表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Shadow Shuriken  作者: 木挽
10/11

奪われし力、影の裁き


一匹の影ネズミが、屋敷の奥にある武道場へと音もなく忍び込んだ。床を這うように進み、やがて一人の男の姿を捉える。縄で縛られ、柱に背を預けて座っているのは——キジマルだった。


「キジマルを発見した」とモモの声が響く。


「よし!」とイチが応じた瞬間、背後から太刀が振り下ろされた。


ニオウの一撃を受け止めたイチだったが、すぐさま横からラオウが斬りかかってくる。二人がかりの攻撃。モモが即座に反応し、肘に仕込まれた手裏剣が自動発動。


カキィン!


鋭い金属音が響き、ラオウの太刀を弾いた。イチは振り返り、二人の巨漢と対峙する。だが、ラオウの剣速は異常だった。イチも速いが、それを凌駕する動き。剣の実力差は明らかだった。


「ははは、強いだろう、こいつ。俺が見た中で一番強い。死ね、忍者!」とキンゾウが高みから笑う。


イチは必死に剣を受けるだけで精一杯だった。汗が額を伝い、呼吸が荒くなる。


「…この強い男、努力に努力を重ねてここまで強くなりました」とモモが静かに語る。


「…何言ってる?」


「でも今は、人を殺しまくって悪の限りを尽くしております」


「だから何言ってるんだ」


「この能力、奪っちゃいましょうか」


「…できるのか?」


「触れば殺さずとも、能力だけ奪えます」


イチは一瞬黙り、そして笑った。


「つまり…お前の説明は、俺に罪悪感を与えないための…いいね。こいつの能力、全部取っちゃうか。何年もかけて手に入れた力——」


「はい、触っちゃってください」とモモ。


イチは跳躍し、天井を蹴って反転。ラオウの背後に回り込み、肩に手を添えた。


「何の真似だ…?」


「いただくぜ」


ラオウの身体が震え、膝から崩れ落ちた。体中から砂が吹き出し、筋肉が萎み、瞬く間に痩せ細った姿へと変わる。


「ぐああああ!」


「兄者!」とニオウが叫ぶ。目を見開き、信じられないという表情。


イチは剣を構え、ニオウと対峙する。


「……その構えは…まるで兄者…」


「来いよ」


「しょらぁぁぁぁぁ!」


ニオウが渾身の一撃を放つ。だがイチは、ラオウから奪った剣技でそれを受け流し、回り込んで一閃。


刀ごと、両手を切り落とした。


「ぐわぁあああ!」


血が噴き出し、ニオウは自分の両腕を見つめる。絶望が顔に広がる。


その瞬間——


イチの太刀が閃き、ニオウの首を飛ばした。


静寂が広がる。


宴の喧騒は消え、ただ月明かりの下に、影の裁きが残された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