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第95話:潜入

※17/03/20 髪の色についての記述を修正しました。

 こんばんは、暁改めアイラです。

 ただいまボクたちは帝都ルクセンティアの上空800mほどのところに居ます。

 時刻は恐らく日付をまたいで1時ほど

 今回の作戦は時間との勝負になりそうだ。


 当初ボクたちは帝城に入り一直線に姫様の居るフロアまで突入する作戦を考えていたが、よくよく考えてみると、上空から侵入できるという圧倒的アドバンテージを生かした方が良いという結論に達した。

 今は姫様の正確な位置を神楽が計測しているところ。

「あの、カナ・・・カグラさんは今一体何をされていらっしゃるのでしょうか?」

 ナディアが不思議そうに神楽の様子を眺めている。


 飛行魔法を使えるものがほとんど居ないこの世界で、こんな上空に対して監視しているものが居るとは思わないけれどボクは隠形に優れているらしい鎧衣「黒霞の娼婦(ナイトメアアサシン)」に変身しており、隠密性を上げる強化魔法を多重に展開している。

 高速で移動する必要はないので、より大きな飛行盾に全員で乗り換え念のために雲の陰に入る様にして、神楽はじっと帝城の方を確認していた。


 作戦としては、正確な姫様の位置を確認してから一気に突入、可能そうならそこから城を占拠するか姫を連れて一旦脱出する。

 この辺りは敵の数によるね。

「ナディア、カグラは今お姫様のいる位置を探知系の魔法で探っているんだ。」

 この高さからだと相当難しいと思うけれど。


「まだ時間がかかる様なので今言っておきますね、ふと思ったのですが、トリエラに首輪をつけなくて良いでしょうか?」

 ナディアが続けてとんでもないことを言う。

 いくらトリエラが間が悪くおっちょこちょいだからってそんな迷子になるわけじゃなあるまいし。

「ナディアいくらなんでもそれは・・・・」


「そうだね、そのほうがいいかも」

 意外なことにユーリがソレを肯定する。

「ユーリ?」

「そうですね、安全のためですから、仕方ないですね。」

 トリエラまで諦め気味に目を閉じて言う。

「え、何?どういうことかな?」

「私もまだ、食べられたくはないので・・・。」

 そこまで言われて合点がいった。


「あぁ、純血主義者による食人があるんでしたっけ・・・・すみませんトリエラ、貴女のマスターはボクなのに、貴女の安全を図ることを忘れていました。」

 帝国では獣人を守る法が乏しく、首輪をつけていないと持ち主不在か、脱走奴隷と判断されて捕まえられて売られたり、食べられたりすることが良くあるそうで、ペット扱いみたいでイヤだけれどボクからトリエラに首輪を着けてやることにした。

 が・・・そう都合よく持ち合わせもないよね・・・。


「アイラ様、首輪の持ち合わせがないなら、不肖このエレノアめが2つ持ち合わせております、どちらかお遣いになられますか?」

 そういってエッラが2色のチョーカーを収納から取り出した。

「何で持ってるの?」

 普通は持っていないものなので気になってたずねてみると


「今年の3月に、なんとなく露店をめぐってるときに、可愛いデザインだったのでトリエラとアンリエットさんに似合うかなって、買ったはいいけれどやっぱり失礼になるかなって、言い出せなかったやつなんです。」

 うん、トリエラはともかくエッテは部族の姫みたいなものらしいし、失礼になりそうだ。

 主人であるオーティスからあげる分には問題ないんだろうけど


「んーっとボク的にはペット扱いみたいで嫌なのですが、トリエラはどうなんでしょうか?」

 むぅっとどこかを見上げながら考えたトリエラはしかしあっけらかんとして答えた。

「私はマスターの持ち物ですって宣言していただいたみたいで、ちょっとうれしいかもしれません、あとはマスターが手ずから着けていただけたら尚のことうれしいです。」

 その表情に嘘はない、って言うか目がハートになってる気がする。

 もしかしてすごくうれしいのかな?


