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第97話:挙式の前に

 おはようございます、暁改めアイラです。

 無事に帝都にたどり着きクレアと平和を求める意思を確認したボクたちは、内務卿を出し抜くために結婚式(ボクたちの解釈では婚約式)を行うことにした。


 ボクは他のみんなを式場に運び終わり、後は朝食後のクレアをボクとボクの護衛に付いたナディアとで迎えに行くだけだ

 ボクは昨日の部屋でメイドさん達と合流し帝国式メイド服に着替えたボクたちは見習いメイドの振りをしてクレアを迎える事になっている。


 ボク11歳でナディアは16歳、年若い二人がメイド姿に着替えると、違和感なく城に溶け込んだ・・・たぶん。

 これで見習いメイドとして挨拶がてら内務相の顔でも見ておこうというハラだ。


 城の会食室に、先輩帝国メイドのカーラさんの案内でたどり着くと丁度食事は終わったところらしい、3人のおじさん?おじいさん?がクレアを囲んで談笑している。

 カーラさんはずかずかとクレアの方へ突き進んでいるけれど大丈夫なのかな?

 怒られたりしない?


 そんなボクの不安をよそに足早にクレアの元に着いたカーラさんがクレアに声をかける。

「姫様、かねてより約束のあった、アイラ・ポーターさん、ナディア・カルネアさんが出仕しましたのでご挨拶に参りました。」

 ボクたちは簡単な偽名をつけられて、打ち合わせ通りメイドとして挨拶する。

「お久しぶりです姫様、ナディア・カルネアです、かねてからのお招きの通り、アイラが11歳になりましたのでお仕えするために参りました。」

「姫姉様!やっとお仕えできます!アイラ頑張りますからこれからよろしくお願いします!」

 ふんす!

 と鼻息を荒くして興奮気味に挨拶する

 設定は4、5年前にクレアが避暑のため訪れた湖畔の町の娘という事にした。


 クレアに憧れている設定なので大興奮でいこう。

 過剰演出かもしれないがむしろ子どもらしいだろう。


 クレアのほうもやや反応がオーバーだ。

「ナディア!アイラちゃん!よく来てくれました。貴方方を歓迎致します。アイラちゃんは相変わらずすっごく可愛いわね!今日は私と一緒に眠りましょう!」

 ちょっとテンションがわざとらしすぎる、バレやしないか?と不安になるよ

 そうは思いながらも、やや肌寒い冬の朝にクレアに抱きしめられるのはそれなりに暖かくて気持ちいい。


「やれやれ姫の少女好きは相変わらずですか・・・が確かに可愛らしい娘ですな、将来が楽しみです」

「ワシは隣の黒髪の娘が気になりますな、なかなか気品もある、うちの息子の側室に入らんかね?」

 なんて反応をみるにそもそもクレアには女の子を集める癖があるらしい


「これ、ソムド、カモフ、私が呼び出した知人をその日のうちに貴族の妾になんてさせませんよ?」

 クレアがやや強い口調でたしなめると、爺さんたちは軽くおどける様な感じにか肩を竦めて笑った。

 こうやって話している分には普通の老人らなのだけれど

 この中に内務卿も混ざっているのかな?


 これは失敗したかもしれない、こうやって普通の姿を見てしまえば、必要になったときに殺せないかもしれない・・・。

「小さいお嬢さんはアイラといったか・・・、まだ幼いがこの帝城のメイド見習いとなったからには、しっかりと作法を身につけメイドの鑑となる様励みなさい。」

 一番年嵩の言って見える老人がボクを目を細めて見つめながら慈しむ様に言う。

「ほっほっほ、ギエン内務卿はそのくらいの年頃の娘には甘いですなぁ」

「本当に、帝国の悪魔の名が泣きますぞ、内務卿殿」

「うるさい、ワシとて爺じゃ、曾孫とかわらぬ年齢の娘相手にナカナカ厳しいともいえぬ。うちのターニャやアーニャよりはお行儀も良いようだしの。」


 談笑する3人爺

 しかも意外と慕われているっぽいし。

(事前の情報と乖離している気がする。)

 ナディアのほうを見ると彼女もやはり少し違和感を覚えたようだ。


 それからも数分の間実に和やかに会話が繰り広げられて、クレアが会食室を出た頃にはボクはもうすっかり分からなくなっていた。


 もうすぐクレアの部屋という廊下

「姫姉様、アレが内務卿閣下なのですか?」

 一応城の中なので、偽りの話し方を続ける。

「えぇそうですよ、今回の戦争と賭けの黒幕の一人です。」

 こともなげに言うクレア、やっぱりただの夢見がちの姫ではなかったようだ。


「なぜわたくしたちにお引き合わせになったのですか?」

 ナディアも困惑気味に尋ねる、確実にやり辛くなったことが、ナディアにも分かるのだ。

「それは、あの者が帝国の政治には必要な人物で、今回の件で失脚はさせますが、殺さないで欲しいからです、出来れば誰も。」

(!?)

「何を言っているか分かってるんですか!?」

 王国の7割程度の勢力を持つ帝国を無血で降伏させろといってる様なものだ。

 成るはずがない、ボクたちはこのルクセンティアという敵地の帝都で、孤軍で不殺で戦わねばならないというのか?

