プロローグ
処女作ですので多少拙いところがあるかもしれませんが、大目に見てくださったら幸いです…。
早くて一週間後、長くても二週間以内には次話をUPします。
倉葉恋花。私立藍乃木高校2年生。生徒会長。
堂々たるこの四字熟語で構成された肩書きから既におおよそ見当はついていると思われるが、その通り。この女生徒はまさに『完璧超人』といっても差し支えない人物である。
容姿は、大和撫子を体現したかのような黒髪サラサラロングヘアー、子犬のようにぱちくりと開いた大きな丸い瞳、桜の花びらのように慎ましやかな唇、モデルばりの良好スタイル等々、老若男女問わず10人が10人美女だと断言できるくらいに整っている。
学力もさも当たり前かのように常に学年1位。ちなみに体力テストの方はさすがに現役の運動部員には敵わないものの、10位以内には収まっている。
更に品行についてもまた同様。誰にでも丁寧な言葉使いで接し、教師から注意を受けたことは限りなくゼロに近いゼロと聞く。勿論彼らからの好感度はぶれることなく常にMAX。
学校中の憧れの的。全校生徒の理想像。
そんな女が、
「……。」
激しく吹き付ける風、彼方へと雲が流れゆく澄み切った青空、コンクリート製の床からじりじりと蜃気楼を伴って立ち上る熱気。
そして、四方を囲う所々錆びついたフェンスの「向こう側」に立つ影が一つ。
眼下に広がる約30メートル下のアスファルトに向かって今にもダイブを試みんとしているそいつは、自分の背後にいる人の気配を感じたのか、長い髪を悠々と風になびかせながらゆっくりとこちらを振り向いた。
「……え?」
俺、日瀬達士の口から、思わず戸惑いの声が漏れた。
見間違えようが無い。学内のイベントで何度も見掛けた、嫌でも鮮烈に頭に残る美貌。
倉葉恋花。
一体全体何がどうして彼女が、学校の屋上からの飛び降りなどを決行しようとしているのか。
そして完全無欠、学校一の有名人である彼女の、よりにもよってこんな奇行を目の当りにして、俺はいったいどういったアクションを起こせば良いのか。
とにもかくにも、このとち狂った状況。これが彼女と俺の馴れ初めであった。