 エッラから受け取った黒色のチョーカーにボクの名前を魔法で刻印し、トリエラにつける少し緩めにしよう・・・。

 うん意外と悪くないかも、トリエラはボクのメイド!という感覚が強くなった気がする。

「マスター・・・・大好きですよぅ、いつかマスターがおばあちゃんになってもトリエラは変わらずに御側におりますからね。」

 あぁ確かに長命な獣人やエル族をメイドにしていれば、老後も安心だね、でも・・・・。

「トリエラァ・・・ボクまだ結婚前の乙女なんだけど、どうしてそういうこというかなぁ・・・」

「アニャー!マスターごめんなざぃぃぃぃ!!」

 トリエラをグリグリの刑に処していると。


「姫様の位置がわかりました。」

 神楽が作戦の進行を宣言する。

 全員が神楽のほうを向いて心なしか体を寄せて耳を傾ける


「姫様は概ねの予想通り西側・・・現在向かってあちら側、越えてきた山の逆側ですねの尖塔の上から2つ目の窓の部屋に居る様です。他の反応からみて、同室には誰もおりません、かなり手薄です、夜を選んで正解でした。ただ上のフロアというか見張り台に人が2名いるのと、姫様の一つ下のフロアにメイドが3人居ますね。ソレくらいでしょうか。」

 深夜帯にしたってちょっと手薄すぎやしないか?仮にも一国の姫で尚且つ、話を聞く限り継承権第一位のはずなのに・・・。

 罠か、単にこの国では暗殺や誘拐の危険性が今までなかったのか・・・?

 まぁこちらの目的が姫の救出である以上、虎穴に入らずんば・・・というやつだ。


 飛行盾はスピードの出ない大型のものに変更しているが、その分積載可能人数は11名とかなり多い。

 飛行盾というからには盾なのだろうけれど、こんな盾で何を守るのか?何で推進力があるのか?と神楽にたずねたところ

「今は秘密です。」

 と可愛く口元に指を当てて隠されてしまった。


 この飛行盾はスピードが出ないといってもまず空を飛べ、盾という特性上、正面(向きの関係で今は下)からの攻撃に滅法強いので。

 この盾に乗ったまま姫の部屋に侵入することにした。

 未婚の姫の部屋に、男を伴っての大人数での侵入っていうのはなかなか背徳的に聞こえるけれど、男は一人だし見た目は全員女の子だし、別に乱暴目的じゃないし、姫と懇意だという神楽も居るし、いきなり叫び声を上げられて侵入がバレるなんてことはないと信じたい。


 神楽は飛行盾の高度を降ろし始めた、ボクたちは息を殺して隠形術も最大まで強めた。

 かくして、姫様の部屋のベランダにボクたちは降り立った。

 盾には隠形術をかけてベランダに放置する、いつでも逃げられる様にだ。


 姫様の部屋へは結局誰にも気付かれずに侵入できた。

 部屋の中に入ると明かりは薄い布で覆われた夜用のライトだけで、雲の切れ間から差し込む月明かりの方がよっぽど明るかった。

「姫様!」

 部屋に入った途端に、神楽はベッドのほうに走っていく。


 ベッドに寝ていたお姫様は、サリィと同じ位の年頃に見える、確か16歳って言ってたね薄い緑色の髪が体を起こしてもまだベッドにつく程度には長く腰下まで伸ばしている。

「お帰りなさい、カナリア・・・ガリクやジンジャーら大臣が騒いでいないところを見ると、彼らの使いにはバレずに戻ってこれた様ですね。」

「姫様はご無事でしたか?」

 神楽はうれしそうに姫の体を触っている。


「はい、大臣たちはお互いに邪魔をし合っていて私に構っている暇は無い様で、おかげで私は瑕一つありません、その方たちは王国の方?わざわざ連れてきたということは、私の計画に賛同してくれそうなのかしら?」

 計画?というか聞いていた感じと多少違うね?守ってあげないといけないタイプのお姫様には見えない。

 しっかりしてて、大臣たちのことも乗りこなせて居そうだ。


「はい姫様、この方たちは善良で、信頼できる人たちです、しかも実力もあり家柄もしっかりしているので、王国への影響力や帝国側からのイヤガラセにも耐えることが出来る人たちです。」

 姫様の質問ににこやかに神楽が答える。イヤガラセとか家柄とかちょっと神楽の口からでるのが嫌な単語がちょこちょこ混じっている。

 この姫様はボクの神楽を守ってくれたらしいけれど、あまり教育的にはよろしくなかったのかもしれない。

 年下とはいえ王侯貴族だものね、そういう話を従者に仕込むのは当然なのかもしれないけれど。


「計画ってなにかな?僕たちはクレアリグル姫の理想、とやらしか聞いてないけれど?」

 姫の理想っていうと、サテュロス全体が一つの国の様になり、国境線が必要ない状態にしたいというアレか、とても一朝一夕で適う理想ではない。

 確かに計画も必要だろうが、果たしてどの様なモノだろうか?

