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6人の幼馴染み

初投稿でかつ、初シリーズです。

気軽に読んでください。流すようにして読んでいただいても構いません。

ーいつだったか。俺にはよく遊ぶ仲の良い6人の幼馴染みがいた。

その子らとは性別は違ったけど、まるで姉弟(きょうだい)かのようによく一緒に遊んでいた。

その子らとは小学校も同じだった。幼稚園の頃よりは減ったが、小学校の頃も一緒に遊んでいた。幼稚園の頃はよくおままごとに付き合って(付き合わされて)いたが、小学校になると途端に『誕生日が俺よりも早いから』と姉貴面してきた。その分俺のゲームに付き合ってくれたりしたが。今思えば、すごく楽しかったと思う。でもそんな時間も長くは続かなかった。俺たち7人のうち1人が小2の夏に転校していった。引っ越しの話が初めて出てからあっという間だった。その後も次々と転校していった。その当時は、円安の影響が激しく、リストラや異動が多かった時期であったため、仕方なかった。仕方なかったと思い込むことで、俺らは寂しい思いを押しころしながら割り切った。そうするほかに、心境を安定させることができなかったから。

小学校高学年の頃に俺以外の子全員が引っ越し、遂にみんな離れ離れになった。最後まで一緒にいた幼馴染みも小6の冬頃に転校していったと思う。別れ際に「忘れないでね。これからも話そうね。」なんて言ったって、そんなスマホ持たぬ小学生の俺らが、転校後も安定した繋がりを保つことなんてできるはずもなく、いとも簡単に俺らの繋がりは切れた。そして時の流れとともに、徐々にこの記憶すら風化しつつある。時の流れは無情なものなのだということを俺はその時初めて知った。





○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○


俺の名は沼崎陽汰(ぬまざきようた)。高校2年生だ。

この度、新潟市近郊にある新設校の公立西海堂(さいかいどう)高校に転校することになったやや田舎か来た普通の男子高生である。俺は生まれてこの方、ずっと上越市南方の山際にあるやや古い団地のような雰囲気を出しているマンションに住んでいた。そのため越してきた先であるこの地は新潟近郊とはいえ、やけに都会に見えた。やっぱり県庁所在地周辺はなにか特別なものがあるのかもしれない。ちなみに、こっちには父親が昇進し新潟市にある新潟県の中央社へ異動することになったことを機に来ることとなった。別について行かなくても、この前まで住んでいたマンションに一人暮らしするでも良かったのだが、父が2年前に母と離婚して以来、ずっと元気がなかったのでちゃんとやっていけるか不安になり、ついて行くことにした。

おかげで、結構難しかった転入試験を受ける羽目になったり、高ヶ田(たかだ)高校の友人と別れる羽目になったりと、慌ただしく大変な春休みにはなったが、建物がまあある程度はあったかなっていうあっちより、俄然たくさんの建物があるこっちに来れたので、結果的には満足している。やっぱ高校生には文明が必要だからな。あ、や、でも出来ることなら広葉(ひろは)とは離れたくなかったかな。


そんなこんなで慌ただしい春休みを過ごしていたわけだが、でも春ということは出会いがある。今年の春はそれはもう清々しいほどの春で、こっちでもたくさんの友達が出来る気がするほどだった。あっちにも友達はいたので、あっちの方との関係性が途切れないように程々の量にすることを心がけねばな。しかし!友達を作るのは初動が大事だ。初動をミスれば、誰も近寄らなくなってしまう。

学校につくと先生が待っていた。そして俺を見つけると、いかにもこちらへといった感じの手招きをしていた。反発するのも面倒なので、それに応えるように先生の元へ近寄ると、他の生徒らが入る生徒昇降口ではなく、職員玄関の方へと案内された。なんで?あ。そういえば、今日は4月8日で一般的に学校が始まる日だ。春休み中の説明でそれはこの学校も例外ではないことは知っている。『年度末休業明けの予定』の欄に、今日まさに始業式と新任式が執り行われると書かれていたからな。それ関係かもしれない。とりあえず、先生に招かれるがままついていくと、職員室脇の小さな小部屋へと案内された。案内した先生から、別の先生がここに来るまで、ここで少しの間待機するように言われた。そう言うと、案内した先生は職員室へ戻っていった。…ふむ、これは微妙に暇な時間を得てしまったな。そう思うも特に何もすることがないので、特に何をすることもなくスマホを弄りながらただただ時間は過ぎていった。待機を言い渡されてから数分経った後、ふと時計に目をやると、気がつけばもうすぐでSHR(ショートホームルーム)が始まる時間になっていた。結局朝の段階で自分のクラスを見ることができなかった俺は、いつの間にか初めて会う人達への自己紹介に対する緊張よりも、自分は何クラスなのか、クラスメイトはどんな人達なのかというわくわくが(まさ)っていた。


