第121話:継承3
こんにちは、暁改めアイラです。
この戦争、どころかこの大陸の今後の趨勢にかかわる大事をジークが話しました。
聞いていたのは14歳のユーリと12歳のボク一足先に13歳になったアイビスと、まだ乳飲み子のリリ一人・・・。
次にボクたちは、本題のアマリリスの鑑定についてジークに頼んだのだけれど・・・。
「ふむ、それでは食後にいつもの部屋に待っていてくれ、本当ならあまり人を入れる部屋ではないが、全員で待っていてくれていい、今年の軍官学校からのステータス配布はなかったであろう?全員分やろう。ついでにカグラ殿のステータスも計測して置こうぞ。」
部屋から出した者たちを呼び戻したあと、ジークは鑑定を承諾してくれた。
本当は鑑定石などではなくジークによる鑑定なので、彼の現在の精神的疲弊を考えるならば、リリだけでも良かったんだけれどね・・・、ありがたいので受けることにした。
食事を終えた後、ボクたちはいつものアイラ黒歴史の塔へ向かう。
そういえば今日はフローリアン様やヴェル様がいらっしゃらないけれど、戦場に出ていらっしゃるのだろうか?
フローリアン様も確か結構強い方だと聞いている。
戦場で指揮を取っていらっしゃるのかもしれない。
いつもの部屋に着くと皆でお行儀よくイスに座って、ジークを待つ、たぶんジークは先にステータス表を用意して来ているはずだ。
こっそり下の階からでもボクたちを「見て」いるのかもしれない。
鑑定って肉眼でみえていなくっても名前が分かってある程度の距離にいれば鑑定できるらしいし。
それから20分ほど経っただろうか、リリがおっぱいを欲しがってグズりはじめたのでボクは人の部屋だというのに授乳を始めた。
するといつも通り光の粒を纏い始めるリリ、もう慣れちゃったね。
髪の毛少なかった時には気付かなかったけれど、光っているときに実は髪の毛がゆらゆらしている。
おっぱいを飲んでいる最中にもなにやら懸命に「ダーゥ」とか「アーアーアー」なんていっているけれど、口からよだれと母乳がこぼれて、ボクの服は大変べっちゃりとなっている。
「そういえばアミ、さっきメイド達は出てって言われたときなんでアミも出て行ったの?アミは貴族でしょ?」
ちょっと気になってたので尋ねる。
「あぁ、そういえばそうでしたね、でも私はもうボスケの家を継ぐことはないですし、アイラちゃん先輩の隠密メイドとして使っていただけるとうれしいです。」
なんかキミたちはすぐに役職にメイドつけたがるよね・・・・。
でもまぁアミは可愛いし有能だし、雇い先が必要なら是非うちに来て欲しい
ちょこちょこ雑談をしているとジークが部屋に入ってきた。
「待たせたなぁスマンスマン、ちょっと鑑定石の起動に手間取ってな・・・。」
単にボクのスキルの文字を書き写すのに苦労したとかかな?
ジークは皆に紙を一枚ずつ手渡していって最後にボクに2枚のステータス表を渡した。
アイラ・ウェリントン・フォン・ホーリーウッド F12ヒト/
生命347魔法423意思1365筋力19器用128敏捷159反応113把握154抵抗88
適性職業/勇者 『魔法少女』 聖母
技能/能力選択 剣術M 感知9 格闘術9 杖術8 魔法構築8 気配遮断8 精神汚染耐性8
魔術/『火燕魔法』 火魔法上級 風魔法上級 身体強化魔法上級 水魔法上級 光魔法上級 飛行魔法上級 空間魔法上級 雷魔法上級
特殊/『光弾』『跳躍』『隠形』カリスマ 龍王の加護 光化 光の加護 博愛 『加速』9
うん突っ込みどころがひどいね・・・一度は消えていたらしいのにとうとう職業にも日ノ本語職が復活・・・ついでに龍の加護が龍王の加護に代わってるし、そして・・・
「ジーク、これは・・・・。」
聖母って・・・。
「アイラよ、もう一枚はアマリリスの分じゃ、確認しておけ」
アマリリス・ウェリントン・フォン・ホーリーウッド F0ヒト/
生命7魔法273意思13筋力1器用1敏捷6反応9把握4抵抗99
適性職業/聖なる王の再来
技能/感知3 魔法構築2 気配遮断1 精神汚染耐性1
魔術/『火燕魔法』 身体強化魔法初級 飛行魔法初級
特殊/『光弾』『跳躍』 超反応 強運 戦法 水棲 神王の加護 聖母の加護 龍王の加護
ちょーっとまってほしい、イロイロおかしい・・・。
うちの子の数値と適性がおかしすぎて、ちょっと混乱する。
ただ安心したのはちゃんとボクとユーリの適性を引き継いでいること。
疑いようもなくボクとユーリの赤ちゃんだね。
それにしても、神話の名前が出てきすぎな上に、やっぱりほとんどの能力を継承しているね。
水棲があるってことはお風呂も安心して入れられるのかな?試してみようとは思わないけれど、もしかしたらお風呂で溺れる事がないのかもしれない。
ユーリも横から覗き込んで驚いている。
「ユーリ、アイラ、その辺りについてはそなたらだけでよく話し合っておくといい。」
緘口令ってことかな?さすがにこんな赤ちゃんに神話的な職業が・・・そもそもこれ職業なのかな?
