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第109話:本懐

 おはようございます、暁改めアイラです。

 魔法の力がまともに扱えない状態になったままで

 3週間が経過してしまいました。

 ボクは焦りからちょっとしたケガをしてしまうけれど、そこでなんと治癒魔法が発動した。

 ボクは魔法が戻り始めたのかと思い、何個か魔法を唱えてみるけれど、やっぱりだめだった。


 朝、朝食をとっているとキャロルに部屋に着てほしいと言われた。

 キャロルはサーリアの義姉でヴェル様の長男ハルベルト王子の奥さんだ。

 特にエッラと仲が良く、ボクたちとの関係も良好、断る理由もないので二つ返事で了承したが・・・


「あの、キャロル?こちらの方は確か医官の・・・・」

 キャロルたちに付いてきた付き添い宮廷医官のエリザベスだったか?

 あまり話したことがない方がキャロルの部屋で待ち構えていた


「アイラちゃんこちらはわたくしたち王族の世話に付いてきた医官のエリザベスです。」

 キャロルに紹介されたエリザベスは頭を下げた。


「エリザベス・ベアトリクスです、アイラ様とお話するのはまだ2回目でしたね、ベスとお呼びください。」

 そういって握手を求めてきたので応じる。

「それではベス、アイラちゃんの検診をお願いします。」

 そういってキャロルはソフィを抱っこするとソファに座った。

 ベスは分かりましたとカーテンのついたソフィのベッドにボクを誘導してからカーテンを閉めた。


「えっと、お医者様の検診は受けましたけど魔力も身体もさしたる問題なし、強いて言うなら身体が小さい位だと言われてますけれど、なぜベス先生が呼ばれたのでしょうか?」

 ベス先生はまだ年若い女性の先生で、お年はたしか31とかだったか?

「まぁまぁ、色んな先生の見方があるし、キャロル様がわたしにも見せてみようと思われただけですよ、かわいい従姉妹殿をキャロル様も心配なさっておいでなのです。」


「そうですか、ではお願いしますベス先生。」

 ソフィのベッドにタオルケットをひいてその上に腰かける。 

「はい、アイラ様、それではお腹を出してくださいね」

 うお、そうだね身体触るし服は脱がないとだよね・・・このあと運動する予定だったからシャツとパンツが繋ぎになった下着つけてたからこれお腹だすには貧相な乳を晒さないといかない・・、恥ずかしい。


「わぁ、11歳なのにすごく引き締まった良いからだ付きですね。過剰な筋肉は着いてませんし実に健康的な肉体です」

 そういいながらベスは何やら魔法で検診している。

 宮廷医官ともなれば秘伝の検診魔法とかあるんだろうね。


「うつぶせになって背中を見せてください」

「はーい♪」

 なんだかアイラの声だとお医者さんごっこでもしてる気分になってくる。

「はい、とりあえず終わりですね、服を着てくださって結構ですよ」



「どうでしたか?ベス」

 ソフィを抱っこしたままキャロルが尋ねる。

「はい、おそらくキャロル様の見立ての通りですね。」

 キャロルが感慨深げに目を瞑る。

「そうですか、アイラちゃん、ギリアム様のところに行きますよ、ユーリ君も一緒に。」


「へ?」

 いきなり何を言っているのかな?

「おめでとうアイラちゃん、おめでたです」

 おめでた・・・・・?

 おめが出た?芽?目?

「心当たりありますか?その、ユーリ君と」


 ユーリ君と、の辺りで顔を赤らめたキャロルの表情にようやく合点が行く。

「えぇ~!?」



 ボクが魔法を使えなかったのはボクが妊娠直後に天衣無縫で意識がやや朦朧とするほど魔力を限界消費したためで、危険を感じた身体がリミッターをかけているため、昨日治癒魔法が使えたのはからだが痛みに反応して必要な事だと判断したから、2回目を撃ったタイミングなら初級でも使えたであろうなど、ベス先生から診察していただいた。

 まだ妊娠して日が浅いため通常の医者ではわからないがベス先生はそもそもキャロルがソフィを妊娠した際に招かれた専門のため詳しい検査ができた様だ。


 かくしてボクたちはギリアム義父様、エドワードお爺様、フローレンスお婆様への報告を済ませ

 その度に労いの言葉を頂いた。


 最初に呼び出したユーリは目をパチクリして

「えぇ!?早くない!?」

 と驚愕していた

 いやーまだ妊娠する様な事は1回きりだし、ボクはそもそもまだ生理が春の初経から3回しか来ていないというのにまさかできてるなんて・・・思いもしなかった。


「とりあえず当面激しい運動は禁止ね。」

 と、ボクを封じ込める様に神楽、トリエラ、エイラ、アミの

4人掛りの包囲網が形成されてしまって、ボクは戦時下だと言うのに戦力になれず、訓練すら出来なくなってしまった。


 ボクは毎日最低限の運動として城の中を散歩し、それ以外には良く訪ねてきてくれるコリーナら基礎学校時代の友人たちや疎開してきた貴族の娘たちなんかと面会するだけになった。

 経産婦のコリーナの話は非常にありがたく、いくつものためになる助言を貰った。

 

    

 ボクとアイリスの誕生日に行われる予定だった結婚式も、戦時下のため自重したという建前で、城の上から民にユーリとボクたちの結婚の報告をするだけにして、戦後に大々的に式を挙げる事にした。

  とりあえずこれで、ボク、アイリス、クレアはユーリの奥さんになった。


 年が明けても戦争は膠着していた。

 どの国も戦争自体が久しぶりで、味方と偽っている間に潜り込み最初に打撃を与える予定だったオケアノスの先遣部隊と伏兵が小さな町ひとつに被害を与えただけで壊滅したうえ、第二子セルゲイの戦死を受けて、逃げ腰で散発的な小競合いしか起きなくなった。

