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四:本当に真面目な部活は部室が綺麗

放課後ー。


瑪瑙は部活楝へと向かった。


いつもならすぐに学校を出て家に帰るので、

放課後学校に残っているといのは中々新鮮な物であった。



瑪瑙は期待と不安を棟に膨らませ、「空手部」と描かれた楝を見つけた。


外側だけを見ても、とても奇麗になっている。


両側は「テニス部」「柔道部」で挟まれているが、そのどちらも外見は汚かった。


看板も薄汚れ、扉も黒ずんでいる。


柔道部に至っては扉のカギが壊れているという酷い有様だった。



その中で、空手部はとても綺麗だった。


別に空手部だけ新設されたワケでもなさそうだし、全然使われてなさそうでもない。


むしろ人一倍使われてそうな、古風な感じがする。だが、清潔感は半端ではない。


高鐔道場の更衣室よりも綺麗だ。



ドアノブは銀色に輝いていて、看板も丁寧に設置されていた。


砂がかかって他では汚れている扉の足下も、しっかりとドアの色が残っている。



まだ中にも入ってないのに、他の部との違いに内心驚きを感じていた。



そのとき、二人の生徒が空手部楝に近づいてきた。


一人は背がとても高くて、スタイルが抜群。モデルのようなスタイルにイケメン。


もう一人は対照的に背が低く、小柄だが、どことなく強そうな風格を持つ少年。



「…?あれ?お前、2組の高鐔やないか?」


イケメンが瑪瑙の存在に気付いて指を指す。


「あ、もしかして、1年の時に話題になった…あの人?」


瑪瑙がおそるおそるイケメンに問う。



瑪瑙は思い出した。


1年の体育祭の時、全ての競技で1位をとり、視察に来ていた体育連盟から

特別名誉賞を受賞した1年生がいたのだ。


その後、その1年生は、体育連盟を通じて某タレント事務局から、

そのスタイルと顔立ちを評価され、モデルにスカウトされたらしい。


その1年の名は、「筑波(つくば) (しゅう)」。


雑誌でも「大阪出身のイーグル」として話題になっている。


その人が今、目の前に立っていたのである。



「そう!俺がその話題になった『筑波 鷲』や!」


「……別名『タラシ』先輩ッス……。」


横に立っていた小柄な少年がボソッとつぶやく。



「んやとォ!?神楽ァ!」


鷲は小柄な少年を軽く叩く。


「…俺は間違った事言ってないッスよ……。

 ……ちなみに俺は1年の『(うぐいす) 神楽(かぐら)』ッス…。」



「へー、御丁寧にどうも。俺は『高鐔 瑪瑙』。

 ここには、薙に言われて来たんだけど…。」


瑪瑙は薙を探すようにキョロキョロと周りを見渡す。


「あ…部長なら、今日は確か日直って言ってましたッス…。」


「え!?なんやと?!」


鷲が驚く。


「どうすんねん!アイツいっつも部室のカギ持ってるやん!

 俺ら、入られへんしよォ!」


「心配ないッス、昨日から言われてたんで俺が代わりにカギを持ってたッス。」


神楽が鞄から「空手部」と書かれたカギを取り出す。


「……なんでアイツは俺を差し置いて神楽にカギを渡すんや…。」


「…それは多分…『タラシ』だからッス。」


「しつこっ!!お前それ二度目やぞ!?」



神楽と鷲のやり取りを遠目で見ながら、瑪瑙は引きつっていた。


神楽が部室の扉を開け、3人は部室に入った。



「うわ…綺麗…。」


入るとすぐに段差があり、畳み一畳が目の前に敷かれていた。


右には3つのロッカーがあって、狭かったが、どこも清潔にされていた。


「ええと…高鐔は…どうするんやろ。」


鷲が畳の3分の1を占領しているタンスの開け閉めを始めた。


神楽はロッカーを開けて道着と帯を取り出し、早速着替え始めた。


瑪瑙はその場に立ち尽くしていた。



そのとき、部室に薙が入ってきた。


と同時に鷲は「ああ!コレやったらいけるんちゃう!?」と声を上げた。


薙は「あ!それそれ!それなら瑪瑙にもいけるよな!」と指を指す。


「…薙。」


「ごめんごめん!瑪瑙。俺今日日誌書かなきゃいけなかったんだわ!」


薙が片目を閉じて手を合わせる。


「いや、部室ってこんなに綺麗なモンなの?」


「ん?ああ、うちマネージャーがいないから、

 一週間に一回、部員全員で部室の掃除するんだわ。」


「………あ、そう……。」

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