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六:経験が無ければ分からない事も多い

「始め!」


鷲のかけ声と同時に両者は動き出す。


まず、椎が上段刻み突きを狙う。しかし神楽はそれを容易にかわす。


椎はそのままの流れで、刻み、刻み・中段、逆上段、刻み・逆上段と、

神楽をコートの端へ追いつめて行く。


もちろん神楽もその全てを容易にかわして行く。


「おお!椎くんが押してない!?やっぱ対格差があるからかなぁ。」


瑪瑙は組手に釘付けになりながら、薙に声をかけた。


「いや、あれは、椎の負けだな。」


薙は冷静に解説する。


「え?何で?」


「まぁ見てろよ。」


追いつめた椎は「トドメだ!」と言わんばかりに蹴りを仕掛けてきた。


その瞬間、神楽は椎の足が上がりきる前に、椎の帯付近に中段を爆発させた。


「やめっ!!」


鷲の号令で、両者は最初の位置に戻る。


鷲は二人が戻った事を確認してから、神楽の方に手を振った。


「中段突き、有効!」



「え!!?何今の!?」


「今の椎の攻撃は連続ばっかりで、避けていれば大して怖くない。

 それに神楽みたいに身長低い奴の中段突きってのはまりやすい。」



「…続けて、始め!」


鷲が再び合図を出す。また両者は動き始める。


三秒ほど両者は相手の動きをうかがっていたが、突然椎が動き、神楽の懐に刻み突きを極めた。


「おお!入った!今のは入っただろ!!」


瑪瑙が身を乗り出す。しかし、鷲は「やめ」の合図を出さず、薙も黙っている。


「…え?なんで?絶対入ったろ!?今の。」


「惜しいねんなぁ。椎は。」


審判をしていた鷲が突然私語を出す。


「惜しいって……何が?」


「突きは確かに極まっとんねんけど…それだけじゃポイントはとってもらえへんねん。」


鷲は頭をポリポリと掻く。


「突きが極まったら、必ず「引き手」が必要になってくる。

 突いた手を素早く「引き手」にして初めてポイントの価値になるんだ。」


横から薙が解説する。瑪瑙は「へぇ。」と関心の色を見せる。



椎は再び連続戦法に変え、神楽を追いかけ回す。


そして椎はついに鈍い突きを繰り出す。


神楽は威力の無い突きを見極め、椎の方に潜り込む。


「……ーっやめ!」


鷲の合図がかかる。



「おお!椎くん、今度こそ入ったよ!ちゃんと突きも引いてたし。」


瑪瑙が笑顔になる。


しかし、鷲が上げたのは神楽の方の手だった。


「中段突き、有効!勝者、鶯!」


「えー!?なんでだ!?」


「『カウンター』だよ。」


「『カウンター』?」


「相手の上段突きに合わせて、それより速い中段突きを繰り出す。

 リスクは高いけど、ちゃんと極まればポイントをとってもらいやすい。」


「へー…。なんか…俺…知らない事ばっかだな…。」

瑪瑙がため息をつく。


「何言ってんだよ。始めたばっかなんだから当たり前だろ?

 さ!参考にもなっただろうし、実際に練習始めるぞ?」

薙が立ち上がる。


「お…おう!!」

瑪瑙も意気込む。椎は鷲に欠点を指摘されていた…。


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