 ただの夢見がちなお姫様ではなさそうなこのクレアリグル姫の語る計画拝聴しようではないか?


「貴方・・・男の子ですよね?ご身分は?」

 ユーリに男だということを前提に身分を聞く・・・これは嫌な予感がする。

「僕はユークリッド・カミオン・フォン・ホーリーウッド、ホーリーウッド侯爵家の嫡孫です、君が帝国の継承権を持つために、望まない結婚をさせられそうだって聞いてきた。僕に出来る手助けは何でもするつもりだ。」

 ユーリはふんわりとした優しい笑顔とともに優しく姫に語り掛ける。


「なんと、西安侯家の・・・あぁカナリア、すばらしいです!願ってもない逸材ですあとは・・・ユークリッドさん、貴方御結婚は?」

 何故急に婚姻関係を訊く必要があるのだろうか、ますます嫌な予感がする。

「エッと婚約者が居ますが、まだ結婚式はしていません、でも何故そんなことをお聞きになるのですか?」

 婚約者がいると訊いてがっかりした表情になる姫。


「あぁまだ御結婚はされてないのですね、むぅではやはり一度王国に連れて行ってもらうしか・・・。ん、待ってください、存在感がなくて気付きませんでしたが女性の同行者が多い用ですね、もしかしてその中に貴方の婚約者もいらっしゃったりするのでしょうか?」

 姫の表情が少し明るくなる、婚約してるからがっかりしたわけじゃないのかな?

 あと存在感がないのは決してボクたちが没個性というわけではなくて、隠形術の効果だからね?


「えっとこちらのアイラ・ウェリントンが僕の婚約者で、隣の良く似た子がその妹で、僕の二人目の婚約者です。」

 うん正式な婚約を交わしたのはまだボクたち2人だけだね、他に子どもだけ作る密約のあるサリィに、側室に迎える約束のあるナディア、シャ族の特性があるのでたぶん最期にはボクと一緒にユーリに抱かれたがるであろうトリエラ、エイラとエッラもボクに一生仕えたいといっているので、ナディアと同じ様に最期は側室に入るかもしれない、他にも小さい頃はよくアニスが大きくなったらお兄ちゃんと結婚する~なんて言ってたから、アニスも候補かもしれない。

 ユーリの周りは女の子でいっぱいだね、ボクがあの子もずっと一緒に居たいなって言ったらみんな君の側室にしてくれるのかな?


「そうですか、それは丁度良かった。ちょっと今からこの部屋をお貸しするので、アイラさんと軽くまぐわってくださいませんか?」

 まぐわうって!?

「ちょっ、妹の前で何てこと言うんですか!?」

 慌ててアイリスの耳を塞ぐ

「あら?貴女は意味が分かるんですね?」

 にやりと嫌な笑顔を浮かべる姫と、耳をふさがれたままキョトンとした表情で質問してくるアイリス。


「ねぇーアイラー、まぐわってってどういう意味?まぐわる?まぐわく?」

 まぐわうだよ、でも意味はまだ知らなくていいよ!

「いきなりなんなんですか?何でいきなりそんなこと仰るんですか?」

 あまりにも想定の外の言葉に突っ込むことも出来なかった。


「あぁいえ、さすがに私もいきなり貴方の初めてをください、なんて婚約者のいる殿方には言えないので先に正妻の方にしていただこうかと」

 えっとソレは、ユーリに自分を抱けといっている様に聞こえるけれど、何が目的かな?

「えっと、僕はもう初めては済ませていますが、一体なんのためにそんなことを?」

 ユーリがこともなげにバラす・・・。


「ユ、ユーリ様!?一体どこで誰と!?初めてがマスター以外とだなんて許しませんからね!?」

 トリエラが錯乱する、アイリスの耳を塞いだままにしていて良かった、こんなの収拾つかない。

 安心して?ボクとだから、だけど今はそんなことどうだっていいからトリエラのことは捨て置こう。

 ナディアとエッラはやっぱりって顔してるし、マガレ先輩はどうも分かってないみたいだし、視線が怖いのは神楽だけだ。

 これはアレだね?暁のときは散々お願いしてもおさわりすら断っていたのに、アイラさんは婚前交渉されたんですかー、へー、ふーんってことだね?

 ごめんよ、君(魔剣使い)が怖かったんだよ。


「安心してトリエラ、僕の初めては全部アイラのものだから。」

(キャー!?)

