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【完結】龍の導き  作者: 楽羽
第1章 出逢い
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『任務』という単語に教室が少し浮き足立つ。


「いよいよ始まるわね」

ヤヨイが緊張と期待の入り混じった表情で話しかけてくる。


「そうだね。始めは簡単なものが多いって聞くけどね」


任務は三段階に分かれており、松竹梅の順で高難易度となっている。


高等部から始まる任務は一年生の間は『梅』のことが多い。

これはせいぜい国民の困りごとを解決する程度のものである。


最高難易度の『松』は国外に派遣されることもある。


「ま、任務の中身以上に大切なのは相棒ね」


「たしかに、これからほぼ3年間一緒に活動することになるもんね」


任務をこなすうえで相棒制度が設けられている。


まだ能力的に学生だけでの任務は不安があるので、基本的に二人一組で行うことになっている。


任務内容によっては複数の組が合同で行う場合もある。


その二人一組は一度固定されると、例外を除いて3年間同じなので重要なのである。


「私は木だから相性がいい水か火かなぁ」


この国の民たちは龍導と呼ばれる五つの属性の能力を持っており、ヤヨイは木の属性である。


そしてこの五つの属性は互いの能力を生かし合う「相生」と互いの能力が対立しあって、低下させてしまう「相剋」の関係がある。


ヤヨイの『木』は水や火が「相生」で金や土が「相剋」である。


「シズクは水だし、相棒になれたらいいね」

「うん、私もヤヨイが相棒だとうれしいよ」


私は『水』なので、ヤヨイの木や金が「相生」で火と土が「相剋」である。


今までの先輩の話を聞いていると、同じ属性同士で相棒になることはない。幅広い任務に対応できるようにするためである。そして大抵はこの「相生」同士の組み合わせになる。


「ま、決まるのは来月らしいけどね」

「実技授業の実力も加味して決めるみたいだね」

「だね、とりあえず頑張ろう」


それと、とヤヨイは視線を前に向けて

「シズクのお気に入り編入生の属性はなんなんだろうね」


「お気に入りっていうか…」

あの瞳が気になるというか…


同じく視線を前にやると相変わらず編入生二人の周りには人が集まっている。


「本当にきれいな顔だものね」

「もう一人もかわいい感じだしね」


そうなのだ。編入生ということももちろんだが、二人の顔の良さも人を集めている理由ではあると思う。


さすがにみんなあからさまにアイドル扱いはしていないが、男女問わず、なんとなく目が離せない状態で、少しでも仲良くなりたいと思っている節がある。


「見た目的には碧い瞳だし、シズクと同じ水かなぁ」

もう一人は緑の髪の毛だし、私と同じ木かな、とヤヨイがつぶやく。


正直見た目と属性の関係は明かされていないので、あてずっぽうでしかないが、言いたいことはわかる。


「かもね。まぁ明日からの実技でわかるでしょ」

「そうね、とりあえず寮に戻ろうか」


「了解」

かばんを掴み、立ち上がる。


初等部、中等部までは家から通おうが寮から通おうが自由だが、高等部からは任務に対応するため、全員寮生活である。


学校の真横にある建物で、中等部までは二人部屋だが、高等部からは一人部屋が与えられる。


私とヤヨイは初等部から寮生活で、ずっと同部屋だった。


いろいろあったが、いざ一人部屋になるとさみしさも感じ、結局始まって3日だがすでに隣部屋同士行き来している。


「じゃ、またあとで。食堂で」

「はーい」

ヤヨイと一旦別れて部屋に入る。



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