「一緒についてきてください。」


そんな事を思っていると、やってきた先生に、そう一言告げられた。さっきここにつれて来てくれた先生とは違う先生だった。多分担任の先生なんだと思う。

俺は縦向きで静かに頷き、持ってきた荷物を持ってついて行く。まもなく見えた教室には『2-3』と書いており、中では生徒がわちゃわちゃしていた。どのグループを見てもカーストとか関係なく構築されているようで、俺の入る隙間はないらしい。その上、クラス全体がみんなある程度仲が良いようで、初見で感じた感覚は俺のぼっちが確定したというようなものだった。


「遅れてごめんね。SHR始めるよ。とその前に、陽汰くん入ってきて。」


先生から呼ばれる。俺の名前を聞いた瞬間に、教室左側3行目後方と正面の2行目に座っていた女子がびくっとしたように見えた。…まさかもう既に嫌われているのではあるまいな?まあ女子に興味ねえし、いいけど。ちょっと傷ついたかな…。


「高ヶ田高校から来ました、沼崎陽太です。上越市に住んでいましたが、上越市の中でもかなり山際の方のたまに野生の鹿が見れるとこから来たので、こっちは都会すぎてびっくりしてます。趣味は、ゲームや映画鑑賞、バレーボールです。実質田舎から来たので色々と教えてください。これからよろしくお願いします。」


至って無難でかつ、少しくすっと来るような自己紹介をする。想定通りに、教室内には少しくすっとしている人が何人かいた。…ちょっとウケ悪すぎやしないかな。昨日読んでたラノベめ。これ言えばウケるって言ってたじゃないか。


SHRが終われば俺は周囲360°全てを人に囲まれてしまった。ただ囲まれるだけではなく「どんな映画が好き?」とか、「バレーボールはいくつのときからやってたの?」とか、「野生のザキヤマはいた?」とか色々な質問の飛び交い付きで。クラス委員的存在っぽい女子がいなかったら、押しつぶされてたかもしんない。

そのまま流れるように時は過ぎ、始業式と新任式が始まった。なおもクラスメートの猛烈アタックは続く…かと思いきや、ちゃんと式に参加していた。もちろん校長先生のお話は除いて。


「転校生、さっきはゴメンな。」


校長先生の話が始まるなり、前に座る男子生徒が話しかけてくる。


「大丈夫、大丈夫。それに俺もそっち側だったら同じことしてたと思うし。」


「そうだったとしても俺が失礼したことには違いないからな。浮かれすぎてた。ごめん。」


「別に、そんな謝らんでも…。」


「お、そうだ。自己紹介が遅れたな。俺は龍崎賢司(りゅうざきけんじ)だ。よろしく。」


「じゃ、こちらも改めて。沼崎陽汰だ。よろしく。」


「おう。よろしくな、沼崎。」


校長のお話し中にファーストコンタクトを終え、ちょっとずつ雑談をし始める。雑談を始めてからも校長先生のお話は終わらない。周囲を見渡すと、他のクラスで居眠りをしている人が見られた。

話し始めて数分の時間が経ち、校長先生の話も佳境に入り始めた頃、隣の女子が少し心配そうにこちらに話しかけに来た。


「アンタ達、そろそろ気をつけないと後で学年主任に怒られるわよ。」


そう言われ、彼女が目線で指し示す方向を見ると、目がガンガンにキマった先生が1人こちらを見ていた。心なしか、赤い覇気のようなものをまとっている気がする。

その覇気に注意してくれた、先程のクラス委員的存在の女子生徒も自分も巻き込まれるのではないかと怯えていた。もしかするとものすごく怖い先生なのかもしれない。転入手続きをしていた時はそんな感じしてなかったから正直驚きだな。てか、そんな怖い先生に怒られるかもしれないリスクを負ってまで注意してくれた彼女は何者(なにもん)だよ。さっきも思ったけど、この子、面倒見良すぎるよな?いや待て、それよりも周りがすごい見えている方がすごくないか?まるで神の視野だ。