 何言ってるの?何言っちゃてるの?

 そこまで言葉に出して初めてマガレ先輩はようやく分かったらしくて。

「あぁ、そういうことでしたか、御卒業おめでとうございます、ユーリ様、アイラ様。」

 抑揚の少ない声で、お祝いしてくれたけどソレ今追い討ちにしかならないです。


 顔から火が出そうだ。

 このくらいのにソレがわかるのか姫はボクの頭を撫でてきて言った。

「そんな痴女見たいな服をお召しなのに、初心なのですね、からかいすぎてしまいました、申し訳ありません。」

(からかってたのかい!?)

「別に好きでこんな格好してるわけじゃないです、潜入作戦だから、隠形に優れた装備できただけです。」


 確かに今の格好は男の子がユーリだけしか居ない、尚且つ女の子も知り合いばっかりだから出来ている格好だ。

 正直恥ずかしいを通りこしている。

 この鎧衣「黒霞の娼婦」は頭の上には三日月をモチーフにした銀色のヘアピン、体はなんて呼ぶのか知らないけれど黒地に濃い紫の狩衣の外側だけみたいな袖がダボダボの上着、脇のところは布がなく、更に誰の趣味なのか背中側も布がなく肩のところで袖を繋いでいる細い紐で体に垂れ下がっている状態、どうしてこれで胸が隠れているのか・・・腰から下はお尻がギリギリ隠れる程度の丈しかなく、しかもスカートというよりは前と後ろに上衣の垂れがついているだけで、スリットと呼ぶにはあまりにも布がなさ過ぎて太ももが丸見えだ、足元はふくらはぎまで伸びる黒地に赤い紐の様な模様の入った直足袋みたいな靴下を履いている。

 外側のインモラルさに対して不相応に無地の白とはいえ下着が装備されていて本当に良かった・・・。

 まぁ我ながら痴女と呼ばれても仕方ない衣装だ。

 でも隠形術が意識しなくても、広範囲に使えているので本当に便利だ。

 マジカレイド使いに手強いのが多かった理由が良くわかる。


「それではまぁ問題が解決したところで、ユークリッドさん、私を女にしてください。」

 さっきも初めてをくださいとはいえないとか言ってたけれど、どういうこと!?

「えっと、僕にはクレアリグル姫殿下の仰ってる意味が分かりかねます。」

 とうとう殿下呼びになった、ユーリ的心の距離がちょっとずつ離れている。


「む、私の理想をお訊きならば、私の目的と手段も分かりそうなものですが、まぁいいです、説明させていただきます。先ず今回の戦争の件ですが、前面的に帝国が悪いです。帝国というか、内務卿を初めとする大臣たちですね、今回の賭けに参加したのは7名、あぁ賭けというのは今回の戦争がどう推移するかを、私との婚姻を勝手に賭けの賞品にしたものですね。」

 大臣7人てほとんど全員じゃないのか?


「先ず既に賭けに負けたものが外務卿を始め3名います、そもそもこの賭け自体に乗り気でなかったものたちですね、彼らは欲は在りますが、それでもこの国のために賭けに参加しました。ですのでそれぞれ戦争まで行かないところにかけていましたね。この3名に関してはどうか処罰を免除していただきたいと思います。」

 なぜかもう帝国が負けたみたいな言い方だね?王国側が人事権まで掌握したみたいな。


「次に残りの4名ですが賭けの状況を話します。開戦にかけていたものは内務卿、エヴィアン将軍、ゲイズシィ将軍、モール料理長の4名です。」

 料理長?なんか一人だけ害のなさそうなのが混ざってるね?

「料理長はなぜか賭けに参加していますが、王国軍が帝都を占領して終戦、に賭けているので今回の顛末に一番近いかもしれませんね?」

 そういってクレアリグルはボクたちを見回す、たしかに帝都どころか姫の居室が占拠されてますね。


「残りの3名が、将軍らがそれぞれグリム盆地を帝国領として講和、旧ディバインシャフト領を割譲させてディバインシャフト城を廃城することで講和と、まだまともな思考を除かせていますが、内務卿のみ、王都陥落を賭けの条件としています。彼は狡猾です、恐らくはまだ例のオケアノス家と謀り事を潜ませているに違いありません。ですが、彼らの賭けはココで終りです、私はこれからユークリッドさんの側室になり、帝国は王国の属国となります。あくまで属国です、完全に王国領になるわけではないので西候のユークリッドさんが丁度良いです。私とユークリッドさんとの間に生まれた子がルクセンティア大侯国とでも仮称しましょうか、その領土を継承していくようにします。」


