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一瞬の出来事

作者: サクラ

 <00。道の上。>

 「よう!」


 <01。世界が止まる。>

 「え、・・・、あ、おはようございます。」


 <00.5にさかのぼる。>

 あれ?この人、俺の知ってる人だっけ。そりゃそうだよな、こんなに気さくに話しかけてきてるんだから。でも、全然記憶に無いな。相手の勘違いか?いやでも、それだとしたら、鈍感すぎる。ここまで近くに来たら、さすがに気づくだろ。とすると、小学校時代の同級生から、順に照らしあてていくしかないか。ただ、小学校の友達が、偶然会ったのに、あんなにサラっと流した挨拶するかな。消えたな。次は中学校。・・・中学校時代も、特に新しい出会いは無いか。小学校時代と、大体同じ・・・。いや、違う。このあたりで1回転校があったから。あ、そうだ。小学校の割と前半で、転校したんだ。とすると、転校した後の小学校時代の友達も、また思い出していかなきゃか。ただ、小学校時代の友達が、偶然会ったのに、あんなにサラッと(以下略)。中学校。まぁ、これも、小学校理論で、スルーできるかな・・・。演劇部仲間も、特に。あ、いや、違う、将棋部だ。将棋部は、確か、俺含めて2人しか部員がいなかったから、確率的に、違うよな。あ、違う、それは演劇部だ。将棋部は、確か5人か、6人か。まぁ、違うな。大学時代は、やっと将来の夢が決まってきて、勉強することしか考えてなかったから、特に人との触れ合いは無くて。あれ、俺友達いなかったのかな?・・・いや、というか、俺、大学入ったっけ・・・。あ?・・・、そういえば・・・、俺、今、何歳だ?


 <10。隅にて。>

 「どうだった?」

 「・・・。」

 「もうさ、諦めろって。」

 「え、」

 「その人が復帰してからさ、もう十回も話しかけてんでしょ。「復帰」っつったって、病院から抜け出せましたよ、てことを言ってるだけで、別に治ったわけじゃないんだから。」

 「でも、俺とあいつは、小学生の時に出会ってから、ずっと・・・、あの時まで。」

 「・・・。」

 「あんなにいつも一緒にいたのに、記憶がみんなぐちゃぐちゃになってるんだ。たった一瞬の出来事で俺のことが、完全に記憶から消えちゃってんだよ!」

 「・・・。その人、なんて答えたの?」

 「・・・、あ、おはようございます、って。」

 「あれ?そういえば、お前、高校時代何部だっけ?」

 「は?関係ないだろ、そんなこと。」

 「いいから。」

 「・・・今と一緒だよ。」

 「演劇部だよな。」

 「あぁ。」

 「はっはっは。」

 「何、笑ってんだよ!」

 「お前な、今何時だと思ってんの。」

 「今?夕方の、5時か6時か?」

 「ひとつ教えておくと、おはようございますって、朝の挨拶なんだよ。」

 「えっ?」

 「こんな時間に、おはようございます、なんて言うのは、俺たち演劇サークルの人間か、演劇部か。でなければ、高校時代の演劇部の思い出が消えちゃってなんかいない人、だけなんだよ。」


 <20。世界は開けた。>

最後まで読んでくださってありがとうございました。

わかりにくい点があったらすいません。その場合は、なんとなくで理解していただけると、ありがたいです。

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