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第101話:アンゼルスへの帰還

すみません昨夜寝落ちしてしまいこの時間の投稿となりました。

 こんばんは、暁改めアイラです。

 色々な鎧衣を試しながら空の度を続けたボクたちがアンゼルス砦に帰り着いたとき、時刻は夕刻7時を回ったところだった。


 ボクたちがアンゼルス砦上に着陸すると見張り兵とオイデ子爵が駆けよって来た。

「ユーリ様!アイラ様!」

 ボクがユーリにエスコートしてもらって、盾から降りているとオイデ子爵が慌てた様子で駆けよって来る。

「子爵?」

 その勢いにユーリは困惑気味で、そのユーリの硬直に何を察したのか、子爵も狼狽えている様だ。


「まさかどなたかお怪我なさいましたか!?はっアイリス様のお姿が見えぬ!まさか!?」

 まさかってなにさ?縁起でもない

「アイリスならはしゃぎ疲れて寝てます、あぁ運んで頂かなくて大丈夫ですよこちらでやれるので」


「はぁ?やはり幼いお身体では長旅は難しかったですか」

「そうだね僕も疲れたし、父に報告だけしたら今夜は寝ます。」

 そういってユーリはボクに続いてクレアが盾から降りるのをエスコートをする。

 それを見た子爵は不思議そうな顔をした

「ユーリ様、そちらの方は?何やら身分賎しからざるお方の様ですが・・・・」

 まぁ他国とはいえお姫さまだし滲み出るオーラはあるよね


「はじめまして、クレアリグル・リヒト・ルクセンティアです、その、お世話になります。」

 ボクたち的にはまだ婚約しかしてないので、クレアの名乗りは帝国の姫のままだ。

 クレアが挨拶すると子爵達は固まってしまった。

「なっなぁ!?断念して戻られたのではないのですか!?まだ1日たった位ですぞ?」

 一日で帝都まで行って戻って来るのはやり過ぎだった様だ子爵だけがかろうじて息を吹き返したが残りは固まったまま息も忘れている。

 そんななかユーリはマイペースに

「言った通り疲れてるから父と話したら休むね。」

 と砦内部に続く扉を開けた。

 取り残された兵士を尻目にボクたち先頭を歩くユーリに続いた。


 アイリスは小さな盾に柔らかいブランケットを敷いて寝かせたままで神楽が運んでいる。

(飛行盾って便利だね、ボクも練習しておこう。)

 あぁ砦のなかだと兵士の目もあるね膝を閉じて横向きに眠るアイリスの下半身に目をやるとスカートのお尻の辺りからかわいらしいピンク色が見えていたので、追加でタオルをかけてやる。

「う・・・ゅ・・?」

 その刺激で起こしてしまったかも知れないとおもったが、アイリスはまた穏やかな寝息を立て始めた。


 ふわふわと浮かぶ簡易ベッドに横たわるこの天使は、正直戦闘らしい戦闘のなかった今回の作戦では結果的に不必要な要員になってしまったけれど、現在の軍官学校の3年の首席治癒術士でその治癒魔法は大きな欠損でなければほとんどのケガを消してしまう、スザク家の再生魔法を除けば最上に近いものだ。


 明日からアイリスは引っ張りだこかもしれない、アンゼルス砦にも治癒魔法使いは数名配備されているが、アイリスほどの使い手は王国にも何人もいるものではない。

 そしてここが戦場である以上怪我人はそれなりに出ているはずだ。

「今はゆっくりおやすみなさい」

 そういってボクはアイリスのおでこにキスをして、ギリアム義父様の部屋の前に来た所でエイラとアミに再会した。

「アイ!・・・ラ様(ちゃん先輩)」

 ふたりはボクたちの方に駆け寄ろうとしたがアイリスが寝ているもことに気づいてゆっくりとよってきた。


「ただいまエイラ、それにアミ・・・無事で良かった。アミのお父さまからお預かりしたのにアミに何かあったらボクは一生後悔します・・・」

 アミは見たところ五体満足だしケガらしいケガは見てとれない。

「私もつい今しがた戻ってギリアム様に報告したところでして、ご心配かけてしまった様で申し訳ありませんでした。」

 微笑みを浮かべるアミは最後にあったときと何一つ変わらない様に見えるが、その微笑みは少し影があった。


(シリル先輩のケガの容態なんかを聞いたのだろう)

 アミは優秀だし、隠密の訓練を受けているけれどまだ歳若い女の子なのだから、自分とそこまで歳の変わるわけではない知人女性の足が・・・・なんてききたくはなかっただろう。

 「ボクたちはこれから義父様に報告に参りますが、2人は?」

 そう問いかけるボクに2人は


「御一緒させていただいても良いですか?」

 と息ぴったりに返事をする、さすが二人とももともと王家に仕える家の子だけはあるね。

 そうしてボクたちは全員でギリアム父の部屋に入った。

 部屋の中にはギリアム義父様とサリィ、それにジル先輩が顔を突き合わせて地図を見ていた。

 一応ノックして許可を得て入ったものの誰もこっちを見ない。

「ギリアム様、姫様もまだ休憩されていなかったのですか?」

 エイラは少し心配する様に声をかける。


「エイラか、君もそろそろ休みなさい、ユーリたちが帰ってくるまではのんびりしていていいのに、こんな時間まで子どもを働かせたくはない。」

 そういってギリアム様は地図を見たままで何かを書き込んでいる。

「うむ、やはりオケアノスが攻めてくるなら帝国との戦闘が終わる前に王都を狙うだろう。」

 ギリアム義父様は少し怒りを孕んだ表情で言う。


 ソレに対してジル先輩もサリィもうなずいて

「そして攻め込むならその進行ルートはこちら、かこちらでしょうか?」

 サリィが何か危ない事を返答している。

 やはり東との戦は避けられないのだろうか?