 なんだろう、現実的だと思ってたのにぶっ飛んだ誇大妄想狂らしい。

 ユーリもちょっと微妙な顔をしている。

「それで帝国領まで属国とした王国に抗える国はなくなりますので、残った3、4国というべきかもしれませんが、残りの国からも姫をユークリッドさんか、南候、北候に嫁に出させて、皆身内になればいいのです。私が正室にならないのはあくまでも私が帝国領の領主のままで居るためですよ?私が正室になれば私の子が相手の領地を継ぐことにもなるので、逆に王国側への乗っ取りになってしまいますからね。」


 一応、マジメに戦争と国境線をなくすこと考えているのかな?ちょっと夢を見すぎているけれど、嫌いではないかもしれない。

 皆家族になれば戦争は起きにくいというのは賛成だ。

 今より物流も良くなるだろうし、東候も暗躍し難くなるだろう。

 今の軍官学校みたいなところに、もっとたくさんの子どもたちが集まってくる様になるかもしれない。

 一部は人質の様なものというのが少し悲しいけれど、いつかは一つの国として纏まっていけるのかもしれない。


「それで話を戻しますが、既に私の結婚式場というものは出来ているのです。私の配下のものがそこを守っています、そもそもは内務卿らが作ったものですが、結婚相手を選ばせないのだから式場くらいは私に飾らせて欲しいと言ったところ快諾したので私好みの内装に変えてあります、ここで結婚式をします、明日がいいですね、今なら内務卿はいますが2将軍はいませんから。それで・・・」

 試す様な目でユーリを見る姫。

「私はユークリッドさんとアイラさんに許可を求めています、抱いて欲しい、両国の平和と友好のために旦那さんを貸して欲しい、と・・・」

 高慢に姫が言ったとき神楽が姫の頭をなでた。


「姫様、そんなに張り詰めなくって大丈夫です、ユーリさんもアイラさんも、ちゃんと素直に話せばお友達になってくださる方たちです。」

 そういってゆっくりゆっくりと頭をなでている。

 すると姫は、穏やかな、甘えた表情になった。

「そうかなカナリア、私、ちゃんと上手く話せるかな?」

「大丈夫ですよ、姫様もアイラさんもきっとお互い好きになるタイプですから、ちょっとずつ慣れていきましょう」

 神楽は姫を胸に抱きしめ、妹を愛でる姉の様に接している

 あの神楽があんな表情をするなんて。

(妙に膝に乗せて撫でるの慣れてると思ったんだ。)


「それで、お姫様の言葉をもう一度聞かせてほしいな?」

 ボクは仕方なくもう一度言い直すことを促した。


「アイラさん、私の夢のために私をユークリッドさんの側室の末席に加えてください、ユークリッドさん、好きになっていただかなくても構いません、ただの作業でも良いです、私の事を側室に迎えてください。」

 迷いも、自分を欺く言葉も捨てて、クレアリグル姫は婚姻を申し出た。

 ユーリはボクの目を見る、ボクの許可は出そう、神楽がここまでいうのだから、悪い女性ではないのだろうし、方向性は違うがサリィと同じ様なものだ。

 ユーリは少し目を瞑って何度かうなずくと。


「作業で結婚は出来ない、僕にとって一番はアイラの幸せ、いつか訪れる戦争のない世界がアイラの幸せに繋がると信じて、僕はこの婚姻を受けよう、でも言った通り作業ではできないから、ボクは君のことも愛するよ、クレア・・・でいいのかな?」

 クレア姫は驚いた顔で、だけどもうれしそうに

「はい!」

 と笑った。


 ここにサテュロス大王国構想が始まろうとしていた。

 皆、まぁ分かっていたよっていう微妙な笑顔

 アイリスだけが、耳を塞がれて、話についてこれていなかった。

戦闘がない、ただの夜這いだった様だ。

斬った張ったが少ないですね、戦争中だったはずなのにアイラは攻撃魔法何回撃ちましたかね・・・?

いえいえ姫を手中にしてもまだまだもうちょっと戦争は続きますから・・・きっとアイラ無双が始まるはずです。

早くも2着目の鎧衣が出ました魔法少女っぽいかどうかは分かりませんが、イメージがある程度伝わると良いのですが。

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