「皆順当に育っている様で安心した。特にアイラは出産を経てか体力と意志力の成長が著しいな、これからも頑張って欲しい。」
ちょっとごまかしが雑な気もするけれど、コレで今回の目的は果たしたのだからあとはちょっとした雑談を残すだけだ。
「ありがとうございました、ジーク、ボクたちは1週間ほどクラウディア邸に滞在しますから、何かあったら呼んでくださいね。」
内緒話とかね。
「うむ、アイラとユーリは明日もう一度来てもらえるか?アイビスは今後はギリアムを第二の父と思い、いろいろと教えてもらいなさい。」
そういってジークは少し寂しそうな目をした。
(話してしまったってところか)
国王として、それも長く続いた国の後継者として、あまりにも重大な決断をとうとう話してしまったのだから、彼の心情はとても複雑だろう。
ジークは優しい王様だから、この大陸の平和のために、自分を傷つける選択を取れてしまうんだね。
ボクが彼の立場ならきっとボクの世代でする必要はないよね?なんていって先延ばしにしてしまうかもしれない
城を後にしたボクたちは今日は馬車は止めて久しぶりの、神楽にとっては初めての王都を歩くことにした。
「ほらリリココがおかあさんとお、おと・・・さ・・・の・・・通ってる学校だよ?」
戦争中で休校となっているが、果たしてここに戻ってこれるのだろうか?
もう一年ほども学生が居ない学校は、寂しいし、何か死んでいるみたいだけれど、保存の魔法のおかげでちっとも寂れてはいない。
それはそれとして、リリに対してはユーリのことをおとうさんと呼ぶのだけれど、むちゃくちゃ照れる。
なんか本当に夫婦なんだなって思うと・・・。
まして人通りのある一般の道だ・・・照れる。
実際はそんなことないんだろうけれど、周りのお店の人からまだ若いのにおかあさんだなんて・・・なんて思われてるんじゃないかって思うと、恥ずか死ぬ・・・。
恥ずかしさに身悶えているとユーリがボクにケープをかけてくれた。
ちょっと震えてると思われた様だ。
「アイラ、少しリリが寒そうだから。」
ボクではなくリリのためらしい・・・
リリは今抱っこできるシャツという特殊な衣装に抱きかかえている。
コレによってボクはリリを防寒具ではないけれど、リリの熱を感じながら歩けるので寒さに鈍感に成っているけれど、季節柄もう冬なので多少寒い。
リリはボクよりももっと寒いはずだ。
「ありがとうユーリ、ボクが気付かないといけなかったのに。」
ゴメンねリリ、ボクが気付くべきだったのに、君の事を気にかけていなかった。
お母さんなのに・・・。
「仕方ないよ、初めての冬だもの」
「初めてって、王都の冬は3回目だよ?去年は秋までしか居なかったから一年ぶりだけど。」
そういって照れ隠しの反抗をすると、ユーリは余裕ぶって笑う。
なんだい?気を使って優しくしてればボクが喜ぶと思ってるのかな?
ことリリのことに関してはボクは妥協できない立場なんだ。
うれしいかうれしくないかでいえばうれしいけれど、リリのお母さんとしては複雑なんだよ?
そう思って口を尖らせていると。
ユーリはボクの目の前のリリの頭をなでながら。
「リリのママになってはじめての冬でしょ?」
そういってもう一度笑った。
(あぁ・・・まったくもう・・・。)
ユーリはお父さんになってもボクに対してこんなに直撃弾を放ってくるね。
顔が真っ赤になったのがわかる・・・。
「アイラさん大丈夫ですか?顔まっかですよ?」
ボクの顔色に神楽が気付いてしまう。
何とかユーリには顔色を見られないようにしたというのに、神楽はタイミングが悪いね・・・。
とか何とかやっていると無事にホーリーウッド家内クラウディア別邸に着いた。
2年半そこらしか住んだことないけれど、それでもアイラが人生で3番目に長い時間を過ごした家で、懐かしくなる、ノイシュさんの言う限りでは一年経った今でもアリーシャ達がここを担当しているというのでありがたいと同時に申し訳ない気持ちにさせられる。
1週間だけだけれど、アリーシャ達にもいっぱいリリを可愛がらせてあげよう。
「ただいま!」
「ただいまー」
ボクたちの声が1年少しぶりに屋敷内に響いた。
やっとアイラとリリのステータスがかけました。
ちょっと部屋の模様替えとかしてました。
現実逃避というやつです。
もう少しの間更新は疎かになる予定です。申し訳ありません。
それはそれとブックマークが110超えてくださいました。
更新が不定期で御迷惑をおかけしてますが、今後ともよろしくお願いいたします。