「売れないアイドル」
面白い、つまらない、どっちでしょう?
大江戸GALS!は、メジャーデビューして一年が過ぎた。
しかし、地下アイドルの下積み活動が、ある芸能事務所の目に止まり、スカウトされたまでは良かったが、これといった目立った仕事はなく、鳴かず飛ばずの売れない日々を過ごしている。
テレビやラジオを中心とした華々しい芸能活動は夢のまた夢で、週に一度のライブ活動も客足は鈍く、会場はいつもガラガラだった。
メンバーたちは希望を失い、ひどく落ち込んでいた。どうしていいか分からず、脱退や解散を口にする者まで出ていた。
だがそんな時、とびきり優秀なマネージャーの佐藤がチームに加わった。
「お前たちを必ずやトップアイドルに育ててやる」
佐藤は情熱と知恵を兼ね備えた敏腕マネージャーで、メンバーたちも佐藤の言葉を信じ、奮起することを誓いあった。
「とにかくお前たちは露出が足りない。だからテレビの力を使う」
そうして早速、佐藤は行動を起こした。
各テレビ局やメディア関係者の元を訪れ、大江戸GALS!の魅力を説いて回った。
「是非うちのアイドルをお宅の番組で使って下さい。若さと愛嬌は保証します。きっと画面が華やかになりますよ」
しかし、人気も知名度もないアイドルグループに対する反応は冷ややかだった。番組プロデューサーは、溜め息混じりに首を横に振るばかりだ。
それでも佐藤は諦めなかった。彼にはとっておきの秘策があった。プロデューサーのそばに立って耳打ちした。
「彼女たちをキャスティングすれば、並み居る企業がスポンサーにつきますよ」
「なんだって、それは本当か?」
プロデューサーの顔が一気に明るくなった。その目は輝き、期待の色は隠せない。
「しかし信じられない。まだ無名で冴えないアイドルグループだろ。いったいどんな手を使ったんだ?」
「それは言えません。企業秘密です」
「まさかキミ、法に触れたり、スキャンダルになるような真似はしてないだろうね?」
「ええ。もちろんです」
佐藤は力強く頷いた。それから手帳を見ながら呟いた。
「ええと……、トヲタ自動車、花玉、NTTドコデモ、大日本生命、ユニシロ、日本ポカコーラ……」
「わかった、わかったよ。キミを信じよう」
そういってプロデューサーは握手を求めた。
「いやあ、正直言うとありがたい。制作費にはいつも頭を悩ませていたんだ。彼女たちには、是非うちの番組に出演してもらおう」
承諾を得た佐藤は、その足でスポンサー企業を訪れた。彼は持ち前の話術で、企業の担当者に語りかけた。
「うちの一押しアイドル、大江戸GALS!が、なんとあの高視聴率の人気番組に出演することが決まりました。勝ち馬に乗るなら今がチャンスです。ブレイク寸前、売り出し中のフレッシュなアイドルの人気に乗って、一緒に成功を勝ち取りましょう!」
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