生みの親
麻衣は作戦の前にある場所に来ていた。
「やぁ、麻衣君。久しぶりだね。私が呼んでもないのに来るなんて珍しいね。どうしたんだい?」
この早口で白衣を纏った女に麻衣は用事があったのだ。
この女、静花は名前と似つかず、とっても賑やかな人だ。
(何で私の周りはこんな人ばっかなの…)
そんな、静花は麻衣の生まれの親である。
まぁ、腹を痛めて産んだわけではなく、テクノロジーの産物ではあるが。
しかし、静花は麻衣を娘の用に接してくれ、麻衣自身も気軽に話せる数少ない相手だ。
「ちょっと、質問があってこの場所に来たんだ」
そう言うと、麻衣はエリスから聞いた第3世代の話をする。
彼女は「そんな、馬鹿な」と笑うこともなくしっかりと話を聞いていた。
「…う~ん、ちょっと分からないな…どういう技術を使えば出来るのか、私には創造出来ないね」
静花は手を上げ「お手上げ」と言った。
そして、また話を続ける。
「でも、私はそんなの作りたくはないね…。だって、この世界をまた壊すような真似はしたくないから…」
静花は麻衣を作り出したことで一気に注目された。
元々、天才科学者としてそれなりの知名度はあったわけだが、それは科学者の間での話だった。
しかし、「最強」の誕生は一気に彼女を表に押し出す。
それからは、彼女の奪い合いだった。
最初は金。
各国、金を積み上げに積み上げた。
しかし、静花が金で動かないと分かり、武力での獲得を狙ってきたのだ。
彼女の元いた実験場は破壊された。
その時、彼女以外の科学者や、第1世代や第2世代のみんなも殺された。
このままでは、他の人にも迷惑が掛かると思った彼女は自分を死んだことにた。
そんな経緯があり、周りも巻き込むような戦争や争いを彼女は一番好まない。
だから、私の次の者は作られていない。
作り出せば、どうなるか分かっているから。
「まぁ、そうだよなー。信じられない話だよな」
「まぁ、私は研究を止めた科学者だからね」
静花は笑う。麻衣も笑う。
「じゃあ、帰るわ」
麻衣は立ち上がり、入ってきたドアを開ける。
静花は小さな声で呟いた。
「麻衣…ごめん… 」
その声はとっても小さかった。
麻衣にはその声は聞こえなかった。




