度は睨んでいる。


「小さい・・・と思いましたね?」

「思ってないよ?」

 思わず即答する。


「シャオのことを小さいと思いましたよね?」

「思ってないよ、ただボクと同じくらいの子が珍しいなぁ、くらいで。」

(ごめんなさい本当は小さいと思う直前でした。)

 心の中で小さく謝る。


「それ小さいと思ってるのと変わらないじゃないですか!!」

 シャオユウは目を瞑って地団駄を踏む。

 キス族よりでなおかつ筋肉質のゴリュンと違って、シャオユウはどちらかと言うとシャ族よりの姿をしているので、体はしなやかで細身、その上身長も低いので地団駄をふんでもたいした音も響かない。

 ていうか何気にだ。

「それボクのこと小さいといってる様なものじゃないかな!?」

 わかっててもショックではあるのだ。


 ひとしきりじゃれあったあと、唐突にシャオユウは言った。

「そういうわけなので、ぜひとも一度手合わせしてください。シャオと同じくらい小柄な方がそんなに強いだなんて、ちょっと信じられないのです。」

 だから動きやすい格好なんだね。


「良いよ、得物は?」

 ボクは収納から暁光を取り出しながら尋ねる。

 シャオユウはニヤリとしながらに言う

「シャオは棒や直槍、爪や拳での格闘戦が得意です。」

 それを聞いてボクは暁光を引っ込めた。

「む?どうされました?」

 シャオユウはボクが得物をしまったのが不服な様だ。


「お互い大ケガしてもつまらないし拳で良いかな?って、庭に行こうか?」

 そういって歩き出してもまだ不服そうなままでシャオユウはついてくる。

 気が強いとは聞いていたけれどこれはやっかいな子かもしれない、聞き分けのない子の様ならゴリュンさんのところへ送り返そう。


 庭で一番広いところに着くとひとまず準備運動。

 チラリとシャオユウの方をみると、やはり獣人の12才にしては小柄かな?

 短めの焦げ茶色の髪は癖が強そうで毛先が整っていないけれど、好奇心の強そうな目やネコミミネコシッポがあるためイタズラ好きのネコみたいでかわいい。

「アイラ様、シャオは準備できました!」

 そういって構えた彼女は無手、ならばやはりボクも無手だ。


「では審判はユーリにお願いするね」

「ユーリ様、ちゃんと審判してくださいね!贔屓はダメですからね!!」

「いいよ、任せて」

 審判はユーリ、ギャラリーはトリエラと素振りをしていたエッラ。

 槍に重りが70㎏付けてあるのは、気のせいだと信じたい。

 エッラの突撃槍自体が20㎏くらいあるのに・・・


「それでは、はじめ!」

 ユーリの合図と同時にシャオユウはボクにむかって駆け出す、確かに自信満々に挑んで来るだけあってかなり速い、がそれはあくまで子どもとしての話。

 加速なしでも軽くあしらえる。


 速さなら帝国戦でレオニズで薙ぎ払った白兵を仕掛けてきた連中のほうが速い。

 するりとよけてほっぺたに拳を押し当てる。

 とても柔らかい。

「ふへ!?」

 シャオユウは気の抜けたかわいい声を出して後ずさった。

「今!何をしたんですか!?」

 自分の頬を触ってとても驚いている。

 どうも加速なしでもボクの動きがほとんど見えていなかった様だ。


「ちょっとほっぺたにグッてしただけだよ?」

 そう告げるとシャオユウはボクの方によってきた。

 またくるかと身構えかけたが、どうもちがう様だ。

「アイラ様!すごいです、ぜんぜん見えませんでした!噂以上です!お姉様と呼んで良いですか!?」

 今のやり取りだけでボクのことを気に入ってくれたらしい。


「シャオユウが側室になるならばユーリを支える姉妹の様なものだし、かまわないけれど?」

 そういうとシャオユウは先程までと異なる人懐っこい笑顔でボクにすり寄ってくる。

「アイラお姉様!シャオユウのことはシャオって呼んでください!」

 シャオはそれから簡単に自分語りをしてくれた。



 生まれたときユウ族(クマの獣人、優れた戦士が多い、またユウには甘いもの好きという意味もあるらしい)の赤ちゃんかと思うくらい大きかったらしく、女の子らしい小柄なかわいい子になります様にとシャオユウと名づけられたそうで(シャオは小さいとかかわいいという意味の獣人の方言らしい)その願いが届いたのかちっとも成長せず今に至るとか。

 願いが届き過ぎてむしろ小さく育ってしまったが、ユウ族名前通り強くあろうと武術を研鑽してきたという。

 小さいのに強いと評判のボクに興味を持ったが、そんなに大きな差があるとは思っていなかったらしい。


 そして、強いと分かった以上はボクには抗わない様だ。

「アイラお姉様!シャオに色々修行してほしいです!」

 そういってシャオはボクの背中からしがみつく。

 ボクはまた新しい妹分を得たのであった。

 アイビスとケンカにならないといいのだけれど・・・


 この日お風呂では案の定、誰がボクの背中を洗うかでアイビス、アミ、シャオと貴族娘の三つ巴の戦いが繰り広げられて、賑やかなお風呂になった。

 仕事を奪われたトリエラは固まっていた。



 さてクラウディアに戻って来て一週間ばかりたった。

 シャオとの距離感にもなれて自然に付き合える様になってきた。

 現在の様子ならばユーリを支える仲間として申し分はない。

「ユーリ、ゴリュンさんはシャオのこと、かわいげもない、何て言っていたけれど、かわいいよね?」

 ボクはすでに素直なシャオのかわいさを認めているし、容姿も美少女と呼んで差し支えないものだ。


 しかしユーリは冷静だ。

「ゴリュンさんは君と比べてと言ったからね、君は自分のかわいさをもっとよく知るべきだよ」

 と言ってボクの頬を撫でた。


 今は二人してユーリの寝室でベッドに並んで座っている

 今夜は二人きりで過ごせる様にした。

 明日にはホーリーウッドからエドワード様たちが到着する予定となっている。

 来週にヴェル様の国葬を行うためだ。


 アイリスたちがこちらに着いたら流石にしばらくボクは遠慮しないとね、4ヶ月の間ほとんど独り占めに近い状態だったし。

 ということでユーリと最後にいちゃいちゃ成分を貯めておくために二人きりで寝る前のお喋り中。

 リリはナディア、エッラ、アミが3人で見てくれている。


 シャオはトリエラにもよくなついていて、精神年齢の近いアイビスとも仲が良いので、今夜は三人で寝るといっていた。

 つまりだ。

 コンコン

 と今ドアを叩いているのはアリーシャか、アリエスか神楽という可能性が高い。


 まぁ夜中に屋敷内にいる様な人間なら誰でも許可は出すんだけどね。

「どーぞ」

 とユーリは声も聞く前にノックの主を招き入れた。

シャオユウの紹介文的なところです。

ヴェルガの国葬は巻きになる予定です。


短くてごめんなさい、次回は早めにかきあがる予定です。

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