 何より初めに帝国が離脱したことで四方から王国を平らげていく目論見が崩れ去り、にもかかわらず情報を掴むのが遅かったため、宣戦布告はしてしまったため、オケアノスはもう既に逃げ道はなく。

 さらに他の地方でも膠着した状態が続き、各国は機会を待っていた。


 帝国をほとんど無傷で飲み込んだ王国の国力は既にオケアノス、ペイルゼン、ミナカタの3つを合わせたより大きいくらいになっている。

 さらにミナカタの一部の勢力が、王国側に恭順する姿勢をみせているとか居ないとか・・・。


 初期よりは情報が入ってくるようになったものの、今度は身体を動かすのも制限されているボクは悔しい思いをするばかりだった。

 ボクたちの機動力ならば、敵の本拠地に突入して、司令部を破壊するとかも可能であるのに・・・。

 それでも、妊娠推定10週目をすぎたあたりから。

 イロイロと自覚症状がでる様になってきてからは、ボクもそんなことは考えなくなった。


「ううぇ・・・」

 身体が思うように動かない、虚脱感と倦怠感が身体にまとわりつき、口の中に溢れたよだれを飲み込むと吐き気がするので用意しているお盆に吐き出す。

 ベッドの上からあまり離れられない。

 キャロルは暫くたったら楽になるからっていっていたけれど、いつくらいに楽になるんだろう・・・。


「アイラさん、大丈夫ですか?」

 神楽が優しく背中をさすってくれるのが気持ちいい。

「カグラごめんね?思ったよりも早くこんな姿を見せることになって。」

 神楽にボクが妊娠しているところを見せるのはもっとあとになると思っていたのに・・・

 まさか神楽と再会する前日に初めてで当たるとは・・・。


「それよりアイラおねえちゃんおなかは大丈夫なのそれ?」

 アニスがボクのおなかを凝視しながら尋ねる。

 今現在妊娠14週目のボクのおなかは目立つことになっていた。

 地球と同じ280日程度が妊娠期間になるのなら、便宜上ボクは妊娠85日目程度あと2倍以上も期間があるというのに既におなかが結構大きい。

 圧迫感のないうすでの服を着ているけれどぽっこりとしてしまっている。


「やっぱり、ちょっと早かったのかな?」

 身体が出来上がる前の妊娠出産は命の危険も伴う。

「んーアイビスやアイリスちゃんもいるし、たぶん大丈夫ですよ?」

 神楽は今度はうれしそうな顔でアイリスのおでこをなでる。


「もし産道が裂けてしまっても、私が再生魔法で治しちゃいますよ!」

「アイラー、私も妊娠しないかなぁ?アイラだけ先に大人になったみたいでずるい・・・。」

 あぁアイリスは可愛いね、ゴメンね先に大人になっちゃったんだよ。

 でもアイリスはまだ知識もないし、お嫁さんに成ったって言っても子どもだからね。

 妊娠はたぶんクレアや、サリィのほうが先になるかも・・・。


 この、おなかの中の子のためにも、ボクが出産しても戦争が終わっていなかったら、ボクは出撃しよう。

 今は歯痒い思いをするけれど、王国がオケアノス他2国に負けるなんてありえないし・・・・。


 現在ホーリーウッドには南と北と中央の貴族や豪商の幼い子女が疎開してきていて。

 親元や国元から離れた西の都での不安な生活を過ごしていた。

 その中で癒しというか、子どもたちの心の支えになったのは基礎学校だった。

 通常の年次より1000人ばかり子どもの数が多いけれど、収容スペース的には以前リウィが入っていた孤児院跡地を立て直して作った学校が700人くらい入るためそこと、立て直すため取り壊す予定にしていた校舎を継続利用して分散することで受けいれることが出来た。


 ホーリーウッド城には、有力貴族の子どもでもボクたちと面識のない者たちを受け入れ、ディバインシャフト城にはボクたちと面識のある子たちが何人も疎開してきている

 ディバインシャフトには最初からボクたちと一緒にやってきたサリィトシシィ、キャロルとソフィアリーナとその数人の付き人、コロネとメイドのフィレナ、アミ、南候家のアイビスとメイドのフラン、南の寄騎のカルナ・シュトーレン・フォン・レイヴン、それから北からはユミナ先輩とラピスの妹に当たる、シトリン・マラカイト・フォン・ペイロードちゃん5歳が2名のメイドと疎開してきている。

 ユミナ先輩とラピスはペイロード領にて戦うことを選んだそうだ。

 なんか嫌だな・・・これってもし自分たちが死んでも血筋を遺すために分けてるってことだよね・・・。

 ボクはこれから母になろうというのに、こんな後ろ向きな努力を見たくなかった。


 フローネ先輩とシア先輩は実家のザクセンフィールドに戻って療養中だったけれど、先日シア先輩から手紙が届いて、フローネ先輩も持ち直して今は対東戦の準備をしているとのこと。

 シリル先輩もアイビスの治療により脚が再生した後は短いリハビリの後マガレ先輩と同じ南部への防衛任務に就いた。

 ボクも出産が終わったら、戦地に赴くよ。


 アイラ・ウェリントンが12歳で迎えたこの年はイロイロと初めてだらけの年になるのだけれども。

 このときのボクたちは、お腹の中の命のことで精一杯だった。

妊娠したアイラがなんとなく納豆をたべたくなって、神楽が納豆を試作する話を作ろうと思いましたが、作りませんでした。

戦争中ですが主人公が身動きできないようにしてみました、戦線にどんな影響があるやら・・・?

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