「姫様はわたくしたちに死ねと仰っているのですか?」

 ナディアは厳しい声を出す。


「いいえ、すぐに殺しすぎないでほしい、程度のものですよ?これから帝国民を王国民にしようというのです、怨嗟は少ないほうがいいでしょ?」

 クレアは薄い笑いを浮かべる

「それでも・・・それでも確実に死者ゼロには出来ないと思いますが、分かりました、善処します、姫姉様も出来る限りの手は打ってくださいね。」

 そういってボクは「黒霞の娼婦」へと「変身」した。


「カナリアの変身にも驚いたものですが、アイラさんの変身はまたすごいですよね、可愛いです、昨夜はベッドだったので、痴女などと言ってしまいましたが、コレはどうしてなかなか・・・扇情的でありながら、清楚さと少女らしいチラリズムまで兼ね備えているだなんて・・・それにこの変身というシステム自体、私はカナリアとアイラさん以外に見たことがありません、どういったものなのですか?」

 マジカレイドシステムの説明をするのはちょっと面倒だね。

「私もカナリアから、適性があるねということで装置を頂いただけなので・・・2つしかお持ちでない様でしたし」

 嘘は一つもついてないからいいよね?


「それじゃあ式場に移動します、カーラさんたちは引き続き姫の部屋の警護をお願いします。」

「はい、姫様のこと、どうか、どうかよろしくお願いします。」

 そう交わしてボクたちは3人で部屋を出た。


 部屋を出て城の門兵がいる近くの城壁を跳び越えたときは大丈夫かな?とも思ったけれど別にどうということもなく街に入り、その後も隠れつつ目的の式場につく。


 さっき皆を運んだときも思ったけれど、外はまだ完成していないのに、中はしっかりと作りこまれていて、なかなか趣味の良い結婚式場だと思う。

 コレは神楽がいない間に建てられたものだそうなので神楽も

「ふぁー、いいですねいいですね、私もこういうところで結婚式を挙げたかったです。」

 なんて、事をつぶやいていた、ごめんね神楽。


 さて式の準備だ。

 先に式場に忍ばせていた帝国メイドのメイリスとソリマがクレアを控え室に連れて行く、ボクたちは周囲を軽く警戒しながら先ほどクレアに頼まれたことを伝えた。

「なるほど、なるべく殺すな・・・分からないではないよね、やっぱり僕も知り合いや家族が目の前で殺されたら、なかなか感情の整理もつかないだろうし。まぁそれでも戦地では何人も死んでるんだけれど。」

 ボクも帝国人を100人といわずに殺している。

 既にこの小さな手は、数多くの血で塗れている。


「目の前で、街の、普段暮らしている日常の場所ではまた別、というのも分かりますから、今回はクレアの意見に則ってやろうと思います、なるべく殺さない、武器を手に取り、振るったものから無力化していきましょう」

 問題は殺さずに相手を無力化できる攻撃手段を持ってるものが何人いるかだ

 王国式メイド術の使い手であるナディアはいけるだろう、エイラも連れてきていればよかったかな?

 トリエラとアイリスはユーリとクレアと一緒に居てもらう。

「エッラは相手を気絶だけって手加減できますか?」

「はい、盾で殴ればいけると思います。」

 ボクの問いかけにエッラはにこやかに答える。

 その盾超痛そうだけどね。

「アイラ様、私は、ケガはさせるけど大丈夫かな?」

 火精の石弓だものね・・・無傷は難しかろう。

「命に別状がなければ、すぐなら治りますし、きっと大丈夫ですよ。」


 気休めかもしれないが、戦力が足りていないので、先輩にもやってもらう。

 問題は・・・

「カグラいよいよだけど大丈夫?街中で戦闘になるかもしれない、顔見知りもいたりするかもしれないけれど、戦える?クレアの護衛に回ってもらってもいいけれど」

 ボクの問いかけに神楽は溢れる笑顔で答える。

「大丈夫ですよ、アイラさん。私何があってもアイラさんたちを失いたくないので、本当に必要なときには迷わず帝国兵を殺します。」

 溢れてるのは笑顔だけじゃないね、涙も溢れている。

 神楽はまだ人を殺したことはないらしいので、心配になる。

 幸い今他の仲間はとは少し距離があるね。


「【神楽、僕が側にいるから、なるべく君の手を汚させないで済む様にするから。だから泣かないで、この戦いが終わったらさ、僕たち一緒にくらそう?皆と一緒ってことになるけれど、君に寂しい思いさせないようにするから、一緒に暮らそう。】」

 軽く抱きしめながら、日ノ本語で耳打ちすると神楽は感極まったのかそれとも今までも単に我慢していただけなのか、ボクの両肩をしっかりと腕で掴み、アイラの唇を吸った。


「私、アイラさんのこと好きです。お慕いしています。お誘いありがとうございます。ぜひ私も皆さんと暮らしたいです。勿論姫様も一緒ですよね?」

 そういって笑う神楽の目にもう迷いはなかった。

気付いたら眠っていて、朝になっていました。

短いし書きたかったところまでかけてませんが、夜続きを投稿できるようにするので、ごめんなさいでした。

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