心理テスト☆英子の苫小牧愛憎劇場
2000文字で書いてみた。
「……ゆう。心理テスト、持ってきた」
「ん、面白いのか?」
「……話題性に富む」
「ふうん。お、納豆。お前も参加しろ」
「あたしはなっとうじゃない! 夏山透だっ! かやま、とおるっ!」
「男の子みたいな名前だな」
「うるさい!」
「見た目だけならかわいいのにな」
「っ! ……そ、そんなこと言われても、嬉しくなんかないんだからな!」
「……ゆう、私は可愛くない?」
「何を言う、心優が一番可愛い」
「……ありがと」
「……」
「……(くそう、いつもいじめてくるくせに、なんで急にそんなこと言うんだっ! う、嬉しいじゃないか!)」
「……」
「……」
「何の話だっけ?」
「……納豆」
「多分違う」
ていく、つー。
「……ゆう。心理テスト、持ってきた」
「ん、面白いのか?」
「……話題性に富む」
「ふうん。お、とーる。お前も参加しろ」
「……おっ、おう!(名前っ! 名前呼ばれたっ!)」
「……これ」
「なになに。『次の場面でキミならどうするっっ? 今キミはちょっと気になるあのひとと一諸にお食事中☆ そしたらこんなこと言われちゃった☆「前からキミが気になってたんだ」って(キャッ)☆』」
「……どう?」
「いや、この一人称についてけないとか☆付けりゃ可愛いと思ってのかとか、ツッコんだら負けだよな」
「……1、2、3、4の4つから選んで」
「とーるは?」「あたしっ? え、えっと! ……どれも微妙だけど、1かなっ!」
「1ね。『アタシもアナタにパンをくわえて曲がり角でぶつかったときから運命だと思ってたの☆』か。で、心理テストの結果は?」
「……次のページ」
「な、なんかどきどきするなっ!」
「期待するほどとは思えないけどな。どうせ『ベタな恋愛が好きなんだねっ///』とかだろ」
「な、なんで分かったんだ! あたしが実は少女漫画集めてることをっ!」
「あー俺もりぼ〇好きだぜ(投げやり)。で、なになに。『寝坊して焦りから精神に余裕が失われ事故に遭遇することが有るでしょう。夜更かしせず時間にゆとりを持った生活を心がけるべし』」
「……くすくす」「え、何そう話持ってくのか。てかウザい一人称どこ行った」
「お、おう! 気を付ける! 今日から6時就寝にするぞっ! サザ〇さんもガマンするぞっ!」
「勝手にしろ……。じゃあ心優は何番だ?」
「……私は、2番」
「ふむ。『この文章って「一諸に」にって書いてあるけど「一緒に」の問違いだよね☆』…………まさかのセルフツッコミ」
「それに、コレってちょっと気になるあのひとへの返事になってないぞ!」
「とーるがそんな高度なツッコミが出来るなんてな(なでなで)」
「…………?!(ほ、褒められたっ! 頭なでなでされたっ!)」
「……答えは?」
「んーと、『「問違い」ではなく「間違い」が正しいと気付いた貴方は名探偵です』…………二重トラップだと」
「……私、名探偵」
「嬉しそうだな」
「……うん。幸せ」
「色々と幸せだよ、心優は。……さて、最後は俺か。えっと、3番は『アタシも☆ ずっと前からアナタのこと、食べたいと思ってたの☆』」
「わ、わいるどだな!」
「☆付けりゃいいと思ってるだろ絶対。これでいいや、俺は」
「……答えは?」
「あー、『流行りの肉食獣』…………体言止めだと」
「野生動物か! やはりわいるどだなっ!」
「……肉食系っていいと思うの」
「肉食『獣』って書いてあるけどな。人と認められてないけどな。投げやり感が溢れてるけどな」
「……ちなみに、4番は?」「えっと、『ごめんネ☆ アナタの想いには答えられないの☆ ……でもアナタのこと、私は本当は愛していました』…………キャラ崩壊? それとも答えの人が乗り移ったりしたか」
「……よく分かったね、ゆう」
「え、まじで乗り移ったのか」
「……うん。実は問題編のメルChan☆と回答編の英子は二重人格で、同一人物だった。それが大浦隆之の思いがけない告白で辛うじて均衡を保っていた精神は遂に崩れ落ちてしまったの」
「(ゴクリ)……そ、それで!」
「……」
「……走り去るメルChan☆、いえ英子。メルChan☆とは精神防衛の為に英子が作り上げた虚構だった。大浦隆之は椅子に縫い止められたかのように動かず、視線だけが英子を追っていた」
「ひ、英子はどうなるんだ!」
「……」
「……雨の降りしきる6月の夜に、英子は行くあてもなく苫小牧の街をさ迷い歩いた。どれくらいたっただろうか、不意に雨が止んだことに気付いた英子は、まだ雨音が轟々と鳴ることを不審に思いつつ、ゆっくりと顔を上げた。そこにいたのは、現実か幻か、英子に傘を差し出す――――」
「だっ、誰が来たんだ? 隆之なのか!」
「……この続きは次週」
「な、何! くっ、なんて見事な引きなんだ……!」
「……心優、どこからそんな昼ドラが出てきたんだ」
「……回答編の、次のページ」「そうか。で何を思ってコレ持ってきたんだ?」
「……話題性に富む」
「最初にも言ってたな。どこらへんが話題なんだ? ☆か?」
「……ううん。つまらないところが」
コメディーはこれが限界だ……。ゆうや心優が活躍する話は今書きため中なので、良かったら見てやって下さい。作者が踊る人形の如く踊り出します。続編が読者様に求められているならば英子に傘差し出した相手を書くかもです(自重しろ)。