再融合
シップの内部は静寂に包まれていた。
薄暗い照明の中、機械の微かな駆動音だけが響いている。
中央には、宙に浮かぶイチの身体。
彼の胸はわずかに上下し、命の灯がかろうじて残っていた。
ツキは震える指でリストバンドを操作し、イチの身体をゆっくりとポッドへと誘導する。
ポッドの蓋が開き、生命維持ユニットが展開される。
無数の細い管と光の膜がイチの身体を包み込み、彼の命を繋ぎ止めようとしていた。
「イチ、聞こえる?」
しばらく沈黙が続いた後、かすれた声が返ってきた。
「ああ…何とか…」
ツキは目を伏せ、言葉を選びながら続けた。
「…だいぶ悪いの、身体。助かるには…私と同じ身体になるしかない。人間の枠を超えた、長く生きる身体になるけど…それでもいい?」
イチは目を閉じたまま、微かに笑った。
「…1秒でも…お前といられるなら…何でもいい…やってくれ…」
ツキの目に涙が浮かぶ。彼女はそっとイチの手に触れた。
「…ありがとう…それと、モモのことだけど」
イチの表情が曇る。
「……」
ツキは小型ポッドに目を向けた。そこには、モモの静かな身体が横たわっていた。
「死んじゃった…今は肉体と魂が離れちゃってる。でも、まだ…完全には消えてない」
イチはポッドの中のモモを見つめ、静かに呟いた。
「……そうか…見てたよ…俺のために…」
そのとき、空間に微かな声が響いた。
「……モモの聞こえる?」
イチが頷く。
「うん。少女の声が…」
イチは目を見開いた。
「この声は…」
「モモだよ。魂の声」
ツキはリストバンドを操作しながら説明する。
「肉体を触媒として、超生体として蘇ることができる。モモちゃん、どうする?」
しばらく沈黙が続いた後、優しい声が返ってきた。
「……イチとツキにまた会えるなら…何でもいいかな、私も」
ツキは微笑み、深く息を吸った。
「…ありがとう。じゃあ、二人とも再融合モードに入るね。だいたい三時間くらいかかると思う」
イチはポッドの中で、意識が薄れていくのを感じながら、最後の力で言葉を絞り出した。
「…ツキ……必ず…助けに行く……」
ツキは静かに頷き、リストバンドを再び操作した。
ポッドの内部に気体が充満し、イチの身体は光に包まれていく。意識が遠のく中、彼はツキの声を最後に聞いた。
「領主のところにいるから…待ってるね」
そして、すべてが光に溶けていった。




