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第96話:黒霞の娼婦

 おはようございます、暁改めアイラです

 クレアリグル姫がユーリの側室になりました。

 姫との婚姻を賭けて戦争を始めた内務卿らをこらしめ、姫を救出するだけのはずだったのに、どうしてこうなった?


 クレアリグル姫・・・クレアはあの後、下の部屋のメイドを呼び出した。

 一瞬ボクらは焦るが別に裏切りではなく挙式するために準備を進めるためだった。

 メイド達にてきぱきと命令を出して。

 それが終わるとクレアはこちらに向き直り

「隣にカナリアの部屋があります、皆さんはそちらでお休みください」

 と言ってみんな退出を促した。


 神楽ってばお姫様の隣に部屋を用意されるほど信頼されてるのはすごいね?

 なれそめが聞きたいくらいだけど今はユーリと二人にしてあげよう。

 ボクたちはクレアの指示に従い退出しようと思ったのだけれど・・・

「カナリア、アイラさんどこに行くの?あなた方はここで見届けるのよ?」

 クレアの謎の申し出にボクと神楽は固まる。

(何を言い出してるのかなこの姫・・・そういう趣味なのかな?それともこの世界では高貴な人間はそれが常識なのだろうか?)


「大事な話を二人でするんでしょ?アイラが一緒にいるなら私も一緒がいいな。」

 ほらアイリスが興味を持ってしまった!

「アイリス様、難しい話するみたいなので、アイラ様に任せて明日に備えて私たちは寝ましょう」

 ナディアはクレアに対して思うところもあるだろうに、アイリスを寝かしつける役をやってくれるらしい

 自分が先のに約束していたのにとか思わないのかな?

(思わないのだろうね、メイド精神を持つ人達はその辺りが希薄だ)


 一応他の皆が隣の部屋に移った後。

「クレア、僕から提案・・・というか、条件かな?あるんだけど、いい?」

 今からクレアを抱くというのに条件をつけるだなんでユーリは悪い男の子だね

(ボクだって複雑な気持ちなのに・・・)

 嫉妬なのかそれとも初対面でユーリの良さを知りもしない相手がユーリに愛を受けることに対する苛立ちか、ボクはモヤモヤしている

 

 クレアは16という年齢の為ボクの様な子どもの体格ではない、いやさボクだって低身長の割に脚はスラッとしているし身体も大人びてきて、数年前のポコっとしたお腹は見る影もないし、自分でも恐くなるくらい美少女になったと思う。

 今や名古屋どころか朱鷺見台を歩いていても、アイドルのスカウトを受ける自信がある。


 話がそれたけれど、それでもクレアの身体つきは女性として母性を象徴する部位がそれなりに発達しているし、痩せぎみなボクと異なり全身がふっくらしているから、女性的な肉体の魅力は圧倒的な差になっている、そんな彼女になにを要求するつもりなのか。

 ボクは気が気でなかった。


「まず第一に明日行うのは結婚式じゃなくて、婚約式にしよう。」

(ボクはユーリを信じていたよ!)


「帝国相手には結婚式でもいいけれど、僕達の認識は婚約にしておこう?」

(結婚式もやっぱりボクが最初じゃないとね!)

 クレアは少しだけ残念そうにしながらも、ユーリの言い分を尊重してくれる様子だ。

 ボクは満足している、ボクはユーリのかわいい婚約者だからね

 自分を優先されると素直に喜んでしまうワケさ

 恥ずかしいけれど頬が緩んでるのが分かる。


「大臣達を黙らせるには少し弱い気も致しますが、仕方ありませんね、アイラさんに睨まれるのも嫌ですし」

 そういってクレアは可愛らしくウインクする、多分このお茶目さが彼女の本来の性質なのだろう。

それでもわざわざボクを残したのだから、本当は今日は婚前交渉はせず、ボクと神楽が確かに二人の間に関係があると証言をするために残されたのだろう、流石に出会いから1時間でというのはまっとうな乙女ならば遠慮したいよね。


 と思っていたのだけれども。

「それでは始めましょうか?」

 と、クレアは可愛らしさとゴージャスさの同居した絶妙なデザインの薄い黄色のネグリジェを脱ぎ始めた。

「え、本当に今日するの?」

 ユーリも困惑気味にしている。


「えっと、なさらないのですか?既成事実は大きな材料になりますしなにより、私はそれなりに可愛い女だと自負しておりますが、殿方は私の様な女を抱きたいものだと伺っていますが」

 ユーリは前世の経験からそういう行為にはまだ若干の抵抗感を持っている、いきなり「やろう!」と言われて初対面の娘と出来るほど単純な男の子ではない。


 ユーリは少し気まずそうに、目を伏せて。

「クレアはそれで良いの?大切な思い出でしょ?」

 とクレアの肌を見ない様にしながら述べる

 違った、どちらかと言えば女の子目線の理由で乗り気になれない様だ。

 

「ユークリッドさんも貴族ならばわかるでしょう?私は国を守るためには多少我が身を切ることも厭いません。貴方方もその歳で婚約者で婚前交渉もあるということですから今は相思相愛なのでしょうけど、最初からだったわけではないでしょう?ユークリッドさんをカナリアが信頼出来ると言い、アイラさんとも妬けるほどの熱愛ぶりなのですから、私も後悔する様な殿方ではないでしょうよ」

 そういって笑う裸のクレアは少し寒いのか震えている。

 ただそんな少女の献身にも関わらずユーリはまだその気にはなれていないようだ。


 感情では必要だとわかっていても身体はままならないものだ。

「ごめん、クレアの信頼は嬉しいし裏切らないつもりだけど、その・・・」

 これは女としてはショックが大きいだろう、肌まで晒して、役目を果たそうとしているのに、相手がその気になってくれないのだから


 なんとか力になれないだろうか?

