表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/182

第116話:勇者襲来2

 おはようございます、暁改めアイラです。

 どうやらヒライ基地へのエッラの襲撃が始まりました。

 ボクたちも動き始めよう



 まずは心構えからだ。

「みなさん、今から、王国の基地に逃げ込みます。少し遠いけれど、歩いていける距離です。ただ、敵に襲撃されるとこの人数です、守りきれないかもしれません、なのでみなさんにお約束事をお伝えします。」

 ボクがゆっくりと手をあげながら語りかけると子どもたちも兵士たちもこちらに注視しているのがわかる。

「先ずは、押さない。目の前に居る人がじゃまだからってぐいぐい押したりすると、転んだりして、かえって遅くなります。絶対に押さないでください。」

 うん皆頷いてくれている、反応は上々だね。


「次にボクやユーリに指示されたとき以外は走らないでください。これもさっきと同じでこけてしまったり、敵に見つかる可能性があるので、絶対に指示があるまでは歩いてくださいそして最後に喋らないでください、基地を出るまでは絶対におしゃべりしないでください。敵に見つかればそれだけ危なくなります。」

 子どもたちも自分で口を塞いで、頷いてくれる、本当は「黒霞の娼婦」による隠形の強化のおかげで、相手に触れるか相手が上位の戦士でもない限りそうそうばれないんだけどね。

 念には念を入れようと思う



 同じ指示が1Fの子どもたちにもいきわたるといよいよ作戦開始だ。

 エッラのものと思われる激しい音が西のほうから聞こえてくるたび自分たちは大丈夫だろうか、ここも崩れるんじゃないかと子どもたちがビクリと身体を震わせる、けれど・・・

「じゃあそろそろやるよ!」

 待ってばかりでは居られないしね。


光輝剣シャイニングセイバー

 ボソリと技名を唱えて暁光に光弾を纏わせる、岩の壁くらいならこれで切り抜くことができる。


 ヌルリとした感触あまりに容易くバターの様に壁が切断されて、さらに数度切れ込みをいれると壁は崩れ次には基地の外壁が見えた。

(ここからは時間との戦いになる)


 さすがに建物の壁と違って基地の壁は分厚いけれどボクにかかれば・・・基地の壁に向かって上級魔法を唱えようとするボクに

「アイラ、ここは僕がやろう、跳躍のせいで魔力がもうあまり残ってないでしよ?」

 ユーリが声をかけた。

「あれ?ボク君に魔力残量の話をしたかな?」

 その覚えはない、心配かけたくないし


「きかなくたって息づかいでわかるよ、僕は君の・・・・その、旦那さんなんだから」

 照れた顔で言う彼の表情にボクは作戦中だと言うのにキュンとしてしまう。

 あぁ・・・そういえば忘れてたけど、「黒霞の娼婦」には高揚の効果が自分にかかるんだったっけ?

 人前で、しかも外だと言うのにボクはどうしようもない女だね、胸の辺りが張りつめて切なくなってしまった。

(今は我慢しなきゃ・・・)


「それじゃやるね・・・エクスティンクション!」

 ユーリが魔法を付与した盾の剣を突き刺すと壁がぽっかりと大きな口を開けた。

(へ?今何をしたの?)

 ほとんど音らしい音もなく壁は消え失せて直径2mばかりの穴が穿たれた、穿たれた?


