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クイズ

 パンパンと手を叩く。

「さあ、やって参りました。昼休み恒例クイズ大会、後半の部。司会は私、大森潤です」

机から飛び降りる。

「まずはこの方。吉岡元気さん(12)です。元気ですか?」

「こんにちはー」

「元気ですねー」

回転しながら隣の席へ。

「続いて二人目は天狗石茶さん(13)です。天狗石、茶さんですからね。天狗石。お茶の種類じゃないですよ。ね、石茶さん」

「天狗石です」

跳ねるように右へ。

「そして最後の挑戦者は、田中徹さん(34)でーす。田中さん、お仕事は大丈夫ですか?」

「元気です」

ホワイトボードへと歩みよる。

「それでは時間も押して来たのでこれで最後の問題としましょう。最後はやっぱり、一万ポイントでーす」

「今までのはなんだったんだ」

「後半の部、一問だけっておかしくね?」

「元気です」

軽くボードを叩く。

「では、クイズです」

マーカーで問題を書く。

「問題。安藤、天狗石、田中。この三人のうち、一番長生きするのは誰でしょう?」

数十秒後。ピンポン!

「はい、では田中(34)さん」

「えー、答えは僕です」

「理由もどうぞ」

「吉田。あ、違った吉岡。それから天狗石。それから田中。このうち吉田と天狗石にあって俺にないもの。それは“し”という字。つまり“し”がない。死がない。よってこの三人で一番長生きするのは僕だ」

ゆっくりと全員を見まわす。

「正解です」

「やったあ、勝った。かったぞおお」

 バン、突然ドアが開く。三十路過ぎの化粧の濃い女性が立っていた。

「昼休み、終わってますよ」

呆れた、といった表情でそう告げると彼女は部屋に入ることなく戻って行った。

「あ、ホントだ。やばい、また怒られる」

名前通り元気いっぱいに翔けだしたのは吉岡元気(12)。

「じゃ、また明日」

パソコンを抱えて部屋を出て行ったのは天狗石茶(13)。

そして部屋に残って来月のノルマと睨めっこしているのが田中徹(10034)である。

なんだかんだでここもいい会社になってきたと社長の私は思うね。


もっといい問題はなかったのか。

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