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夜、ヤヨイが部屋に来た。
「どうする?シズクは」
昼間の先生の話だ。
「私は一択だな」
迷いなどない。ここを出たところで行く先はない。
「そうよね、私も。お父様たちの政治の駒にされるのもごめんだしね」
言外の意味を正確に受け止め、ヤヨイもうなずく。
ヤヨイは名家の長女として背負わされているものが多い。この学校にいる間がある意味彼女の限られた自由なのである。
「一緒に頑張ろうね」
「うん、頑張ろう」
小さくこぶしを突き合わせて笑う。
孤独な夜もこの友人がいたから乗り越えてくることができた。きっとこれからも。