「ユーリたちが上手くやってくれると良いのだが、あと10日とかからずオケアノスは攻めてくる可能性がある」

 あれ?


「父上、状況はそんなに不味いですか?」

 ユーリが部屋の奥に向かいながら、ギリアム義父様に声をかける。

 義父は振り返ることもしないままで

「あぁユーリか、そうなのだ。先ほどアミが持ち帰ってくれた情報によると、セルゲイたちは戦地に向かうときの1.5倍ほどの進軍速度で、東への最短進路を取っているらしいまぁ、2日しか監視していないので予測進路だそうだが、それで今あやつらが東に帰ってから仕掛けてくるのか、東が日にちを決めていて攻めてくるのか、仮にそうならセルゲイたちはどこに隠しておくか、どこから攻めてくるかを考えているのだ。」

 セルゲイたちに村でも占領されたら、ろくでもないことにしかならないしそれは出来れば避けたい、これ以上東の為に犠牲を出せば、ユーリに悲しい目をさせてしまう。

「最悪ボクとカグラとで追いかけてセルゲイ隊を壊滅させるのもありかもしれませんね?造反行為は明らかなわけですし。」

「アイラと魔剣使い殿なら確かに追討戦も可能だろうが、まだうら若い魔剣使い殿と、幼いアイラに危険な任務を請け負わせるのもちょっとな・・・・。」

 ギリアム様はそこまで言ってからこちらに気付いた。


「っとアイラ・・・・ユーリも・・・・・?まさか帝都への進行中にケガ人でも出したか?アイリス、アイリスは大丈夫なのか?意識がないようだが!?」 

 あ、はい寝てるだけです。

 とはいえないなぁ・・・ギリアム様駆けよってアイリスを抱き起こしちゃったし。


「あぇ・・・?ギリアムおとうしゃ・・・ま?」

 天使が一瞬目を覚ますと、義父は感極まって抱きついた。

 慣れない戦場での執務は、義父に強い不安感を与えていた様だね。

「父上」

 ようやくまともに話が出来る状態になった様なのでユーリがギリアム義父様たちと顛末を始めた。

 義父はさっきはボクたちに話しかけられ、義父からも話しかけているのに、まったく認識できていなかった様で、今度は早すぎる帰還と任務の成功に驚き、急いで停戦の使者をクレアとの連署で帝国に送りつけた。

 これで明日には何か動きがあるはずだ。


 次に被害の話、既にホーリーウッド兵に多大な被害が出ていて、確認済の死者だけでも500ほどに成っているらしい。

 一応帝国のほうが被害は多く、既に10000を超える負傷者を出しているらしいけれど、魔法があるから軽いけが人はすぐに回復してきてしまう。

 と、ソレを訊いていて思い出した。

「クレア、ちょっといいかな?南側の森のやや王国側にたぶん帝国の人民で、領主に脅されて戦争に参加したと名乗るものたちを最低限の武装のみ残した状態で、置いています。その人たちを貴方の名前の下に保護してあげてください。」

 初めて戦闘に参加したつい数日前の事。

 ボクは帝国の砲兵隊を壊滅して、その人員には最低限の治療と武器だけ施して森に逃がした。

 運がよければ生き残っているはずだ。


 それから少し今後の予定を話した。

 責任者が眠っている女の子を抱っこしたままでの会議というのは中々シュールだったけれど。

 とりあえずボクたちは盆地の停戦を確認したら王都へクレアを運ぶことになった。

 明日半日はアンゼルスで過ごすことになるね。


 この夜は急遽クレアがやってきたために貴賓用の部屋が足りなかったのだけれど

 クレアの提案ユーリの使った部屋に、ユーリ、ボク、クレア、ナディア、神楽で寝ることになった。

 アイリスは義父が抱いて寝るらしい。

 他の皆は同じく部隊で纏まって寝ている。

「義父様が、クレアのこと認めてくださってよかったですね?」


 義父はクレアとの婚姻とその計画をユーリが話すと、暫く苦い顔をしたあとにボクのほうをみて

「アイラが認めているならば私は何も言わない、ただアイラが正妻なのは絶対なのと、クレアリグル姫はあくまで人質扱いになってしまうことは先に伝えておくよ?」

 と一応は認めてくださり、さらに

「父や陛下には私が一筆書いて置こう」

 と手紙をしたためてくれた。

「それでは私も、仲間に入れてください」

 とサリィも手紙を書き始めたけれど、結婚の話じゃなくて?クレアの結婚を認めるはなしだよね?

 さすがにサリィは側室扱いできないからね?

 と焦らされたけれど。


「はい、柔軟な方で助かりました。おかげでこうやってユーリさんとアイラさんの愛の巣(しんしつに入れましたし。それでは早速見せていただけますか?」

 はい?

「見せるって何をですか?」

 ユーリもボクもナディアも神楽もまったく話が見えていない。


「なにって、決まってるじゃないですか?ココは敵地ではなくお味方の砦の寝室で、お二人は既に済ませた夫婦で相思相愛、ソレが一緒の部屋に寝泊りするのですから当然、愛を営みますよね?昨日は断られ手しまいましたので私実物を見てみたかったんですよ。」 

 そういって手を合わせニコニコするクレア。

 

 どうしよう、この姫様脳みそピンク色かもしれない。


 部屋の中に長い沈黙が降りた。


アミは無事帰ってきましたが、帝国戦終わったら東への仕置きになりそうですね。


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