校長先生の話が終わる。見ると時計の針は9:20近くを指し示していた。うそ…彼、15分近くもあそこで立ちながら話してたの?逆によう頑張ったな。あの白髪の量を見る限り、いい歳をしれいると思うので、どうか腰痛には気をつけていただきたい。それに立ち続けることは腰痛以外にも悪影響あるらしいしな。

校長先生のお話が終われば後は淡々と始業式は進み、やがて終わった。そして続けて新任式へと移る。トイレ休憩はねえんだな。ま、行きたいわけじゃねえし別になくても良いけど。新任式では、新しくこの学校に勤務される先生の紹介と、各クラスの担任の先生が紹介された。ちなみに、うちのクラスの担任は先程の女性の方で、名前を姫路(ひめじ)茶恵(たえ)というらしい。それを聞いた時、『なんとも古風な名前だな。まだ20代くらいの若さしてんのに。』と思ったが誰にも言わないようにすることにした。

全ての式が終わると、時計の針は10:00を指していた。くたびれた生徒たちがゾンビのように立ち上がり、それぞれの教室へ戻っていく。順番は体育館の出口に一番近いという理由で、2-8からということになった。まあ元からだろうけど。一年生がいる場合は1-8からなんだろうな。…そもそも1年生に8クラスもあるのかは別として。


2-3に戻ると、10分間の休憩時間を言い渡された。何気に2時間位体育館にいたんか。

10分間の休憩の後は、LHR(ロングホームルーム)が始まり、健康調査やアレルギー調査なんかの書類を含めたプリントなどが配られた。そして、残り時間でクラスのメンバーが変わったということで、みんな一言ずつ自己紹介することになった。先生が指示した通りに出席番号が1番の人から順に自己紹介を行っていく。13番まで来て、14番の女子が自己紹介を始める。よく見ると、さっき俺の名前を聞いてびくっとしている人の内の1人だった。


「去年1組だった坂本(さかもと)(ひいらぎ)です。今年1年よろしくお願いします。」


()()()。名前に聞き覚えがある気がした。たしか小学校の頃にそんな名前の生徒がいた気がする。気がするだけで確証はないわけだが。なにせ小学校の頃の話だ。記憶にしっかりと残ってるわけがない。

ちなみにその後、俺の番になった時に、先生から「次の人。」と言われて、「俺もっすか?」とややツッコミ気味に質問すると、「あ。」と返され、教室中に笑いが生まれるという事が起こった。この時俺は、この先生を初めて見た時に、勝手に『眼鏡かけてるし、しっかりとした人なのかな。』と思ってたけど、意外と天然なのかもしれないと思った。まあ、人は見た目によらないって言うしな。


LHRを終え放課後になった途端、賢司やさっき俺の元にやってきた男子たちがやって来た。話したいことがあるんだろうから当たり前だろうな。俺も時間までなら付き合うつもりでいたし、何の問題もない。ただ、心なしか先程よりも少し少ない気がした。その分わちゃわちゃと色々質問されることはなかったのだが、昼間あんあ勢いだった分、放課後の今は少ないということが妙に気になった。後で先程連絡先を交換した賢司から聞いた話だと、自家用車で通学してる人と電車通学の人がいなかったんだろうとのことだった。詳しく説明された内容を要約すると、自家用車通学の人は『下校時刻を既に伝えておいて、早めに迎えが来るようにしているんだろう。』、そして電車通学の人は『今日みたいな午前上がりの日は12:50の電車を逃すと、次が16:20だから急いで行かないといけない。』とのことだ。なるほどね。


俺と変える方向が同じ人達を含めた数人のクラスメートと昇降口まで歩く。昇降口で帰り道が別方向の人と別れ、残った2人と喋りながら帰る。ちゃんと友達ができそうでひとまず安心した。帰り道が別れるところで、2人とも別れ、1人で残りの距離の家路を急いだ。早く帰ってゲームしたいからね。

数分歩いたところで、まるでタイミングを見計らったかのように、1人の女子が俺に話しかけてきた。


「あなた、私になにか言うことあるでしょ?」


つんつんと背中を突付かれながら、「ねえ?」と追撃をかけるかのように言ってきた。


「ひいらぎ…。」


俺は無意識にボソッとその子の名前を呟いていた。

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。


読んでいただきありがとうございます。

まあアニメ・漫画・現実、どこにでもあるようなありきたりのラブコメを書かせていただきました。


最後になりましたが、改善点や誤字などの指摘コメント含めたくさんのコメントお待ちしております。

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