 もちろんユーリがボク以外の女を抱くことに思うところもあるが、同時に彼女の覚悟や信念は見えている出来れば恥をかかせたくない。

 そんなことを考えていると神楽がこっそりと耳うちしてきた。


「アキラさん・・・その、アキラさんにこんなこと頼むのは申し訳ないのですが、その鎧衣の強化魔法に強力な誘惑魔法強化があるはずなんですが、姫様のために使っていただけませんか?」

(!?)

「ちょっと待って?何で戦闘用の鎧衣にそんな機能が!?」

 言われなければ気付かなかったけれど、確かに自動発動可能な魔法枠に高揚、誘惑、が含まれている様だ。


「その必要無ければ隠しておくつもりでしたが、その鎧衣はリア姉様が中学2年の自然教室で御影義兄様に夜這をかけようと開発したものらしくて、リア姉様が珍しく自慢してました」

 あの人は一桁の妹になにを自慢しているのか・・・ソレは確かにある意味戦闘だろうけれど

(だから隠形が自動発動で範囲な訳だね・・・)

 リアさんの言う夜這いがどの程度のイチャイチャかわからないけれど今のユーリには高揚と誘惑は効果があるかもしれない。

 浅はかにボクはそう考えたけれど。

 ユーリはもっと優しい人だった。


「だめだよやっぱり、初めてはもっとその人と一緒に居たいって、その人といるとそれだけで春を感じられる様な関係のときに契るものだよ、だからボクは今はまだクレアを抱くことはできないよ。」

 あぁ・・・ごめんよユーリボクは君の優しさを踏みにじるところだったよ。

 ボクは他人のための言葉なのに、ユーリが言った言葉だというだけで結構キュンと来ているが、クレアはそうでもないようだ。

「フゥン・・・なんだか夢見がちなお姫様みたいなこというのね、だいぶ非現実的な夢見てる私が言うことでもないけれど。」

 と冷めた感じ。


 ユーリは少しはにかみながら。

「そうかも、ゴメンネがっかりさせたかな?」

 とクレアの隣に腰掛けながら尋ね。

「いいえそうでもないわ。」

 とクレアも笑顔で答えた。

 それからユーリはクレアに

「キスはしたことあるかな?」

 と尋ね「いいえ?お父様とほっぺやおでこくらいにしかないわね」と答えるクレアをベッドの上に押し倒して唇を奪った。


「コレでとりあえずクレアの初めては僕が貰ったってことで・・・・嘘はついてないよね?」

 そういってボクたちの方を振り返り甘い笑顔を見せた。

 うん既成事実は十分だ。

 その後ボクたち二人は退出して、メイドさんたちにユーリが無事クレアの初めてを貰ったと伝え、二人が一晩閨を共にしたのだからそれはもう答えはでている様なものだろう。

 事実は別としてね。


 ソレとは別にメイドも見張り台の兵もクレア姫の手の者だったのでとりあえず安心だけれど塔の下には何人敵側の見張りがいるかもわからないので、もしものことを考えると範囲の隠形術を解くわけにも行かず、ボクは鎧衣のまま寝たのだけれど、この鎧衣にとんだ副作用があった・・・。

 高揚の効果が自分に掛かり続ける様で、大変に興奮した状態になってしまいボクはあまり眠れなかった。

 ただでさえその効果で大変なのに目の前に体の成熟した神楽がいるのだからソレはもう堪らないほどの誘惑で、何度抱きつこうかと思ったか分からないけれど

「あ、あ・・・きら・・しゃん・・・」

 なんて安心しきった寝顔で寝言をつぶやく神楽の寝込みを襲うまねなんて出来なかった。


 そんなわけでボクは今朝は寝不足な上に、欲求不満という乙女にあるまじきバッドステータスを重ねている。

 今日は記念するべきユーリとクレアの婚約式なのに・・・。


 今日の日程は簡単なものだ。

 内務卿が城に入ったらクレアがいつも通り数人の役人を朝食にでも誘い、その中に内務卿も含める、その間にボクは隠形術を使い仲間を結婚式場に運ぶ、朝食が終わったら姫も運ぶそして結婚式場で誓いを立てて婚約し、街の人々にもその場で婚約と終戦とを報告する。

 ほぼ300年続いた休戦ではなく、終戦だ。

 帝国民でも食人まで行う純血主義者は一部らしいし

 戦争を望んでいる人も少ない、帝国と王国は和解できるはずなのだ。

 それでも納得できない内務卿らがケンカを売ってきたら仕方がない勇者2、槍王1、魔剣使い1という圧倒的個を市街戦で相手してもらおう。

 数が武器の兵隊たちと、質が武器のボクたち、どちらが強いかは分かるはずだ。

 更に姫がこちらにいるため反逆者は内務卿たちになるだろうし。


 気楽なものだよね、あとは如何に早く国境の帝国兵らまで命令を伝達し、終戦協定を結ぶかだ。

 顔も知らぬ内務卿の最期の時が足音を響かせているね・・・、不安な要素はボクのムラムラ感くらいかな・・・。


 あと何時間この鎧衣を着ていないいけないのだろう?

 そんな事を考えながらボクたちは早めだけれど持参の朝食を食べ始めた。

最初書いたものが18禁になりそうな内容になってたので手直ししたら短いのに遅くなりました。

多少時短してもなかなかアイラが13歳になりません・・・。

あと作中で1年ちょっとなんですけどね。

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