「ユーリ、これってもしかして・・・?」

「詮索はあと、いまは脱出が先だよ!」

 不思議がるボクにユーリは救出作戦の優先させる。

「そうだね、ところでエッラがまだ戦闘してるみたいだね。」

 穴から子ども達を脱出させる間、妨害らしい妨害もなく、エッラの陽動が上手くいっていることがよくわかるけれど、破砕音がちょっと激しすぎるんだよね・・・。


「ちょっと気になるね?壁からは出たし、一旦様子を見てこようかな?」

 エッラならば例えば勇者級が相手でも同等以上に戦うだろうし心配はしていないけれど、もう牽制しながら退避に移っていい頃なのにまだ破砕音がしているからね。


「わかった一旦こちらは僕一人で護衛するから早めに戻ってね」

 ユーリに許しを得てボクはエッラが戦っているはずの基地の西側に向かった。

 道中何人かの敵兵が武器を抜き放ってきたので手や足を切って無力化させつつ、エッラの居るほうへ向かう・・・。


「うわぁ・・・すごいなコレ・・・・。」

 北面の壁の端から西側の壁のほうへ曲がった瞬間、破壊音の正体が分かった。

 風を纏わせた突撃槍を構えたエッラが無造作に一突きするたびに30mほど離れているのに壁が粉々に砕けていく。


 一回の突きで破砕する範囲は大きくないけれど既に壁が50mほどなくなっている。

 合間に敵兵が妨害に来るけれど、大体竜巻に吹き飛ばされてエッラと世界にお別れを告げさせられている様だ。

「エッラ!もういいよ。帰ろう?」

 そういって声をかけると、エッラは突きは続けたままでこちらににこやかに微笑んだ。


「アイラ様、わざわざお迎えに来てくださったのですか?うれしいです。私はお役に立てたでしょうか?」

 女神か聖母の様な慈愛に満ちた微笑を浮かべながら魔神の如き破壊を続けるエッラにちょっと恐怖すら覚える。

「うん、エッラは役目を十分に果たしてくれたよ。だからもう終わって帰ろう。」

 作戦の終わりを告げるとエッラはうれしそうに飛行やホバー移動用に使っている風魔法を発動させた。

 その風で巻き起こる砂埃の後ろになにかチラリと見えた気がする。


「危ない!」

 間一髪・・・ボクの抜き放った払暁がその攻撃を防ぐ、風魔法を乗せた投擲だったね

「よく防いだ!小娘!よくもヒライ基地をやってくれたなぁぁぁ!」

 ちょっと動きの良い赤い鎧を着た黒髪のオッサンが、剣を投げてきた様だ。


 両手には現在太く長い剣と短く幅の広い剣をもっていて

 かなりの高スピードでこちらに向かってきている。

 いつぞやアンゼルスの森で戦ったバーなんとかと同じくらいの速さだけれど

 エッラが凧型盾を基点に風魔法・陣風エアバーストを発動させるとその風圧に「ムゥっ」と声を一瞬漏らして身体を硬直させ、次の瞬間には突撃槍で右腕から身体の中心辺りまでを吹き飛ばされていた。


 ちょっとした上級剣士だったし話を聞いてみたかったけれど・・・。

 既に血まみれで転がる死体に成り果てているので仕方がない。

「じゃあ帰ろうか。」

 人を殺すことに躊躇い自体は残るけれど、顔色一つ変えずに人を殺せるようになってしまったボクたちを、ウェリントンの皆が見たらどう思うだろうか?

 そんな事を思うこともあるけれど、戦争中に余計なことを躊躇すればこちらが死ぬ・・・仕方ないことだ。



 エッラと共にユーリたち脱出組に追いつくと既に1km近い距離を移動していた。

 子どもの大群の中からユーリを見つけるのはやや大変だったけれど・・・。

「ユーリ、敵襲はなかった?」

 声をかけつつ近寄るとユーリは満足そうな表情をしている。

「うん、今のところは何も、二人とも無事でなにより。これで前と後ろに分かれて護衛につけるね」

 あぁ追撃に配慮して、やや後ろよりについていたんだね。

 さっきまで前よりだったから、ちょっと見つけるのに手間取った。


「ココは僕とエッラで事足りるから、アイラは早くあかちゃんのところに帰ってあげて?お腹すかせてるでしょ?」

 ユーリが見惚れる様な汗で光る笑顔を風でなびかせながら

 言われてみれば、早朝におっぱいをあげてからすぐに出発しようとして、それからもう2時間ばかりたっているし、このままここの子どもたちと同行していては、2時間以上は時間がかかる。

 確かにもうお腹をすかせてる頃だ。

 ボクが自分のおっぱいで育てることを申し出たのだけれど、今回の出撃に際して乳母役としてコリーナが今日の7時から出仕してくれる予定になっていた。

 いまの時刻は7時40分・・・。


「分かったじゃあお言葉に甘えてごめんね?ユーリ、エッラあとは任せるね!」

 そういってボクは加速を発動する。

「気にしないで、僕の子でもあるのだから・・・あとで抱っこさせてね?」

「もちろんだよ・・・キミの娘なんだから。」

 そう伝えるとユーリはうれしそうに笑って

「僕ももう親なんだね・・・。」

 しみじみとして言った。

 珍しく女の子顔じゃなく新米パパの顔だ・・・。

 可愛さならどっこいどっこいだけれど、今のボクには溢れる母性があるので、ママの顔はボクのものだ。


「アイラ様、お気をつけて、あと・・・よろしければ私にも赤ちゃんを抱っこさせて欲しいです。」

 オズオズというエッラにも勿論と答え、ボクは全力で愛し子の元へと走りだした。

急激に寒くなってきまして暖房器具を数年間起動させてない私の部屋は、PCの前に座っているのもやや辛い感じです。

何年も使用していない石油ファンヒーターがあるのですが、これは使うとあぶないでしょうかね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